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本編
チームとリーダーシップ
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イザヤは酔い潰れた戦士に目を向け、口を開いた。
「マドカス殿、俺たちのパーティに加わってほしい」
イザヤがこの言葉を選んだのは、名簿に記された名前に基づくものであった。そして「殿」という敬称を使うのは初めてだが、礼儀を重んじ、相手に敬意を示すための選択であった。
マドカスはフラッと立ち上がり、拳を振り上げた。その拳はイザヤの左頬にしっかりとヒットした。しかし、イザヤは微動だにせず、マドカスの目を直視した。
「右頬も打ちたければ打て。その代わり、俺たちと一緒に来てくれ」
タカヒコは目を丸くして叫んだ。
「あああ・・・、イザヤくん・・・!」
マドカスはイザヤをじっと見つめ、ぼそりと言った。
「おい、オメー、なんでよけねぇんだぁ?わざと当たっただろぉ?」
イザヤは口角をわずかに上げた。
「男として気持ちを受け止めたかった、とでも言おうか。何かわけがあるなら聞こう。」
マドカスは力なく椅子に座り、背もたれにもたれかかった。
「殴っても面白くねぇもん、殴っても、殴り甲斐がねぇぜぇ!」
しばらく黙ってから、マドカスは再び口を開いた。
「座れ。」
イザヤは言われた通り、マドカスの正面に座った。
マドカス:「お前の目的は何だ?」
一瞬、イザヤは迷った。情報によれば、この世界においてアイリスは「完全統治者」として善政を布いている。その事実を前に、目的を明かすべきかどうか。しかし、イザヤは決意した。
イザヤ:「・・・アイリスと会うためだ」
マドカス:「アイリスだと?会ってどうする?」
イザヤ:「会って話をする」
マドカス:「どのような話だ?」
イザヤ:「それは俺にもわからない。だが、この世に完全なものはない、ということを伝えたい」
マドカスは微笑んだ。
マドカス:「それは面白い。完全統治者様にお説教をしに行くってわけか」
イザヤ:「説教をするつもりはない。ただ、俺が思う真実を伝えるだけだ」
マドカスはしばらくの沈黙の後、口を開いた。
マドカス:「いいだろう、若いのにいい器量してやがる。気に入った、パーティに加わってやろう。」
そう言って、マドカスはイザヤに手を差し伸べた。イザヤもその手を握り、新たな仲間との契約が結ばれた瞬間を確認した。
イザヤ:「改めて、俺の名はイザヤ。神薙流の剣士だ」
マドカス:「俺はマドカス、我流だ。よろしくな」
イザヤはマドカスを評価していた。この男はただの戦士ではない、と。マドカスもまた、イザヤが人々を単なる金額や外見で判断しないところに心を引かれた。
イザヤの言葉には誠実さが垣間見え、マドカスはその真実性を感じ取った。それは、彼自身が長年戦士として生きてきて、多くの人々と関わり合い、その中で培った鋭い察知力に起因していた。
マドカスは、美しい黒髪を流し、その瞳には何か不思議な光を宿していた。イザヤは、その雰囲気に何か特別なものを感じ、この人物はただの戦士ではないと確信した。彼の野生的な直感が、マドカスの存在に何らかの特別な意味を感じさせたのだ。
その時、イザヤの名を呼ぶ者がいた。
イザヤ:「ん?誰だ?お前?」
その声を聞き、タカヒコが慌てて接近してきた。
タカヒコ:「イザヤくん、ナミちゃんだよ~」
よく見ると、確かにその姿はナミであった。ただし、いつものメガネを外し、服装も変えていた。
ナミ:「カスタム人間の設定は終了したわ」
イザヤ:「ナミ、ありがとう」
ナミ:「わかったことがあるの。グリモワールによって、この世界でジョブを一つ選べるらしい。私はパーティのバランスを考えて、攻撃魔法のメイジにしたわ」
イザヤ:「へえ~、それでその格好になったのか。でもさ、ナミ、メガネ外すとまあまあカワイイじゃん」
ナミの顔が瞬時に赤く染まった。
ナミ:「ウザっ・・・!」
そう一言つぶやいて、ナミは急に宿へと向かって行った。
イザヤ:「あれ?俺、何か変なこと言ったかな?」
タカヒコ:「うーん、"まあまあ"っていうのがダメだったのかも。"とってもかわいい"って言うとか~。」
イザヤ:「ううむ、女って難しいなぁ」
イザヤは頭を振りながらも、タカヒコの言葉に苦笑いを浮かべた。
宿に戻ったイザヤ、マドカス、タカヒコは、早速ナミとセリフィナに合流した。マドカスはすでに酔って寝てしまっていた。
イザヤはパーティのリーダーとして、重要な課題に取り組む必要があると思った。それは、パーティの心を一つにし、チームを形成すること。特に、アイリディア人であるセリフィナに目的を明確に伝える必要がある。
イザヤ:「セリフィナ、俺たちの目的はアイリスに会うことなんだ」
セリフィナ:「はい、司祭様から聞いております。そこまで協力させていただきます」
イザヤ:「俺たちは、アイリスの持つ正義や完全性には疑問があるんだ。この世には悪もあるし、失敗だってある。それを許容することも重要だと思う」
セリフィナは少し考え込んだ後、言った。
セリフィナ:「不完全な悪…あなたの言葉、まるで下界の人間のようですわね。人間という、いわく付きの生物が存在すると聞いています」
イザヤ:「ああ、そうなんだ…(苦笑い)」
セリフィナ:「特に、人間の男は狼や獣(けだもの)の様であり、女性を所有物のように扱うとも聞きます。そのようなものを象徴する"不完全な悪"には、正直言って肯定できません」
イザヤ:「そ、それは確かにヒドイな(苦笑い)」
セリフィナ:「だからこそ、イザヤさんのような誠実な心の持ち主がいれば、人間も救われるでしょうね。ただ、本当に下界や人間が存在しているかどうかは、私にはわかりませんが」
イザヤ:「あはは、そうだね…」
イザヤはセリフィナの言葉に苦笑しつつ、内心で新たな課題を感じた。目的を共有するだけでは足りない、理解と信頼を深めなければ、このパーティは真のチームにはなれない。
ナミが会話に割り込むタイミングを見計らって言った。
ナミ:「よかっわね~、イザヤ。誠実って言ってもらえて」
イザヤ:「ま、まあな。」
ナミはイザヤに耳打ちをして、少しの間だけ他の仲間から距離を取った。
ナミ(小声で):「それにしてもヒドイ言われようね。やっぱり私たちが人間だってことは、彼女には言わない方がいいわ」
イザヤ(小声で):「・・・ああ、そうだな」
イザヤは一瞬の沈黙を経て、気を取り直した。
イザヤ:「セリフィナ、キミにはキミの考えがある。それは尊重するよ。ただ、俺たちにも目的があるんだ。尊重してくれとは言わないが、それを知っておいてほしい。仲間としてフェアでいたいからな」
セリフィナ:「仲間・・・」
イザヤ:「そう、短い期間だけれど、俺たちは仲間だ。共に考え、共に行動する仲間だ」
セリフィナはこれまでの人生で、神に仕える者として学んできた。しかし、「チーム」や「仲間」といった概念は、その教えには存在しなかった。この新しい言葉に何か特別なものを感じていた。
一方で、イザヤもこのアイリディアという世界に来てから変わりつつあった。リアル世界ではAI部の部長であり、指導者としてのスキルはあったが、この異世界でのリーダーシップはまた違った質感を持っていた。
二人の心は、この短い会話を通じて、微妙に近づいたような気がした。それは、これから繰り広げられるであろう冒険において、小さながらも価値ある一歩となるのだろう。
イザヤは地図を広げ、次の目的地について考え込んでいた。西には城塞都市ガリウスがあり、東には古代遺跡とその未知の財宝が待っている。ナミはガリウスへの興味を露わにし、タカヒコは古代遺跡に魅了されていた。
そんな緊張した雰囲気の中で、セリフィナが遠慮がちに口を開いた。
セリフィナ:「あの・・・」
イザヤ:「何か言いたいことがあるなら、遠慮しないで言ってくれ。さっきも言ったように、俺たちは仲間だ」
セリフィナ:「私が教会で聞いた噂によると、南の山奥には迫害された仙人がいるらしいのです」
イザヤ:「仙人?」
セリフィナ:「はい。その仙人は、この世界が誰かによって作られた仮想空間であり、私たちはその中のキャラクターにすぎないと主張しているそうです」
イザヤ、ナミ、タカヒコは目を丸くしてセリフィナの言葉に耳を傾けた。
セリフィナ:「ただし、私はこの世界が仮想空間だとは思えません。なぜなら、この机を触れば感触があり、窓の外には水晶のように美しい月が浮かんでいるからです」
ナミ:「そ、そうよね・・・(苦笑)」
三人は一瞬目を見合わせた。セリフィナの言葉は、それまでの目的地選びに新たな選択肢を投げかけていた。
その時、突如として、グリモワールから光の文字が浮かび上がり、三つの選択肢が提示された。
西:城塞都市ガリウスへ行く
東:アンティリウス古代遺跡へ行く
南:ヴェスペリア山に行く
文字をナミが読み上げる。
タカヒコ:「これは、ゲームでいう「クエストの発生」だね!これってフリーシナリオシステムなのかな?」
イザヤ:「ここから行動を選択するってことか!」
その瞬間、マドカスが急に目を覚ました。彼は瞬く間にテンションが高まり、興奮の色を浮かべていた。
マドカス:「おもしれーじゃねーか!その仙人とやら!俺もずっと、この世は何かゲームのようなものだと思ってたんだ。」
タカヒコが笑顔で応じた。
タカヒコ:「僕もずっとゲームばかりしてきたから、マドカスさんの言っていること、すごく共感できるよ!」
マドカス:「おお、同志がいたとはな!次回、一緒に酒でも飲もう!」
タカヒコ:「僕はお酒よりもゲームが好きだけどね~」
そこでナミが切り込む。
ナミ:「で、どうするの?リーダー?」
イザヤは少し考えた後、決意の表情で言った。
イザヤ:「この流れを考えると、そして多数決的にも、その仙人に会いに行こう。ヴェスペリア山へ向かおう!」
部屋には新たな冒険への期待と興奮が満ちていた。
「マドカス殿、俺たちのパーティに加わってほしい」
イザヤがこの言葉を選んだのは、名簿に記された名前に基づくものであった。そして「殿」という敬称を使うのは初めてだが、礼儀を重んじ、相手に敬意を示すための選択であった。
マドカスはフラッと立ち上がり、拳を振り上げた。その拳はイザヤの左頬にしっかりとヒットした。しかし、イザヤは微動だにせず、マドカスの目を直視した。
「右頬も打ちたければ打て。その代わり、俺たちと一緒に来てくれ」
タカヒコは目を丸くして叫んだ。
「あああ・・・、イザヤくん・・・!」
マドカスはイザヤをじっと見つめ、ぼそりと言った。
「おい、オメー、なんでよけねぇんだぁ?わざと当たっただろぉ?」
イザヤは口角をわずかに上げた。
「男として気持ちを受け止めたかった、とでも言おうか。何かわけがあるなら聞こう。」
マドカスは力なく椅子に座り、背もたれにもたれかかった。
「殴っても面白くねぇもん、殴っても、殴り甲斐がねぇぜぇ!」
しばらく黙ってから、マドカスは再び口を開いた。
「座れ。」
イザヤは言われた通り、マドカスの正面に座った。
マドカス:「お前の目的は何だ?」
一瞬、イザヤは迷った。情報によれば、この世界においてアイリスは「完全統治者」として善政を布いている。その事実を前に、目的を明かすべきかどうか。しかし、イザヤは決意した。
イザヤ:「・・・アイリスと会うためだ」
マドカス:「アイリスだと?会ってどうする?」
イザヤ:「会って話をする」
マドカス:「どのような話だ?」
イザヤ:「それは俺にもわからない。だが、この世に完全なものはない、ということを伝えたい」
マドカスは微笑んだ。
マドカス:「それは面白い。完全統治者様にお説教をしに行くってわけか」
イザヤ:「説教をするつもりはない。ただ、俺が思う真実を伝えるだけだ」
マドカスはしばらくの沈黙の後、口を開いた。
マドカス:「いいだろう、若いのにいい器量してやがる。気に入った、パーティに加わってやろう。」
そう言って、マドカスはイザヤに手を差し伸べた。イザヤもその手を握り、新たな仲間との契約が結ばれた瞬間を確認した。
イザヤ:「改めて、俺の名はイザヤ。神薙流の剣士だ」
マドカス:「俺はマドカス、我流だ。よろしくな」
イザヤはマドカスを評価していた。この男はただの戦士ではない、と。マドカスもまた、イザヤが人々を単なる金額や外見で判断しないところに心を引かれた。
イザヤの言葉には誠実さが垣間見え、マドカスはその真実性を感じ取った。それは、彼自身が長年戦士として生きてきて、多くの人々と関わり合い、その中で培った鋭い察知力に起因していた。
マドカスは、美しい黒髪を流し、その瞳には何か不思議な光を宿していた。イザヤは、その雰囲気に何か特別なものを感じ、この人物はただの戦士ではないと確信した。彼の野生的な直感が、マドカスの存在に何らかの特別な意味を感じさせたのだ。
その時、イザヤの名を呼ぶ者がいた。
イザヤ:「ん?誰だ?お前?」
その声を聞き、タカヒコが慌てて接近してきた。
タカヒコ:「イザヤくん、ナミちゃんだよ~」
よく見ると、確かにその姿はナミであった。ただし、いつものメガネを外し、服装も変えていた。
ナミ:「カスタム人間の設定は終了したわ」
イザヤ:「ナミ、ありがとう」
ナミ:「わかったことがあるの。グリモワールによって、この世界でジョブを一つ選べるらしい。私はパーティのバランスを考えて、攻撃魔法のメイジにしたわ」
イザヤ:「へえ~、それでその格好になったのか。でもさ、ナミ、メガネ外すとまあまあカワイイじゃん」
ナミの顔が瞬時に赤く染まった。
ナミ:「ウザっ・・・!」
そう一言つぶやいて、ナミは急に宿へと向かって行った。
イザヤ:「あれ?俺、何か変なこと言ったかな?」
タカヒコ:「うーん、"まあまあ"っていうのがダメだったのかも。"とってもかわいい"って言うとか~。」
イザヤ:「ううむ、女って難しいなぁ」
イザヤは頭を振りながらも、タカヒコの言葉に苦笑いを浮かべた。
宿に戻ったイザヤ、マドカス、タカヒコは、早速ナミとセリフィナに合流した。マドカスはすでに酔って寝てしまっていた。
イザヤはパーティのリーダーとして、重要な課題に取り組む必要があると思った。それは、パーティの心を一つにし、チームを形成すること。特に、アイリディア人であるセリフィナに目的を明確に伝える必要がある。
イザヤ:「セリフィナ、俺たちの目的はアイリスに会うことなんだ」
セリフィナ:「はい、司祭様から聞いております。そこまで協力させていただきます」
イザヤ:「俺たちは、アイリスの持つ正義や完全性には疑問があるんだ。この世には悪もあるし、失敗だってある。それを許容することも重要だと思う」
セリフィナは少し考え込んだ後、言った。
セリフィナ:「不完全な悪…あなたの言葉、まるで下界の人間のようですわね。人間という、いわく付きの生物が存在すると聞いています」
イザヤ:「ああ、そうなんだ…(苦笑い)」
セリフィナ:「特に、人間の男は狼や獣(けだもの)の様であり、女性を所有物のように扱うとも聞きます。そのようなものを象徴する"不完全な悪"には、正直言って肯定できません」
イザヤ:「そ、それは確かにヒドイな(苦笑い)」
セリフィナ:「だからこそ、イザヤさんのような誠実な心の持ち主がいれば、人間も救われるでしょうね。ただ、本当に下界や人間が存在しているかどうかは、私にはわかりませんが」
イザヤ:「あはは、そうだね…」
イザヤはセリフィナの言葉に苦笑しつつ、内心で新たな課題を感じた。目的を共有するだけでは足りない、理解と信頼を深めなければ、このパーティは真のチームにはなれない。
ナミが会話に割り込むタイミングを見計らって言った。
ナミ:「よかっわね~、イザヤ。誠実って言ってもらえて」
イザヤ:「ま、まあな。」
ナミはイザヤに耳打ちをして、少しの間だけ他の仲間から距離を取った。
ナミ(小声で):「それにしてもヒドイ言われようね。やっぱり私たちが人間だってことは、彼女には言わない方がいいわ」
イザヤ(小声で):「・・・ああ、そうだな」
イザヤは一瞬の沈黙を経て、気を取り直した。
イザヤ:「セリフィナ、キミにはキミの考えがある。それは尊重するよ。ただ、俺たちにも目的があるんだ。尊重してくれとは言わないが、それを知っておいてほしい。仲間としてフェアでいたいからな」
セリフィナ:「仲間・・・」
イザヤ:「そう、短い期間だけれど、俺たちは仲間だ。共に考え、共に行動する仲間だ」
セリフィナはこれまでの人生で、神に仕える者として学んできた。しかし、「チーム」や「仲間」といった概念は、その教えには存在しなかった。この新しい言葉に何か特別なものを感じていた。
一方で、イザヤもこのアイリディアという世界に来てから変わりつつあった。リアル世界ではAI部の部長であり、指導者としてのスキルはあったが、この異世界でのリーダーシップはまた違った質感を持っていた。
二人の心は、この短い会話を通じて、微妙に近づいたような気がした。それは、これから繰り広げられるであろう冒険において、小さながらも価値ある一歩となるのだろう。
イザヤは地図を広げ、次の目的地について考え込んでいた。西には城塞都市ガリウスがあり、東には古代遺跡とその未知の財宝が待っている。ナミはガリウスへの興味を露わにし、タカヒコは古代遺跡に魅了されていた。
そんな緊張した雰囲気の中で、セリフィナが遠慮がちに口を開いた。
セリフィナ:「あの・・・」
イザヤ:「何か言いたいことがあるなら、遠慮しないで言ってくれ。さっきも言ったように、俺たちは仲間だ」
セリフィナ:「私が教会で聞いた噂によると、南の山奥には迫害された仙人がいるらしいのです」
イザヤ:「仙人?」
セリフィナ:「はい。その仙人は、この世界が誰かによって作られた仮想空間であり、私たちはその中のキャラクターにすぎないと主張しているそうです」
イザヤ、ナミ、タカヒコは目を丸くしてセリフィナの言葉に耳を傾けた。
セリフィナ:「ただし、私はこの世界が仮想空間だとは思えません。なぜなら、この机を触れば感触があり、窓の外には水晶のように美しい月が浮かんでいるからです」
ナミ:「そ、そうよね・・・(苦笑)」
三人は一瞬目を見合わせた。セリフィナの言葉は、それまでの目的地選びに新たな選択肢を投げかけていた。
その時、突如として、グリモワールから光の文字が浮かび上がり、三つの選択肢が提示された。
西:城塞都市ガリウスへ行く
東:アンティリウス古代遺跡へ行く
南:ヴェスペリア山に行く
文字をナミが読み上げる。
タカヒコ:「これは、ゲームでいう「クエストの発生」だね!これってフリーシナリオシステムなのかな?」
イザヤ:「ここから行動を選択するってことか!」
その瞬間、マドカスが急に目を覚ました。彼は瞬く間にテンションが高まり、興奮の色を浮かべていた。
マドカス:「おもしれーじゃねーか!その仙人とやら!俺もずっと、この世は何かゲームのようなものだと思ってたんだ。」
タカヒコが笑顔で応じた。
タカヒコ:「僕もずっとゲームばかりしてきたから、マドカスさんの言っていること、すごく共感できるよ!」
マドカス:「おお、同志がいたとはな!次回、一緒に酒でも飲もう!」
タカヒコ:「僕はお酒よりもゲームが好きだけどね~」
そこでナミが切り込む。
ナミ:「で、どうするの?リーダー?」
イザヤは少し考えた後、決意の表情で言った。
イザヤ:「この流れを考えると、そして多数決的にも、その仙人に会いに行こう。ヴェスペリア山へ向かおう!」
部屋には新たな冒険への期待と興奮が満ちていた。
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