幻想神統記ロータジア(パラレルストーリーズ)

静風

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滅亡の章

再会、そして決起へ

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ロータジア王国が滅亡し、全てを失った蓮也は、身も心もボロボロになりながら歩いていた。

蓮也
(まず、この左腕の麻痺の回復、これは敵のカーズ魔法によってできたもの。邪神王クラスの呪いなので、かなり強くかかっているかもしれない。とりあえず、これを治し、俺の戦闘能力を回復させることを今は考えるか)



蓮也はエウリディーチェがまだ生きている可能性があると思っていたが、今の状態では、相手に勝てないと判断しての行動である。もちろん、蓮也が万全であっても勝算は殆どないと思っていた。それだけ、相手の戦力は強大である。

蓮也は腕だけでなく、身体の至る所に傷を負っており、その完治しない身体を引きずりながら、一本道を歩いていた。

この蓮也の近くでフワフワと浮いているのは、ポコーという妖精である。



ポコー
「蓮也~、元気だすポコ」
蓮也
「ああ」
ポコー
「そうだ、どこかにお花畑があると思うポコ!」
「それを見つけて花を眺めれば元気になるポコ!」
蓮也
「今はいい」
ポコー
「そうかポコ」

ポコーは蓮也を元気付けようと話しかけるが、殆ど反応はなかった。
そして、夕方になっていた。
遠くには夕日が見える。
それを見て蓮也は立ち尽くした。

蓮也
(俺は今まで何のために生きてきたのだろうか)
(何のために戦ってきたのであろうか)
(パドマリアで理想の国をつくろうとしたが、それを失い)
(家臣・友人を失い、愛する人の約束を守れず)
(神はなぜ、俺にこのような体験・経験をさせるのか)

夕日に照らされた蓮也の影が遠くまで伸びていく。

蓮也
(いや、神がどうこうではない。俺に力がなかったからだ)
(ならば、もっと俺は力を獲得し、それを解放しなければならない)
(蓮也よ、力を解放するのだ)

蓮也は魂を奮い立たせ、自分自身をセルフエンパワーメントした。

【楽曲・ハナツチカラ】
https://youtu.be/DoIbhlgDFx4

彼方に手を伸ばして まだ届かぬ想いを
つかみかけたチカラ 放ち続ける

彼方に手を伸ばして まだ届かぬ想いを
つかみかけたチカラ 放ち続ける

永遠に眠る世界 ただたそがれながら
生きる意味を今は 探し続ける

夢の中で 問いかけてる
迷いながら 探している
終わりのない 果てを求め
照らしながら 進んでゆく

たとえ全てのものが 失われても
理想の世界を 描き続ける

この世が暗闇に 包まれたとしても
つかんだこのチカラを 放ち続ける
放ち続ける
放ち続ける

全てを失っても魂の炎さえ再燃できれば、人は再起することができるのかもしれない。
そして、再び、蓮也は歩き続ける。

ポコー
「ポコ!」
蓮也
「どうしたポコー」
ポコー
「遠くから誰かやってくるポコ」

遠くから馬を連れた人影が見える。

蓮也
「モロー!」
「ケントニス!」
モロー
「蓮也様、ご無事で」
蓮也
「モローこそ、よく生きててくれた。そして、ケントニスも」



キュリアス・モローは王国では、蓮也の諜報部隊長を務めていた。ケントニスは、蓮也の愛馬であり、神獣ユニコーンである。

モロー
「途中、ケントニスに遭いまして、彼のゆく方へついて行けばと思いまして」
蓮也
「そうか、苦労をかけたな」

ケントニスは蓮也に近づき、角からエネルギーを発する。ユニコーンの角には、ヒーリングエネルギーが備わっているという伝説がある。蓮也の身体の傷は幾分軽くなったように感じた。

モロー
「あの、言いにくいことなのですが・・・」
蓮也
「なんだ」
モロー
「エウリディーチェ様はお亡くなりになられた、とのことです・・・」
蓮也
「・・・そうか」



この時、モローは意外に思った。あれほど感情を剥き出しにして助けに行こうとした蓮也が、エウリディーチェの死をあっさりと受け入れたからである。

蓮也
「モローよ、お前の報告が間違っていると思いたい。しかし、お前の報告はいつも正確だ。だから、今回の報告も多分、間違いはないのだろう」
モロー
「エウリディーチェ様のご遺体が城内地下の王墓に入るのを確認しております」
「城は悪魔・邪神たちが去った後、アルトドール帝国の支配下に置かれました」
蓮也
「わかった。悪魔・邪神を倒し、アルトドールを打倒し、地下の兄やエウリディーチェにその報告をすることを誓おう」
モロー
「私もお供します」
蓮也
「再び、よろしく頼む」
モロー
(蓮也様が静かに怒りの炎を燃やしておられる。この人はたった一人でもやる気だろう・・・)
「それともう一つ情報が。サトゥルヌスですが“月が12回、満ち欠けした時に、この世界の全てを支配する”と宣言し、去って行ったそうです」



サトゥルヌスは先王円也に一撃を受けていたとされている。しかし、当時の剣士で最強と言われた円也王でさえ、サトゥルヌスにはそれが精一杯の攻撃であり、何とか蒼き魔術師が封印したとされる。その時の傷を癒し、更に力を蓄えるためにサトゥルヌスは一年の猶予期間を設けたのであろう。

蓮也
「モローよ、早速だが、ゼイソン及び三将星の安否を探ってほしい。奴らを打倒するにも、彼らの存在が必要になる」



モロー諜報部隊は各地に散らばって情報収集している。
蓮也の行動は常にモローの諜報部隊に報告され、モローは蓮也と常に連絡が取れるようになっている。

蓮也
「この一年の間に、俺は各地を周り、同志を募る」
「集結の日は、その一年後の三日前だ。そして集合の地は」
「アトランティス!」
モロー
「・・・アトランティス!」
「わかりました!我ら月影の諜報団の情報網を使って調査して参ります!」
蓮也
「頼んだぞ」

蓮也はケントニスに跨がり、再び歩き出す。そして、この後、緑の瞳を持つ少女・ヘティスと遭遇する。ロータジアの伝承では“緑の瞳を持つ少女が光の彼方からやってくる”というものがある。ヘティスは、その伝承にある少女なのであろうか。






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