生きる事、華の如く

静風

文字の大きさ
上 下
5 / 8
神秘の章

異世界への潜入

しおりを挟む



時は2042年、理夢華22歳の時であった。
地球温暖化によって南極の氷が溶け、そこからアトランティス遺跡が発見されたという噂が立った。そこで理夢華はAI搭載型小型ドローン『テセウス』を作成した。
『テセウス』には、ラーニングによって戦国時代の軍師や武将などの能力が付与された。



理夢華
「仮想空間でのシミュレーションによる学習は終わったわ」
奈美
「これで人工知能による自動飛行が可能になるのね」
理夢華
「そうよ。AI搭載型小型ドローン・テセウスの冒険のはじまりよ!」



早速、テセウスを飛ばすことにした。それと同時に理夢華のパーソナルAIアリアドネも起動させる。アリアドネはテセウスから送られてくるあらゆるデータに対して様々な処理を行い、テセウスがルートを選択する時のサポートを行う。

理夢華
「いきなりステルスモードにして、あらゆるレーダーに察知されないようにするの」
奈美
「こんなに小さいのに、色々な機能があってすごいわね」
理夢華
「日本からオーストラリアを経て、南極に向かうわ」
奈美
「最短ルートを通るってわけね」
理夢華
「最短と言ってもかなり時間かかっちゃうけどね。途中でエネルギーが切れそうになったら、海の上で太陽光充電して、再び飛行開始って感じよ」
「あと、水上走行や潜水も可能なの」
奈美
「すごいわね」
「で、どれくらいかかるの?目的地まで」
理夢華
「シミュレーションでは15日って出てた」
奈美
「ああ、それくらいでいけちゃうのね」
理夢華
「最近のドローンは結構スピードも出るのよ」

AI搭載ドローンは何日も飛行と停止・充電を繰り返し、シミュレーション通りに15日後に、テセウスは南極大陸へとたどり着いた。

理夢華
「奈美、待ってたわよ。いよいよ、テセウスが南極大陸に入ったから、奈美が来るまで待機してたわ」
奈美
「ありがとう、理夢華w」
理夢華
「では、早速、いくわよ」
奈美
「温暖化と言っても、まだ氷に閉ざされている部分もあって寒そうね」
理夢華
「そうね」
奈美
「で、遺跡はどこにあるのかしら」
理夢華
「搭載している最新式超小型量子レーダーに何か反応があるの。その場所に行こうと思う」
奈美
「なんか凄そうなのが色々とついているのね」
理夢華
「このレーダーは量子レベルのかなり細かい信号までキャッチできるんだけど、ある場所から変わった信号が検出されているの」
奈美
「そこだけ変わった信号ってことは何か怪しいわねw」
理夢華
「そうなのよ」

その場所にいくと、明らかに量子レーダーが様々に反応を示す。

テセウス
「地球上のものとは思えないような反応あり」
奈美
「あれ?このコ、話すの?」
理夢華
「そうよ。必要以上のことはあまり話さないけど」

理夢華はLiDAR(ライダー)からカメラ映像へ切り替えた。

奈美
「なにこれ・・・」
理夢華
「これが、アトランティス・・・」

海から真っ直ぐに運河のようなものが伸びており、その先にマンダラやストーンヘンジを思わせるように超巨大なサークルが氷の下に存在することが、テセウスの映像から映し出された。
円は中央から数えて7つあり、放射状に広がっている。そして、中心の円に向かって八つの道のようなものが見える。

奈美
「外側の壁は少し燻んだ金属のような壁でできているけど、中央は・・・、何あれ・・・」
理夢華
「光り輝いているわね・・・」
テセウス
「プラトンの文献を参考にするなら、外側は銅、内側はオリハルコンだ」
奈美
「オリハルコンって、よくファンタジーに出てくる伝説の金属?」
理夢華
「単なる真鍮(しんちゅう)にも見えるけど、どうなのかしら」
テセウス
「採取すればわかるが、見つかる可能性が高い」

理夢華はテセウスの基本プログラムに「人間と機械に見つからないようにせよ」というものを入力している。

テセウス
「レーダーによると、人間らしき動きがあり、氷を削って遺跡内部に侵入していると思われる」
理夢華
「既に発掘調査は開始されているのね」
奈美
「じゃ、内部は見れないのね」
テセウス
「夜になれば人が減る、もしくはいないと思われるから可能だ」
理夢華
「そうね、とりあえずここまでとして、夜、人の動きがなくなったのを確認してから潜入しましょう」
「奈美、今日、うちに泊まっていかない?」
奈美
「そうね、そうするわw」

そして夜になった。

テセウス
「内部から人の動きが消えた」
理夢華
「今日の発掘調査が終わったようね」
「じゃあ、潜入開始しましょう」
奈美
「楽しみねw」

昼間にテセウスは、遺跡の量子スキャニングをしていた。そのデータに基づいて、アリアドネも協力して潜入ルートを探る。
潜入は、中央の水路からすることとした。その水路は氷で閉ざされているが、人の手によって氷のトンネルが掘られている。
氷のトンネルには至るところに赤外線センサーがあり、テセウスはステルスモードのレベルを最高にして、それらを全てすり抜けてゆく。

テセウス
「反応あり」
奈美
「きゃ、人が凍ってるの?しかも、凄い大きな人・・・」

トンネルの左右には人らしきものがちらほら見える。

理夢華
「人とは思えないような大きさね」
奈美
「そうね、画像からだと比較するものがないからよくわからないけど・・・」
理夢華
「テセウス、その人らしきものの身長を計測して」
テセウス
「約2.7メートル。人と思われる」
奈美
「2.7メートル?そんなに大きな人いるの?」
理夢華
「わからないわ。古代人は巨人だったのかも」

更によくみると人以外の恐竜らしき生物も見える。

奈美
「これは恐竜?これはいつの時代のものなの・・・」
理夢華
「そうね、恐竜に見えるし、ファンタジーの世界のドラゴンにも見えるわ」
テセウス
「恐竜とは少し違う」
理夢華
「とりあえず自動録画モードになっているから、後で映像を解析してみるわ」

更に進んでいくと更に大きな人や、身長1メートルにも満たない小人のような生体も存在する。

奈美
「小人や巨人、ドラゴン・・・。何かおとぎ話の世界みたいね・・・」
理夢華
「とりあえず、古代には、私たちとは少し違う生体が存在したってことね」

そして、いよいよ遺跡の中央に迫った。

理夢華
「・・・ここからね」
奈美
「・・・そうね」
テセウス
「この金属からは特殊な波動が検出されます」
理夢華
「テセウス、その金属を採取できる?」
テセウス
「気づかれる可能性があるので不可能」
理夢華
「じゃあ、その波形を記録して」
テセウス
「金属から放出される波動の波形を記録」
理夢華
「・・・そのまま奥へ行って」
テセウス
「了解」
奈美
「・・・いよいよ中心部ね。何があるのかしら」

更に奥へ進むと大きな掘り進められた空間があり、何かが浮遊している。

奈美
「これは何なの・・・」
理夢華
「石が浮いているように見えるけど・・・」
テセウス
「この石は浮いている。動力は不明。先ほどの金属の波動と類似している」
理夢華
「・・・それも記録して」
テセウス
「この石から放出される波形も記録」

更に奥へと向かう。

奈美
「これは・・・。氷の中に人?像?」
理夢華
「原型を完全にとどめている人に見えるけど・・・」

大きな氷柱の中に、髪の毛は蒼く、肌は白く、鎧を装着し、剣を片手に持つ、美しい男性が、まるで生きているかのように氷結され、冷凍保存されていた。

テセウス
「画像解析からは人の可能性が高い。性別は男性。かなり古い時代のものだ」
奈美
「・・・それにしても、美しい男性だわね」
理夢華
「これがあの先生が言ってた“海神王子”なのかしら」
奈美
「かもしれないわね・・・」
テセウス
「更に奥には、また別の反応あり。しかし、進路は閉ざされており、これ以上の進行は不可能である」
理夢華
「・・・ここまでね。テセウス、ありがとう。そこからステルスモード継続で、ホームまで帰還して」
テセウス
「了解」
理夢華
「奈美、おつかれさま。今日はもう寝ましょ。明日は学校も休みだし、ゆっくりしていけばいいわ」
奈美
「何かもう刺激的だったわ!ドキドキして寝れないかもw」

と言いつつ、既に深夜となっていたため、二人はすぐに眠りの世界へと旅立つのであった。


しおりを挟む
お読みいただきありがとうございました。お気に入り登録して応援いただけると嬉しいです☆

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】捨ててください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。 でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。 分かっている。 貴方は私の事を愛していない。 私は貴方の側にいるだけで良かったのに。 貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。 もういいの。 ありがとう貴方。 もう私の事は、、、 捨ててください。 続編投稿しました。 初回完結6月25日 第2回目完結7月18日

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

寸前屋本舗

バッチリー中田
SF
寸前屋本舗は、どんな依頼も請負なんで も屋だ 依頼者には完璧なお膳立てを用意する 只、最後の決断は依頼者に任せるスタイ ルだ 世界中にネットワークを持ち水面下で活 動する謎の一般企業 従業員達も個性的で、変人揃い サイケデリックでカオスな世界へあなた を誘います

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

処理中です...