生きる事、華の如く

静風

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神秘の章

アトランティス遺跡と古代地図

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時は2042年、理夢華22歳の時であった。
この時、人類にある重大事件が起こった。

奈美
「ねぇ、理夢華、聞いた?最近、地球温暖化が進んでいるじゃない?」
理夢華
「そうね、暑いから嫌よねぇ」
奈美
「それで南極の氷が溶けちゃって、そこからアトランティスと思われる遺跡が見つかったって言うのよ」
理夢華
「ああ、私もチラッとネットニュースで見たけど、それって公式には否定されてなかったっけ?」
奈美
「それが最近は個人も太陽光充電可能な長距離飛行ドローンとか持っているじゃない?そうしたものに、どうやら写っちゃったらしいのよ。それでSNSで拡散されてね」
理夢華
「だったら、その南極遺跡はあるかもしれないし、ないかもしれない、ってところよね。それに、それがアトランティスだっていう証拠もないわ」
奈美
「それが、1513年に書かれたピリ・レイスの地図ってのがあって、そこに南極大陸が描かれているの。南極大陸は氷に覆われてて描けないはずなのにね」
理夢華
「ああ、よく都市伝説で聞くオーパーツってのね。まあ、南極大陸が描かれているのは不思議だけど、それが証拠なの?」
奈美
「そうなのよ。そのピリ・レイスの地図は、紀元前に描かれた地図を基に描かれたんだけど、その原本が見つかってね」
理夢華
「で、その南極大陸の地図のところにアトランティスって書いてあったわけ?」
奈美
「そうなのよ。びっくりじゃない?」
理夢華
「アトランティスってファンタジーの世界の話じゃなかったの?」
奈美
「私もそう思っていて、改めて調べてみたんだけどね、どうも哲学者のプラトンが言い出したらしいから神話とかではないのかもしれないのよ」
理夢華
「けど南極って氷で閉ざされているから、南極にも暖かい時期があったのかしら?」
奈美
「確かにそうね、なんで南極に遺跡なんてあるのかしら?」
理夢華
「そうそう、あの、なんでも知ってる、って言い張ってたお爺さんに聞いてみたらいいんじゃないの?」
奈美
「そうね、そうしましょう」

二人は顔を見合わせて、そう言い、不思議な老人「臥麟(がりん)」が住む道場を訪ねた。



臥麟
「上は天文、下は地理、我にわからぬことなどぬぁぁぁい!」
奈美
「先生、今日もお元気ですねw」
理夢華
「今日は先生に聞きたいことがあって来たの」
臥麟
「ほうほう、なんじゃい?まあ、お茶でも飲んでいきなされ」

と言いつつ、最近は奈美と理夢華が台所に行って自分たちでお茶を入れる。
道場は掃除してあるが、その他の場所はそうではないため、理夢華と奈美がたまに掃除をしている。本人たちは相談料の代わりと思っているかもしれない。

臥麟
「アトランティスじゃとぉ!?」
奈美
「あら、先生、興奮してきました?w」
臥麟
「あの国はのぅ。海洋国家で別名『ポセイドン』と言うのじゃ。ポセイドン王が始祖王であるからな。ある時、地球は大洪水時代になってのう」
理夢華
「大航海時代じゃなくって大洪水時代・・・、なんか大変そうね」
臥麟
「ノアの方舟とか、世界には洪水神話っていっぱいあるじゃろ?本当にあったんじゃ」
奈美
「神話は架空の話ではないんですか?」
臥麟
「ワシが知る限り、殆ど実話じゃ」
理夢華
「それはロマンがあるわね」
「確かに、ホメロスの『イーリアス』に描かれていたのをみてシュリーマンがトロイ遺跡を発掘したように、文学と思われていたものが実在することもあるものね」
臥麟
「よーしっとるのぅ、お嬢さん」
「その大洪水時代の後に、そうしたアトランティスのような海洋民族国家が力を持ったのじゃ」
「アトランティス王・ポセイドンやトリトン王はとても優秀な王であった。そして最後の海神王子が巨大な敵と戦い、アトランティスは滅亡する、というのがアトランティス神話じゃ」
奈美
「アトランティス神話!」
「そんなのがあるんですね」
理夢華
「出典とかあるんですか?」
臥麟
「神話は語り部から語り部へ伝わってこそ神話じゃ」
理夢華
「そうそう、問題はなんでアトランティス大陸に遺跡があるか、なの」
奈美
「そうだったわ。南極に人が住める時代ってあったのかしら?」
臥麟
「もちろんあった」
理夢華
「じゃ、なぜ住めなくなったのかしら?」
臥麟
「ポールシフトじゃ」
奈美
「ポールシフト?」

理夢華と奈美は顔を見合わた。

臥麟
「伝説では、アトラスの柱が傾いた、と聞いておる。それは恐らく地球の軸が傾くことを意味するのじゃ」
理夢華
「つまり、南極は温暖な地方にあって、それが今の位置にシフトすることで氷に閉ざされたってことなのね」
臥麟
「そのとーり!」

臥麟の言ったことが本当かどうかはわからないが、二人は一応の答えが聞けたので、満足して帰ることとした。



【解説】
アトランティスについてはプラトンが『ティマイオス』や『クリティアス』で述べている。
プラトンは母方の祖父・クリティアスから聞き、クリティアスはアテナイの政治家・ソロンから聞き、ソロンはエジプトのネイト神に仕える神官から聞いている。
アトランティスは豊かで強い軍事力を持っていたが、堕落して滅亡したとされるが、それはプラトンの寓話であり、架空の話を用いた戒めである可能性が高い。また、プラトンよりも前にアトランティスを記録した文書はない。
ここではファンタジーとして存在したと言う方向で描いている。






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