5 / 5
本編
戦士のトーナメント
しおりを挟む城下町を歩いている一行。アウルムは黄金の重厚なギターを鳴らしながら、詩を吟じ、時には歌っています。
セリーズが要求します。「私にも、それ、鳴らさせてよ!」
アウルムは困惑します。「う・・・、歌が乱れる・・・。」
セリーズは不満を漏らします。「私はもっとテンポのいいのが好きなの!」
ジェフリーが仲裁しようとします。「これこれ、お嬢様・・・。」
そうしているうちに、彼らは城下町に到着します。街は賑わい、武闘トーナメントの開催が発表されています。
アウルムが指摘します。「セリーズ、君の歌には攻撃性がある…戦いの風に乗ってしまったようだ」
セリーズは反論します。「何それ、そんなの知らないわよ」
トーナメントは三人一組の団体戦で、セリーズは興奮します。「あ、私たち、ちょうど三人じゃん!トーナメントに出ましょう!これね、戦いの風って!面白いじゃん!」
アウルムは躊躇します。「私は無駄な戦いはしたくない…。」
ジェフリーも心配します。「そうですとも、お嬢様。お怪我をなされては大変ですじゃ。」
しかし、セリーズは意気込みます。「私が怪我なんてするわけないじゃん。だって、私、最強だし!・・・ところで、賞金が出るらしいわ!」
アウルムが考えを変えます。「賞金…、旅するにも先立つものがなければなりません…。」
セリーズは決断します。「はい、決まり!トーナメントに出るのよ!」
ジェフリーは提案します。「それでは、私が先鋒をつとめますので、お嬢様は大将で…。」
セリーズは強気に出ます。「ダメ、私が先鋒で全部、やっつけるの!」
アウルムが譲ります。「女性に戦わせたとあっては、私の面目が立たない。私が先鋒に行こう。」
セリーズはアウルムをからかいます。「あら、アウルム、あなた、珍しく積極的じゃないの。」
ジェフリーがくじ引きを提案します。「それでは、こうしましょう。くじ引きです。」
ジェフリーは魔法で自分が先鋒を引くようにクジを作りますが、セリーズが素早く奪い取ります。
「爺のやることはお見通しよ!魔法使うんだろうな~って!はい、私が先鋒!」とセリーズは宣言します。
結局、セリーズが先鋒、次鋒はアウルム、大将がジェフリーとなり、彼らはトーナメントに参加することになります。
セリーズのチームはトーナメントを進み、決勝まで辿り着きました。彼女の全勝であり、圧倒的な勝利を収めていました。観客は彼女の強さに驚いていました。
決勝戦の相手は一人の大男で、重厚な鎧と鉄仮面をつけていました。
セリーズは疑問を呈します。「あれ?敵って一人?このトーナメントって一人でも出れるの?」
ジェフリーが答えます。「はい、そのようなルールのようです。三人まで、一人でも参加可能のようですじゃ。」
アウルムは警告します。「セリーズ、気を付けろ。あいつは只者ではない。凄まじいエナジーを感じる。」
セリーズは自信満々に答えます。「私が負けるわけないでしょ!大丈夫よ!」
ジェフリーが心配しますが、「アウルム殿のおっしゃられる通りです。ここは、この爺めが…」
セリーズは割り込みます。「うるさい!だまってて!楽勝よ!」
試合が開始し、鉄仮面の大男は巨大な剣を振り回します。セリーズは素早く避け、連続攻撃をヒットさせますが、全く効かない様子。彼女は必殺技を発動します。
(必殺技:ホイップ・サイクロン)
相手は倒れるが、再び起き上がり、鉄仮面は本気で戦うことを宣言します。彼は背中からもう一つ大剣を取り出し、二本の大剣でセリーズを攻撃します。
セリーズは間一髪かわしますが、転倒してしまいます。その瞬間、アウルムがギターで二本の剣を止め、凄まじい音が鳴り響きます。
鉄仮面は驚愕し、「俺の攻撃を顔色変えずに受け止めるとは、お主らは何者だ」と問います。
しかし、ルールによりセリーズとアウルムは失格となります。アウルムはギターが勝手に動いたことをセリーズに説明しようとしますが、セリーズは怒り、「もう、いいわよ!話にならないわ!」と言って場を去ります。
観客の間から不安の声が上がります。「おい、女の子の次は、あんな老人だぜ。大丈夫かい、あのチームは?」「そうだな、誰か、止めた方がいいのでは?」との声が聞こえます。
試合が開始され、鉄仮面の大男が再び二本の大剣を振りかざします。しかし、ジェフリーは見事な体捌きでそれを避け、魔法力を溜めて氷魔法を剣にエンチャントし、大男の肩にヒットさせます。
「魔法剣士だと。何者なのだ、この老人は」と鉄仮面は驚きます。
ジェフリーは自信満々に答えます。「まだ若いもんには負けんぞい!」
その様子を見た観客は大声援を送ります。
アウルムが感心します。「君の執事さん、やるじゃないか。」
セリーズは不満を漏らします。「何よ!ぜんぜん面白くない!」
アウルムは提案します。「まあ、そういわず、応援しよう。」
セリーズは渋々応じます。「…ふん、だ。」
鉄仮面の大男は肩が凍っており、片手が麻痺しています。彼はスタンの必殺技「アイアン・テンペスト」を繰り出します。
ジェフリーはこれをかわすのが困難だと判断し、剣で止めますが、凄まじい剣の音が響き、彼の手が痺れてしまいます。
「しまった!」とジェフリーは口にします。
鉄仮面は挑発します。「これでお互い、片手だな。」
ジェフリーは冷静に応戦します。「そのようじゃわい。」
トーナメントは激しい戦いへと突入し、ジェフリーは老練な執事としての真の力を見せつけます。観客は次第にジェフリーの側に心を寄せ、彼の戦いに熱い声援を送るのでした。
ジェフリーは風魔法のエンチャントを剣に付与し、鉄仮面の攻撃が迫ります。彼は攻撃を巧みに交わし、剣を振ると、カマイタチが鉄仮面の頭部に命中し、仮面が割れます。しかし、鉄仮面の攻撃はフェイントであり、本当の攻撃がジェフリーに迫ります。
アウルムは危機を感じて叫びます。「や、やばい!」セリーズも心配して叫びます。「爺ー!!」
突然、「そこまで!」との声が響きます。王と商人が現れ、王は言います。「買い手がついたので、本トーナメントはこれで終了とする。」
商人は感謝の言葉を述べ、「王様、ありがとうございます。賞金はしっかりと払わせてもらいますので。」と言います。
このトーナメントは、王国が主宰し、優れた戦士を集め、キャラバンの選出のためだったのです。
セリーズが驚いて言います。「え?キャラバン?」アウルムは静かに答えます。「…そうみたいだ。」セリーズは興奮して言います。「ん~…面白そう!」
アウルムはため息をつきながら言います。「…はあ、またか。」
割れた鉄仮面の下、その男はセリーズたちの知らない間にカオスデストロイヤーからアリアナを守り、行方知らずになっていたガイウスでした。
ジェフリーが笑顔で言います。「いやー、まいりましたわい!」ガイウスは謙虚に答えます。「いえ、鉄仮面をつけていなければ、私が先にやられておりました…。」
セリーズは元気よく言います。「てことは、引き分けってことね!これからキャラバンよ!私はセリーズ、よろしくね!」ガイウスは自己紹介します。「…ああ、私はガイウスと申します。」
アウルムが驚いて尋ねます。「ガイウス…!もしや、ガイウス・レッドジェム・ブレイ殿でございますか!」ガイウスは肯定します。「いかにも。」
セリーズは驚きつつ尋ねます。「え、アウルム、知り合いなの?」アウルムは説明します。「いえ、この方はアリアナ姫を守って行方知らずになっていると風の噂で聞いたガイウス殿だ。どうしてこんなところに?」ガイウスはその理由を明かします。「ここで戦いに勝てば周辺に名が聞こえ、姫様の耳にも入るかと思い。」
アウルムは納得しますが、セリーズは楽しげに言います。「まあ、よくわかんないけど、キャラバンを楽しみましょう!」アウルムは心の中で疑問を持ちつつも、セリーズの元気さに感心します。(キャラバンって楽しむものなのだろうか…)
この出来事は、ガイウスとの再会とキャラバンへの参加という、新たな冒険の始まりを告げるものとなりました。
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説


もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

夫より強い妻は邪魔だそうです
小平ニコ
ファンタジー
「ソフィア、お前とは離縁する。書類はこちらで作っておいたから、サインだけしてくれ」
夫のアランはそう言って私に離婚届を突き付けた。名門剣術道場の師範代であるアランは女性蔑視的な傾向があり、女の私が自分より強いのが相当に気に入らなかったようだ。
この日を待ち望んでいた私は喜んで離婚届にサインし、美しき従者シエルと旅に出る。道中で遭遇する悪党どもを成敗しながら、シエルの故郷である魔法王国トアイトンに到達し、そこでのんびりとした日々を送る私。
そんな時、アランの父から手紙が届いた。手紙の内容は、アランからの一方的な離縁に対する謝罪と、もうひとつ。私がいなくなった後にアランと再婚した女性によって、道場が大変なことになっているから戻って来てくれないかという予想だにしないものだった……

黒豚辺境伯令息の婚約者
ツノゼミ
ファンタジー
デイビッド・デュロックは自他ともに認める醜男。
ついたあだ名は“黒豚”で、王都中の貴族子女に嫌われていた。
そんな彼がある日しぶしぶ参加した夜会にて、王族の理不尽な断崖劇に巻き込まれ、ひとりの令嬢と婚約することになってしまう。
始めは同情から保護するだけのつもりが、いつの間にか令嬢にも慕われ始め…
ゆるゆるなファンタジー設定のお話を書きました。
誤字脱字お許しください。

王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話7話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる