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彼の価値観

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 前回は食事についての短編を書いたから今回は睡眠についての物を書こうかな。

 睡眠、それは至高の時間。睡眠、それは至福の時間。何物にも変えられない真実だと俺はいや、世界の人々は知っている。

 アインシュタインは言った。退屈な時間の20分は1時間に感じ、楽しい時の1時間は20分に感じると。であれば睡眠時間はどうか?一つ聞こう。君が寝て起きた時に、「あ~7時間経った~」とはならないだろう。つまり、睡眠こそが人にとっての楽しみ、最も時間の完璧な使い方なのだ。俺はその素晴らしさを世界中に伝えたいと思うが、そんなことに使う時間があるのなら俺は少しでも眠りにつきこの素晴らしさを堪能したい。他の人に伝える重要な役目は俺以外の人に任せることとしよう。

 俺は床に寝ころび、青い空を眺めながら一人そう思う。時間はまだ昼休みが始まって数分しか経っていないから、きっと12時くらいだろう。学校の屋上の景色は素晴らしく、周囲が見回せる。しかし屋上というだけあってかなり風が強い。

 ここに来るのはこれからちょっとロマンチックに告白をしようという人か、自殺志願者以外にはいないだろう。だから今の時期は一人で静かに寝られる最高のポジションだ。天候が良ければここ以上にいい場所なんてないといってもいい。

 逆に天候が悪い時はどうしようもなくやる気が無くなって、家の布団から出られなくなるのでここは関係ない。

 あ、あの雲の形はいいな。椅子にしたらとても気持ちよく寝れそう。お?あの形はシーツにしたいな。あれで寝れば実にすやすやと寝ることが出来るに違いない。

 雲を見ると毎回食べ物に想像する卑しい豚がいるが本当にどうかしている。人間の想像力に終わりはないのに、なぜそろいもそろって食べ物ばかりなのか。ソフトクリームやジンギスカン。それにお好み焼きだったか?ただの丸をお好み焼きと言ったなら何でも作れそうではないか。適当にも程がある。

 この世で3大欲求と言えば睡眠欲、食欲、性欲だが。何が最も必要かは言うまでもない。

 食欲は味覚などというものに左右されねばならない。健康にいいものはまずくなるし、逆に旨いものは健康に悪くなる傾向にある。しかも大した時間食べることはできない。1日の内で食べていられる時間などは、どれだけ頑張っても3時間とかだろう。それにく比べ、睡眠時間を毎日3時間にしてみたらきっと誰もが死んでしまうだろう。勿論。悪いことだけではない。美味しいものはまた食べたくなるし、こんな味のするものが食べてみたいという思いもある。お腹が一杯にならずにもっと長く楽しめたら、睡眠欲といい勝負を出来た可能性は高い。

 性欲は相手が居なければ満たすことが出来ないとかいう欠陥だらけの欲であって、論ずるに値しない。時間の無駄だ。

これらの理由により睡眠が最強、及び最高の欲求なのだ。これを否定できる者など存在しないだろう。

 そんなことを考えながらこの心地よい空の下で眠りにつく。


 ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ。

 もうこんな時間か・・・。

 俺はスマホから聞こえてくるアラーム音で目を覚ます。俺は昼寝をするときはどうあがいても30分までにしている。なぜならこれくらいが夜の睡眠に影響を与えないぎりぎりのラインだからだ。昔は持参の枕で机の上を一杯にし、そこに覆いかぶさるようにして一人眠っていた。そしてついたあだ名が『眠れる獅子』。流石俺だ。眠っていたとしてもそれだけの迫力があるのかもしれない。そんな訳で俺は睡眠こそ最高のもだのだと思って一人納得する。

「ふぁ~あ。良く寝た・・・」

 俺は欠伸をしつつも上半身を起こして伸びをする。この伸びをして固まった全身の筋肉をほぐすのが最高だ。この動作にお金はかからないのに無料でこれほどの快感を味わえるのならば、人類が全員やっていてもおかしくはないハズなのだが。それでもやっている人が極めて少数なのが本当に遺憾だ。

 しかし俺がやる分には十分な為、俺は何度も伸びをしてから立ち上がる。これから5限目があるし、昼食自体食べていないので今からでも食べなければならない。どうしても取らなければならないが、そこまでこだわりはないのでコンビニで適当に選んだパンたちだ。それを咀嚼し喉の奥に押し込む。

 最大限まで寝ている時間を増やしたかった俺は出来るだけ早く食べれる様に努力した。その結果適当なパンとかだけなら5分もかからずに食べきることが出来るようになった。俺はマイ枕を持って自分の教室に戻る。天気はいいがかなり肌寒いこの空では、やはりだれも学校の屋上には来なかったようだ。

 別に来ても何も問題はないのだが、やはり気分的に気になってしまうのだ。何と言うか自分の寝室に見知らぬ他人が入られるのが嫌だろう。それと同じような気持ちである。

 自分だけの寝室に別れを告げて俺は廊下に出ると、そこには何か仲良くしている男女がいた。

「きゃ」
「うお」

 俺はそんな二人に見向きもせずにさっさと下に降りる。別に他人が学校で何をやっていてもいいではないか。お互いに不干渉でいて欲しい。俺はそんな心の声をあらゆる人に伝えたいと思っている。どうしても助けが必要な時以外は見なかったことにしている。でもそれでいいと思う。それで嫌なことがあったとしても、大抵のことは寝れば忘れてくれるのだから。

 俺は教室に帰ると移動教室だったらしく、クラスにはほとんど人の姿はなかった。やってしまった。俺は素直にそう思った。流石に昼寝がしたくてサボりましたとは言えない。そんなことをすれば大切な時間が浪費されるし、先生にマークでもされればそれは面倒ごとの始まりだ。そう言ったことは出来るだけ回避するように俺は学校では真面目に過ごしてきた。そのお陰か実は学校での成績はわりといい。授業中に寝るなんてことも中学校の頃に何度かしたが、高校に入った今になってはそんなことは完全に無駄だと悟ったので辞めた。

 そう、人は夜にしっかり眠るのが最高に気持ちいいのであって、授業中に先生の目を盗んで少しずつ寝た所でドキドキ感は味わえても睡眠自体の気持ちよさは味わえない。その事に考えが至ってからは俺は夜しっかり眠ることに全てをかけるようになった。

 移動準備をしつつ、必要な物を持って移動する。そこに誰かと共に移動するということもない。別に友人がいない訳ではない。ただそれぞれが自分の時間を大事にするあまり、時々友達だったっけ?と思わされるような気持ちにされるのだ。しかしそれはそれで構わないと思う。だって、友達と睡眠時間どっちを取ると言われたら、迷いなく睡眠時間を取る。俺の友人たちも俺とおなじような判断を下す連中ばかりだからだ。

 そんなことを考えている間に準備は終わったので移動を開始する。今日の授業はある映像を見ながら感想を書き、最後にその紙を提出して終わりというものだ。この授業は非常に厳しいと言わざるをえない。なぜなら映像を後ろの人にまで詳しく見せようとすると、必然、その部屋は暗くなるのだ。その暗さでつまらない映像を見せられる。何が起こるか?催眠術がかけられるのだ。そんなことになった日にはこの世界の半数が眠りに落ちてしまうだろう。間違いない。
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