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17話 これからの私
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******
悠里が祖父の記憶の中で地面に横たえられた。
彼女の祖父は老人に向き直る。
「悠里の記憶は戻ったと考えていいのか?」
老人は嘲笑するように笑いそれに返す。
「くく、そうだな。偶々だが面白い物を見れた。感謝してもよいぞ?」
「ありがとう。貴方が何処の誰か分からないが、悠里が前を向くきっかけになったのなら。もう儂は思い残すことはない」
「ふむ・・・老人の癖にやけに素直じゃないか」
「貴方も老人だろう」
「君たち一般人と同じにしないで欲しいと・・・と言いたい所だが・・・君は違うようだね」
「既に廃れたものだ。大して違いはないよ」
「ふむ、そういうこともあるか」
「ああ」
「それではな。さようなら」
「感謝する。儂は最期まで幸せだった」
そうしてそこには誰も居なくなった。
******
意識が戻るとそこは祖父の眠っている病室だった。私は祖父を見下ろすように立っている。その体はマラソン大会を走り切った時のように重い。
周囲にはあの老人はいない。祖父に光景を見せ終わったから帰ったのだろうか。
「う・・・ううん」
あの老人に眠らされていた母も呻きながら起きた。私は母を見ることをせずに祖父を見続ける。祖父はきっと・・・。
「悠里?いつの間に来ていたの?起こしてくれれば良かったのに」
「・・・」
「悠里・・・?まさか」
母が祖父に駆け寄り呼吸や脈を確かめる。そして顔色を一瞬青ざめさせた後にナースコールを一心不乱に押し始めた。
すぐさま看護師が駆けつけて祖父に緊急治療をしている。母はそれを祈るような気持ちで見ていたに違いない。
そして少し遅れて来た医師は、以前私たちに祖父の命を諦めるように言ったあの老医師だった。そして看護師からある程度説明された後、確認するようにもう一度祖父の体を確かめる。そして彼は私たちの方を向いていう。
「お亡くなりになりました。彼の人生は幸せが多かったのだと思います。とてもいいお顔をされています」
それだけ言うと医師は一度病室を出た。看護師もそれに続く。
私と母の二人だけになった。
「悠里・・・悠里!貴方、何で教えてくれなかったの!貴方は起きていたんじゃないの!父さんが危ないって分かってたんじゃないの!ねぇ!どうしてよ!どうして教えてくれなかったのよ!」
母は泣きじゃくっていた。まるで子供の様に受け入れられないと泣き叫んでいた。
私は祖父の最期の言葉を聞いたのが自分で良かったのかと思い悩む。でも祖父に言われたのだ。大切な人と向き合ってやれと。
「母さん」
「なに・・・」
私は母を抱きしめた。強く強く抱きしめた。母が壊れてしまうかのようにでも母はきっと大丈夫だから。
「おじいちゃんがね。皆によろしくって・・・。夢の中で」
きっと真実を伝えても理解してくれないだろう。だからちょっとぼかして、でも力は一切緩めない。
「そんな・・・そんなのって・・・とうさん・・・」
「母さん。おじいちゃんは幸せだったって。おじいちゃんの子供、お母さんは小さくて愛らしくって一生懸命育てたから大丈夫だって」
「父さんが・・・」
私は少しだけ嘘をついた。本当に少しだけ。でもおじいちゃんはちゃんと分かっていた気がする。母さんは大丈夫だって。だから私が伝える。勝手にするなって言われるかもしれないけれどそれでも伝える。きっとおじいちゃんはそう思っていただろうから。
「母さん。おじいちゃんの顔を見て」
私はそう言って母から離れる。そして母の背中に手を当てて立たせて祖父の顔を見た。
祖父は幸せそうな顔で寝ていた。口元は笑い、目元は優しく、微笑んでいる最中の瞬間と言われても信じてしまいそうだった。おじいちゃんにそんな顔をされると泣いているのだ変なんじゃないかっていう気持ちにさせられる。
母もそれを感じたのか、じっと祖父を見つめる目からは新たに涙は零れて来なかった。そして淡々と話始めた。
「私はね。父さんはずっと自分を殺して生きて来たんじゃないかと思ってたの」
「どうして?」
「父さんは家ではずっと母の尻に敷かれていたわ。勿論虐げられているとかそんなことはなかったけれど母の言うことや私の言うことが優先されるのがほとんどだった。小さい頃は貴方が生まれるまではずっとそれが当たり前だと思ってた。子供が優先されるべきなんだってね。でも貴方が生まれてから、それは間違いなんじゃないかって思った。それからかな。私が家に帰って父さんや母さんとよく話すようになったのは。最初は貴方達を連れて行って面倒を見てもらえるから実家に近い方がいいって今の場所になったんだけど、それからは帰って家の手伝いとかもするようにしていたわ。でも父さんはそんなことしなくていいって言うし・・・それでも父さんに何か恩返しがしたくて通っていたの」
「うん」
「でも、父さんはそんな私ですら可愛いって面倒じゃないって思ってくれていたのよね・・・」
「そうだよ。おじいちゃんは母さんのこともきっと愛していたと思う」
「分かってる。父さんはそういう人だって・・・分かってる・・・」
母は目を瞑って下を向いて何かを堪えていた。
******
それから数日後、祖父の葬式が開かれていた。そこには驚くことに400人を超える参列者が参加していた。祖父は教師をしていたらしく、未だに多くの人から慕われ愛されていたのだろう。祖父自身も知っていたのかどうか。きっと関係ないのだろう。これだけ多くの人に愛されてきた。それだけでいいんだ。
私もこの数日考えていたというか決めていた事をちゃんと母に伝えようと思う。
母は喪服に身を包んで既に終わったはずの後の遺影を見つめている。
私は学生服を着たまま近づいた。
「母さん。私はもう一つ謝らないといけないことがあるの」
「何?」
母はいつもの落ち着いた声で返事をしてくる。しかし視線は遺影から外さない。
「私、今までずっと母さんを・・・、ううん家族みんなを避けてた」
「ええ、知ってる」
「でもおじいちゃんに大切な人と向き合えって言われたの。だから、これからぎこちなくなるかもしれないけど、よろしくお願いします」
私はそう言って母に頭を下げる。
「そう、本当に父さんは人に影響を与えるのね」
「そう?」
「貴方がそんな風になったのはおじいちゃんと無くなった公園を見た日からでしょう?」
「覚えてたの?」
「当然よ。貴方は私の娘なんだからそれくらい見ているわ。でも何も出来なくて私こそごめんね」
「それは・・・ううん、母さんが謝ることじゃない。確か私、おじいちゃんの家に行くのもすっごい
嫌がってたよね」
「そうね、部屋に引きこもって絶対に出てこようとはしなかったものね」
「うん。それにこうなれただけでもいい。私はこれからは前を向いて行く。その為にまずはもっと家族と母さんや父さん、和也と話して行こうと思う。学校でも今からは厳しいかもしれないけど。私、頑張る」
「ええ、辛くなったら私が守ってあげるから頑張りなさい。困ったら父さん、あの人も助けてくれるから」
「うん。ありがとう」
「いいのよ。それじゃあ今日は一杯悲しんで一杯話しましょう」
「うん・・・」
******
それから更に数日後。私は夜遅くに野球部の練習が終わるのを校門で待っていた。
周囲は真っ暗になっているが、街頭や街の明かりが照らしてくれるお陰で怖いと感じることはない。部活動が終わったからか友人と楽し気に話しながら帰る人やご飯が待ち遠しいのか自転車を立ちこぎで全力を出す男の子。その人は涎を少したらしているちょっと太めの男の子だったがその顔は欲望に塗れているが嬉しそうだ。
そして待ち始めてどれくらいだろうか。集団でがやがやと近づいてくる声が聞こえる。
私はそちらの方を向くとそこには部活後の野球部がいた。なぜそれが分かったかというと私の目当ての人がそこにいたからだ。
「ま、真島!」
私は彼らが近づいてきた時に声を掛けるが緊張していたためかかなり大声になってしまって自分でもびっくりする。しかもそこにいた人達がかなりの数止まって私の方を見ているので顔に火が付いたように熱くなる。
「ど、どうしたんだ?」
真島は戸惑いながらも私の前に進み出てくる。
他のやつらは面白そうにニコニコしていたり真島を後ろから威嚇したりしている。帰ってくれないかな。
私は真島にここに来るまで考えていたことが全て吹き飛んでいたため、何とか思い出そうとしながら話す。
「いや・・・特にどうって事はないんだけど、ちょっと今日だけ、今日だけでいいから!一緒に帰り・・・ませんか?」
最後になぜか敬語になったのはなんだか気恥ずかしくなってしまったからだ。
「お、おう。いいぞ。という訳で俺はこれで!じゃあな!」
「え?あ、他にいるなら、あ!」
真島は後ろにいた部活の仲間に叫ぶと私の手を取り走り出した。その走りは速いが何とか私がついて行ける速度に気を付けてくれているようだ。
周囲にはこれから同僚と飲みに行くのか数人で楽しそうに話しながら歩くサラリーマン。大きな袋を大事そうに抱える女性とすれ違っていく。
走って2,3分もした頃には後ろに野球部の姿も見えなくなっていた。真島は止まり私の手を握っていることに気付いたのか手を話して慌てて釈明をし始めた。
「す、すまん。あいつら部員が女子と帰るってだけでちょっかいかけてくる奴らだから・・・」
「いいけど・・・」
何でそんなことをするんだろうか?友達が取られて悔しいのかな?
「それで本当にどうしたんだ?日下部から話しかけてくるのでも珍しいのに部活が終わるまで待っててくれるなんて」
「ちょっとした心境の変化って所・・・かな」
「なんだよそれ」
真島が軽く笑っている。失礼なこっちは真剣なのに。
「いいでしょ別に、歩きながら話そう?」
「ああ」
「それでね・・・」
二人が一緒に歩く距離は昔の頃の様に近かった。
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悠里が祖父の記憶の中で地面に横たえられた。
彼女の祖父は老人に向き直る。
「悠里の記憶は戻ったと考えていいのか?」
老人は嘲笑するように笑いそれに返す。
「くく、そうだな。偶々だが面白い物を見れた。感謝してもよいぞ?」
「ありがとう。貴方が何処の誰か分からないが、悠里が前を向くきっかけになったのなら。もう儂は思い残すことはない」
「ふむ・・・老人の癖にやけに素直じゃないか」
「貴方も老人だろう」
「君たち一般人と同じにしないで欲しいと・・・と言いたい所だが・・・君は違うようだね」
「既に廃れたものだ。大して違いはないよ」
「ふむ、そういうこともあるか」
「ああ」
「それではな。さようなら」
「感謝する。儂は最期まで幸せだった」
そうしてそこには誰も居なくなった。
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意識が戻るとそこは祖父の眠っている病室だった。私は祖父を見下ろすように立っている。その体はマラソン大会を走り切った時のように重い。
周囲にはあの老人はいない。祖父に光景を見せ終わったから帰ったのだろうか。
「う・・・ううん」
あの老人に眠らされていた母も呻きながら起きた。私は母を見ることをせずに祖父を見続ける。祖父はきっと・・・。
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「悠里・・・?まさか」
母が祖父に駆け寄り呼吸や脈を確かめる。そして顔色を一瞬青ざめさせた後にナースコールを一心不乱に押し始めた。
すぐさま看護師が駆けつけて祖父に緊急治療をしている。母はそれを祈るような気持ちで見ていたに違いない。
そして少し遅れて来た医師は、以前私たちに祖父の命を諦めるように言ったあの老医師だった。そして看護師からある程度説明された後、確認するようにもう一度祖父の体を確かめる。そして彼は私たちの方を向いていう。
「お亡くなりになりました。彼の人生は幸せが多かったのだと思います。とてもいいお顔をされています」
それだけ言うと医師は一度病室を出た。看護師もそれに続く。
私と母の二人だけになった。
「悠里・・・悠里!貴方、何で教えてくれなかったの!貴方は起きていたんじゃないの!父さんが危ないって分かってたんじゃないの!ねぇ!どうしてよ!どうして教えてくれなかったのよ!」
母は泣きじゃくっていた。まるで子供の様に受け入れられないと泣き叫んでいた。
私は祖父の最期の言葉を聞いたのが自分で良かったのかと思い悩む。でも祖父に言われたのだ。大切な人と向き合ってやれと。
「母さん」
「なに・・・」
私は母を抱きしめた。強く強く抱きしめた。母が壊れてしまうかのようにでも母はきっと大丈夫だから。
「おじいちゃんがね。皆によろしくって・・・。夢の中で」
きっと真実を伝えても理解してくれないだろう。だからちょっとぼかして、でも力は一切緩めない。
「そんな・・・そんなのって・・・とうさん・・・」
「母さん。おじいちゃんは幸せだったって。おじいちゃんの子供、お母さんは小さくて愛らしくって一生懸命育てたから大丈夫だって」
「父さんが・・・」
私は少しだけ嘘をついた。本当に少しだけ。でもおじいちゃんはちゃんと分かっていた気がする。母さんは大丈夫だって。だから私が伝える。勝手にするなって言われるかもしれないけれどそれでも伝える。きっとおじいちゃんはそう思っていただろうから。
「母さん。おじいちゃんの顔を見て」
私はそう言って母から離れる。そして母の背中に手を当てて立たせて祖父の顔を見た。
祖父は幸せそうな顔で寝ていた。口元は笑い、目元は優しく、微笑んでいる最中の瞬間と言われても信じてしまいそうだった。おじいちゃんにそんな顔をされると泣いているのだ変なんじゃないかっていう気持ちにさせられる。
母もそれを感じたのか、じっと祖父を見つめる目からは新たに涙は零れて来なかった。そして淡々と話始めた。
「私はね。父さんはずっと自分を殺して生きて来たんじゃないかと思ってたの」
「どうして?」
「父さんは家ではずっと母の尻に敷かれていたわ。勿論虐げられているとかそんなことはなかったけれど母の言うことや私の言うことが優先されるのがほとんどだった。小さい頃は貴方が生まれるまではずっとそれが当たり前だと思ってた。子供が優先されるべきなんだってね。でも貴方が生まれてから、それは間違いなんじゃないかって思った。それからかな。私が家に帰って父さんや母さんとよく話すようになったのは。最初は貴方達を連れて行って面倒を見てもらえるから実家に近い方がいいって今の場所になったんだけど、それからは帰って家の手伝いとかもするようにしていたわ。でも父さんはそんなことしなくていいって言うし・・・それでも父さんに何か恩返しがしたくて通っていたの」
「うん」
「でも、父さんはそんな私ですら可愛いって面倒じゃないって思ってくれていたのよね・・・」
「そうだよ。おじいちゃんは母さんのこともきっと愛していたと思う」
「分かってる。父さんはそういう人だって・・・分かってる・・・」
母は目を瞑って下を向いて何かを堪えていた。
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それから数日後、祖父の葬式が開かれていた。そこには驚くことに400人を超える参列者が参加していた。祖父は教師をしていたらしく、未だに多くの人から慕われ愛されていたのだろう。祖父自身も知っていたのかどうか。きっと関係ないのだろう。これだけ多くの人に愛されてきた。それだけでいいんだ。
私もこの数日考えていたというか決めていた事をちゃんと母に伝えようと思う。
母は喪服に身を包んで既に終わったはずの後の遺影を見つめている。
私は学生服を着たまま近づいた。
「母さん。私はもう一つ謝らないといけないことがあるの」
「何?」
母はいつもの落ち着いた声で返事をしてくる。しかし視線は遺影から外さない。
「私、今までずっと母さんを・・・、ううん家族みんなを避けてた」
「ええ、知ってる」
「でもおじいちゃんに大切な人と向き合えって言われたの。だから、これからぎこちなくなるかもしれないけど、よろしくお願いします」
私はそう言って母に頭を下げる。
「そう、本当に父さんは人に影響を与えるのね」
「そう?」
「貴方がそんな風になったのはおじいちゃんと無くなった公園を見た日からでしょう?」
「覚えてたの?」
「当然よ。貴方は私の娘なんだからそれくらい見ているわ。でも何も出来なくて私こそごめんね」
「それは・・・ううん、母さんが謝ることじゃない。確か私、おじいちゃんの家に行くのもすっごい
嫌がってたよね」
「そうね、部屋に引きこもって絶対に出てこようとはしなかったものね」
「うん。それにこうなれただけでもいい。私はこれからは前を向いて行く。その為にまずはもっと家族と母さんや父さん、和也と話して行こうと思う。学校でも今からは厳しいかもしれないけど。私、頑張る」
「ええ、辛くなったら私が守ってあげるから頑張りなさい。困ったら父さん、あの人も助けてくれるから」
「うん。ありがとう」
「いいのよ。それじゃあ今日は一杯悲しんで一杯話しましょう」
「うん・・・」
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それから更に数日後。私は夜遅くに野球部の練習が終わるのを校門で待っていた。
周囲は真っ暗になっているが、街頭や街の明かりが照らしてくれるお陰で怖いと感じることはない。部活動が終わったからか友人と楽し気に話しながら帰る人やご飯が待ち遠しいのか自転車を立ちこぎで全力を出す男の子。その人は涎を少したらしているちょっと太めの男の子だったがその顔は欲望に塗れているが嬉しそうだ。
そして待ち始めてどれくらいだろうか。集団でがやがやと近づいてくる声が聞こえる。
私はそちらの方を向くとそこには部活後の野球部がいた。なぜそれが分かったかというと私の目当ての人がそこにいたからだ。
「ま、真島!」
私は彼らが近づいてきた時に声を掛けるが緊張していたためかかなり大声になってしまって自分でもびっくりする。しかもそこにいた人達がかなりの数止まって私の方を見ているので顔に火が付いたように熱くなる。
「ど、どうしたんだ?」
真島は戸惑いながらも私の前に進み出てくる。
他のやつらは面白そうにニコニコしていたり真島を後ろから威嚇したりしている。帰ってくれないかな。
私は真島にここに来るまで考えていたことが全て吹き飛んでいたため、何とか思い出そうとしながら話す。
「いや・・・特にどうって事はないんだけど、ちょっと今日だけ、今日だけでいいから!一緒に帰り・・・ませんか?」
最後になぜか敬語になったのはなんだか気恥ずかしくなってしまったからだ。
「お、おう。いいぞ。という訳で俺はこれで!じゃあな!」
「え?あ、他にいるなら、あ!」
真島は後ろにいた部活の仲間に叫ぶと私の手を取り走り出した。その走りは速いが何とか私がついて行ける速度に気を付けてくれているようだ。
周囲にはこれから同僚と飲みに行くのか数人で楽しそうに話しながら歩くサラリーマン。大きな袋を大事そうに抱える女性とすれ違っていく。
走って2,3分もした頃には後ろに野球部の姿も見えなくなっていた。真島は止まり私の手を握っていることに気付いたのか手を話して慌てて釈明をし始めた。
「す、すまん。あいつら部員が女子と帰るってだけでちょっかいかけてくる奴らだから・・・」
「いいけど・・・」
何でそんなことをするんだろうか?友達が取られて悔しいのかな?
「それで本当にどうしたんだ?日下部から話しかけてくるのでも珍しいのに部活が終わるまで待っててくれるなんて」
「ちょっとした心境の変化って所・・・かな」
「なんだよそれ」
真島が軽く笑っている。失礼なこっちは真剣なのに。
「いいでしょ別に、歩きながら話そう?」
「ああ」
「それでね・・・」
二人が一緒に歩く距離は昔の頃の様に近かった。
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