転生幼女はお願いしたい~100万年に1人と言われた力で自由気ままな異世界ライフ~

土偶の友

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8章 王都ファラミシア2

幕間3 とある夜の日

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コミカライズの1巻がなんと発売されています!
雪狸さんの素敵な優しいタッチで描かれていてとても素敵なので、よろしくお願いします!

さらに、本日本作のコミカライズ8話が更新されます!
お昼ごろになるので、良ければご覧ください!

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「ふわぁ~ぁ。そろそろ寝ようか」

 わたしは欠伸をして、皆に寝ることを提案する。

「そうだな。もう寝るにはいい時間だろう」

 ウィンはそう言って部屋のベッドの側で丸まってくれる。
 これはわたしやヴァイスが落ちた時に、ベッドに落ちれば安全ということだからだ。

「うん。よろしく」

 わたしはいつものように靴を脱いで、ウィンの背にのぼる。
 そして、楽な格好で寝転がった。

「……ヴァイス?」

 しばらく待ってもヴァイスが来ない。
 どうして……? と思って部屋の中を見ると、ヴァイスはエアホーンラビットと一緒に遊んでいた。

「ウビャゥ!」
「キュキュイ!」

 2体ともとても楽しそうで、まだまだ遊びたい盛りなのだろう。
 でも、もういい時間だし他の人に迷惑かもしれない。

「ヴァイス、エアホーンラビット。そろそろ寝よう。遊ぶのは明日でもいいでしょ?」
「ウビャゥ……」
「キュイ……」
「そ、そんな悲しそうな顔をしないで……」

 見るからに2体の表情がズンと沈んだ。
 見ているわたしの心まで沈みそう。

「お前達。いいから来い。ヴァイス。寝ないと強くなれんぞ」
「ウビャゥ! ウビャ!」

 ウィンはヴァイスの扱い方を分かっているようで、彼がそう言うと、ヴァイスはわたしの側にのぼってくる。

「キュイ……」

 ヴァイスがのぼってしまったので、エアホーンラビットも諦めてウィンの上にのぼる。

「よし、では消すぞ」
「うん。お願い」

 ウィンは魔法を操って明かりの魔道具を消す。
 すると、部屋は月明かりが窓の隙間から入ってくるだけとなった。
 部屋は暗闇が支配し、窓辺だけを光が間借りしている。

「……」
「……」
「……」
「……」

 そんな部屋で、わたし達はじっと眠りにつこうとするのだけど……。

 モゾモゾ。

 なんだか……左の方で動く気配がする。
 宿の治安もよく、とても静かなので気になった。

「……エアホーンラビット……どうかしたの?」
「……キュイ」

 わたしは顔をそちらの方に動かすと、エアホーンラビットがお尻を横にふっていた。

「なんで!?」
「キュイ?」
「なんでお尻を振ってるの?」

 いや、見た目はとても可愛いのだけれど、なんでかよくわからない。
 え? なんで? カメラはどこ? スマホでも可。

「キュキュイ」
「わぷ」

 エアホーンラビットが振り返ってわたしの顔に飛びつく。

「キュキュ―イ……キュキュイイ~」
「え……なに? 遊ぼう……ってこと?」

 なんとなく……そう感じた。
 というか、小さい子に抱きつかれて、ねだられている時の感じに近いだろうか。

 夜も遅いし、わたしもそろそろ寝たい。
 でも、こんなねだられ方をするのはちょっと遊んであげたい気もする。

「ウービャーウー。ウビャービャーウ」
「え? ヴァイスも?」

 どうしようか悩んでいると、わたしの後頭部にヴァイスがのしかかる。
 そして、エアホーンラビットと同じような感じでねだってきていた。

 さっきはウィンの言葉で寝ると決めたけれど、やっぱり遊びたい年ごろなのかもしれない。

「もう……ちょっとだけだよ」

 2体がそう思うのなら、少しだけ……。
 そう思って声を出すと、どちらもとても喜んでくれる。

「ウビャゥ!」
「キュキュイ!」
「ただし、お隣に迷惑がかからないように静かにね」
「(ウビャゥ)」
「(キュイ)」

 わたしの言葉に、本当に小さな声で返してくれた。

「なにして遊ぼうか?」

 わたしは暗闇に目が慣れ、ヴァイスとエアホーンラビットを見る。
 2体はウィンの上を移動し、3人で向かい合う。

「(ウビャゥ)」

 ヴァイスは我先にと右前足を上げて、爪をキラリと出す。

「じゃれ合うのはダメだよ。ドタバタしたら迷惑がかかっちゃう」
「(ウビャゥ……)」
「(キュキュイ)」

 次は自分だとばかりにエアホーンラビットがウィンの毛に潜る。
 これは……。

「かくれんぼ?」
「(キュイ)」

 ウィンの毛から出てきてそうだとでも言わんばかりに頷く。

「でも……この部屋で?」

 隠れる所なんてウィンの中くらいしかない。

「(キュイ)」
「え? 外?」
「(キュキュイ)」

 エアホーンラビットは頷く。

「それもダメだよ。ウィンの上で静かにできること」
「「(ウビャゥ)」
「(キュイ)」
「え? わたし? そうだな……」

 ヴァイスの案もエアホーンラビットの案もダメだと言ったんだから、決めてくれと言われたのでわたしは考える。
 そして、いいことをおもいついた。

「じゃあ、にらめっこは?」
「「(ウビャゥ?)」
「(キュイ?)」
「やり方はね。にらめっこしましょ、笑っちゃだめよ。あっぷっぷ」

 わたしはそれから変顔をする。

「ウビャゥ!」
「キュキュイ!」

 しかし、2体は笑うのではなく、とても驚いていた。

「あ……受けなかった……と。これは、こうやって変な顔をして、相手を笑わせたら勝ちっていう遊びだよ」
「ウビャゥ!」
「キュイ!」

 2体はそれでもいいと言うことらしい。
 なので、わたし達は早速やり始める。

「あっぷっぷ……」
「……」
「……」

 ヴァイスは顔を横に引っ張っていてそれはそれで可愛い。
 微笑ましくて笑ってしまいそう。

 エアホーンラビットは逆に顔を横から挟んで真ん中に寄せている。
 でも、そこまで表情が変わらないのか、いつもの可愛い顔をしていた。

 わたしもわたしで変顔を作るけれど、ヴァイス達を笑わせることは出来ていない。
 ならば!

 わたしは変顔を途中で変え、違った顔を浮かべる。

「ウビャゥ!」
「キュキュイ!」
「はーい! やった! わたしの勝ち!」

「ウビャァ……ウビャ!」
「キュキュイ……キュイ!」

 もう一回と言っているのが分かる。

「ふふ、いいよーわたし、負けないからねぇ」

 といいつつも、次くらいには負けてあげてもいいかなと思う。

「お前達、静かにしろ。というか寝るんじゃなかったのか?」
「ああ、ごめんねウィ……きゃあああああああああああ!!!???」
「ウビャアアアアアアアアア!!!???」
「キュイイイイイイイイイイイイ!!!???」

 ウィンの声がした方を見ると、真っ黒になって鋭い眼光を放つ獣がいた。
 その異様さに思わず悲鳴を上げてしまった。

「さ、サクヤ? どうしたのだ?」
「あ……ウィン……」

 その真っ黒い獣は瞬時にウィンの見た目に戻る。

「笑わせようとしたんだが……」
「完全にホラーだったよ」
「すまん……」

 ウィンはシュンと耳を下げているので、わたしは首を横に振る。

「ううん。ごめんね。驚いちゃって。すぐにウィンだと見抜けなかったや」
「あの一瞬では無理だろうさ。さ、それよりも寝るぞ。サクヤのためにも、ちゃんと寝ないといけない。分かったか? お前達」
「ウビャゥ」
「キュイ」

 ヴァイスとエアホーンラビットが頷いてくれて、ちゃんと寝ようと言うことになった。

 でも、

 ドンドンドン!

「サクヤ! 何かあったのか!? 悲鳴が聞こえたぞ!」
「サクヤちゃん!? 大丈夫! 返事をして!」
「……これ。説明しないといけないよね」
「……だろうな」

 それから駆けつけてきてくれたクロノさんとリオンさんに説明して、寝るのにまたしても時間がかかった。
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