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8章 王都ファラミシア2
157話 屋敷の捜査
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「あの……少しいいだろうか?」
「はい?」
わたしが少し考え事をしていると、そう聞いて来るのはクロノさんだ。
「アフトクランという者のことは分かった。そして、その危険性も。これからこの屋敷を捜査したいのだが、ウィン様にその……協力をしていただくことはできないだろうか? おれ達では想像もつかないほどの存在、どんな魔道具で守られているのか分からない。だが、辺境伯のやっていたことは絶対に明るみに出したいんだ。危険もあるかもしれない。だが、頼む」
クロノさんはそう言って深く頭を下げる。
わたしとしても、クロノさん達が危険に遭うのは嫌だ。
「ウィン、この屋敷に危険な物がないかだけ調べてくれない?」
「いいぞ」
「ほんと!?」
「ああ、あ奴のことだ、何か危険な物を仕込んでいる可能性はある。それに、牢の時の様に、何かあるかもしれないからな。徹底的に調べておいた方が今後のためだ」
「ありがとうウィン!」
わたしはウィンの首筋に抱きつく。
「ウビャ!?」
「キュイ!?」
ヴァイスとルビーがちょっと焦っているけれど、わたしの肩に捕まっていたので問題はない。
「行くのはいいが、サクヤ、決して俺から離れるなよ?」
「うん。分かった」
わたしも久しぶりに会えた(2日ぶり)のウィンだ。
決して離れたくないという気持ちは一緒。
ということで、わたし達は辺境伯と側近、モルドさんを後から入ってきた兵士の人達に任せる。
「あの、モルドさんはわたしを助けてくれたんです。なので、お手柔らかに……」
「その執事の縄を解いてやれ」
「よろしいですか?」
クロノさんがそう言うと、兵士は疑問を口にした。
「構わない。サクヤを守ってくれたのだろう。なら、大事に扱わなければならない」
「いえ、わたくしは大したことはしておりません。ですので、お気になさらず。その気持ちだけで嬉しいくらいです」
「しかし……」
「それよりもアフトクラン様の部屋を調べるべきだと思います」
「分かった。連れていけ、ただし……丁重にな」
「は!」
そう言って兵士は彼らを連れていく。
「さて……では行くか」
「はい」
一応、辺境伯と側近、モルドさんにアフトクランが使っていた部屋を聞いている。
なので、その場所……地下に向かっているのだけれど……。
「ヴァイスとルビー……ちょっとくっつき過ぎじゃない……?」
ヴァイスとルビーは今わたしの両肩にそれぞれ乗っている。
そして、なぜか体をこれでもかとわたしに押し付けてくるのだ。
わたしは両サイドからほっぺたを押され、ひょっとこのような顔になっている気がする。
まぁ、モフモフに挟まれて幸せではあるんだけど。
「ウビャ―」
「キュイー」
2体はそんなことない。
とでも言う様に、さらに体を寄せてくる。
モフモフだけれど、これは……。
そんなわたしを見て、ウィンが言う。
「安心しろ、そんなサクヤもかわいいぞ」
「そっちのことじゃないんだけど!?」
「そうは言ってもな。ヴァイスもルビーもサクヤと離れてとても寂しそうにしていたんだ。だからもっと構ってやってくれ」
「そっか……そうだよね」
そう思えば、これはもっとかまって欲しいということだったのか。
なら、わたしがやることは一つだ。
「こうしてあげる!」
わたしは2体ともをウィンの上に置き、抱きしめながら撫でる。
上から伏せをするような格好でちょっとあれかもだけれど、2体を一番感じられる格好だろう。
「ウビャビャ―」
「キュキュイ―」
2体とも目を細めてわたしの為すがままになったり、ちょっと手を止めるともっととでも言う様にあまがみをする。
すぐに撫でるのを再開すると、噛んだのを詫びるようにペロペロと舐めてくる。
そんなことをしていると、あっという間にアフトクランの部屋に到着した。
「さて、ここからは真剣にいかないとな」
「だね。僕達も本気でやるよ」
クロノさんとリオンさんは真剣な顔つきをしているので、わたしもヴァイスとルビーから離れて警戒する。
「ウギャゥ―」
「キュイィー」
もっと……という様にわたしに抱きついてくるヴァイスとルビー。
かわいいのでもっとしてあげたいけれど、今はダメだ。
「今は待っていて、後で思う存分やってあげるから」
「ウビャゥウ」
「キュキュイ」
渋々ではあるが、納得してくれて、わたし達は準備が整った。
「では俺が入るぞ。サクヤ、万が一のことを考えて結界を張ってくれ」
「分かった。〈結界の創生〉」
わたし達の分だけでなく、クロノさんとリオンさんの分も作っておく。
「ありがとうサクヤちゃん」
「サクヤ、助かる」
「いえ、ではいきましょうか」
「ああ、魔法で開けるから、気をつけろ」
ウィンが魔法を使って扉を開ける。
すると、
ゴゴゴゴゴゴゴゴ。
「なになになになに!?」
ものすごい地響きが鳴り始めた。
「っち! 引くぞ! サクヤ! 動かして外に出る!」
「わ、分かった!」
わたしは全員の結界を操作して、急いで屋敷から出る。
わたし達が屋敷から出ると同時に、屋敷がぺしゃんこに潰れてしまった。
「これは……あいつが残していたのだろうな。奴のことだ、自分が居なくなった後に見つかるのを恐れてのことだろう」
「そっか……」
「だが、こうしたらどうだ?」
ウィンは魔法で屋敷の残骸を全て持ち上げてしまう。
「では、調べに行くとするか」
「は、はい……」
クロノさんもまさかのパワープレイにあんぐりと口を開けていたけれど、ちゃんと頷いてくれた。
リオンさんはその魔法がすごいからかじっと見ている。
わたし達が持ち上げられた屋敷の地下に向かおうすると、地面が爆発した。
「はい?」
わたしが少し考え事をしていると、そう聞いて来るのはクロノさんだ。
「アフトクランという者のことは分かった。そして、その危険性も。これからこの屋敷を捜査したいのだが、ウィン様にその……協力をしていただくことはできないだろうか? おれ達では想像もつかないほどの存在、どんな魔道具で守られているのか分からない。だが、辺境伯のやっていたことは絶対に明るみに出したいんだ。危険もあるかもしれない。だが、頼む」
クロノさんはそう言って深く頭を下げる。
わたしとしても、クロノさん達が危険に遭うのは嫌だ。
「ウィン、この屋敷に危険な物がないかだけ調べてくれない?」
「いいぞ」
「ほんと!?」
「ああ、あ奴のことだ、何か危険な物を仕込んでいる可能性はある。それに、牢の時の様に、何かあるかもしれないからな。徹底的に調べておいた方が今後のためだ」
「ありがとうウィン!」
わたしはウィンの首筋に抱きつく。
「ウビャ!?」
「キュイ!?」
ヴァイスとルビーがちょっと焦っているけれど、わたしの肩に捕まっていたので問題はない。
「行くのはいいが、サクヤ、決して俺から離れるなよ?」
「うん。分かった」
わたしも久しぶりに会えた(2日ぶり)のウィンだ。
決して離れたくないという気持ちは一緒。
ということで、わたし達は辺境伯と側近、モルドさんを後から入ってきた兵士の人達に任せる。
「あの、モルドさんはわたしを助けてくれたんです。なので、お手柔らかに……」
「その執事の縄を解いてやれ」
「よろしいですか?」
クロノさんがそう言うと、兵士は疑問を口にした。
「構わない。サクヤを守ってくれたのだろう。なら、大事に扱わなければならない」
「いえ、わたくしは大したことはしておりません。ですので、お気になさらず。その気持ちだけで嬉しいくらいです」
「しかし……」
「それよりもアフトクラン様の部屋を調べるべきだと思います」
「分かった。連れていけ、ただし……丁重にな」
「は!」
そう言って兵士は彼らを連れていく。
「さて……では行くか」
「はい」
一応、辺境伯と側近、モルドさんにアフトクランが使っていた部屋を聞いている。
なので、その場所……地下に向かっているのだけれど……。
「ヴァイスとルビー……ちょっとくっつき過ぎじゃない……?」
ヴァイスとルビーは今わたしの両肩にそれぞれ乗っている。
そして、なぜか体をこれでもかとわたしに押し付けてくるのだ。
わたしは両サイドからほっぺたを押され、ひょっとこのような顔になっている気がする。
まぁ、モフモフに挟まれて幸せではあるんだけど。
「ウビャ―」
「キュイー」
2体はそんなことない。
とでも言う様に、さらに体を寄せてくる。
モフモフだけれど、これは……。
そんなわたしを見て、ウィンが言う。
「安心しろ、そんなサクヤもかわいいぞ」
「そっちのことじゃないんだけど!?」
「そうは言ってもな。ヴァイスもルビーもサクヤと離れてとても寂しそうにしていたんだ。だからもっと構ってやってくれ」
「そっか……そうだよね」
そう思えば、これはもっとかまって欲しいということだったのか。
なら、わたしがやることは一つだ。
「こうしてあげる!」
わたしは2体ともをウィンの上に置き、抱きしめながら撫でる。
上から伏せをするような格好でちょっとあれかもだけれど、2体を一番感じられる格好だろう。
「ウビャビャ―」
「キュキュイ―」
2体とも目を細めてわたしの為すがままになったり、ちょっと手を止めるともっととでも言う様にあまがみをする。
すぐに撫でるのを再開すると、噛んだのを詫びるようにペロペロと舐めてくる。
そんなことをしていると、あっという間にアフトクランの部屋に到着した。
「さて、ここからは真剣にいかないとな」
「だね。僕達も本気でやるよ」
クロノさんとリオンさんは真剣な顔つきをしているので、わたしもヴァイスとルビーから離れて警戒する。
「ウギャゥ―」
「キュイィー」
もっと……という様にわたしに抱きついてくるヴァイスとルビー。
かわいいのでもっとしてあげたいけれど、今はダメだ。
「今は待っていて、後で思う存分やってあげるから」
「ウビャゥウ」
「キュキュイ」
渋々ではあるが、納得してくれて、わたし達は準備が整った。
「では俺が入るぞ。サクヤ、万が一のことを考えて結界を張ってくれ」
「分かった。〈結界の創生〉」
わたし達の分だけでなく、クロノさんとリオンさんの分も作っておく。
「ありがとうサクヤちゃん」
「サクヤ、助かる」
「いえ、ではいきましょうか」
「ああ、魔法で開けるから、気をつけろ」
ウィンが魔法を使って扉を開ける。
すると、
ゴゴゴゴゴゴゴゴ。
「なになになになに!?」
ものすごい地響きが鳴り始めた。
「っち! 引くぞ! サクヤ! 動かして外に出る!」
「わ、分かった!」
わたしは全員の結界を操作して、急いで屋敷から出る。
わたし達が屋敷から出ると同時に、屋敷がぺしゃんこに潰れてしまった。
「これは……あいつが残していたのだろうな。奴のことだ、自分が居なくなった後に見つかるのを恐れてのことだろう」
「そっか……」
「だが、こうしたらどうだ?」
ウィンは魔法で屋敷の残骸を全て持ち上げてしまう。
「では、調べに行くとするか」
「は、はい……」
クロノさんもまさかのパワープレイにあんぐりと口を開けていたけれど、ちゃんと頷いてくれた。
リオンさんはその魔法がすごいからかじっと見ている。
わたし達が持ち上げられた屋敷の地下に向かおうすると、地面が爆発した。
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