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1巻
1-2
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「ヴァ、ヴァイス? くすぐったいよ」
「ウギャァ」
「ちょ、ちょっと……もう……」
暗い顔をするなと言いたいのか、ヴァイスは必死に舐め続けてくれる。
そんなわたし達を見て、フェンリルさんは不思議そうに声をあげる。
「そいつは……」
「この子は白虎のヴァイスだよ。あ、そうだ。フェンリルさん。この子、わたしの従魔らしいんだけど、従魔って何か知らない?」
「白虎だと? 俺と同等の存在が従魔に……?」
フェンリルさんはちょっと驚いたのか、じっとわたしとヴァイスを交互に見ていた。
「まぁ、なんというか……目が覚めて名前をつけてほしそうな目で見ていたから、名前をつけたら従魔に」
「そうか。ではお前はそれだけ才能があるのだろう。白虎……聖獣を従魔にするなどほとんどないが、全くない訳ではないからな」
聖獣? 聖獣ってあのユニコーンとかフェニックスとかの? でも今は……。
「あの、それで従魔っていうのは……」
「ああ、悪いな。従魔とは主に従う、魔力を持つもののことだ」
「魔力を持つ?」
「そうだ。そこらへんにいるスライムだったり、その白虎だったり。そういったもの達に名前をつけ、相手が受け入れれば従魔となる。それによって絆で結ばれ、お互いの居場所が分かったり、お互いの力で相手を強くできたりと、色々と恩恵を受けられるのだ」
「それなら、強くなりたい人はできるだけ従魔を持った方がいいっていうこと?」
わたしは別になりたくないけど、最強になりたい人もいるだろうなと思ってそう聞く。
しかし、フェンリルさんは首を横に振った。
「そんな簡単に従魔が作れると思うな。相手に信頼されねば受け入れてもらえぬし、簡単に従う雑魚を従魔にしたところで意味はない」
「なるほど」
「俺を従魔にでもしたいのか? この牢を壊してくれたら考えてやらんでもないぞ」
フェンリルさんは「絶対にできないがな」という言葉を付け加えて嘆息した。
別にフェンリルさんを従魔にしたい訳ではないけれど、なんとなく理由を聞く。
「どうしてわたしじゃ壊せないんです?」
「決まっている。この牢を壊すには、特別な方法が必要なのだ。作った奴は今でも存在するか怪しいほどに頭のいいやつだったからな。叡智の結晶と言ってもいいほどにすごいものだぞ。苛立たしいが……貴様のような小娘に壊せる訳がない」
「そっか……」
まぁ……フェンリルさんとかいうすごい聖獣が言うんだからそうなんだろう。
でも、わたしはそこで一つ疑問に思った。
「じゃあずっとそのままなの? ご飯とか食べなくてもいいの?」
「俺はそこのちっこいのと違って、周囲の魔力を吸収していれば飢えることはない。だからこの牢もそのうち壊れるのを待つだけだ。まぁ……あと五百年か……千年か……。何年かかるか分からんが」
「……どうして閉じ込められているの?」
「この世界を支配しようとしていた奴らに閉じ込められたのだ。その前に連中は倒したが……そのお陰で俺はこんなざまだ。全く、忌々しい」
そう言うフェンリルさんの瞳には、怒りの炎が宿っていた。
「ウギャァ……」
その圧力を受けて、ヴァイスがわたしの首に隠れるようにして怖がっている。
「大丈夫だよ。あれはわたし達に向けたものじゃないよ」
「そうだ、白虎よ。お前は自分の主をしっかりと守れるようになれ。この世界については……お前の好きにしろ」
「?」
なんだかよく分からないことを言ったけれど、彼はそれ以上話す気がないのか地面に伏せる。
彼の姿はとても悲しそうで、寂しそうだ。
わたしは……なんとかしてあげたい。そう思ってしまった。
「ねぇ」
「なんだ」
「さっきの話に戻るんだけどさ。この牢を壊す特別な方法ってなんなの?」
これでもわたしの魔力量は桁違いらしい。
もしかしたら、彼を助けられるかもしれない。できなくても、希少な魔法を使える人を探してこれるかも。
そんなわたしの質問に、彼は面倒くさそうに話す。
「到底無理な話だが……暇つぶしにはいいか。魔法に種類があるのは知っているか?」
「え? うん……知ってるけど」
わたしの創造魔法や神聖魔法とか、ヴァイスの金魔法とかのことだろう。普通に火魔法とかあるのかな。
フェンリルさんは続ける。
「魔法の中でも最も希少とされる、創造魔法と神聖魔法を持つ者が必要になるんだ。それぞれが、使い手は百年に一人現れるかどうかと言われるほどの貴重な魔法だ。どちらか一つを持っているだけで、どの国でも粗末に扱われることはないだろう」
「……そ、それなら頑張れば助けられそうなんじゃないの?」
頑張って二人集めればなんとかなるのではないだろうか。
「……無理だ。どの国も、そんな魔法を持つ者をこの場に送り込んでくるようなことはない。神聖魔法を持つ者であれば聖人として崇拝され、創造魔法を持つ者は神の代行者として崇められるんだ。しかも、この牢を壊すには、その両方の魔法を持つ者が必要になる。そんなのは百万年に一人現れるかどうかであろう」
「…………」
どうしよう。
わたし、百万年に一人の存在らしいです……。
「ふぅ…………」
わたしは一度深呼吸をして、心を落ち着かせて状況を確認する。
フェンリルさんとの会話で、わたしが百万年に一人の存在であることが発覚した。
「………………」
どうしよう……これ言ったら……わたしがフェンリルさんに崇拝されるんだろうか。
……いや、それはないと思う。でも不安だから聞いてみよう。
「ねぇ、もしも……もしもなんだけど、わたしがその魔法を両方使えます。って言ったらどうする?」
フェンリルさんはじっとわたしを見つめた後、鼻を鳴らす。
「別にどうもせん。俺はここに三百年いる。だからもう外のことなどどうでもよいのだ。出られたところでしたいこともないしな」
「そっか……」
そう言うフェンリルさんは、やはりどこか悲しそうな……寂しそうな表情をしていた。
わたしは彼を助けたいと思った。
だけど、あの牢が邪魔をしているのか、フェンリルさんを鑑定することはできない。
いい人か悪い人か、鑑定で分かればよかったんだけど。
でも、鑑定なんかしなくても、わたしはフェンリルさんをいい存在だと思う。
だから……。
「フェンリルさん。魔法の使い方……教えてくれない?」
「突然どうしたのだ」
「わたし……持っているから。創造魔法と神聖魔法」
「……嘘だろう?」
「本当。だけど、わたし、魔法の使い方が分からなくって……」
今日この世界に来たばっかりだから、当然のことなんだけど。
フェンリルさんはしばらく迷った後に、口を開いた。
「そんなことがあるのか分からんが……もし本当だったら面白い。ダメでも暇つぶしにはなるか」
「暇つぶし」
そんな軽い調子でいいのだろうか。
「そうだ。三百年もいると暇でな。ここを訪れるのもお前が初めてなのだぞ?」
「え? 誰も来なかったの?」
それは……とても寂しいことだ。
彼の話を聞いて、絶対に助けてあげたくなった。
「ああ。洞窟の入り口に、微かに魔力の痕跡がある。誰にも気付かれぬように細工を施しているのだろうよ。というか、魔法を習得するんじゃなかったのか?」
「あ、やるやる。どうしたらいいの?」
「まずはその白虎を降ろせ」
「分かった。ヴァイス。少し降りててね」
「ウギャァ」
ヴァイスは頷いてわたしの近くに座る。
それから、フェンリル先生の魔法講座が始まった。
「魔法とは、周囲にある魔力と自身の魔力を合わせて、世界に変化をもたらすものだ。だが、そんな座学的な知識はどうでもいい。大事なのは感覚だ」
「感覚?」
「そうだ。まずは目を閉じろ」
「はい」
わたしは目を閉じて返事をする。
「返事はいらん。というか、今は五感を全て捨てろ。魔力を感知するのは五感ではできないのだからな」
「……」
わたしは五感全てを忘れるようにして、ただただそこに存在することを意識する。
フェンリルさんの言葉は続く。
「それを続けろ。そうしていると、周囲に何か感じるはずだ」
じっとその感覚を維持していると、周囲に煌めく色とりどりの光があることに気付いた。
でもおかしい、わたしは目を閉じているのに、それがあるとはっきりと分かるのだ。
「だが、それを感じ取るまでには早くても一か月はかかる。だから気長に……」
「え? この周囲にある色とりどりの光じゃないの?」
「……お前……本当に何者だ? そんな簡単に見つかるはずは……。まぁいい。もしそれが見つかったのなら、次はそれを自分の中に見つけろ。これも一か月近くかかるはずだが……」
自分の中……うわ、やっば。正直見ていられないくらいの輝きがわたしの中にある。
話を聞いている限り、これが魔力……というものなのだろう。わたしの魔力が兆を超えているから、こんなにあるように感じられるのだろうか。
「見つけました」
「……では、次はそれを混ぜ合わせて……」
「できました」
「早い。まだ説明してるだろ」
だってできたんだもん。
というか、わたしの体から溢れて出たがっているようにすら感じたのだ。
それで、魔力が全部ごちゃ混ぜになれと考えたらできた。
「……まぁいい。それじゃあ創造魔法からにするか。手を出して、そこから十センチメートル四方の石を出すように想像してみろ」
「石……」
単位は前世と変わらないみたい。縁石とかそれに近いかな。それっぽいのをきれいな四角でイメージして……。
――ゴトリ。
「?」
わたしが目を開けると、少し先の所に石が落ちていた。想像した通りの石だ。
「本当に……使えるのか……」
フェンリルさんは口をあんぐりと開けて、わたしが作ったらしき石をじっと見ている。
わたしは今の感覚を忘れないうちに次にいきたくて、声をかけた。
「次はどうしたらいいですか?」
「……あ、ああ。そうだな。神聖魔法は……結界を張ってみるといい。形も今と同じように立方体で、今度は自分を囲うようにするんだ」
「……」
わたしはさっきと同じように想像する。
アニメで似たような結界を見たことがあるから、想像もしやすい。
――キィン。
何か聞き慣れない音が聞こえたので目を開くと、半透明の壁がわたしを囲うようにしてできていた。
フェンリルさんは目を大きく見開き、何度か前足で目を擦っている。
信じられない物を見た時のその仕草は全世界、いや、全異世界共通かもしれない。
「お前……名は?」
「わたしはサクヤですけど……」
「そうか。ならこっちに来い」
そう言ってフェンリルさんは起き上がり、牢の隙間から黒くて鋭い爪を出してくる。
「俺の爪に触れろ。あとはこっちが魔力を通して必要な魔法を使う」
「フェンリルさん、創造魔法と神聖魔法を使えるんですか?」
「使えない。だが俺達聖獣であれば、相手に触れることによって、その者が持つ魔法を使えるのだ。それに、三百年の間、この牢を突破するにはどうしたらいいのかずっと考えていたのだ」
「なるほど」
わたしは頷いて爪にそっと触る。
爪は硬くて冷たかったが、決して嫌な感じはしなかった。
「サクヤ。目を閉じていればいい」
「はい」
わたしが目を閉じていると、フェンリルさんの爪からちょっとずつ心地よい何かが流れてくる。
なんだかずっと身を任せてしまいたくなるようなそれを堪能していると、突如として轟音が響く。
バギン!
わたしが爪から手を離さないようにしつつ目を開くと、真っ黒な牢が壊れていた。
「……」
「……」
エメラルドグリーンの双眸と見つめ合う。
数秒経った後、フェンリルさんがぽつりと呟く。
「出られた……」
こういう時、なんと言ったらいいのだろう。
長年無人島で生活していた人が帰ってきたと想定したらいいんだろうか? なら……。
「おかえりなさい?」
「……サクヤの元にいた訳ではないんだが」
「ご、ごめんなさい。やっぱり違うよね」
どう言えばよかったんだろうか。
少し悩んでしまったが、フェンリルさんは少しはにかむように答える。
「いや、これからはそうなるのだから、あながち間違っている訳ではないか」
「これから……?」
「ああ、俺に名前をつけてくれ。この牢を壊してくれたら従魔になる。そう言っただろう?」
「え……いいの? わたしが魔法を使って壊した訳じゃないよ?」
ただ爪を触って、あとは目を閉じていただけだ。
しかしフェンリルさんは首を横に振って答える。
「サクヤが魔法を使えることを教えてくれなければ、俺はこの忌々しい場所から出ることはできなかった。だからいいんだ。名前をつけてほしい」
「……分かった。でも考えさせて」
「いい名前を頼む」
うーん、何がいいかな。
フェンリルさんの毛並みは白銀だけど……白銀の色って英語でなんて言うんだろう? シルバー? はいいと思うけど、合っていないように感じる。他の言語でどう言うのかも覚えてないし……。
ではなんという名前がいいのか。
フェンリルさんの目は、きれいなエメラルドグリーン。なんだか……優しい風に包まれているような気持ちにさせられる。
風はウインド……ウィン……。
「ウィン……でどうかな」
「ウィン。いい響きだ。俺は今日からウィンだ」
フェンリルさん……いや、ウィンがそう言うと、わたしと彼の体が光る。
「おお……これが従魔の契約というものか。心地よいものだな」
「う、うん。わたしの方はあんまり感じないけど」
ただ光っただけのようにしか感じなかった。
わたしは確認のために、ウィンをじっと見て鑑定する。
《名前》 ウィン
《種族》 フェンリル
《年齢》 5034
《レベル》 791
《状態》 衰弱 従魔(主:サクヤ)
《体力》 9432 《魔力》 5775
《力》 7945 《器用さ》 1909 《素早さ》 9596
《スキル》 風魔法 獣爪 獣牙 直感 魔力操作
魔力吸収 ??? ????
《称号》 救世獣 終わりをもたらす獣 悪を滅ぼす獣
ヴァイスと比べると、とんでもなく強いステータスだ。
衰弱となっているから、体調は万全ではないのだろう。でも、ウィンはそんなことを微塵も感じさせない。
「そうか。ならこれから、俺を従魔にしてよかったと言わせてやろう。今、何か困っていることはないか?」
「え? でも衰弱していて大変なんじゃ……」
「いや? 今の俺は絶好調だ。サクヤの従魔になれたことでなんでもできる気がする」
「そんな……」
「それで、今したいことはないのか?」
そう聞かれて、人里に行きたかったことを思い出した。
でも、体は別のことを考えていたらしい。
――ぐぅ~。
すごく恥ずかしい。
相手は人ではないけれど、会話ができるから余計に。
ウィンは声をあげて笑った。
「ははは、そうか。我が主は空腹なのだな。食べ物を取ってこよう。ここで待っているがいい」
ウィンがそう言って外に向かうので、わたしは慌てて止める。
「え? でも外は夜だよ? 魔物とかいっぱいいるんじゃ……」
そう、ウィンと話すうちに、外はすっかり暗くなっていた。
「俺に勝てる奴など、数えることができるほどしかおらん。行ってくる!」
そう言って彼は、風のように一瞬で消えてしまった。
「行っちゃった……」
わたしはぼんやりした後、これからどうしようかとヴァイスを見る。
彼はいつの間にか丸まって寝ていた。そんなかわいらしい姿を見て、わたしは笑ってしまう。
「ふふ、でもそっか……今日はスライムも倒してくれたし、ずっと歩いていたんだもんね。疲れるよね」
「スライムに襲われたのか?」
「ひゃあ!?」
独り言のつもりで言ったら、いつの間にか近くにウィンが来ていた。
「ど、どうしたの? もうご飯取ってきてくれたの?」
「いや、俺がいない間のことを忘れていた。〈風の結界〉」
ウィンがそう言うと、わたしとヴァイスの周りに風が巻き起こった。
「この風の守りの魔法がある間は、誰もお前達を傷つけることはできない。しばし待っていてほしい。ではな」
そう言って、ウィンはさっさと駆け出していった。
「心配してくれる、とってもいい子だね……」
わたしは地面に座り込み、ゆったりとヴァイスを撫でながら待つことにした。
わたしがのんびりしていると、二十分くらいでウィンが帰ってきた。
「戻ったぞ」
「おかえ……何それ!?」
ウィンは何も咥えていない。しかしその代わりとばかりに、彼の周囲には様々な食べ物が浮かんでいた。
果物や野菜、生きたままの豚に近いような生き物、魚や水まで浮かんでいる。
「サクヤは何が好きか聞くのを忘れていた。だから近くにいた奴らを片っ端から狩ってきたんだ。あとはこれだ」
べしゃ。
地面に落とされた物を見ると、スライムの薄皮とその核……五十個くらいはあるだろうか。
「これは……?」
「スライムに襲われたんだろう? 全滅させるべきじゃないのか?」
「しなくていいしなくていい! それは流石にしなくていい!」
いきなりのことでびっくりしてしまった。一族郎党どころか種族ごとなどおっかなすぎる。
「そうか……ではこのくらいで勘弁してやろう。狩りつくすには世界中回らなければならないしな」
「大変だからいいよ……」
そんなことよりも、今はご飯だ。
「ヴァイス。起きて、ご飯だよ」
「ウギャァ……」
ヴァイスは起き上がって大きな欠伸をした後、猫がやるような伸びをする。前足を突き出し、背中を丸めるあれだ。
それから「何を選ぶの?」と言いたそうにわたしを見る。
「え? わたしからでいいの?」
ウィンに目を向けると、当たり前とばかりに頷く。
「主が先だ。俺とそのヴァイスだったか? 白虎もなんでも食える。だからサクヤは好きなのを食べていいぞ」
「じゃあすぐに食べられる果物を……」
「分かった」
果物がゆっくりとわたしの方に向かってくる。
受け取った果実はまん丸なオレンジ色で、皮はないかのように薄い。香りと手触りは熟しているそれは、今がまさに食べごろなのだろう。
わたしは大きく口を開けてかじりつく。
「――美味しい!」
今日初めて、いや、この世界に来て初めての食事だからか、とっても美味しく感じてしまう。
瑞々しい果汁はほどよく甘く、何個でも食べたくなる。
わたしの体が子供であることを恨めしく感じてしまうくらいだ。もっと大きければ、たくさん食べられたのに。
そんなことを思っていると、丸々一個食べきったお陰か、睡魔が襲ってくる。
「ここで寝ろ」
ウィンはそう言って地面に丸まるようにして寝そべり、U字型になってくれる。
わたしはぼんやりとした思考のまま、そこにふらふらと近付いてウィンにもたれかかった。
「あ……モフモフで……気持ちいい……」
ヴァイスとは違った気持ちよさがある。
詳しく語りたいけれど、今は……そんなこと考えられないくらいに眠い……。
わたしは、そのまま眠りに落ちた。
「ウギャァ」
「ちょ、ちょっと……もう……」
暗い顔をするなと言いたいのか、ヴァイスは必死に舐め続けてくれる。
そんなわたし達を見て、フェンリルさんは不思議そうに声をあげる。
「そいつは……」
「この子は白虎のヴァイスだよ。あ、そうだ。フェンリルさん。この子、わたしの従魔らしいんだけど、従魔って何か知らない?」
「白虎だと? 俺と同等の存在が従魔に……?」
フェンリルさんはちょっと驚いたのか、じっとわたしとヴァイスを交互に見ていた。
「まぁ、なんというか……目が覚めて名前をつけてほしそうな目で見ていたから、名前をつけたら従魔に」
「そうか。ではお前はそれだけ才能があるのだろう。白虎……聖獣を従魔にするなどほとんどないが、全くない訳ではないからな」
聖獣? 聖獣ってあのユニコーンとかフェニックスとかの? でも今は……。
「あの、それで従魔っていうのは……」
「ああ、悪いな。従魔とは主に従う、魔力を持つもののことだ」
「魔力を持つ?」
「そうだ。そこらへんにいるスライムだったり、その白虎だったり。そういったもの達に名前をつけ、相手が受け入れれば従魔となる。それによって絆で結ばれ、お互いの居場所が分かったり、お互いの力で相手を強くできたりと、色々と恩恵を受けられるのだ」
「それなら、強くなりたい人はできるだけ従魔を持った方がいいっていうこと?」
わたしは別になりたくないけど、最強になりたい人もいるだろうなと思ってそう聞く。
しかし、フェンリルさんは首を横に振った。
「そんな簡単に従魔が作れると思うな。相手に信頼されねば受け入れてもらえぬし、簡単に従う雑魚を従魔にしたところで意味はない」
「なるほど」
「俺を従魔にでもしたいのか? この牢を壊してくれたら考えてやらんでもないぞ」
フェンリルさんは「絶対にできないがな」という言葉を付け加えて嘆息した。
別にフェンリルさんを従魔にしたい訳ではないけれど、なんとなく理由を聞く。
「どうしてわたしじゃ壊せないんです?」
「決まっている。この牢を壊すには、特別な方法が必要なのだ。作った奴は今でも存在するか怪しいほどに頭のいいやつだったからな。叡智の結晶と言ってもいいほどにすごいものだぞ。苛立たしいが……貴様のような小娘に壊せる訳がない」
「そっか……」
まぁ……フェンリルさんとかいうすごい聖獣が言うんだからそうなんだろう。
でも、わたしはそこで一つ疑問に思った。
「じゃあずっとそのままなの? ご飯とか食べなくてもいいの?」
「俺はそこのちっこいのと違って、周囲の魔力を吸収していれば飢えることはない。だからこの牢もそのうち壊れるのを待つだけだ。まぁ……あと五百年か……千年か……。何年かかるか分からんが」
「……どうして閉じ込められているの?」
「この世界を支配しようとしていた奴らに閉じ込められたのだ。その前に連中は倒したが……そのお陰で俺はこんなざまだ。全く、忌々しい」
そう言うフェンリルさんの瞳には、怒りの炎が宿っていた。
「ウギャァ……」
その圧力を受けて、ヴァイスがわたしの首に隠れるようにして怖がっている。
「大丈夫だよ。あれはわたし達に向けたものじゃないよ」
「そうだ、白虎よ。お前は自分の主をしっかりと守れるようになれ。この世界については……お前の好きにしろ」
「?」
なんだかよく分からないことを言ったけれど、彼はそれ以上話す気がないのか地面に伏せる。
彼の姿はとても悲しそうで、寂しそうだ。
わたしは……なんとかしてあげたい。そう思ってしまった。
「ねぇ」
「なんだ」
「さっきの話に戻るんだけどさ。この牢を壊す特別な方法ってなんなの?」
これでもわたしの魔力量は桁違いらしい。
もしかしたら、彼を助けられるかもしれない。できなくても、希少な魔法を使える人を探してこれるかも。
そんなわたしの質問に、彼は面倒くさそうに話す。
「到底無理な話だが……暇つぶしにはいいか。魔法に種類があるのは知っているか?」
「え? うん……知ってるけど」
わたしの創造魔法や神聖魔法とか、ヴァイスの金魔法とかのことだろう。普通に火魔法とかあるのかな。
フェンリルさんは続ける。
「魔法の中でも最も希少とされる、創造魔法と神聖魔法を持つ者が必要になるんだ。それぞれが、使い手は百年に一人現れるかどうかと言われるほどの貴重な魔法だ。どちらか一つを持っているだけで、どの国でも粗末に扱われることはないだろう」
「……そ、それなら頑張れば助けられそうなんじゃないの?」
頑張って二人集めればなんとかなるのではないだろうか。
「……無理だ。どの国も、そんな魔法を持つ者をこの場に送り込んでくるようなことはない。神聖魔法を持つ者であれば聖人として崇拝され、創造魔法を持つ者は神の代行者として崇められるんだ。しかも、この牢を壊すには、その両方の魔法を持つ者が必要になる。そんなのは百万年に一人現れるかどうかであろう」
「…………」
どうしよう。
わたし、百万年に一人の存在らしいです……。
「ふぅ…………」
わたしは一度深呼吸をして、心を落ち着かせて状況を確認する。
フェンリルさんとの会話で、わたしが百万年に一人の存在であることが発覚した。
「………………」
どうしよう……これ言ったら……わたしがフェンリルさんに崇拝されるんだろうか。
……いや、それはないと思う。でも不安だから聞いてみよう。
「ねぇ、もしも……もしもなんだけど、わたしがその魔法を両方使えます。って言ったらどうする?」
フェンリルさんはじっとわたしを見つめた後、鼻を鳴らす。
「別にどうもせん。俺はここに三百年いる。だからもう外のことなどどうでもよいのだ。出られたところでしたいこともないしな」
「そっか……」
そう言うフェンリルさんは、やはりどこか悲しそうな……寂しそうな表情をしていた。
わたしは彼を助けたいと思った。
だけど、あの牢が邪魔をしているのか、フェンリルさんを鑑定することはできない。
いい人か悪い人か、鑑定で分かればよかったんだけど。
でも、鑑定なんかしなくても、わたしはフェンリルさんをいい存在だと思う。
だから……。
「フェンリルさん。魔法の使い方……教えてくれない?」
「突然どうしたのだ」
「わたし……持っているから。創造魔法と神聖魔法」
「……嘘だろう?」
「本当。だけど、わたし、魔法の使い方が分からなくって……」
今日この世界に来たばっかりだから、当然のことなんだけど。
フェンリルさんはしばらく迷った後に、口を開いた。
「そんなことがあるのか分からんが……もし本当だったら面白い。ダメでも暇つぶしにはなるか」
「暇つぶし」
そんな軽い調子でいいのだろうか。
「そうだ。三百年もいると暇でな。ここを訪れるのもお前が初めてなのだぞ?」
「え? 誰も来なかったの?」
それは……とても寂しいことだ。
彼の話を聞いて、絶対に助けてあげたくなった。
「ああ。洞窟の入り口に、微かに魔力の痕跡がある。誰にも気付かれぬように細工を施しているのだろうよ。というか、魔法を習得するんじゃなかったのか?」
「あ、やるやる。どうしたらいいの?」
「まずはその白虎を降ろせ」
「分かった。ヴァイス。少し降りててね」
「ウギャァ」
ヴァイスは頷いてわたしの近くに座る。
それから、フェンリル先生の魔法講座が始まった。
「魔法とは、周囲にある魔力と自身の魔力を合わせて、世界に変化をもたらすものだ。だが、そんな座学的な知識はどうでもいい。大事なのは感覚だ」
「感覚?」
「そうだ。まずは目を閉じろ」
「はい」
わたしは目を閉じて返事をする。
「返事はいらん。というか、今は五感を全て捨てろ。魔力を感知するのは五感ではできないのだからな」
「……」
わたしは五感全てを忘れるようにして、ただただそこに存在することを意識する。
フェンリルさんの言葉は続く。
「それを続けろ。そうしていると、周囲に何か感じるはずだ」
じっとその感覚を維持していると、周囲に煌めく色とりどりの光があることに気付いた。
でもおかしい、わたしは目を閉じているのに、それがあるとはっきりと分かるのだ。
「だが、それを感じ取るまでには早くても一か月はかかる。だから気長に……」
「え? この周囲にある色とりどりの光じゃないの?」
「……お前……本当に何者だ? そんな簡単に見つかるはずは……。まぁいい。もしそれが見つかったのなら、次はそれを自分の中に見つけろ。これも一か月近くかかるはずだが……」
自分の中……うわ、やっば。正直見ていられないくらいの輝きがわたしの中にある。
話を聞いている限り、これが魔力……というものなのだろう。わたしの魔力が兆を超えているから、こんなにあるように感じられるのだろうか。
「見つけました」
「……では、次はそれを混ぜ合わせて……」
「できました」
「早い。まだ説明してるだろ」
だってできたんだもん。
というか、わたしの体から溢れて出たがっているようにすら感じたのだ。
それで、魔力が全部ごちゃ混ぜになれと考えたらできた。
「……まぁいい。それじゃあ創造魔法からにするか。手を出して、そこから十センチメートル四方の石を出すように想像してみろ」
「石……」
単位は前世と変わらないみたい。縁石とかそれに近いかな。それっぽいのをきれいな四角でイメージして……。
――ゴトリ。
「?」
わたしが目を開けると、少し先の所に石が落ちていた。想像した通りの石だ。
「本当に……使えるのか……」
フェンリルさんは口をあんぐりと開けて、わたしが作ったらしき石をじっと見ている。
わたしは今の感覚を忘れないうちに次にいきたくて、声をかけた。
「次はどうしたらいいですか?」
「……あ、ああ。そうだな。神聖魔法は……結界を張ってみるといい。形も今と同じように立方体で、今度は自分を囲うようにするんだ」
「……」
わたしはさっきと同じように想像する。
アニメで似たような結界を見たことがあるから、想像もしやすい。
――キィン。
何か聞き慣れない音が聞こえたので目を開くと、半透明の壁がわたしを囲うようにしてできていた。
フェンリルさんは目を大きく見開き、何度か前足で目を擦っている。
信じられない物を見た時のその仕草は全世界、いや、全異世界共通かもしれない。
「お前……名は?」
「わたしはサクヤですけど……」
「そうか。ならこっちに来い」
そう言ってフェンリルさんは起き上がり、牢の隙間から黒くて鋭い爪を出してくる。
「俺の爪に触れろ。あとはこっちが魔力を通して必要な魔法を使う」
「フェンリルさん、創造魔法と神聖魔法を使えるんですか?」
「使えない。だが俺達聖獣であれば、相手に触れることによって、その者が持つ魔法を使えるのだ。それに、三百年の間、この牢を突破するにはどうしたらいいのかずっと考えていたのだ」
「なるほど」
わたしは頷いて爪にそっと触る。
爪は硬くて冷たかったが、決して嫌な感じはしなかった。
「サクヤ。目を閉じていればいい」
「はい」
わたしが目を閉じていると、フェンリルさんの爪からちょっとずつ心地よい何かが流れてくる。
なんだかずっと身を任せてしまいたくなるようなそれを堪能していると、突如として轟音が響く。
バギン!
わたしが爪から手を離さないようにしつつ目を開くと、真っ黒な牢が壊れていた。
「……」
「……」
エメラルドグリーンの双眸と見つめ合う。
数秒経った後、フェンリルさんがぽつりと呟く。
「出られた……」
こういう時、なんと言ったらいいのだろう。
長年無人島で生活していた人が帰ってきたと想定したらいいんだろうか? なら……。
「おかえりなさい?」
「……サクヤの元にいた訳ではないんだが」
「ご、ごめんなさい。やっぱり違うよね」
どう言えばよかったんだろうか。
少し悩んでしまったが、フェンリルさんは少しはにかむように答える。
「いや、これからはそうなるのだから、あながち間違っている訳ではないか」
「これから……?」
「ああ、俺に名前をつけてくれ。この牢を壊してくれたら従魔になる。そう言っただろう?」
「え……いいの? わたしが魔法を使って壊した訳じゃないよ?」
ただ爪を触って、あとは目を閉じていただけだ。
しかしフェンリルさんは首を横に振って答える。
「サクヤが魔法を使えることを教えてくれなければ、俺はこの忌々しい場所から出ることはできなかった。だからいいんだ。名前をつけてほしい」
「……分かった。でも考えさせて」
「いい名前を頼む」
うーん、何がいいかな。
フェンリルさんの毛並みは白銀だけど……白銀の色って英語でなんて言うんだろう? シルバー? はいいと思うけど、合っていないように感じる。他の言語でどう言うのかも覚えてないし……。
ではなんという名前がいいのか。
フェンリルさんの目は、きれいなエメラルドグリーン。なんだか……優しい風に包まれているような気持ちにさせられる。
風はウインド……ウィン……。
「ウィン……でどうかな」
「ウィン。いい響きだ。俺は今日からウィンだ」
フェンリルさん……いや、ウィンがそう言うと、わたしと彼の体が光る。
「おお……これが従魔の契約というものか。心地よいものだな」
「う、うん。わたしの方はあんまり感じないけど」
ただ光っただけのようにしか感じなかった。
わたしは確認のために、ウィンをじっと見て鑑定する。
《名前》 ウィン
《種族》 フェンリル
《年齢》 5034
《レベル》 791
《状態》 衰弱 従魔(主:サクヤ)
《体力》 9432 《魔力》 5775
《力》 7945 《器用さ》 1909 《素早さ》 9596
《スキル》 風魔法 獣爪 獣牙 直感 魔力操作
魔力吸収 ??? ????
《称号》 救世獣 終わりをもたらす獣 悪を滅ぼす獣
ヴァイスと比べると、とんでもなく強いステータスだ。
衰弱となっているから、体調は万全ではないのだろう。でも、ウィンはそんなことを微塵も感じさせない。
「そうか。ならこれから、俺を従魔にしてよかったと言わせてやろう。今、何か困っていることはないか?」
「え? でも衰弱していて大変なんじゃ……」
「いや? 今の俺は絶好調だ。サクヤの従魔になれたことでなんでもできる気がする」
「そんな……」
「それで、今したいことはないのか?」
そう聞かれて、人里に行きたかったことを思い出した。
でも、体は別のことを考えていたらしい。
――ぐぅ~。
すごく恥ずかしい。
相手は人ではないけれど、会話ができるから余計に。
ウィンは声をあげて笑った。
「ははは、そうか。我が主は空腹なのだな。食べ物を取ってこよう。ここで待っているがいい」
ウィンがそう言って外に向かうので、わたしは慌てて止める。
「え? でも外は夜だよ? 魔物とかいっぱいいるんじゃ……」
そう、ウィンと話すうちに、外はすっかり暗くなっていた。
「俺に勝てる奴など、数えることができるほどしかおらん。行ってくる!」
そう言って彼は、風のように一瞬で消えてしまった。
「行っちゃった……」
わたしはぼんやりした後、これからどうしようかとヴァイスを見る。
彼はいつの間にか丸まって寝ていた。そんなかわいらしい姿を見て、わたしは笑ってしまう。
「ふふ、でもそっか……今日はスライムも倒してくれたし、ずっと歩いていたんだもんね。疲れるよね」
「スライムに襲われたのか?」
「ひゃあ!?」
独り言のつもりで言ったら、いつの間にか近くにウィンが来ていた。
「ど、どうしたの? もうご飯取ってきてくれたの?」
「いや、俺がいない間のことを忘れていた。〈風の結界〉」
ウィンがそう言うと、わたしとヴァイスの周りに風が巻き起こった。
「この風の守りの魔法がある間は、誰もお前達を傷つけることはできない。しばし待っていてほしい。ではな」
そう言って、ウィンはさっさと駆け出していった。
「心配してくれる、とってもいい子だね……」
わたしは地面に座り込み、ゆったりとヴァイスを撫でながら待つことにした。
わたしがのんびりしていると、二十分くらいでウィンが帰ってきた。
「戻ったぞ」
「おかえ……何それ!?」
ウィンは何も咥えていない。しかしその代わりとばかりに、彼の周囲には様々な食べ物が浮かんでいた。
果物や野菜、生きたままの豚に近いような生き物、魚や水まで浮かんでいる。
「サクヤは何が好きか聞くのを忘れていた。だから近くにいた奴らを片っ端から狩ってきたんだ。あとはこれだ」
べしゃ。
地面に落とされた物を見ると、スライムの薄皮とその核……五十個くらいはあるだろうか。
「これは……?」
「スライムに襲われたんだろう? 全滅させるべきじゃないのか?」
「しなくていいしなくていい! それは流石にしなくていい!」
いきなりのことでびっくりしてしまった。一族郎党どころか種族ごとなどおっかなすぎる。
「そうか……ではこのくらいで勘弁してやろう。狩りつくすには世界中回らなければならないしな」
「大変だからいいよ……」
そんなことよりも、今はご飯だ。
「ヴァイス。起きて、ご飯だよ」
「ウギャァ……」
ヴァイスは起き上がって大きな欠伸をした後、猫がやるような伸びをする。前足を突き出し、背中を丸めるあれだ。
それから「何を選ぶの?」と言いたそうにわたしを見る。
「え? わたしからでいいの?」
ウィンに目を向けると、当たり前とばかりに頷く。
「主が先だ。俺とそのヴァイスだったか? 白虎もなんでも食える。だからサクヤは好きなのを食べていいぞ」
「じゃあすぐに食べられる果物を……」
「分かった」
果物がゆっくりとわたしの方に向かってくる。
受け取った果実はまん丸なオレンジ色で、皮はないかのように薄い。香りと手触りは熟しているそれは、今がまさに食べごろなのだろう。
わたしは大きく口を開けてかじりつく。
「――美味しい!」
今日初めて、いや、この世界に来て初めての食事だからか、とっても美味しく感じてしまう。
瑞々しい果汁はほどよく甘く、何個でも食べたくなる。
わたしの体が子供であることを恨めしく感じてしまうくらいだ。もっと大きければ、たくさん食べられたのに。
そんなことを思っていると、丸々一個食べきったお陰か、睡魔が襲ってくる。
「ここで寝ろ」
ウィンはそう言って地面に丸まるようにして寝そべり、U字型になってくれる。
わたしはぼんやりとした思考のまま、そこにふらふらと近付いてウィンにもたれかかった。
「あ……モフモフで……気持ちいい……」
ヴァイスとは違った気持ちよさがある。
詳しく語りたいけれど、今は……そんなこと考えられないくらいに眠い……。
わたしは、そのまま眠りに落ちた。
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