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第3章 聖女は依頼をこなす
197話 決着
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切られたフリッツさんは倒れずに、剣を構えたままジュンタさんを正面から見据えている。
ジュンタさんは少しだけ目を見張り、何があったかを話す。
「ほう、自分から後ろに飛んで傷を浅くさせたか。いい判断だ。あのままだったら勝負はついていたからな」
「……」
「怖い顔で睨むなよ。楽しいのはまだまだこれから。殺し合いはしないにしても、斬り合いはまだまだ足りねぇからなぁ!」
「当然だ!」
「はっはぁ! その目はいいねぇ! 好きだぜぇ!」
ジュンタさんがフリッツさんに切りかかり、それを受け止める。しかし、
「力がさっきより入ってないんじゃねぇのか!」
「がっ!」
ガイン!
フリッツさんがジュンタさんの勢いに吹き飛ばされ、地面を転がる。フリッツさんは起き上がろうとするけど、力が入らないのかかなり遅い。
ジュンタさんは追撃をかけるでもなく、肩に剣を乗せながら歩いていく。
「もうへばっちまったか? まぁ、Cランクでそんだけありゃ十分だろ。Bランク程度は確実にあるみたいだしな。ほら、降参しろよ。これ以上怪我すると面倒だ」
「まだ……勝負はついていない!」
フリッツさんが射殺すような目をジュンタさんに向けている。
「ほう。そんな目が出来るならそうだな。じゃあ、圧倒的な力の差ってのを見せてやるよ」
そう言うと、ジュンタさんは集中し始める。フリッツさんへの警戒は緩めていないが、何かをしようとしているのがハッキリと分かった。
「魔掌握だ」
「あれが?」
教えてくれたのはキリルさんだった。
「ああ、かなり拙いが、それでも形にはなり始めている。Aランクならば出来ると言うことか」
「そんな、それじゃあフリッツさんは……」
「かなり厳しいかもしれない。だが、これもフリッツの選んだことだ。信じるしかない」
「無責任な」
「無責任ではない。奴が、フリッツが強くなりたいと言ったんだ。あの程度に勝てないようでは話にならない」
「あの程度って……」
キリルさんが言っているのに少し驚いてしまう。
「あの程度だ魔掌握も形になっているといった程度で少しつつけばボロが出るだろう。だが、今のフリッツではそれでも……」
キリルさんはそう言ったきり、口を閉ざした。
私も正面に目を移すと、フリッツさんが防戦一方でひたすら攻撃を耐えていた。
「おらおらおら! さっさと沈め!」
「……」
フリッツさんはひたすらに耐え、隙を伺っているようだ。
「なんだてめぇの武器は! 硬すぎんだろ! こっちは魔掌握を使ってんだぞ!」
「……」
ジュンタさんがそう言って武器を攻撃し始めているようだった。フリッツさんが余りにも粘るため、そちらに攻撃を変更したらしい。でも、フリッツさんの武器は壊れる様子がない。
「いい加減にしろ!」
「ぐぅ!」
ジュンタさんにの振りかぶった攻撃に、フリッツさんは再度弾き飛ばされる。そして、その隙を逃すジュンタさんなどではない。
「これで終わりだ! 死ねぇ!」
態勢が崩れてしまっているフリッツさんに、もう一度ジュンタさんが振りかぶる。そして、多少大振りでも、ここで本当に決着をつける気のようだった。
「待ってたよ」
ジュンタさんが剣を振り下ろした時に、フリッツさんもそれに合わせて剣を振る。
ただし、ジュンタさんの剣と交差するようにではなく、ジュンタさんの剣を横から叩きつけるようにだ。
「な!」
ガァン!
「なんの!」
ジュンタさんは剣が持って行かれるのを必死で止めようと腕に力を入れ、腰を落として踏みとどまっている。
「決まったな」
キリルさんの声がしたと思ったら、ギルドマスターの声が聞えた。
「そこまで!」
訓練場の中央で戦っていた2人は動きをピタリと止めている。
ジュンタさんは剣を何とか持って行かれないように押さえていたが、フリッツさんによって首筋に剣を突きつけられていた。
ジュンタさんは少しだけ目を見張り、何があったかを話す。
「ほう、自分から後ろに飛んで傷を浅くさせたか。いい判断だ。あのままだったら勝負はついていたからな」
「……」
「怖い顔で睨むなよ。楽しいのはまだまだこれから。殺し合いはしないにしても、斬り合いはまだまだ足りねぇからなぁ!」
「当然だ!」
「はっはぁ! その目はいいねぇ! 好きだぜぇ!」
ジュンタさんがフリッツさんに切りかかり、それを受け止める。しかし、
「力がさっきより入ってないんじゃねぇのか!」
「がっ!」
ガイン!
フリッツさんがジュンタさんの勢いに吹き飛ばされ、地面を転がる。フリッツさんは起き上がろうとするけど、力が入らないのかかなり遅い。
ジュンタさんは追撃をかけるでもなく、肩に剣を乗せながら歩いていく。
「もうへばっちまったか? まぁ、Cランクでそんだけありゃ十分だろ。Bランク程度は確実にあるみたいだしな。ほら、降参しろよ。これ以上怪我すると面倒だ」
「まだ……勝負はついていない!」
フリッツさんが射殺すような目をジュンタさんに向けている。
「ほう。そんな目が出来るならそうだな。じゃあ、圧倒的な力の差ってのを見せてやるよ」
そう言うと、ジュンタさんは集中し始める。フリッツさんへの警戒は緩めていないが、何かをしようとしているのがハッキリと分かった。
「魔掌握だ」
「あれが?」
教えてくれたのはキリルさんだった。
「ああ、かなり拙いが、それでも形にはなり始めている。Aランクならば出来ると言うことか」
「そんな、それじゃあフリッツさんは……」
「かなり厳しいかもしれない。だが、これもフリッツの選んだことだ。信じるしかない」
「無責任な」
「無責任ではない。奴が、フリッツが強くなりたいと言ったんだ。あの程度に勝てないようでは話にならない」
「あの程度って……」
キリルさんが言っているのに少し驚いてしまう。
「あの程度だ魔掌握も形になっているといった程度で少しつつけばボロが出るだろう。だが、今のフリッツではそれでも……」
キリルさんはそう言ったきり、口を閉ざした。
私も正面に目を移すと、フリッツさんが防戦一方でひたすら攻撃を耐えていた。
「おらおらおら! さっさと沈め!」
「……」
フリッツさんはひたすらに耐え、隙を伺っているようだ。
「なんだてめぇの武器は! 硬すぎんだろ! こっちは魔掌握を使ってんだぞ!」
「……」
ジュンタさんがそう言って武器を攻撃し始めているようだった。フリッツさんが余りにも粘るため、そちらに攻撃を変更したらしい。でも、フリッツさんの武器は壊れる様子がない。
「いい加減にしろ!」
「ぐぅ!」
ジュンタさんにの振りかぶった攻撃に、フリッツさんは再度弾き飛ばされる。そして、その隙を逃すジュンタさんなどではない。
「これで終わりだ! 死ねぇ!」
態勢が崩れてしまっているフリッツさんに、もう一度ジュンタさんが振りかぶる。そして、多少大振りでも、ここで本当に決着をつける気のようだった。
「待ってたよ」
ジュンタさんが剣を振り下ろした時に、フリッツさんもそれに合わせて剣を振る。
ただし、ジュンタさんの剣と交差するようにではなく、ジュンタさんの剣を横から叩きつけるようにだ。
「な!」
ガァン!
「なんの!」
ジュンタさんは剣が持って行かれるのを必死で止めようと腕に力を入れ、腰を落として踏みとどまっている。
「決まったな」
キリルさんの声がしたと思ったら、ギルドマスターの声が聞えた。
「そこまで!」
訓練場の中央で戦っていた2人は動きをピタリと止めている。
ジュンタさんは剣を何とか持って行かれないように押さえていたが、フリッツさんによって首筋に剣を突きつけられていた。
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