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第3章 聖女は依頼をこなす
174話 いざという時に
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私たちは依頼を達成し、宿の食堂に戻ってきていた。
本来ならどこか違う店に行くところだけど、色々終わってみるとどっと疲れが肩に降りかかってきて、どこにも行く気にはなれなかったからだ。
フリッツさんも同じだったようで、今回は宿で食事を……ということになった。
「すごい依頼でしたね」
私たちは宿の食堂で注文をして話始める。
結構時間も遅いのか、店内に客は数組いるといった程度だ。
フリッツさんがため息をつきながら答えてくれる。
「はぁ、誰のせいだ誰の。というかクロエ、あんなことになると分かってて受けただろう」
「そ、そんなことありませんよ~?」
「白々し過ぎるぞ……」
「だがいい経験になった。人間はあのようなことをして楽しむのだな」
「ないから。アイツらが特別なだけだ」
「そ、そうですよ。あれが人類全てのというかと言われるとちょっと……」
キリルさんは頷きながら言っているが、流石にちょっとそれは不味いと思う。
「そうなのか? あそこにいた者は皆楽しんでいたではないか」
「それはそうなんですが……」
何とか誤解を解いてくれと、フリッツさんを見る。彼は少し悩んでから話始める。
「そうだな……。分かりやすく言うと、祭りがあって、楽しんでいる者がいる。だけど、それを楽しむ者はいても、全員が楽しんでいるわけではないだろう? 家の中で祭りとは関係なかったり」
「ああ、なるほど。そこにいない連中にとっては興味はないからあそこに居なかっただけか」
「そう言うことだ。話を聞いたが、あそこはそういう劇団にも衣装を卸しているらしい。というか、何人かはその劇団員を兼ねているらしいぞ」
「へー、そうだったんですか。それは知りませんでした」
「本当か?」
フリッツさんがじっとっとした目で見てくる。どうやら疑われているらしい。
「本当ですって」
半分は。
「なんだか裏がありそうだがまぁいい。成果もかなりいいようにしてくれたんだろう?」
「はい。全部満点でいい評価を頂きました。それに……」
「それに?」
「皆さんの衣装も色々と貰ってきました。これでいざという時には変装出来ますよ!」
「クロエ、もう一回言ってくれ」
「皆さんの変装衣装としてあのドレスとかを貰って来たんです。何かあった時に是非使いましょう」
「使わないから。絶対だからな?」
「そんな折角貰ったんです。ぜひ使いましょう。頂いた皆さんに悪いですし」
「じゃあお前はまたクロになるんだな?」
フリッツさんの目が少し鋭いけどま、まぁ。大丈夫だろう。
「何言ってるんですか。私のは丁重にお断りしておきました。ドレスとあわせる為にメイド服はどうしてもとメリッサさんに言われたので頂きましたけど……」
「それは卑怯ってもんじゃないのか……」
フリッツさんは苦虫を噛み潰した様な顔をしていた。
それを、キリルさんがフォローしてくれる。
「フリッツ、気にするな。というのは無理かもしれないが、基本的に着る訳ではないんだろう?」
「そうですね。フリッツさんがいいと言ってくださるまでは待つつもりです」
1日1回はせっつこうと思う。
「あんまりせっつくようだとその服を燃やすからな……」
「あう……」
フリッツさんに先に言われてしまった。そんな。いや、だか会話に紛れるように話せば何とか……。
「あ、少し席を外す」
フリッツさんが何かを思い出したのか、席を立った。
そして、彼が食堂を出ていくのを見計らって、キリルさんが話しかけてくる。
「クロエ」
「はい?」
「クロの時の服は持っているな?」
「……どうしてそれを?」
フリッツさんにもバレない様に上手く隠せたと思ったのに。どうしてなんだろうか。
「服を受け取る時を見ていたからな。俺達のドレスや服に紛れて明らかに小さいサイズのが2着あった。そうなればおのずとわかるだろう」
「あはは……。このこと、フリッツさんには……」
「黙っておいてやる。だから本当にせっつくな」
「はい……」
私は降伏するしかなかった。
本来ならどこか違う店に行くところだけど、色々終わってみるとどっと疲れが肩に降りかかってきて、どこにも行く気にはなれなかったからだ。
フリッツさんも同じだったようで、今回は宿で食事を……ということになった。
「すごい依頼でしたね」
私たちは宿の食堂で注文をして話始める。
結構時間も遅いのか、店内に客は数組いるといった程度だ。
フリッツさんがため息をつきながら答えてくれる。
「はぁ、誰のせいだ誰の。というかクロエ、あんなことになると分かってて受けただろう」
「そ、そんなことありませんよ~?」
「白々し過ぎるぞ……」
「だがいい経験になった。人間はあのようなことをして楽しむのだな」
「ないから。アイツらが特別なだけだ」
「そ、そうですよ。あれが人類全てのというかと言われるとちょっと……」
キリルさんは頷きながら言っているが、流石にちょっとそれは不味いと思う。
「そうなのか? あそこにいた者は皆楽しんでいたではないか」
「それはそうなんですが……」
何とか誤解を解いてくれと、フリッツさんを見る。彼は少し悩んでから話始める。
「そうだな……。分かりやすく言うと、祭りがあって、楽しんでいる者がいる。だけど、それを楽しむ者はいても、全員が楽しんでいるわけではないだろう? 家の中で祭りとは関係なかったり」
「ああ、なるほど。そこにいない連中にとっては興味はないからあそこに居なかっただけか」
「そう言うことだ。話を聞いたが、あそこはそういう劇団にも衣装を卸しているらしい。というか、何人かはその劇団員を兼ねているらしいぞ」
「へー、そうだったんですか。それは知りませんでした」
「本当か?」
フリッツさんがじっとっとした目で見てくる。どうやら疑われているらしい。
「本当ですって」
半分は。
「なんだか裏がありそうだがまぁいい。成果もかなりいいようにしてくれたんだろう?」
「はい。全部満点でいい評価を頂きました。それに……」
「それに?」
「皆さんの衣装も色々と貰ってきました。これでいざという時には変装出来ますよ!」
「クロエ、もう一回言ってくれ」
「皆さんの変装衣装としてあのドレスとかを貰って来たんです。何かあった時に是非使いましょう」
「使わないから。絶対だからな?」
「そんな折角貰ったんです。ぜひ使いましょう。頂いた皆さんに悪いですし」
「じゃあお前はまたクロになるんだな?」
フリッツさんの目が少し鋭いけどま、まぁ。大丈夫だろう。
「何言ってるんですか。私のは丁重にお断りしておきました。ドレスとあわせる為にメイド服はどうしてもとメリッサさんに言われたので頂きましたけど……」
「それは卑怯ってもんじゃないのか……」
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それを、キリルさんがフォローしてくれる。
「フリッツ、気にするな。というのは無理かもしれないが、基本的に着る訳ではないんだろう?」
「そうですね。フリッツさんがいいと言ってくださるまでは待つつもりです」
1日1回はせっつこうと思う。
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「あう……」
フリッツさんに先に言われてしまった。そんな。いや、だか会話に紛れるように話せば何とか……。
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そして、彼が食堂を出ていくのを見計らって、キリルさんが話しかけてくる。
「クロエ」
「はい?」
「クロの時の服は持っているな?」
「……どうしてそれを?」
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「服を受け取る時を見ていたからな。俺達のドレスや服に紛れて明らかに小さいサイズのが2着あった。そうなればおのずとわかるだろう」
「あはは……。このこと、フリッツさんには……」
「黙っておいてやる。だから本当にせっつくな」
「はい……」
私は降伏するしかなかった。
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