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第2章 聖女は決別する
116話 とある司祭の話
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クロエたちがダラスを出発するのと入れ替わるようにして、勇者パーティーとすれ違ったリッター村にいた冒険者がダラスへと帰ってきた。
彼はそのまま一直線に教会へと戻って行く。そして、彼は誰に挨拶することもなく、顔パスで中へと入っていった。そして、とある部屋の前で止まりノックをする。
「どうぞ」
「失礼します」
その部屋の中にいたのはクロエの先生、司祭だった。彼女は机に向かい何か書類を記入している。誰かが入ってきても、顔を上げることすらしない。
部屋に入った彼は片膝をついて報告する。
「司祭様、ただいま戻りました。他のメンバーは武器の点検などを行なっています」
「うん。ご苦労様、それにしても悪いわね。魔物は得意じゃないでしょうに、危ない目に遭わせてしまったわ」
「聖女様のお力をこの身にお貸し頂けただけでも十分です。それだけで死んでも何も文句はありません」
彼の表情は淡々としていて、それが真実であることを伝えている。
「あの子の防御魔法は凄いでしょう?」
「はい、あれほどの力を持っているのに追い出される理由が分かりません」
「それは勇者パーティーに聞いて欲しいわ。でもまだ偵察から帰ってこないし、どうなってるのかしら? 死んでいると面倒で嫌なのだけど……」
「帰りに遭遇致しました」
「本当?」
その時、初めて司祭が驚いた顔をして冒険者を見た。
「はい、ただ、その際にハブルール様はおらず、4人でボロボロのお姿でした」
「そう、生きていたのなら良かったわ、彼らには魔王を倒してもらう役目があるから。でも、そんなにボロボロだったなら助けて来ても良かったんじゃないの?」
「最初は強引にでもついて行こうかと思ったのですが……。聖女様は死んだと言っていて少し高ぶってしまい……」
そういう彼は少し申し訳なさそうな顔をしていた。
「全く……貴方達という人は……。まぁいいわ。そうね、そんなふざけた事を言っているのなら丁度いいわ。その話、広げておいて頂戴」
「よろしいのですか?」
彼の表情が少し困り顔に変わる。しかし、司祭の表情は変わることがない。
「ええ、あの子が聖女だとバレるのが嫌だと思っているのなら、そのことは言わない方がいいわ。それと、勇者パーティーは無能だと言うことも関係各所に伝えておきましょう。やはり彼らでは荷が重すぎる」
「よろしいのですか?」
「勿論よ。それに、貴方としても実際にどうあれ、あの子の味方をしたいんでしょう? 仕事を抜きにしても」
「はい。我々が手伝った事とは言え、助けて頂いたことに代わりはありませんから」
「あの子はそんなことを気にするような子じゃ無いんだけどね。でも、助けてあげたいと思うならあの子を公的には死なせておきなさい。そうすれば、あそこに送らずに済む」
彼女がそう言った途端。今まで困り顔だった彼の顔が驚きに変わる。
「決定されたのですか?」
「ええ、勇者パーティーらしい振舞いもしていないし、そもそもが弱い。あの程度の連中で勝てるほど魔王は甘くないわ。それに、あの子を連れていかれたくはないでしょう?」
「……はい」
「無事に偵察を終えて帰って来られていたのなら話は少し違ったんだけど、そういう状況でもなくなったようだからね」
「その役目は?」
「当然貴方達にお願いするわ。丁度いい所にいることだしね」
「それが目的だったのでは?」
「だとしても貴方達には言う必要はないわ。ただの駒である貴方達は黙って従えばいい」
「畏まりました」
「タイミングは私が指示します。それまでは勝手に行動しないこと。話は以上よ。他のメンバーにも伝えておいて」
「はい。失礼いたします」
そう言ってその冒険者は部屋を出て行った。
それを視界の端で確認した司祭は。
「はぁ、クロエ、貴方はちゃんと自分の人生を生きるのよ……」
彼女はそう呟くと、一人で再び机に戻る。
彼はそのまま一直線に教会へと戻って行く。そして、彼は誰に挨拶することもなく、顔パスで中へと入っていった。そして、とある部屋の前で止まりノックをする。
「どうぞ」
「失礼します」
その部屋の中にいたのはクロエの先生、司祭だった。彼女は机に向かい何か書類を記入している。誰かが入ってきても、顔を上げることすらしない。
部屋に入った彼は片膝をついて報告する。
「司祭様、ただいま戻りました。他のメンバーは武器の点検などを行なっています」
「うん。ご苦労様、それにしても悪いわね。魔物は得意じゃないでしょうに、危ない目に遭わせてしまったわ」
「聖女様のお力をこの身にお貸し頂けただけでも十分です。それだけで死んでも何も文句はありません」
彼の表情は淡々としていて、それが真実であることを伝えている。
「あの子の防御魔法は凄いでしょう?」
「はい、あれほどの力を持っているのに追い出される理由が分かりません」
「それは勇者パーティーに聞いて欲しいわ。でもまだ偵察から帰ってこないし、どうなってるのかしら? 死んでいると面倒で嫌なのだけど……」
「帰りに遭遇致しました」
「本当?」
その時、初めて司祭が驚いた顔をして冒険者を見た。
「はい、ただ、その際にハブルール様はおらず、4人でボロボロのお姿でした」
「そう、生きていたのなら良かったわ、彼らには魔王を倒してもらう役目があるから。でも、そんなにボロボロだったなら助けて来ても良かったんじゃないの?」
「最初は強引にでもついて行こうかと思ったのですが……。聖女様は死んだと言っていて少し高ぶってしまい……」
そういう彼は少し申し訳なさそうな顔をしていた。
「全く……貴方達という人は……。まぁいいわ。そうね、そんなふざけた事を言っているのなら丁度いいわ。その話、広げておいて頂戴」
「よろしいのですか?」
彼の表情が少し困り顔に変わる。しかし、司祭の表情は変わることがない。
「ええ、あの子が聖女だとバレるのが嫌だと思っているのなら、そのことは言わない方がいいわ。それと、勇者パーティーは無能だと言うことも関係各所に伝えておきましょう。やはり彼らでは荷が重すぎる」
「よろしいのですか?」
「勿論よ。それに、貴方としても実際にどうあれ、あの子の味方をしたいんでしょう? 仕事を抜きにしても」
「はい。我々が手伝った事とは言え、助けて頂いたことに代わりはありませんから」
「あの子はそんなことを気にするような子じゃ無いんだけどね。でも、助けてあげたいと思うならあの子を公的には死なせておきなさい。そうすれば、あそこに送らずに済む」
彼女がそう言った途端。今まで困り顔だった彼の顔が驚きに変わる。
「決定されたのですか?」
「ええ、勇者パーティーらしい振舞いもしていないし、そもそもが弱い。あの程度の連中で勝てるほど魔王は甘くないわ。それに、あの子を連れていかれたくはないでしょう?」
「……はい」
「無事に偵察を終えて帰って来られていたのなら話は少し違ったんだけど、そういう状況でもなくなったようだからね」
「その役目は?」
「当然貴方達にお願いするわ。丁度いい所にいることだしね」
「それが目的だったのでは?」
「だとしても貴方達には言う必要はないわ。ただの駒である貴方達は黙って従えばいい」
「畏まりました」
「タイミングは私が指示します。それまでは勝手に行動しないこと。話は以上よ。他のメンバーにも伝えておいて」
「はい。失礼いたします」
そう言ってその冒険者は部屋を出て行った。
それを視界の端で確認した司祭は。
「はぁ、クロエ、貴方はちゃんと自分の人生を生きるのよ……」
彼女はそう呟くと、一人で再び机に戻る。
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