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第1章 聖女は出会う

70話 フェリさんって実は……

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 建物のほとんど明かりの入ってこない部屋で、私たちは子供を寝かしつける。皆さっきまではあれだけ元気に走り回ったり物を引っ張ったり忙しかったのに、ここに連れてきてすぐにころりと寝てしまった。

「皆静かですね」
「そうですね。可愛い子達です」
「はい」
「クロエさん。疲れていませんか? 疲れているならこのまま皆と一緒に寝ていてもいいんですが」
「大丈夫ですよ。これでも体力に自信があるんです」
「……分かりました。暫くは皆このままなので、次は料理をお願いしてもいいですか?」
「勿論ですよ」
「ありがとうございます。それではこちらです」
「はい」

 彼女に案内された料理場では、多くのシスターや料理人の人が夕食の仕込みをしていた。

「仕込みを手伝えばいいんですか?」
「そうですね。でも詳しいことは料理長に聞いて頂いていいですか?」
「分かりました。フェリさんはやらないんですか?」
「私は料理長から出禁を食らっていまして、外で他の子達を見てきます」
「分かりました」

 ちょっと込み入った話だったから聞くのをやめてしまった。

 その表情が顔に出てしまったのだろうか。フェリさんが慌てて取り繕う。

「あ、違います。ここで何かやらかしたとかではなく。ここの仕事をするなら違う仕事をしろと言われているので、やっているだけです」
「ああ、そうだったんですね」
「はい、それだけですので、それでは」
「はい、また後で」

 心の中ではそれってやっぱり料理しない方がいいって言われているだけなんじゃ……と思ったが、心の中に留めておいた。

「よし」

 私は気持ちを入れ直して調理室の中を進む。

「あの、料理長はどの方ですか?」

 そして一番近場にいた人に尋ねる。

「ああ、そこにいる長い帽子を被っている人だよ」
「ありがとうございます」

 私は彼女に言われた通りの人を目指していく。

 その人は確かに長い帽子を被っていた。料理長って人はこういうのを被る趣味でもあるのかな?

  私はその後めちゃくちゃ仕込みをやらされて、気が付いたら調理も一品折角だから作ってくれと言われてしまった。

 何百人という人の分の料理は流石に作ったことがなかったので上手くいったかは分からなかったが、それでも全力で作った。夕食の時には一人吠えていたようだったし、子供たちも美味しいと言って食べてくれたので、私はとても満足する。

 孤児院で子供の世話をするのは久しぶりだけど、そこまで忘れていないようで良かった。

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