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第1章 聖女は出会う
60話 高評価
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冒険者ギルドの中に入り依頼票を見る。そこには以前狙っていたものがまだ残っていた。そしてそれを持っていつもの人の所へと向かう。
時間が遅い為か人は並んでいなかった。
「あの、これを受けたいんですけど」
「ああ、クロエちゃんね。はいはい、と。その前に前の依頼が終わってないみたいだけど、説明を聞いてもいいかな?」
「え? 依頼……。あ! 依頼達成書を貰うのを忘れていました! すいません! 今から貰ってきます!」
「それじゃあこの依頼は俺が持っておくよ。今日中には来てね」
「はい。すいません。急いで行ってきます!」
私は慌てて老婆の家に行こうとしてフリッツさんに止められる。
「フリッツさん! 私、大事な物を忘れてきてしまいました!」
「知ってる」
「今から急いで取って来ないと!」
「持ってるぞ」
「おばあさん家にいるかな。今から行ってきます!」
「持ってるって」
「それでは……何をですか?」
「依頼達成書」
「何でですか?」
「昨日お前が何か悩んでいるようだからって、あのばあさんからおれが預かったんだよ。ほい」
フリッツさんは丸められた紙を私に渡してくる。
私はそれを受け取り中を広げるとそこには満点の依頼達成書が入っていた。
「ほら、早く持っていけ」
「はい……」
私は直ぐに受付の人の所へ戻ってそれを渡す。
「早いね。もう帰ってきたのかい?」
「はい。フリッツさんが預かってくれていたみたいで。今渡してくれました」
「そうか。それじゃあ見せてくれるかな?」
「どうぞ」
私は依頼達成書を彼に渡すと彼は驚いた顔を示す。
「凄いね」
「そうですか?」
「うん。あの人はどれだけ凄い人がやっても、こんなに高評価を下してくることはないんだ。俺が見てきた中でもなかった気がするね」
「それは……」
「それは?」
「何でもありません。忘れてください」
「そうかい。でもこんな高評価なら次の依頼もちゃんとやってくれると信じてるよ。それじゃあこれは……。アンリ孤児院に行ってくれるかな。かなり大きい所だから人に聞けば分かると思うけど、依頼書の裏に場所は書いてあるから」
「分かりました」
「それじゃあよろしくね」
「はい、行ってきます」
私はそう言って行くと、フリッツさんと出る時にちらりと後ろを振り返る。彼も私を見ていたようで小さく手を振ってくれた。
時間が遅い為か人は並んでいなかった。
「あの、これを受けたいんですけど」
「ああ、クロエちゃんね。はいはい、と。その前に前の依頼が終わってないみたいだけど、説明を聞いてもいいかな?」
「え? 依頼……。あ! 依頼達成書を貰うのを忘れていました! すいません! 今から貰ってきます!」
「それじゃあこの依頼は俺が持っておくよ。今日中には来てね」
「はい。すいません。急いで行ってきます!」
私は慌てて老婆の家に行こうとしてフリッツさんに止められる。
「フリッツさん! 私、大事な物を忘れてきてしまいました!」
「知ってる」
「今から急いで取って来ないと!」
「持ってるぞ」
「おばあさん家にいるかな。今から行ってきます!」
「持ってるって」
「それでは……何をですか?」
「依頼達成書」
「何でですか?」
「昨日お前が何か悩んでいるようだからって、あのばあさんからおれが預かったんだよ。ほい」
フリッツさんは丸められた紙を私に渡してくる。
私はそれを受け取り中を広げるとそこには満点の依頼達成書が入っていた。
「ほら、早く持っていけ」
「はい……」
私は直ぐに受付の人の所へ戻ってそれを渡す。
「早いね。もう帰ってきたのかい?」
「はい。フリッツさんが預かってくれていたみたいで。今渡してくれました」
「そうか。それじゃあ見せてくれるかな?」
「どうぞ」
私は依頼達成書を彼に渡すと彼は驚いた顔を示す。
「凄いね」
「そうですか?」
「うん。あの人はどれだけ凄い人がやっても、こんなに高評価を下してくることはないんだ。俺が見てきた中でもなかった気がするね」
「それは……」
「それは?」
「何でもありません。忘れてください」
「そうかい。でもこんな高評価なら次の依頼もちゃんとやってくれると信じてるよ。それじゃあこれは……。アンリ孤児院に行ってくれるかな。かなり大きい所だから人に聞けば分かると思うけど、依頼書の裏に場所は書いてあるから」
「分かりました」
「それじゃあよろしくね」
「はい、行ってきます」
私はそう言って行くと、フリッツさんと出る時にちらりと後ろを振り返る。彼も私を見ていたようで小さく手を振ってくれた。
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