53 / 203
第1章 聖女は出会う
53話 お仕事の後
しおりを挟む
それから丸1日をかけて街中の銅像を掃除して回る。といっても今日1日で出来たのは半分ほどで、何度もやり直しを指示されながらも後半に来るほど口出しや文句も減っていった。
時間は空が赤く染まっている。
「今日はこの辺にしとくかね。また明日頼むよ」
「はい。またお家に向かわせて頂くのがいいですかね?」
「そうしとくれ」
老婆はそう言って去って行った。
「それじゃあ帰りたいところですが……」
「着替えないとな、俺もお前も」
「ですよね……」
今日の掃除をしている時にめちゃくちゃに汚れたといっても過言ではない。銅像が立っている場所は汚れやすい場所にあったりして後半になればなるほど人のいない汚されているような場所に立っていた。
何でそんな場所に立っているのだろう。という疑問はありつつも、やれと言われればやるしかない。
「それにしても意外と面白かったですね。こんな場所に銅像も立ってるんだって場所にあって秘密探検見たいで面白かったです」
「そうだったな。俺もこの街について知らなかった場所とか知れて面白かった」
フリッツさんは服を泥だらけにしながらそう言っている。
「そう言えばフリッツさん」
「なんだ?」
「汚れは全て躱すんじゃなかったんですか?」
「仕方ないだろ! 掃除している最中に水を銅像に当てるなんて反則だ」
あの老婆は私たちが銅像を拭いている最中に遠慮なく水魔法を銅像に向けてぶっぱなしていたのだ。そのお陰で掃除をするスピードは速くなったが、代償として私たちの服の汚れは加速した。
受付のあの人が汚れてもいい服を持ってこいと言っている意味が分かる。
「そのお陰で今日半分まで出来たんですし。それにこれだけやった後の食事はきっと美味しいですよ」
「そうだな。今日は何処に行こうか」
「そのことで思っていたんですが、フリッツさん。もっと好きな場所に行ってくださってもいいんですよ?」
「というと?」
「何というかもっとこう。最初の店のもっと雰囲気が暗いようなでも出てくる料理は美味い。そんな店とかに行って頂いてもいいのかなって思ってます!」
「俺に一体どういう印象を持っているんだ」
「男の冒険者ならこう……。もっと酒を持ってこい。みたいな店が好きかと思いまして」
「……よし。言ったな? それならそういう店に連れてってやろう。そこにいる連中はあれだし料理は美味いが味は濃い上に大味だ。それでもいいんだな?」
「も、勿論ですよ」
軽い気持ちで行ってみたら彼の目が本気だ。大丈夫だろうか。
時間は空が赤く染まっている。
「今日はこの辺にしとくかね。また明日頼むよ」
「はい。またお家に向かわせて頂くのがいいですかね?」
「そうしとくれ」
老婆はそう言って去って行った。
「それじゃあ帰りたいところですが……」
「着替えないとな、俺もお前も」
「ですよね……」
今日の掃除をしている時にめちゃくちゃに汚れたといっても過言ではない。銅像が立っている場所は汚れやすい場所にあったりして後半になればなるほど人のいない汚されているような場所に立っていた。
何でそんな場所に立っているのだろう。という疑問はありつつも、やれと言われればやるしかない。
「それにしても意外と面白かったですね。こんな場所に銅像も立ってるんだって場所にあって秘密探検見たいで面白かったです」
「そうだったな。俺もこの街について知らなかった場所とか知れて面白かった」
フリッツさんは服を泥だらけにしながらそう言っている。
「そう言えばフリッツさん」
「なんだ?」
「汚れは全て躱すんじゃなかったんですか?」
「仕方ないだろ! 掃除している最中に水を銅像に当てるなんて反則だ」
あの老婆は私たちが銅像を拭いている最中に遠慮なく水魔法を銅像に向けてぶっぱなしていたのだ。そのお陰で掃除をするスピードは速くなったが、代償として私たちの服の汚れは加速した。
受付のあの人が汚れてもいい服を持ってこいと言っている意味が分かる。
「そのお陰で今日半分まで出来たんですし。それにこれだけやった後の食事はきっと美味しいですよ」
「そうだな。今日は何処に行こうか」
「そのことで思っていたんですが、フリッツさん。もっと好きな場所に行ってくださってもいいんですよ?」
「というと?」
「何というかもっとこう。最初の店のもっと雰囲気が暗いようなでも出てくる料理は美味い。そんな店とかに行って頂いてもいいのかなって思ってます!」
「俺に一体どういう印象を持っているんだ」
「男の冒険者ならこう……。もっと酒を持ってこい。みたいな店が好きかと思いまして」
「……よし。言ったな? それならそういう店に連れてってやろう。そこにいる連中はあれだし料理は美味いが味は濃い上に大味だ。それでもいいんだな?」
「も、勿論ですよ」
軽い気持ちで行ってみたら彼の目が本気だ。大丈夫だろうか。
0
お気に入りに追加
1,622
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
聖女の姉が行方不明になりました
蓮沼ナノ
ファンタジー
8年前、姉が聖女の力に目覚め無理矢理王宮に連れて行かれた。取り残された家族は泣きながらも姉の幸せを願っていたが、8年後、王宮から姉が行方不明になったと聞かされる。妹のバリーは姉を探しに王都へと向かうが、王宮では元平民の姉は虐げられていたようで…聖女になった姉と田舎に残された家族の話し。
わがまま姉のせいで8歳で大聖女になってしまいました
ぺきぺき
ファンタジー
ルロワ公爵家の三女として生まれたクリスローズは聖女の素質を持ち、6歳で教会で聖女の修行を始めた。幼いながらも修行に励み、周りに応援されながら頑張っていたある日突然、大聖女をしていた10歳上の姉が『妊娠したから大聖女をやめて結婚するわ』と宣言した。
大聖女資格があったのは、その時まだ8歳だったクリスローズだけで…。
ー---
全5章、最終話まで執筆済み。
第1章 6歳の聖女
第2章 8歳の大聖女
第3章 12歳の公爵令嬢
第4章 15歳の辺境聖女
第5章 17歳の愛し子
権力のあるわがまま女に振り回されながらも健気にがんばる女の子の話を書いた…はず。
おまけの後日談投稿します(6/26)。
番外編投稿します(12/30-1/1)。
作者の別作品『人たらしヒロインは無自覚で魔法学園を改革しています』の隣の国の昔のお話です。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。
追放聖女。自由気ままに生きていく ~聖魔法?そんなの知らないのです!~
夕姫
ファンタジー
「アリーゼ=ホーリーロック。お前をカトリーナ教会の聖女の任務から破門にする。話しは以上だ。荷物をまとめてここから立ち去れこの「異端の魔女」が!」
カトリーナ教会の聖女として在籍していたアリーゼは聖女の証である「聖痕」と言う身体のどこかに刻まれている痣がなくなり、聖魔法が使えなくなってしまう。
それを同じカトリーナ教会の聖女マルセナにオイゲン大司教に密告されることで、「異端の魔女」扱いを受け教会から破門にされてしまった。そう聖魔法が使えない聖女など「いらん」と。
でもアリーゼはめげなかった。逆にそんな小さな教会の聖女ではなく、逆に世界を旅して世界の聖女になればいいのだと。そして自分を追い出したこと後悔させてやる。聖魔法?そんなの知らないのです!と。
そんなアリーゼは誰よりも「本」で培った知識が豊富だった。自分の意識の中に「世界書庫」と呼ばれる今まで読んだ本の内容を記憶する能力があり、その知識を生かし、時には人類の叡知と呼ばれる崇高な知識、熟練冒険者のようなサバイバル知識、子供が知っているような知識、そして間違った知識など……旅先の人々を助けながら冒険をしていく。そうこれは世界中の人々を助ける存在の『聖女』になるための物語。
※追放物なので多少『ざまぁ』要素はありますが、W主人公なのでタグはありません。
※基本はアリーゼ様のほのぼの旅がメインです。
※追放側のマルセナsideもよろしくです。
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
婚約破棄され、聖女を騙った罪で国外追放されました。家族も同罪だから家も取り潰すと言われたので、領民と一緒に国から出ていきます。
SHEILA
ファンタジー
ベイリンガル侯爵家唯一の姫として生まれたエレノア・ベイリンガルは、前世の記憶を持つ転生者で、侯爵領はエレノアの転生知識チートで、とんでもないことになっていた。
そんなエレノアには、本人も家族も嫌々ながら、国から強制的に婚約を結ばされた婚約者がいた。
国内で領地を持つすべての貴族が王城に集まる「豊穣の宴」の席で、エレノアは婚約者である第一王子のゲイルに、異世界から転移してきた聖女との真実の愛を見つけたからと、婚約破棄を言い渡される。
ゲイルはエレノアを聖女を騙る詐欺師だと糾弾し、エレノアには国外追放を、ベイリンガル侯爵家にはお家取り潰しを言い渡した。
お読みいただき、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる