防御魔法しか使えない聖女はいらないと勇者パーティーを追放されました～そんな私は優しい人と出会って今は幸せです

第1章 聖女は出会う

49話 依頼探し

「ランクを上げたいか？」
「え？　そうですね……最初は色んなお仕事をやってみようと思いますから、今すぐにどうこうと思ってはいません。目的はそれではないですから」
「そうか、ならざっと見て明日にでも受ける依頼を決めておくのがいいんじゃないのか？」
「明日になったら無くなっていませんかね？」
「問題ない。ここの依頼は今日の依頼から受けられなかった奴だからな。明日もまたクロエのランクだとFランクか。そのランクの討伐依頼が真っ先に持っていかれる。だからそっちに興味がないなら今のうちに探しておくのがいい。それにちゃんと受けると決まっているなら、今のうちに受けると言っておくことも可能だ」
「そうだったんですね。分かりました。でも、見ててもいいんですか？」
「気にするな。近くに居て分からないことがあったら聞いてもいい」
「ありがとうございます。では少し見ていますね」

　私はFランクや一個上まで受けられるとのことだったのでE、やGランクの辺りを重点的に調べ始めた。

(やっぱり一杯あるな～)

　私はそこら辺の依頼を見ていくが、どれもどこかの掃除をして欲しいとか、どこどこで子供の遊びを開くのでその護衛兼遊び相手になって欲しいといったものだった。

　荒くれ者が多い冒険者にこんな依頼をだして大丈夫なのか？　と思ったが、そう言ったことは受付の人が審査して危なそうな人は落とすらしく問題はないとのこと。こういう子供との遊びは出来れば私みたいな女の子の方が歓迎されるとも。

「にしても結構依頼って残っているんですね。もっと無くなっているかと思いました」

　数えた訳ではないけど、凄く残っているように感じる。それも、結構割の良さそうな物もある。

「そうだな……。普段なら無くなっているようなものもあるな……」
「ですよね」

　と、色々考えてみたけど、特に理由が分からなかったので取りあえず自分のやることにした。そして、色々見て回ったが街について知ることが出来そうな掃除の仕事と、子供の護衛兼遊び相手の仕事を選んだ。

「これにしようと思います」
「どれだ？」

　フリッツさんがチラッと依頼書を読んで一つ頷く。

「いいんじゃないか？　決まったんなら明日受ける話をしてきてもいいと思うぞ」
「気を付けることとかってありますか？」
「ああ。忘れたりするとペナルティーがある。そこは気をつけろよ」
「分かりました。それじゃあ明日はこの掃除の依頼を受けてみます。子供の方は何人いても良いそうなので、余裕はあるかと」
「そうか、それなら話してくるといい」
「はい！　行ってきます！」

　私はそう言ってさっきの受付に戻る。