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第1章 聖女は出会う
37話 レント君はすごい
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「その、お手数をおかけしてすいません」
バルドさんは起き上がるなり謝ってくる。
「俺達は何ともなかったから問題ない」
「そうですよ。それよりも大丈夫でしたか?」
かなりの勢いで蹴り飛ばされていたからそっちの方が心配だ。
「大丈夫です。問題ありません」
「うちの護衛が失礼しました」
「大丈夫だ。だが、丁度いいと思うことがあってな」
フリッツさんは私に目線を合わせてくる。しかし何が言いたいのか分からないが取りあえず頷いておく。
「丁度いいことですか?」
「この衣装のことも秘密にして欲しいが、ファティマ商会で秘密裏にケルベロスの素材を買い取って欲しい」
「え? あのケルベロスの素材をですか!?」
「討伐難易度Aランクのあの魔物を!?」
やっぱり驚かれるよね。
「とある言えないルートから入手したんだが、俺達は目立ちたくないんだ。だから買い取って欲しい」
「それは……」
レント君はいつになく真剣な表情で考えている。この前は冒険者的なことをやっていたが、本職は商人なのだろう。
それから暫く彼は悩んだ後に結論を出した。
「取りあえず状態などを見せて頂けますか?」
「ああ、これだ」
フリッツさんが大きな鞄から素材を全て取り出す。それをバルドさんが受け取り、レント君が確認してからいつの間にか敷かれている敷物の上に置いていく。その真剣な眼差しには口を挟む隙間はない。
誰も口を挟まずに彼が査定するのを見守った。
「ふぅ。一応査定が終わりました。絶対ではないですし、僕の見立てでお話してもいいですか?」
「ああ、頼む」
「とりあえず概算を、全部で金貨400枚で買い取らせて頂きたいです」
「そんなに!?」
「嘘!」
リッター村のギルさん曰く300枚位と言われていた。確かに上がると言われたがここまで上がるとは。
「そんなにおかしいですか?」
「いや、他の人に聞いた時は金貨300枚と聞いたからな」
「そうです、なんならもっと買い叩かれるかと思いました」
「この状態でそんな金額で買おうとするのは流石に……。それに打算も勿論入っていますからね」
「そうなのか?」
「ええ、少し高い値段で買い取ることで他の商会に持ち込まれることは減るでしょう? 父の商会は確かにこの街1ですが、それに胡坐をかいていては直ぐに落とされます。それにこれだけの物を買い取ることが出来れば、売ったり加工する以外にも使い道はありますので元は取れますから」
「流石商会の子だな」
「にしてもそれを考えられるのは凄いと思います」
「ありがとうございます。普段は机に齧りついてこんなことばっかりやっているので、少しは体を動かして来いって怒られてしまったんです」
「それであの時に会ったのか」
「はい。そうなります」
これだけ出来る子なのにゴブリンなんかに殺されなくてよかった。
「それで、買い取って欲しいことと、俺達の情報は一切明かさないで欲しい。頼んでもいいだろうか?」
「ダメならダメでいいんですが、一応秘密にしておく理由を聞いても?」
「それも言えない」
「分かりました。それでは交渉成立ですね」
レント君は立ち上がってスッと手を差し出してくる。
フリッツさんも立ち上がって握り返す。
「それじゃあこのままファティマ商会に行くか?」
「秘密の方がいいんじゃないんですか?」
「それとは別件でファティマ商会に届けなきゃならん荷物があるんだ。そのついでにいくだけだ」
「なるほど。それなら大丈夫ですね」
「よし、行くか」
フリッツさんは立ち上がって鞄にケルベロスの品物を仕舞い始める。そして仕舞い終わると直ぐに表通りに行こうとするので私は彼の服の背中をつまむ。
「ん? どうした?」
「あの、せめて着替えてから行きませんか?」
「あ」
ちゃんと着替えてから表通りに向かった。
バルドさんは起き上がるなり謝ってくる。
「俺達は何ともなかったから問題ない」
「そうですよ。それよりも大丈夫でしたか?」
かなりの勢いで蹴り飛ばされていたからそっちの方が心配だ。
「大丈夫です。問題ありません」
「うちの護衛が失礼しました」
「大丈夫だ。だが、丁度いいと思うことがあってな」
フリッツさんは私に目線を合わせてくる。しかし何が言いたいのか分からないが取りあえず頷いておく。
「丁度いいことですか?」
「この衣装のことも秘密にして欲しいが、ファティマ商会で秘密裏にケルベロスの素材を買い取って欲しい」
「え? あのケルベロスの素材をですか!?」
「討伐難易度Aランクのあの魔物を!?」
やっぱり驚かれるよね。
「とある言えないルートから入手したんだが、俺達は目立ちたくないんだ。だから買い取って欲しい」
「それは……」
レント君はいつになく真剣な表情で考えている。この前は冒険者的なことをやっていたが、本職は商人なのだろう。
それから暫く彼は悩んだ後に結論を出した。
「取りあえず状態などを見せて頂けますか?」
「ああ、これだ」
フリッツさんが大きな鞄から素材を全て取り出す。それをバルドさんが受け取り、レント君が確認してからいつの間にか敷かれている敷物の上に置いていく。その真剣な眼差しには口を挟む隙間はない。
誰も口を挟まずに彼が査定するのを見守った。
「ふぅ。一応査定が終わりました。絶対ではないですし、僕の見立てでお話してもいいですか?」
「ああ、頼む」
「とりあえず概算を、全部で金貨400枚で買い取らせて頂きたいです」
「そんなに!?」
「嘘!」
リッター村のギルさん曰く300枚位と言われていた。確かに上がると言われたがここまで上がるとは。
「そんなにおかしいですか?」
「いや、他の人に聞いた時は金貨300枚と聞いたからな」
「そうです、なんならもっと買い叩かれるかと思いました」
「この状態でそんな金額で買おうとするのは流石に……。それに打算も勿論入っていますからね」
「そうなのか?」
「ええ、少し高い値段で買い取ることで他の商会に持ち込まれることは減るでしょう? 父の商会は確かにこの街1ですが、それに胡坐をかいていては直ぐに落とされます。それにこれだけの物を買い取ることが出来れば、売ったり加工する以外にも使い道はありますので元は取れますから」
「流石商会の子だな」
「にしてもそれを考えられるのは凄いと思います」
「ありがとうございます。普段は机に齧りついてこんなことばっかりやっているので、少しは体を動かして来いって怒られてしまったんです」
「それであの時に会ったのか」
「はい。そうなります」
これだけ出来る子なのにゴブリンなんかに殺されなくてよかった。
「それで、買い取って欲しいことと、俺達の情報は一切明かさないで欲しい。頼んでもいいだろうか?」
「ダメならダメでいいんですが、一応秘密にしておく理由を聞いても?」
「それも言えない」
「分かりました。それでは交渉成立ですね」
レント君は立ち上がってスッと手を差し出してくる。
フリッツさんも立ち上がって握り返す。
「それじゃあこのままファティマ商会に行くか?」
「秘密の方がいいんじゃないんですか?」
「それとは別件でファティマ商会に届けなきゃならん荷物があるんだ。そのついでにいくだけだ」
「なるほど。それなら大丈夫ですね」
「よし、行くか」
フリッツさんは立ち上がって鞄にケルベロスの品物を仕舞い始める。そして仕舞い終わると直ぐに表通りに行こうとするので私は彼の服の背中をつまむ。
「ん? どうした?」
「あの、せめて着替えてから行きませんか?」
「あ」
ちゃんと着替えてから表通りに向かった。
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