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第1章 聖女は出会う
29話 秋海の小波亭?へ
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「それじゃあクロエ、また後でね」
「はい、宿で待ってます」
私は久しぶりにあった先生と話しに花を咲かせていた。それはこれもでの時間とは違った懐かしさを感じさせるものだった。
(先生は変わってなかったなぁ)
昔別れた先生のままだったことに嬉しくなってしまう。
「と、いけないけない」
太陽の位置を確認するとそろそろ3時くらい。いけない。久々だからといって話し込み過ぎた。
「急がなきゃ!」
私は走って宿まで向かう。そして途中で気付く。
「宿ってどこだっけ?」
いけない。先生との話しに夢中で宿の名前を忘れてしまった。確か……春? 夏? 秋? 冬? どれかの季節が入っていたような気がする。確か……秋? 秋だった気がする。そうだ、秋だ。秋だった。そして秋……秋……海? 確か2文字だったからそうだった気がする。秋海の小波亭そうだ。これだ。
思い出した私は直ぐ近くを歩いている人に尋ねる。
「あの、ちょっといいですか?」
「なんだい?」
話しかけた相手はちょっと太めのおばさんだったが、足を止めて聞いてくれる。
「秋海の小波亭って宿屋を探してるんですが、場所をご存じないですか?」
「その名前は……知ってるがアンタが泊まるのかい……?」
「はい。友人と待ち合わせて泊まると言っているので」
「……分かったよ。アンタがいいなら教えよう。そこの裏道があるだろ?」
「え? はい」
裏道? そんな場所の宿を選んだのかな?
「そこから進んで2つ目の曲がり角を右に行ってそれから……」
そこからある程度の道順を教えて貰った。
「私はだいたいそこら辺としか聞いてないけど、大きくは間違ってなかったはずだよ。わかんなかったらそこらへんにいる奴に聞いた方がいいかもね」
「ありがとうございます」
「達者でね」
そう言って私は別れて、おばさんに言われた道を進む。
言われた通りの道を中ほどまで進んだけれど、進めば進むほど建物はボロボロになり、家の外観は粗末な雰囲気を漂わせる。
「こんな危なそうな雰囲気の場所に宿を取ったの?」
フリッツさんがいるところに行くまでそれなりに時間がかかりそうだ。申し訳なく思いながらも進んでいると、前からガラの悪そうな3人組が歩いてくる。
私は端により避けようとするのだが、そのうちの一人が私の肩と当たった。というよりも相手が当たってきたのだ。
「す、すいません」
いつもの癖で謝ってしまう。
「ああ? ぶつかってきておいてそりゃあねえよな!」
「え? でもぶつかってきたのはそっちからで……」
「うるせえ! 謝んなら出すもんアンだろうが。分かってんじゃねえのか!? ああ?」
「そんな一方的な」
「あ? おめえよく見たらいい女じゃねえか。ちょっといいとこ行こうや。それで勘弁してやるよ」
「お、いいねえ。ちょっと行こうぜ」
「おでに料理とか作って欲しいんだな」
「この後、人と待ち合わせをしているので」
なんか今凄い濃い人いなかった?
「そんなん後でいいんだよ。それが出来ないなら金貨だよ金貨。持ってこい」
「そんな……」
お金がなくて今稼ぐ手段の事をしようと思ってたのに、あ、先生にケルベロス買い取ってもらえないか聞くの忘れた……。もしかしたらやってくれるかもしれない。
「無理なら一緒に来いや!」
彼の手が私に伸びるのを見て私は咄嗟に魔法を使う。
「プロテクト!」
「あ? 魔法か?」
「どんな魔法だ?」
「プロテクトは防御魔法に分類されるんだで。その性能はかけられた対象の体に無色の壁を張っているようなもんなんだな。これの硬さは使い手の力量によって色々変わってきて、小石をぶつけられただけで割れるものもあれば、ドラゴンのブレスも平気で耐えれるものもあったりと様々なんだべ」
やっぱ凄いのいる。
「まじかよ。じゃあ嬢ちゃんのはどうかなっと!」
肩にぶつかってきた彼が私の肩に向かって拳を振るう。しかしその手度なら1万発は耐えれるだろう。
「いってええええええ! どうなってんだこの硬さは」
「どんだけだよ。俺に任せろ」
次の奴も同じことをするが殴った場所を押さえている。
「お前もやってみろよ」
「おで? おでは魔法使いだからやらないんだな」
マジか。
「でもこれさ。攻撃せずに連れてったらいいんじゃね?」
「あったまいいーで、どうなん?」
「それは使い手次第なんだな。魔力がかなりあったら見ているおで達も大変だし、正直他のことをやる方が建設的なんだで」
「そうか、じゃあ行くか」
私にぶつからなかった2人はやる気がないようだったが、もう一人は違ったようだ。
「ふざけんな。ここまでコケにされて悔しくねえのか。俺は一人でもやってやるぜ」
「私はこれ以上手出しされなければ何もするつもりはないんですけど、そういうのはダメなんですか?」
「ぜってー許さねえぞ、てめえ」
「そうなんですか……だったら私にも考えがあります」
「な、なんだよ」
私は彼らを一睨みすると一目散に駆け出した。
「あ! てめえ!」
「逃げんなこら!」
「おでは走れないから先に行ってるんだな!」
一人だけマイペース過ぎないだろうか?
「はい、宿で待ってます」
私は久しぶりにあった先生と話しに花を咲かせていた。それはこれもでの時間とは違った懐かしさを感じさせるものだった。
(先生は変わってなかったなぁ)
昔別れた先生のままだったことに嬉しくなってしまう。
「と、いけないけない」
太陽の位置を確認するとそろそろ3時くらい。いけない。久々だからといって話し込み過ぎた。
「急がなきゃ!」
私は走って宿まで向かう。そして途中で気付く。
「宿ってどこだっけ?」
いけない。先生との話しに夢中で宿の名前を忘れてしまった。確か……春? 夏? 秋? 冬? どれかの季節が入っていたような気がする。確か……秋? 秋だった気がする。そうだ、秋だ。秋だった。そして秋……秋……海? 確か2文字だったからそうだった気がする。秋海の小波亭そうだ。これだ。
思い出した私は直ぐ近くを歩いている人に尋ねる。
「あの、ちょっといいですか?」
「なんだい?」
話しかけた相手はちょっと太めのおばさんだったが、足を止めて聞いてくれる。
「秋海の小波亭って宿屋を探してるんですが、場所をご存じないですか?」
「その名前は……知ってるがアンタが泊まるのかい……?」
「はい。友人と待ち合わせて泊まると言っているので」
「……分かったよ。アンタがいいなら教えよう。そこの裏道があるだろ?」
「え? はい」
裏道? そんな場所の宿を選んだのかな?
「そこから進んで2つ目の曲がり角を右に行ってそれから……」
そこからある程度の道順を教えて貰った。
「私はだいたいそこら辺としか聞いてないけど、大きくは間違ってなかったはずだよ。わかんなかったらそこらへんにいる奴に聞いた方がいいかもね」
「ありがとうございます」
「達者でね」
そう言って私は別れて、おばさんに言われた道を進む。
言われた通りの道を中ほどまで進んだけれど、進めば進むほど建物はボロボロになり、家の外観は粗末な雰囲気を漂わせる。
「こんな危なそうな雰囲気の場所に宿を取ったの?」
フリッツさんがいるところに行くまでそれなりに時間がかかりそうだ。申し訳なく思いながらも進んでいると、前からガラの悪そうな3人組が歩いてくる。
私は端により避けようとするのだが、そのうちの一人が私の肩と当たった。というよりも相手が当たってきたのだ。
「す、すいません」
いつもの癖で謝ってしまう。
「ああ? ぶつかってきておいてそりゃあねえよな!」
「え? でもぶつかってきたのはそっちからで……」
「うるせえ! 謝んなら出すもんアンだろうが。分かってんじゃねえのか!? ああ?」
「そんな一方的な」
「あ? おめえよく見たらいい女じゃねえか。ちょっといいとこ行こうや。それで勘弁してやるよ」
「お、いいねえ。ちょっと行こうぜ」
「おでに料理とか作って欲しいんだな」
「この後、人と待ち合わせをしているので」
なんか今凄い濃い人いなかった?
「そんなん後でいいんだよ。それが出来ないなら金貨だよ金貨。持ってこい」
「そんな……」
お金がなくて今稼ぐ手段の事をしようと思ってたのに、あ、先生にケルベロス買い取ってもらえないか聞くの忘れた……。もしかしたらやってくれるかもしれない。
「無理なら一緒に来いや!」
彼の手が私に伸びるのを見て私は咄嗟に魔法を使う。
「プロテクト!」
「あ? 魔法か?」
「どんな魔法だ?」
「プロテクトは防御魔法に分類されるんだで。その性能はかけられた対象の体に無色の壁を張っているようなもんなんだな。これの硬さは使い手の力量によって色々変わってきて、小石をぶつけられただけで割れるものもあれば、ドラゴンのブレスも平気で耐えれるものもあったりと様々なんだべ」
やっぱ凄いのいる。
「まじかよ。じゃあ嬢ちゃんのはどうかなっと!」
肩にぶつかってきた彼が私の肩に向かって拳を振るう。しかしその手度なら1万発は耐えれるだろう。
「いってええええええ! どうなってんだこの硬さは」
「どんだけだよ。俺に任せろ」
次の奴も同じことをするが殴った場所を押さえている。
「お前もやってみろよ」
「おで? おでは魔法使いだからやらないんだな」
マジか。
「でもこれさ。攻撃せずに連れてったらいいんじゃね?」
「あったまいいーで、どうなん?」
「それは使い手次第なんだな。魔力がかなりあったら見ているおで達も大変だし、正直他のことをやる方が建設的なんだで」
「そうか、じゃあ行くか」
私にぶつからなかった2人はやる気がないようだったが、もう一人は違ったようだ。
「ふざけんな。ここまでコケにされて悔しくねえのか。俺は一人でもやってやるぜ」
「私はこれ以上手出しされなければ何もするつもりはないんですけど、そういうのはダメなんですか?」
「ぜってー許さねえぞ、てめえ」
「そうなんですか……だったら私にも考えがあります」
「な、なんだよ」
私は彼らを一睨みすると一目散に駆け出した。
「あ! てめえ!」
「逃げんなこら!」
「おでは走れないから先に行ってるんだな!」
一人だけマイペース過ぎないだろうか?
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