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第1章 聖女は出会う
26話 レントとバルド
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それから数十分位経った頃に全身金属の鎧を纏った男性が現れる。彼は腰にロングソードをつけていて、その風格もかなりのものがあった。Cランクはありそうだ。
「坊ちゃん! 何処に行っていたんですか!」
私たちを見つけた彼はこちらに走ってくる。声は中年といった感じだろうか。
「いやートロルが怖くって……」
「私の側から離れるなとあれほど言ったのに。それでそちらのお2人は?」
「この2人は僕がゴブリンに襲われているところを助けてくれたんです!」
「そうなのですか!? ありがとうございました」
「偶々だからな。気にしなくてもいい」
「困ったときはお互い様です」
「そう言っていただけるとありがたい。もし何か出来る礼があるならいって欲しい」
「そうは言ってもな。今は特にないよな?」
フリッツさんが私に聞いてくるが、私としても今のところ困ったことはない。いや、あるにはあるがそれをこの人達にお願いするのもどうなのかと思う。仕事とかこれからの生活について考えなければならないのは確実だ。
「そうですね。今のところは特にないとは思います」
「そうは言っても助けて頂いたお礼をせねば私の名前に傷が付きます。私はCランク冒険者をやっているバルドという者。もし何かあれば冒険者ギルドにその名前で指名依頼をしてくだされば出来る限りの事は致します」
「バルドさんか。分かった。もし何かあった時には頼らせてもらおう」
「因みにお2人のお名前をお聞きしても?」
「俺はフリッツだ」
「私はクロエと言います」
「フリッツさんにクロエさんか。今回は本当にありがとうございました」
「ありがとうございました」
そう言いて2人で頭を下げてくる。
「気にしなくてもいい。俺達はこれでいいか?」
「はい、私は少しぼっちゃんに言わなければならないことがありますので」
「ひえ」
お付きの人の鋭い眼光がレント君に飛んだ。レント君もそれを察して怯えている。
「そ、それでは失礼しますね」
「ま、またどこかでな」
「それではー」
「あ、ありがとうございました」
レント君からの助けてという視線が飛んで来るがそれは自分で何とかしてもらいたい。私たちは道を急いだ。
2人が行った後。
「坊ちゃん、本当に気を付けてくださいよ?」
「うん……」
レントは2人が去った後をじっと見つめていた。
「坊ちゃん!」
ボーっとしているレントの頭にバルドの拳が落ちる。
ゴチン!
「ん~~~あれ? 痛くない?」
「いたたたたたた」
レントは驚いていた。バルドの拳は岩よりも硬いと評判だったが、その拳を落とされても痛くなかったのだから。
そしてバルドも自分が何を叩いたのか分からない程に硬かった。
「今のは一体?」
「分かりません……しかし、どうやったらそれだけ硬くなれるんですか……」
「そう言われても」
「はぁ、まあいいです。これだけ見晴らしのいい場所であれば不意打ちをされることもありません。少しお話といきましょうか? 商会長にも任せたと言われてるんですから」
「はい……でも見て! ゴブリン! ゴブリンの討伐部位だよ!」
レントはそう言って腰につけていた袋からゴブリンの耳が入った中を見せつける。
「そうですかそうですか。それはすごいですね」
「でしょう!?」
「それはさっきのお2人が倒したんですよね?」
「う……」
「それも含めて、お話としましょうか?」
「はい……」
見晴らしのいい草原で2人の話し合いになった。
「坊ちゃん! 何処に行っていたんですか!」
私たちを見つけた彼はこちらに走ってくる。声は中年といった感じだろうか。
「いやートロルが怖くって……」
「私の側から離れるなとあれほど言ったのに。それでそちらのお2人は?」
「この2人は僕がゴブリンに襲われているところを助けてくれたんです!」
「そうなのですか!? ありがとうございました」
「偶々だからな。気にしなくてもいい」
「困ったときはお互い様です」
「そう言っていただけるとありがたい。もし何か出来る礼があるならいって欲しい」
「そうは言ってもな。今は特にないよな?」
フリッツさんが私に聞いてくるが、私としても今のところ困ったことはない。いや、あるにはあるがそれをこの人達にお願いするのもどうなのかと思う。仕事とかこれからの生活について考えなければならないのは確実だ。
「そうですね。今のところは特にないとは思います」
「そうは言っても助けて頂いたお礼をせねば私の名前に傷が付きます。私はCランク冒険者をやっているバルドという者。もし何かあれば冒険者ギルドにその名前で指名依頼をしてくだされば出来る限りの事は致します」
「バルドさんか。分かった。もし何かあった時には頼らせてもらおう」
「因みにお2人のお名前をお聞きしても?」
「俺はフリッツだ」
「私はクロエと言います」
「フリッツさんにクロエさんか。今回は本当にありがとうございました」
「ありがとうございました」
そう言いて2人で頭を下げてくる。
「気にしなくてもいい。俺達はこれでいいか?」
「はい、私は少しぼっちゃんに言わなければならないことがありますので」
「ひえ」
お付きの人の鋭い眼光がレント君に飛んだ。レント君もそれを察して怯えている。
「そ、それでは失礼しますね」
「ま、またどこかでな」
「それではー」
「あ、ありがとうございました」
レント君からの助けてという視線が飛んで来るがそれは自分で何とかしてもらいたい。私たちは道を急いだ。
2人が行った後。
「坊ちゃん、本当に気を付けてくださいよ?」
「うん……」
レントは2人が去った後をじっと見つめていた。
「坊ちゃん!」
ボーっとしているレントの頭にバルドの拳が落ちる。
ゴチン!
「ん~~~あれ? 痛くない?」
「いたたたたたた」
レントは驚いていた。バルドの拳は岩よりも硬いと評判だったが、その拳を落とされても痛くなかったのだから。
そしてバルドも自分が何を叩いたのか分からない程に硬かった。
「今のは一体?」
「分かりません……しかし、どうやったらそれだけ硬くなれるんですか……」
「そう言われても」
「はぁ、まあいいです。これだけ見晴らしのいい場所であれば不意打ちをされることもありません。少しお話といきましょうか? 商会長にも任せたと言われてるんですから」
「はい……でも見て! ゴブリン! ゴブリンの討伐部位だよ!」
レントはそう言って腰につけていた袋からゴブリンの耳が入った中を見せつける。
「そうですかそうですか。それはすごいですね」
「でしょう!?」
「それはさっきのお2人が倒したんですよね?」
「う……」
「それも含めて、お話としましょうか?」
「はい……」
見晴らしのいい草原で2人の話し合いになった。
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