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第1章 聖女は出会う
19話 食材屋
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ケルベロスの素材については後日街に持っていくことが決まり、他の場所の案内になった。
目の前にはそこそこ大きな建物があった。中には色々な食材が積まれていてそう言った物の販売も行なっているようだ。
「ばあちゃーん。いるかー?」
「聞こえてるよー! なんだい坊主ー!」
「もうそんな年じゃねーっての!」
「アタシからしたら十分坊主だっての!」
「分かったから出てきてくれ!」
「ちょっと待ってな!」
店の奥の方からの声が終わるとじゃっじゃっっという歩く音が聞こえてくる。そして姿を表したのは腰がかなり曲がっていて、かなり小さく見える老婆だった。彼女は鼠色の服を着ていて、その上からは白のエプロンを着ていた。
「おや坊主、そちらの別嬪さんは誰じゃね?」
「それを紹介しようと思って連れて来たんだ」
フリッツに視線で促されたため自己紹介をする。
「初めまして、クロエと申します。旅のシスターとして色々な場所を歩いています」
「これはどうもご丁寧にね。アタシの家は代々この村の食材を売ってるからね。もしも欲しいものがあれば好きにいいな。勿論用意できないものもあるから絶対にとは言えないけどね」
「はい。よろしくお願いします」
「所でアンタ。こうやって挨拶に来たって事はこの村に住むつもりなのかい?」
「え?」
「え?」
「え?」
そう言われて私は分からなくなった。さっきは旅のシスターとして名乗っていたのだから、確かにここに長居する必要はないのかもしれない。というかフリッツさんに村を案内して貰っていたけどわざわざ紹介してもらう必要はあったのだろうか?
「そう言えば住むとは決めていませんでしたね……」
「え? 俺に毎日料理を作ってくれるって言ったじゃないか」
「なんだいそんな仲なのかい? 仕事を手伝ってもらおうと思っていたけど、余計なお世話だったかねぇ」
「え? えええ、ちょ、ちょっと待ってください。私は旅のシスターですので、ここに多少は滞在するかもしれませんが住むかどうかは……」
「そうだったのか?」
「そうなのかい?」
「えええ? どうしてそうなるんですか?」
何だか噛み合わない何かを感じてしまう。
「お前にはここに料理屋を開いてもらう気でいたから」
「あれ本気だったんですか!?」
「当然だろ? 冗談でそんなことは言わない」
「えええええ、ちょ、そういうことだったんですか」
「ああ」
そう言うこと? そう言うことだったのか。でもそれはどうなんだろう?
「まだ少し考えたいので待ってもらっていいですか?」
「勿論だ。お前の事を考えるなら街で店を開く方がいいかもしれないからな。その時は毎日はいけないが週に1回は行くわ」
「そんなに食べたかったんですね。というかここからダラスまでどれくらいなんですか?」
「歩いて4日位だったか? 馬なら2日位で行けるはずだ」
「それで馬もないのにどうやって食べに来るんですか」
「何とかなる。きっとな」
「根性論ですか」
確かにそういうの好きそうだけども。
「アンタたち人の家の前で痴話喧嘩は止めておきな。そうそう、家も人手が足りなくてね。もしも仕事を探してるんだったら来るといいよ」
「ありがとうございます。もしもの時はお願いさせてもらいます」
「話は終わりかい?」
「ああ、俺は彼女を紹介したかっただけだ」
「あ、その、ありがとうございました」
「はいよ。元気でね」
彼女はそう言って店の中に帰っていく。
「それじゃあ次に行くか」
「はい」
私たちはそれから村の中を回り始めた。
目の前にはそこそこ大きな建物があった。中には色々な食材が積まれていてそう言った物の販売も行なっているようだ。
「ばあちゃーん。いるかー?」
「聞こえてるよー! なんだい坊主ー!」
「もうそんな年じゃねーっての!」
「アタシからしたら十分坊主だっての!」
「分かったから出てきてくれ!」
「ちょっと待ってな!」
店の奥の方からの声が終わるとじゃっじゃっっという歩く音が聞こえてくる。そして姿を表したのは腰がかなり曲がっていて、かなり小さく見える老婆だった。彼女は鼠色の服を着ていて、その上からは白のエプロンを着ていた。
「おや坊主、そちらの別嬪さんは誰じゃね?」
「それを紹介しようと思って連れて来たんだ」
フリッツに視線で促されたため自己紹介をする。
「初めまして、クロエと申します。旅のシスターとして色々な場所を歩いています」
「これはどうもご丁寧にね。アタシの家は代々この村の食材を売ってるからね。もしも欲しいものがあれば好きにいいな。勿論用意できないものもあるから絶対にとは言えないけどね」
「はい。よろしくお願いします」
「所でアンタ。こうやって挨拶に来たって事はこの村に住むつもりなのかい?」
「え?」
「え?」
「え?」
そう言われて私は分からなくなった。さっきは旅のシスターとして名乗っていたのだから、確かにここに長居する必要はないのかもしれない。というかフリッツさんに村を案内して貰っていたけどわざわざ紹介してもらう必要はあったのだろうか?
「そう言えば住むとは決めていませんでしたね……」
「え? 俺に毎日料理を作ってくれるって言ったじゃないか」
「なんだいそんな仲なのかい? 仕事を手伝ってもらおうと思っていたけど、余計なお世話だったかねぇ」
「え? えええ、ちょ、ちょっと待ってください。私は旅のシスターですので、ここに多少は滞在するかもしれませんが住むかどうかは……」
「そうだったのか?」
「そうなのかい?」
「えええ? どうしてそうなるんですか?」
何だか噛み合わない何かを感じてしまう。
「お前にはここに料理屋を開いてもらう気でいたから」
「あれ本気だったんですか!?」
「当然だろ? 冗談でそんなことは言わない」
「えええええ、ちょ、そういうことだったんですか」
「ああ」
そう言うこと? そう言うことだったのか。でもそれはどうなんだろう?
「まだ少し考えたいので待ってもらっていいですか?」
「勿論だ。お前の事を考えるなら街で店を開く方がいいかもしれないからな。その時は毎日はいけないが週に1回は行くわ」
「そんなに食べたかったんですね。というかここからダラスまでどれくらいなんですか?」
「歩いて4日位だったか? 馬なら2日位で行けるはずだ」
「それで馬もないのにどうやって食べに来るんですか」
「何とかなる。きっとな」
「根性論ですか」
確かにそういうの好きそうだけども。
「アンタたち人の家の前で痴話喧嘩は止めておきな。そうそう、家も人手が足りなくてね。もしも仕事を探してるんだったら来るといいよ」
「ありがとうございます。もしもの時はお願いさせてもらいます」
「話は終わりかい?」
「ああ、俺は彼女を紹介したかっただけだ」
「あ、その、ありがとうございました」
「はいよ。元気でね」
彼女はそう言って店の中に帰っていく。
「それじゃあ次に行くか」
「はい」
私たちはそれから村の中を回り始めた。
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