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第1章 聖女は出会う
7話 あの人がくれた物は
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「という訳です」
「なるほど……」
私は勇者パーティであるということを黙ってありのままを話した。彼らのことはただの旅の仲間だと。
彼は私の話を聞いて眉をさっきよりも深めている。私に同情してくれているのだろうか。それとも勇者たちのように突き放すのだろうか。
「これが何か、本当に知らないんだな?」
「え? ええ」
「これは魔力片と呼ばれるものだ。そしてその効果は周囲にいる魔物を引き寄せる」
「え……」
「そしてこれはどの国でもしようが禁止されている物だ。これが大量に使用されて滅んだ街もあるくらいだからな」
「そんな物が?」
ランドは私にそんな物を渡したっていうの? 何の為に? お守りだって言ってたじゃない。
「嘘じゃない。嘘に思うならそれを持って一人でまた出掛けてみればいい。またすぐに魔物が来るぞ」
「そんな……」
そんなはずないと言いたかったが、それを否定する言葉を私は持っていなかった。こんな深い森の中で私から装備などを取り上げ、て一人別れた時に薄々気付いてはいたのだ。だけど、それをハッキリと認識するのが怖かった。だから気付かない振りをしていた。
「私、どうすれば……」
「取りあえずこれは壊す。じゃ無ければ新しい魔物がここに来てしまうかもしれない」
「分かりました。壊してください」
「分かった」
彼はそう言って剣を振るってその黒い魔力片を破壊した。
魔力片は飛び散り粉々に砕け散る。
「これでもう大丈夫だ」
「その、ありがとうございます。教えて頂いて」
「気にするな。信じていた仲間が裏切るのは辛いものがあるだろう。そっちの泉でゆっくりするといい」
「はい」
私はそう言って言われるがままに泉へ近づく。そして両手を泉の縁に,手をつき、映る自身の顔を見る。その顔は痩せこけて病人のようだ。今までパーティの雑務を全て一心に受けて、夜の見張りなどもかなりの長時間行なっていた。その影響からか肌も荒れてしまっている。自慢で手入れを欠かさなかった長い黒髪も、勇者パーティでの旅が始まってからはほとんど手入れできていなかった事を思い出す。それを示す様に毛先はボロボロだ。
院にいた時はこんなこと無かったのに、私は余程使われていたのだなと悲しくなる。
「うぅ、ひっく、うぅ」
私は自分の姿を見ながら悲しくなり、涙を流す。なぜここまでして過酷な旅に行かなければならなかったのだろうかと。
その時、背後から誰かが私を抱きしめた。
「え?」
私は驚いて振り向くとそこには真紅の髪が見えた。
「その、女性が泣いている時にどうしたらいいか分からなかった。しかし、そのままにも出来ないと思う。それで、昔良く俺も泣いていた時にこうして貰っていたからな。それで……迷惑だったか?」
「……そんなこと……ないです。でもちょっとこのままでも……いいですか?」
「あ、ああ」
私は私の肩の前で組まれる手にそっと手を当てる。その手はとても温かく安心する。会ったこともない母を思わせてくれた。
「なるほど……」
私は勇者パーティであるということを黙ってありのままを話した。彼らのことはただの旅の仲間だと。
彼は私の話を聞いて眉をさっきよりも深めている。私に同情してくれているのだろうか。それとも勇者たちのように突き放すのだろうか。
「これが何か、本当に知らないんだな?」
「え? ええ」
「これは魔力片と呼ばれるものだ。そしてその効果は周囲にいる魔物を引き寄せる」
「え……」
「そしてこれはどの国でもしようが禁止されている物だ。これが大量に使用されて滅んだ街もあるくらいだからな」
「そんな物が?」
ランドは私にそんな物を渡したっていうの? 何の為に? お守りだって言ってたじゃない。
「嘘じゃない。嘘に思うならそれを持って一人でまた出掛けてみればいい。またすぐに魔物が来るぞ」
「そんな……」
そんなはずないと言いたかったが、それを否定する言葉を私は持っていなかった。こんな深い森の中で私から装備などを取り上げ、て一人別れた時に薄々気付いてはいたのだ。だけど、それをハッキリと認識するのが怖かった。だから気付かない振りをしていた。
「私、どうすれば……」
「取りあえずこれは壊す。じゃ無ければ新しい魔物がここに来てしまうかもしれない」
「分かりました。壊してください」
「分かった」
彼はそう言って剣を振るってその黒い魔力片を破壊した。
魔力片は飛び散り粉々に砕け散る。
「これでもう大丈夫だ」
「その、ありがとうございます。教えて頂いて」
「気にするな。信じていた仲間が裏切るのは辛いものがあるだろう。そっちの泉でゆっくりするといい」
「はい」
私はそう言って言われるがままに泉へ近づく。そして両手を泉の縁に,手をつき、映る自身の顔を見る。その顔は痩せこけて病人のようだ。今までパーティの雑務を全て一心に受けて、夜の見張りなどもかなりの長時間行なっていた。その影響からか肌も荒れてしまっている。自慢で手入れを欠かさなかった長い黒髪も、勇者パーティでの旅が始まってからはほとんど手入れできていなかった事を思い出す。それを示す様に毛先はボロボロだ。
院にいた時はこんなこと無かったのに、私は余程使われていたのだなと悲しくなる。
「うぅ、ひっく、うぅ」
私は自分の姿を見ながら悲しくなり、涙を流す。なぜここまでして過酷な旅に行かなければならなかったのだろうかと。
その時、背後から誰かが私を抱きしめた。
「え?」
私は驚いて振り向くとそこには真紅の髪が見えた。
「その、女性が泣いている時にどうしたらいいか分からなかった。しかし、そのままにも出来ないと思う。それで、昔良く俺も泣いていた時にこうして貰っていたからな。それで……迷惑だったか?」
「……そんなこと……ないです。でもちょっとこのままでも……いいですか?」
「あ、ああ」
私は私の肩の前で組まれる手にそっと手を当てる。その手はとても温かく安心する。会ったこともない母を思わせてくれた。
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