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25話 目が覚めて
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ちゃぷちゃぷ……。
近くで水の音がする。
ちゃぷ……ぎゅ……ぎゅ……。
水の音と一緒に、何かを絞る音も聞こえて来る。
冷たい……。
頭の上に何か冷たい物が置かれているのが分かった。
熱い体が冷やされてとても心地よい。
私はそっと目を開けると、すぐ近くに端正な顔だちがあった。
「……?」
見知った顔だ。
見知ったというか、最近は一番よく見ていたと言っても過言ではない。
穴が開くほど見ていた顔だ。
ヴァルターが私の為にタオルを絞っていた。
その後ろにはいつもの年配のメイドがおろおろとしていたのがちょっとおかしかった。
私はそんな2人の様子を見てちょっとだけ顔がにやける。
タオルを絞った彼と目があった。
「カスミ? 起きたか?」
「はい……ヴァルター様。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「何を言うんだ。俺の命を救ってくれた人に対して迷惑だなんてあるものか」
「しかし……」
「しかしも何もない。今はゆっくりと体を休めよ。欲しい物はないか? 食べたい物は? なんでも言ってくれ。取りに行かせる」
「ありがとうございます。ですがそこまでしていただかなくても大丈夫です。それよりも、お仕事は大丈夫なのですか?」
「カスミの看病以上に大事な仕事などない」
「ヴァルター様……」
流石にそれは言い過ぎではないだろうか。
そう思ってくれることは嬉しいし、胸が高鳴る自分がいる。
しかし、王族としての仕事はこなすべきだと思う。
「ヴァルター様。カスミ殿の事はワタシ達にお任せください」
「しかし」
「しかしも何もありません。中途半端な看病の仕方を知っている者がここにいても邪魔なだけです」
「では今すぐ俺に看病に仕方を教えろ」
「ヴァルター様……」
メイドは少し呆れた様子でヴァルターを見つめる。
でも、ヴァルターは譲ることはしないようだった。
「早く教えろ、カスミが治るまではずっと看病をする。俺がしなければならないことなんだ」
「……ヴァルター様。ヴァルター様のしなければならない仕事はちゃんとあります。それに、カスミにずっと付きっきりだったではないですか。これ以上仕事を溜められては……」
「…………」
メイドにこれでもかと言われても、ヴァルターは動かない。
ちょっと頬を膨らませて抗議もしているようで、少し子供っぽくて可愛らしい。
私は、ヴァルターにお願いするように頼み込む。
「ヴァルター様。私は大丈夫ですので、どうか仕事の方をお願いします」
「しかし……」
「私が治った時に山積みの書類は許して頂きたいんです」
「むぅ……それなら……分かった……」
私の言葉を聞き、ゆっくりとだが頷いたヴァルター。
彼はゆっくりと立ち上がり、ゆっくりと部屋を出ていく。
その最中も時折私を見てくる。
もしかしたら私が意見を翻してここにいて欲しいと言うのを期待しているのだろうか。
なんていうことを思ってしまう。
パタン。
ヴァルターが部屋を出て扉が閉まり、部屋にはワタシとメイドだけになる。
彼女はそれを確認すると、私の側に近付いて来た。
そして、イスに座り頭を下げる。
「ごめんなさい」
「……なんの……ことでしょうか」
「ワタシ達は、貴方の事を疑っていました」
「……存じています」
私が暗殺者かもしれない。
そういうことだろう。
でも、そのことを疑っていたのは彼女だけではない。
パステルや、ヴァルターも確実に疑っていただろう。
「それでも謝らせて欲しい。ワタシ達にとってヴァルター様は恩人だ。そのヴァルター様に害を出すかもしれない貴方を受け入れる事はできなかった」
「でも、お世話はして頂きました」
会話をすることはなくても、必要最低限の事はしてくれたのだ。
それを怒るのは違う。
「それでも、疑っていい訳ではありません」
「本当にいいんです。だから、頭を上げて下さい」
「……」
彼女はスッと頭を上げて、私を見る。
「ヴァルター様は……素晴らしい方ですか?」
「ああ……ああ。素晴らしい方なんです。ワタシの様なおいぼれをおいていて下さるし、この屋敷で働いているのは身寄りのない者もいます。昔はそういう者を積極的に雇い入れ、教育してから他の場所に働きに行かせる事もしていました。ある時までは」
「ある時?」
その時の話になると、彼女は急に重たい表情になった。
そして、強引に話を変える。
「そうだ。ヴァルター様が言っていたけれど、本当に食べたい物はないかい? 腕によりをかけて作ってもいいし、料理長にうんと言わせてくるよ」
「そうですね……本当に特に思いつきません。好物は……ないですから」
「本当かい?」
「ええ、そう教育されましたから」
フレイアリーズでは好み……というか、好き嫌いは作らない。
それを利用されて毒を盛られる可能性があるからという理由で。
まぁ、何でも食べる事が出来るので、困った経験もないのだけれど。
「分かったよ。じゃあワタシの一番得意なアップルパイを作ろうか」
「……はい。よろしくお願いします」
「任せておきな。腕によりをかけて作るからね」
彼女は腕まくりをしてやる気を漲らせて部屋を出て行った。
私は1人残された部屋で、ゆっくりと目を瞑る。
こういう時は休むに限る。
しっかりと体を休めて早く元気になるのだ。
自分で自分にそう言い聞かせて、考えたくない事から目を逸らし続ける。
ちなみに、年配のメイドが作ったアップルパイは絶品だった。
******
ヴァルターの執務室にて。
「ヴァルター様。カスミの事。どうなさるおつもりですか?」
「分からない……でも、ネルを……簡単に忘れる事も出来ない。かといって……カスミがいなくなるのも……」
2人は何時ものようにヴァルターの執務室で話し合う。
話の話題はここ最近ではずっと話題に上がっているカスミと収穫祭での事だ。
ヴァルターとパステルはカスミを疑っていた。
しかし、長い間一緒にいるにつれて、段々暗殺者ではないのではないかと思うようになっていた。
それはカスミが献身的に働き、ヴァルターを害すような行動を一切取らなかった為だ。
勿論、そういった心理状態もカスミがフレイアリーズでの修行したことを無意識に行なっていた為というのもあるが、2人が知る由はない。
「カスミはもう白でいいでしょう。オレはもっと大分前から白だと思っていたけどね? でも、収穫祭でのあれで白所か護衛にしてもいいんじゃないですか?」
「それもいいかもしれない。だが、護衛にするということは誰が送り込んで来るか分からぬ暗殺者の盾にすることと同義だ。そんなことをさせていいのだろうか」
「何を今更。というか、それはオレだって当てはまるだろう?」
「お前は別だ。死なないと信頼している」
「そう言われたら、否定しにくいんだが……」
パステルは少し恥ずかしそうに頬をかく。
「だが、カスミは別だ。いつも鎧を着させるのは過ごしにくいだろうし、あの俊敏性を失わせることになる。それと……迷っていることがある」
「迷っている?」
「ああ、このまま維持するのか……それとも……」
「それとも?」
「あの事を話すのか」
ヴァルターは何か決意をしたような顔でどこかを見つめている。
「あのことっていうのは……ネル様の事か?」
「ああ、ネルの……俺の元婚約者のことを……カスミに話してもいいのかもしれない。と思ってな」
「そう……ですね。しかし、彼女は知っているのでは? 彼女はロンメル殿下と婚約していたのでしょう?」
「婚約はしていたが、ネルの事には箝口令が敷かれていて情報は入って来ていないはずだ。実行犯は捕まった……というよりも死んだが、指示した者はまだ捕まってはいないからな」
「未だにヴァルター様に暗殺者を送り込んで来る人を考えると、そこまで多くはないはずですが……」
「金……人脈……様々な所で蠢いていて追いきれん。確実に侯爵以上でなければ出来ないはずだ」
「尻尾を掴ませませんからね……。カスミが送られてきたのもそれかもしれないと思っていただけに拍子抜けです。カスミが来てくれた事はありがたいことですが」
「そうだな……」
ヴァルターは考える。
このままカスミを側におき続けて良いのか……と。
「と、ヴァルター様。そろそろ寝ましょう。明日にでもカスミには話すのがいいのではないですか?」
「しかし、体調はもういいのか? あれ以来メイドが入れてくれないのだ」
困っている。
とヴァルターはほとんど変わらない表情で訴えるけれど、パステルはそのことをわか
っているのか苦笑した。
「そりゃ乙女の部屋に入り浸るとか……考えて下さいよ。必要なら呼んでください」
「何を言う、そんなことをしたらカスミの体に何かあったらどうする。隣にはいつ何があってもいいように神官も置いているのだぞ?」
「まぁ……。そういう考えしか出て来ないですよねぇ……。と、いいから寝ましょう。カスミは明日にでも出てこれるとメイドから聞いていますから、今日はもう遅い」
「……そうだな。わかった」
ヴァルターはパステルに送られ、自室に帰るのだった。
近くで水の音がする。
ちゃぷ……ぎゅ……ぎゅ……。
水の音と一緒に、何かを絞る音も聞こえて来る。
冷たい……。
頭の上に何か冷たい物が置かれているのが分かった。
熱い体が冷やされてとても心地よい。
私はそっと目を開けると、すぐ近くに端正な顔だちがあった。
「……?」
見知った顔だ。
見知ったというか、最近は一番よく見ていたと言っても過言ではない。
穴が開くほど見ていた顔だ。
ヴァルターが私の為にタオルを絞っていた。
その後ろにはいつもの年配のメイドがおろおろとしていたのがちょっとおかしかった。
私はそんな2人の様子を見てちょっとだけ顔がにやける。
タオルを絞った彼と目があった。
「カスミ? 起きたか?」
「はい……ヴァルター様。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「何を言うんだ。俺の命を救ってくれた人に対して迷惑だなんてあるものか」
「しかし……」
「しかしも何もない。今はゆっくりと体を休めよ。欲しい物はないか? 食べたい物は? なんでも言ってくれ。取りに行かせる」
「ありがとうございます。ですがそこまでしていただかなくても大丈夫です。それよりも、お仕事は大丈夫なのですか?」
「カスミの看病以上に大事な仕事などない」
「ヴァルター様……」
流石にそれは言い過ぎではないだろうか。
そう思ってくれることは嬉しいし、胸が高鳴る自分がいる。
しかし、王族としての仕事はこなすべきだと思う。
「ヴァルター様。カスミ殿の事はワタシ達にお任せください」
「しかし」
「しかしも何もありません。中途半端な看病の仕方を知っている者がここにいても邪魔なだけです」
「では今すぐ俺に看病に仕方を教えろ」
「ヴァルター様……」
メイドは少し呆れた様子でヴァルターを見つめる。
でも、ヴァルターは譲ることはしないようだった。
「早く教えろ、カスミが治るまではずっと看病をする。俺がしなければならないことなんだ」
「……ヴァルター様。ヴァルター様のしなければならない仕事はちゃんとあります。それに、カスミにずっと付きっきりだったではないですか。これ以上仕事を溜められては……」
「…………」
メイドにこれでもかと言われても、ヴァルターは動かない。
ちょっと頬を膨らませて抗議もしているようで、少し子供っぽくて可愛らしい。
私は、ヴァルターにお願いするように頼み込む。
「ヴァルター様。私は大丈夫ですので、どうか仕事の方をお願いします」
「しかし……」
「私が治った時に山積みの書類は許して頂きたいんです」
「むぅ……それなら……分かった……」
私の言葉を聞き、ゆっくりとだが頷いたヴァルター。
彼はゆっくりと立ち上がり、ゆっくりと部屋を出ていく。
その最中も時折私を見てくる。
もしかしたら私が意見を翻してここにいて欲しいと言うのを期待しているのだろうか。
なんていうことを思ってしまう。
パタン。
ヴァルターが部屋を出て扉が閉まり、部屋にはワタシとメイドだけになる。
彼女はそれを確認すると、私の側に近付いて来た。
そして、イスに座り頭を下げる。
「ごめんなさい」
「……なんの……ことでしょうか」
「ワタシ達は、貴方の事を疑っていました」
「……存じています」
私が暗殺者かもしれない。
そういうことだろう。
でも、そのことを疑っていたのは彼女だけではない。
パステルや、ヴァルターも確実に疑っていただろう。
「それでも謝らせて欲しい。ワタシ達にとってヴァルター様は恩人だ。そのヴァルター様に害を出すかもしれない貴方を受け入れる事はできなかった」
「でも、お世話はして頂きました」
会話をすることはなくても、必要最低限の事はしてくれたのだ。
それを怒るのは違う。
「それでも、疑っていい訳ではありません」
「本当にいいんです。だから、頭を上げて下さい」
「……」
彼女はスッと頭を上げて、私を見る。
「ヴァルター様は……素晴らしい方ですか?」
「ああ……ああ。素晴らしい方なんです。ワタシの様なおいぼれをおいていて下さるし、この屋敷で働いているのは身寄りのない者もいます。昔はそういう者を積極的に雇い入れ、教育してから他の場所に働きに行かせる事もしていました。ある時までは」
「ある時?」
その時の話になると、彼女は急に重たい表情になった。
そして、強引に話を変える。
「そうだ。ヴァルター様が言っていたけれど、本当に食べたい物はないかい? 腕によりをかけて作ってもいいし、料理長にうんと言わせてくるよ」
「そうですね……本当に特に思いつきません。好物は……ないですから」
「本当かい?」
「ええ、そう教育されましたから」
フレイアリーズでは好み……というか、好き嫌いは作らない。
それを利用されて毒を盛られる可能性があるからという理由で。
まぁ、何でも食べる事が出来るので、困った経験もないのだけれど。
「分かったよ。じゃあワタシの一番得意なアップルパイを作ろうか」
「……はい。よろしくお願いします」
「任せておきな。腕によりをかけて作るからね」
彼女は腕まくりをしてやる気を漲らせて部屋を出て行った。
私は1人残された部屋で、ゆっくりと目を瞑る。
こういう時は休むに限る。
しっかりと体を休めて早く元気になるのだ。
自分で自分にそう言い聞かせて、考えたくない事から目を逸らし続ける。
ちなみに、年配のメイドが作ったアップルパイは絶品だった。
******
ヴァルターの執務室にて。
「ヴァルター様。カスミの事。どうなさるおつもりですか?」
「分からない……でも、ネルを……簡単に忘れる事も出来ない。かといって……カスミがいなくなるのも……」
2人は何時ものようにヴァルターの執務室で話し合う。
話の話題はここ最近ではずっと話題に上がっているカスミと収穫祭での事だ。
ヴァルターとパステルはカスミを疑っていた。
しかし、長い間一緒にいるにつれて、段々暗殺者ではないのではないかと思うようになっていた。
それはカスミが献身的に働き、ヴァルターを害すような行動を一切取らなかった為だ。
勿論、そういった心理状態もカスミがフレイアリーズでの修行したことを無意識に行なっていた為というのもあるが、2人が知る由はない。
「カスミはもう白でいいでしょう。オレはもっと大分前から白だと思っていたけどね? でも、収穫祭でのあれで白所か護衛にしてもいいんじゃないですか?」
「それもいいかもしれない。だが、護衛にするということは誰が送り込んで来るか分からぬ暗殺者の盾にすることと同義だ。そんなことをさせていいのだろうか」
「何を今更。というか、それはオレだって当てはまるだろう?」
「お前は別だ。死なないと信頼している」
「そう言われたら、否定しにくいんだが……」
パステルは少し恥ずかしそうに頬をかく。
「だが、カスミは別だ。いつも鎧を着させるのは過ごしにくいだろうし、あの俊敏性を失わせることになる。それと……迷っていることがある」
「迷っている?」
「ああ、このまま維持するのか……それとも……」
「それとも?」
「あの事を話すのか」
ヴァルターは何か決意をしたような顔でどこかを見つめている。
「あのことっていうのは……ネル様の事か?」
「ああ、ネルの……俺の元婚約者のことを……カスミに話してもいいのかもしれない。と思ってな」
「そう……ですね。しかし、彼女は知っているのでは? 彼女はロンメル殿下と婚約していたのでしょう?」
「婚約はしていたが、ネルの事には箝口令が敷かれていて情報は入って来ていないはずだ。実行犯は捕まった……というよりも死んだが、指示した者はまだ捕まってはいないからな」
「未だにヴァルター様に暗殺者を送り込んで来る人を考えると、そこまで多くはないはずですが……」
「金……人脈……様々な所で蠢いていて追いきれん。確実に侯爵以上でなければ出来ないはずだ」
「尻尾を掴ませませんからね……。カスミが送られてきたのもそれかもしれないと思っていただけに拍子抜けです。カスミが来てくれた事はありがたいことですが」
「そうだな……」
ヴァルターは考える。
このままカスミを側におき続けて良いのか……と。
「と、ヴァルター様。そろそろ寝ましょう。明日にでもカスミには話すのがいいのではないですか?」
「しかし、体調はもういいのか? あれ以来メイドが入れてくれないのだ」
困っている。
とヴァルターはほとんど変わらない表情で訴えるけれど、パステルはそのことをわか
っているのか苦笑した。
「そりゃ乙女の部屋に入り浸るとか……考えて下さいよ。必要なら呼んでください」
「何を言う、そんなことをしたらカスミの体に何かあったらどうする。隣にはいつ何があってもいいように神官も置いているのだぞ?」
「まぁ……。そういう考えしか出て来ないですよねぇ……。と、いいから寝ましょう。カスミは明日にでも出てこれるとメイドから聞いていますから、今日はもう遅い」
「……そうだな。わかった」
ヴァルターはパステルに送られ、自室に帰るのだった。
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