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16話 収穫祭へ
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その日の夜。
ヴァルターとパステルはいつもの様に2人で話をしていた。
「しかしヴァルター様。まさかカスミに入れ込んでいるとは思ってもいませんでしたよ」
「む? 何がだ?」
「ありゃ? 気付いていなかったの?」
「……」
ヴァルターは難しそうな顔をし、パステルは面白そうにヴァルターの顔を見つめる。
パステルの手には酒瓶が握られていた。
「あの腕輪を渡した時、カスミに対して笑っていたよ? オレにもあんまり見せない笑顔を」
「……」
ヴァルターが無表情ではあるが、少しどうにかなっているのか自分の顔に手を当てて本当かどうか触っている。
「今更触っても遅いよ。でもあれだけ言っていたのに護衛を頼むなんてびっくり。何かあった?」
「何がだ?」
「何がって、収穫祭にカスミを連れて行くんだろう? 俺と他の2人のどっちかにすると思っていたからさ。ま、オレはカスミは白でいいと思うけど」
カスミを護衛に連れていくのはパステルにとっては初耳だったのだ。
「考えたのだが、確かに今のあいつは白い。自分で疑われている事も知っているからかもしれないがな。だが、この屋敷もバレンティア候爵の護衛が引き抜かれてしまった。この屋敷で行動を起こされると手に負えないかもしれない」
「それは……」
先日のバレンティア候爵息子の暗殺未遂時、カスミの信頼度が上がったのもあったけれど、彼女を監視していた侯爵家の者が引き上げたというのも大きいのだ。
確かにヴァルターの身柄も大事ではあるけれど、自分の息子が一番だからだ。
「だから収穫祭にはあえて奴を護衛とする。その際、何かあった時に頼りになるのはお前だけだ。頼んだぞ」
ヴァルターはパステルの目を真っすぐに見る。
「畏まりました。殿下」
パステルはその視線に応えるかのように立派な一礼をする。
「お前だけが頼りだからな」
「だったらヴァルター様もたまには飲まれては?」
「やめておく。明日の仕事に響いては事だからな」
「左様で」
そうして日々は過ぎていきヴァルターが収穫祭に参加する日になった。
******
「これは……」
「本当に収穫祭か? というか、ここが本当に裏門の入り口なのか?」
「……レティシア」
私とヴァルター、パステルは学園に来ていた。
学園に入るには正門から入るか、学園裏にある裏門から入るかの2択しかない。
そして、私たちは警護が必要な者の為、裏門から入るように言われていたらしい。
けれど、裏門はかなりの人で混雑しているようだった。
「おい! 順番を抜かすな! 俺達は子爵家だぞ!」
「何を言う! 私たちは伯爵だ! そちらが譲るのが道理だろう!」
「なんだと!?」
「やるのか!?」
周囲では貴族同士の怒号が私たちの所にまで聞えてくる。
一体どうなっているのか。
裏門と言っても馬車が3台は通れる様にそれなりに大きく作られている。
しかし、周囲には貴族の馬車が数十台が列を作って並んでいる。
それを中に入れるように整理しているのは学園の者がまさかの1人だけなのだ。
どう考えても配置不足だろう。
というか裏門ですらこの調子なのだ。
正門は一体どうなっているのか考えたくもない。
私は護衛ということで馬車に乗せて貰っているけれど、馬車の周りを守っている騎士たちもかなり狭いらしくかなり窮屈そうにしていた。
「……帰りますか?」
私は率直に思った事を口に出していた。
ハッキリ言って入るまでにこうなっているのであれば、収穫祭の中身はどうなっているのか想像したくない。
例年であれば、ある程度数を絞った貴族やある程度の金持ちを入れて、それ以外は基本的に入れるようなことはしない。
生徒達がやるのも自分の領地で取れた物を生徒同士で販売する。
そうやって、お互いの領地ではどんな物が取れるのかを知るための機会だったりするからだ。
他にも、演劇をやったり、歌唱をしたり生徒の頑張りを見せることもあるのだけれど、それは基本的におまけで、ある程度の者が見に来る。という程度の物。
それが入る時からこれでは先が思いやられる。
正門の方はどうなっているのか。
中はどうなっているのか知りたくもない。
レティシアは大きな口だけは叩くけれど、実務関連の事は一切しなかった。
副会長等の3人も彼女を持ち上げるだけ。
中に入るとより面倒になることは確実に思われた。
「いや、行くと返事をしたのだ。せめて舞台に立ち、少しだけ挨拶をする位はしなければ申し開きが出来ん」
「そうだよ。それに、こんなに楽しそうなことになっているんなら、色々と見てみたいしね」
「……畏まりました」
ヴァルターの言い分は分かるのだけれど、パステルは本当か? と思うようなことを言っている。
正直こんな中を護衛するなんてごめんだと思うのだけれど……。
それから更に30分程待ち、私たちは中に入る事が出来た。
裏門の入場管理をしていたのは学園の生徒だろうけれど、恐らく1年生か……。
あまり慣れている感じはしなかった。
せっかくの収穫祭だろうに、彼はこのまま入場管理で終わってしまうに違いない。
(これからどうなるのやら……)
そう思っていると、中に入る事が出来たのに直ぐに止まってしまった。
「どうした? 何があった?」
パステルが御者との窓を開けて聞く。
「それが、どうも停めるところが無いらしく、どこに停めればいいのかと揉めているそうです」
「……」
私は頭を抱えてしまう。
裏門の管理をしている人が1人だった時は確かに不味いだろうとは思っていたけれど、駐車の管理をしている者にも数を割いていないとは……。
去年はここまで多くの人を入れなかったけれど、それでも、かなりこの管理に気を使ったのだ。
それなのに今年といったら……。
去年のことを思いだし、今すぐにでも帰りたくなってしまう。
でも、今はそれもできない。
主が行くといったのならいかない訳にはいかないのだから。
「あの、ヴァルター様。顔を隠すようにしてもいいでしょうか?」
「? どうしてだ?」
「あまり良くない事が起きるかもしれないので」
「詳しく話せ」
ヴァルターははっきりと言えと言っているようで私は観念して話す。
「私は去年まで生徒会として仕事をしていました。そのことはレティシア様や、他の生徒会メンバーも覚えている事でしょう。この現状を見て、もしも私を見たら彼女達は手伝え、と言って来るようにしか思えません。ですので、ヴァルター様に迷惑をかける訳にはいかないので、顔を隠しておくわけにはいかないでしょうか」
「なるほど。分かった。それでいい」
「ありがとうございます」
私は一応ということで持って来たマントを羽織る。
最近は肌寒くなって来ているので丁度いいだろう。
「それにしても進まないな……」
パステルの言葉に頷いていると、私たちの馬車に声をかけられる。
「すいません! この馬車はヴァルター第一王子様の馬車でしょうか!?」
「いかにも。その通りである」
御者との窓が開いていた為、そこから声が良く聞えてくる。
「ではこちらへどうぞ! レティシア様より特別な場所にお連れしろ。との事です!」
「なるほど。では案内をお願いする」
「はい!」
馬車が再び動き出し、私たちは揺れる中歩いていく。
「こういう所はしっかりしているんだな」
「ええ……」
自分の目をかけた者には良く扱ってくれるが、そうでない者に対する扱いは……。
私はそんなことを思い出していた。
案内された場所は、馬車が50台以上は停められる場所だった。
そして、今現在。
ここに停められている馬車は5台しかない。
「どうしてここに馬車は停められていないんだ?」
パステルは頭に? を浮かべて周りを見ている。
私がそれに答える。
「恐らくですが、レティシア……様の特別な招待客のみ停められる場所かと……」
「それは本当に?」
「去年も同じような事がありましたから……」
パステルは目を見開いて驚き、ヴァルターはスッと目を細めて周囲を見つめている。
私は去年、何とかしてこの場所を解放して、レティシアの特別枠をある程度絞ったことを思いだしていた。
今年はそれを止める者が誰もいなかったのだろう。
本当にどこにいても祟ってくれる。
私たちはそんな事を話しながらも馬車が止まり扉が開けられた。
「殿下大変お待たせいたしました」
「よい。これから頼むぞ」
「畏まりました」
私たちは降りて、案内してくれた者の指示に従って進む。
ヴァルターとパステルはいつもの様に2人で話をしていた。
「しかしヴァルター様。まさかカスミに入れ込んでいるとは思ってもいませんでしたよ」
「む? 何がだ?」
「ありゃ? 気付いていなかったの?」
「……」
ヴァルターは難しそうな顔をし、パステルは面白そうにヴァルターの顔を見つめる。
パステルの手には酒瓶が握られていた。
「あの腕輪を渡した時、カスミに対して笑っていたよ? オレにもあんまり見せない笑顔を」
「……」
ヴァルターが無表情ではあるが、少しどうにかなっているのか自分の顔に手を当てて本当かどうか触っている。
「今更触っても遅いよ。でもあれだけ言っていたのに護衛を頼むなんてびっくり。何かあった?」
「何がだ?」
「何がって、収穫祭にカスミを連れて行くんだろう? 俺と他の2人のどっちかにすると思っていたからさ。ま、オレはカスミは白でいいと思うけど」
カスミを護衛に連れていくのはパステルにとっては初耳だったのだ。
「考えたのだが、確かに今のあいつは白い。自分で疑われている事も知っているからかもしれないがな。だが、この屋敷もバレンティア候爵の護衛が引き抜かれてしまった。この屋敷で行動を起こされると手に負えないかもしれない」
「それは……」
先日のバレンティア候爵息子の暗殺未遂時、カスミの信頼度が上がったのもあったけれど、彼女を監視していた侯爵家の者が引き上げたというのも大きいのだ。
確かにヴァルターの身柄も大事ではあるけれど、自分の息子が一番だからだ。
「だから収穫祭にはあえて奴を護衛とする。その際、何かあった時に頼りになるのはお前だけだ。頼んだぞ」
ヴァルターはパステルの目を真っすぐに見る。
「畏まりました。殿下」
パステルはその視線に応えるかのように立派な一礼をする。
「お前だけが頼りだからな」
「だったらヴァルター様もたまには飲まれては?」
「やめておく。明日の仕事に響いては事だからな」
「左様で」
そうして日々は過ぎていきヴァルターが収穫祭に参加する日になった。
******
「これは……」
「本当に収穫祭か? というか、ここが本当に裏門の入り口なのか?」
「……レティシア」
私とヴァルター、パステルは学園に来ていた。
学園に入るには正門から入るか、学園裏にある裏門から入るかの2択しかない。
そして、私たちは警護が必要な者の為、裏門から入るように言われていたらしい。
けれど、裏門はかなりの人で混雑しているようだった。
「おい! 順番を抜かすな! 俺達は子爵家だぞ!」
「何を言う! 私たちは伯爵だ! そちらが譲るのが道理だろう!」
「なんだと!?」
「やるのか!?」
周囲では貴族同士の怒号が私たちの所にまで聞えてくる。
一体どうなっているのか。
裏門と言っても馬車が3台は通れる様にそれなりに大きく作られている。
しかし、周囲には貴族の馬車が数十台が列を作って並んでいる。
それを中に入れるように整理しているのは学園の者がまさかの1人だけなのだ。
どう考えても配置不足だろう。
というか裏門ですらこの調子なのだ。
正門は一体どうなっているのか考えたくもない。
私は護衛ということで馬車に乗せて貰っているけれど、馬車の周りを守っている騎士たちもかなり狭いらしくかなり窮屈そうにしていた。
「……帰りますか?」
私は率直に思った事を口に出していた。
ハッキリ言って入るまでにこうなっているのであれば、収穫祭の中身はどうなっているのか想像したくない。
例年であれば、ある程度数を絞った貴族やある程度の金持ちを入れて、それ以外は基本的に入れるようなことはしない。
生徒達がやるのも自分の領地で取れた物を生徒同士で販売する。
そうやって、お互いの領地ではどんな物が取れるのかを知るための機会だったりするからだ。
他にも、演劇をやったり、歌唱をしたり生徒の頑張りを見せることもあるのだけれど、それは基本的におまけで、ある程度の者が見に来る。という程度の物。
それが入る時からこれでは先が思いやられる。
正門の方はどうなっているのか。
中はどうなっているのか知りたくもない。
レティシアは大きな口だけは叩くけれど、実務関連の事は一切しなかった。
副会長等の3人も彼女を持ち上げるだけ。
中に入るとより面倒になることは確実に思われた。
「いや、行くと返事をしたのだ。せめて舞台に立ち、少しだけ挨拶をする位はしなければ申し開きが出来ん」
「そうだよ。それに、こんなに楽しそうなことになっているんなら、色々と見てみたいしね」
「……畏まりました」
ヴァルターの言い分は分かるのだけれど、パステルは本当か? と思うようなことを言っている。
正直こんな中を護衛するなんてごめんだと思うのだけれど……。
それから更に30分程待ち、私たちは中に入る事が出来た。
裏門の入場管理をしていたのは学園の生徒だろうけれど、恐らく1年生か……。
あまり慣れている感じはしなかった。
せっかくの収穫祭だろうに、彼はこのまま入場管理で終わってしまうに違いない。
(これからどうなるのやら……)
そう思っていると、中に入る事が出来たのに直ぐに止まってしまった。
「どうした? 何があった?」
パステルが御者との窓を開けて聞く。
「それが、どうも停めるところが無いらしく、どこに停めればいいのかと揉めているそうです」
「……」
私は頭を抱えてしまう。
裏門の管理をしている人が1人だった時は確かに不味いだろうとは思っていたけれど、駐車の管理をしている者にも数を割いていないとは……。
去年はここまで多くの人を入れなかったけれど、それでも、かなりこの管理に気を使ったのだ。
それなのに今年といったら……。
去年のことを思いだし、今すぐにでも帰りたくなってしまう。
でも、今はそれもできない。
主が行くといったのならいかない訳にはいかないのだから。
「あの、ヴァルター様。顔を隠すようにしてもいいでしょうか?」
「? どうしてだ?」
「あまり良くない事が起きるかもしれないので」
「詳しく話せ」
ヴァルターははっきりと言えと言っているようで私は観念して話す。
「私は去年まで生徒会として仕事をしていました。そのことはレティシア様や、他の生徒会メンバーも覚えている事でしょう。この現状を見て、もしも私を見たら彼女達は手伝え、と言って来るようにしか思えません。ですので、ヴァルター様に迷惑をかける訳にはいかないので、顔を隠しておくわけにはいかないでしょうか」
「なるほど。分かった。それでいい」
「ありがとうございます」
私は一応ということで持って来たマントを羽織る。
最近は肌寒くなって来ているので丁度いいだろう。
「それにしても進まないな……」
パステルの言葉に頷いていると、私たちの馬車に声をかけられる。
「すいません! この馬車はヴァルター第一王子様の馬車でしょうか!?」
「いかにも。その通りである」
御者との窓が開いていた為、そこから声が良く聞えてくる。
「ではこちらへどうぞ! レティシア様より特別な場所にお連れしろ。との事です!」
「なるほど。では案内をお願いする」
「はい!」
馬車が再び動き出し、私たちは揺れる中歩いていく。
「こういう所はしっかりしているんだな」
「ええ……」
自分の目をかけた者には良く扱ってくれるが、そうでない者に対する扱いは……。
私はそんなことを思い出していた。
案内された場所は、馬車が50台以上は停められる場所だった。
そして、今現在。
ここに停められている馬車は5台しかない。
「どうしてここに馬車は停められていないんだ?」
パステルは頭に? を浮かべて周りを見ている。
私がそれに答える。
「恐らくですが、レティシア……様の特別な招待客のみ停められる場所かと……」
「それは本当に?」
「去年も同じような事がありましたから……」
パステルは目を見開いて驚き、ヴァルターはスッと目を細めて周囲を見つめている。
私は去年、何とかしてこの場所を解放して、レティシアの特別枠をある程度絞ったことを思いだしていた。
今年はそれを止める者が誰もいなかったのだろう。
本当にどこにいても祟ってくれる。
私たちはそんな事を話しながらも馬車が止まり扉が開けられた。
「殿下大変お待たせいたしました」
「よい。これから頼むぞ」
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