11 / 44
11話 フレイアリーズの暗殺方法
しおりを挟む
昼食を食べてから数時間が経った頃、屋敷の前で騒ぎが起きる。
「来られたようだぞ」
私は気にしないようにしていたけれど、ヴァルターにそう言われてしまえば行かない訳にはいかない。
「畏まりました。私はどちらでお出迎えしましょうか」
本来であれば隣の部屋でも、物置にでも姿を見られないようにしておくべきだけれど、一緒にいろ。
ということを言われたのであれば侯爵様を出迎えに行くのか、ここで一緒に待つのか。
「一緒にいればいい」
「畏まりました」
「ただし席はそこのままでいい」
「はい」
その言葉を聞いて私は彼が何を恐れているのかを察した。
私は侯爵様がこの屋敷に来ている間に、何か他の部屋に細工をしないかということを心配しているのだと思った。
侯爵様がいれば、それだけここに戦力を裂かなければいけなくなる。
しかしそうなると私につけている監視の目も緩めなければいけない。
それは出来ないので、侯爵様と一緒に守りつつも監視をしてしまおう。
ということに違いない。
私は出来る限り目立たないようにすることに決めた。
暫くすると部屋に人々が入ってくる。
前にいるのは黒の髪をオールバックにして、ぴしりと貴族の服を着こなしている男性。
そして、金髪で紫の瞳をもち、皺ひとつない服をまとった同じくらいの年齢の女性だ。
彼らの後ろには護衛の騎士や執事にメイドが付き従っている。
ヴァルターが立ち上がり彼らを出迎えた。
「ようこそいらっしゃいました。バレンティア侯爵殿」
「こちらこそお忙しい所を来て申し訳ない。ヴァルター殿下」
「その様な事はありません。いつでもお越し下さい」
いつもより少し明るい顔のヴァルターを見て、少し驚く。
彼の側で仕事を始めて2週間以上が経つけれど、今まであの様な姿を見たことは一度として無かった。
勿論、今ですらちょっと表情が動いている。
という程度だけれど、確実に動いていると分かる。
ヴァルターと侯爵は当たり障りのないことを話し、最近の近況等を話しあっている。
私は彼らの会話から漏れ出る情報を一切聞き逃すまいと集中していた。
そんなことをしていたらいつの間にか時間が来ていたのか、年配のメイドが来ていた。
「殿下。お食事の用意が完了しています」
「なるほど。では続きは食事をしながらでも」
「おお、丁度空腹に耐えかねていた所でしてな。ありがたい」
「腕によりをかけて作らせていますので、心行くまでご堪能下さい」
皆が移動した所で、私に話しかけてくる人がいた。
「カスミ。俺達も移動するぞ」
「パステル様?」
「どうした。秘書で側にいろと言われただろうが」
「そうですが……。私が行ってもいいのでしょうか?」
「何が問題なの?」
「奴隷の私が一緒に行くのは……その……。よろしくないのかと。それに食事の所ではより不味い事もありましょう」
「フレイアリーズ家には一緒の食事中に毒物でも仕込む技でもあるっていうの?」
パステルは冗談めかしてそう言ってくる。
「はい。ございます」
私の返答は想像していなかったのか、少し驚いた様な顔をしているのが印象的だった。
「それは……本当?」
「はい。暗殺を出来る好機は一瞬たりとも見逃せませんので」
「でもそれを自分から言うってことはやらないっていうことじゃない?」
「……そのつもりですが、貴方がたにどう映るのかは分かっているつもりです」
暗殺出来る者が側にいるだけでも恐ろしいだろう。
「そう言ってくれるだけでも少しは信用出来るよ。最近は君の仕事ぶりも凄いし、ヴァルターと本当に秘書としてもいいんじゃないのか。っていうことを話しているんだ」
「それは……ありがとうございます」
「うん。確かにフレイアリーズ家の暗殺の技術は心配ではあるけれど、首輪で傷つける事も出来ないからね。というか、毒を盛るのはそれに入るからね。分かっているよね?」
「はい。当然です」
私は間髪入れずに答えると、彼は安心したように笑ってくれる。
私が毒を盛ることが傷つけることになると認識しているのであれば、もしそんなことをしようとしたら激痛で動けなくなると安心しているのだろう。
でも、私にはそんなものは関係ない。
既に首輪の効力は失われているのだから。
「良かった。殿下はやっぱり君の事を疑っていてね。でも、俺はそんなことないって言ってたんだけど」
「仕方ありません。私はフレイアリーズ。その名前の意味を分からない程ではありませんから」
「……」
真っ当な貴族なら近付きたくない存在。
それがフレイアリーズ家だ。
だから生徒会には入っていても、友人が出来る事は無かった。
そんな生活になるからこそ、身内の存在は重たい。
アキ……。
「辛いかもしれないけれど、きっとヴァルター様から認められて普通に生活出来るようになるから。それまでの辛抱だよ」
「はい。お心遣いありがとうございます」
私は彼に頭を下げる。
自分の事をそうやって信じてくれる。と言うのであれば、素直に受け取っておこうと思う。
ヴァルターを殺す時に少しは反応がおくれるかもしれないから。
「それじゃあ行こうか。あ、因みにどうやって毒を入れるの? ちょっと知りたいんだけど」
私たちは歩きながらその毒殺方法について話す。
といっても大した事はない。
「物を落とした振りをしてしゃがみ込み、その時にテーブルの下からグラスに毒を入れるだけです」
「え? テーブルの下からってどうやって?」
「鋭い専用の器具を使います。ここにはないので出来ませんが、テーブルごとグラスを貫きその隙間から入れるのです」
「でも、それだと液体が零れるんじゃない?」
「毒物を入れると同時に引き抜く時に穴を塞ぐものを入れます。それを使えば造作もなく……」
簡単に言っているけれど、テーブルの下からグラスを貫く技術と、対象をしっかりと狙う技術が必要になる中々に難易度が高い物ではある。
「それって、見分ける方法ってあるの?」
「大きな揺れがないのにグラスの中身が揺れたらお気をつけ下さい。と言っても、ワイングラス等でしたら余程の物でない限り大丈夫ですよ。問題は普通のグラスを使っている方ですね」
「普通のグラス?」
「はい。子供等です。彼らは騒がしくアルコールも飲みません。更に、日常的に動き回っていて、グラスが揺れても不自然ではないくらいには動くのです。先ほどの技術もその時に使われる事の方が多いので」
「それは……話して良かったの?」
「フレイアリーズは私と幾人かしか残っていないと聞きましたから。どうせなくなる技術です。構わないかと」
「……ありがとう。急ごうか」
「はい」
私は彼に自分の知っている技術を伝える。
これで少しでも信用してくれるのならば安い物。
それどころか、特殊な道具が無ければ出来ないこの暗殺方法は今回はハッキリ言って使う事はない。
であれば、この話をしてもなんら問題はない。
そう思う。
私は、彼に続いて食堂へと向かった。
「来られたようだぞ」
私は気にしないようにしていたけれど、ヴァルターにそう言われてしまえば行かない訳にはいかない。
「畏まりました。私はどちらでお出迎えしましょうか」
本来であれば隣の部屋でも、物置にでも姿を見られないようにしておくべきだけれど、一緒にいろ。
ということを言われたのであれば侯爵様を出迎えに行くのか、ここで一緒に待つのか。
「一緒にいればいい」
「畏まりました」
「ただし席はそこのままでいい」
「はい」
その言葉を聞いて私は彼が何を恐れているのかを察した。
私は侯爵様がこの屋敷に来ている間に、何か他の部屋に細工をしないかということを心配しているのだと思った。
侯爵様がいれば、それだけここに戦力を裂かなければいけなくなる。
しかしそうなると私につけている監視の目も緩めなければいけない。
それは出来ないので、侯爵様と一緒に守りつつも監視をしてしまおう。
ということに違いない。
私は出来る限り目立たないようにすることに決めた。
暫くすると部屋に人々が入ってくる。
前にいるのは黒の髪をオールバックにして、ぴしりと貴族の服を着こなしている男性。
そして、金髪で紫の瞳をもち、皺ひとつない服をまとった同じくらいの年齢の女性だ。
彼らの後ろには護衛の騎士や執事にメイドが付き従っている。
ヴァルターが立ち上がり彼らを出迎えた。
「ようこそいらっしゃいました。バレンティア侯爵殿」
「こちらこそお忙しい所を来て申し訳ない。ヴァルター殿下」
「その様な事はありません。いつでもお越し下さい」
いつもより少し明るい顔のヴァルターを見て、少し驚く。
彼の側で仕事を始めて2週間以上が経つけれど、今まであの様な姿を見たことは一度として無かった。
勿論、今ですらちょっと表情が動いている。
という程度だけれど、確実に動いていると分かる。
ヴァルターと侯爵は当たり障りのないことを話し、最近の近況等を話しあっている。
私は彼らの会話から漏れ出る情報を一切聞き逃すまいと集中していた。
そんなことをしていたらいつの間にか時間が来ていたのか、年配のメイドが来ていた。
「殿下。お食事の用意が完了しています」
「なるほど。では続きは食事をしながらでも」
「おお、丁度空腹に耐えかねていた所でしてな。ありがたい」
「腕によりをかけて作らせていますので、心行くまでご堪能下さい」
皆が移動した所で、私に話しかけてくる人がいた。
「カスミ。俺達も移動するぞ」
「パステル様?」
「どうした。秘書で側にいろと言われただろうが」
「そうですが……。私が行ってもいいのでしょうか?」
「何が問題なの?」
「奴隷の私が一緒に行くのは……その……。よろしくないのかと。それに食事の所ではより不味い事もありましょう」
「フレイアリーズ家には一緒の食事中に毒物でも仕込む技でもあるっていうの?」
パステルは冗談めかしてそう言ってくる。
「はい。ございます」
私の返答は想像していなかったのか、少し驚いた様な顔をしているのが印象的だった。
「それは……本当?」
「はい。暗殺を出来る好機は一瞬たりとも見逃せませんので」
「でもそれを自分から言うってことはやらないっていうことじゃない?」
「……そのつもりですが、貴方がたにどう映るのかは分かっているつもりです」
暗殺出来る者が側にいるだけでも恐ろしいだろう。
「そう言ってくれるだけでも少しは信用出来るよ。最近は君の仕事ぶりも凄いし、ヴァルターと本当に秘書としてもいいんじゃないのか。っていうことを話しているんだ」
「それは……ありがとうございます」
「うん。確かにフレイアリーズ家の暗殺の技術は心配ではあるけれど、首輪で傷つける事も出来ないからね。というか、毒を盛るのはそれに入るからね。分かっているよね?」
「はい。当然です」
私は間髪入れずに答えると、彼は安心したように笑ってくれる。
私が毒を盛ることが傷つけることになると認識しているのであれば、もしそんなことをしようとしたら激痛で動けなくなると安心しているのだろう。
でも、私にはそんなものは関係ない。
既に首輪の効力は失われているのだから。
「良かった。殿下はやっぱり君の事を疑っていてね。でも、俺はそんなことないって言ってたんだけど」
「仕方ありません。私はフレイアリーズ。その名前の意味を分からない程ではありませんから」
「……」
真っ当な貴族なら近付きたくない存在。
それがフレイアリーズ家だ。
だから生徒会には入っていても、友人が出来る事は無かった。
そんな生活になるからこそ、身内の存在は重たい。
アキ……。
「辛いかもしれないけれど、きっとヴァルター様から認められて普通に生活出来るようになるから。それまでの辛抱だよ」
「はい。お心遣いありがとうございます」
私は彼に頭を下げる。
自分の事をそうやって信じてくれる。と言うのであれば、素直に受け取っておこうと思う。
ヴァルターを殺す時に少しは反応がおくれるかもしれないから。
「それじゃあ行こうか。あ、因みにどうやって毒を入れるの? ちょっと知りたいんだけど」
私たちは歩きながらその毒殺方法について話す。
といっても大した事はない。
「物を落とした振りをしてしゃがみ込み、その時にテーブルの下からグラスに毒を入れるだけです」
「え? テーブルの下からってどうやって?」
「鋭い専用の器具を使います。ここにはないので出来ませんが、テーブルごとグラスを貫きその隙間から入れるのです」
「でも、それだと液体が零れるんじゃない?」
「毒物を入れると同時に引き抜く時に穴を塞ぐものを入れます。それを使えば造作もなく……」
簡単に言っているけれど、テーブルの下からグラスを貫く技術と、対象をしっかりと狙う技術が必要になる中々に難易度が高い物ではある。
「それって、見分ける方法ってあるの?」
「大きな揺れがないのにグラスの中身が揺れたらお気をつけ下さい。と言っても、ワイングラス等でしたら余程の物でない限り大丈夫ですよ。問題は普通のグラスを使っている方ですね」
「普通のグラス?」
「はい。子供等です。彼らは騒がしくアルコールも飲みません。更に、日常的に動き回っていて、グラスが揺れても不自然ではないくらいには動くのです。先ほどの技術もその時に使われる事の方が多いので」
「それは……話して良かったの?」
「フレイアリーズは私と幾人かしか残っていないと聞きましたから。どうせなくなる技術です。構わないかと」
「……ありがとう。急ごうか」
「はい」
私は彼に自分の知っている技術を伝える。
これで少しでも信用してくれるのならば安い物。
それどころか、特殊な道具が無ければ出来ないこの暗殺方法は今回はハッキリ言って使う事はない。
であれば、この話をしてもなんら問題はない。
そう思う。
私は、彼に続いて食堂へと向かった。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです
じじ
恋愛
「あんな女、金だけのためさ」
アリアナ=ゾーイはその日、初めて婚約者のハンゼ公爵の本音を知った。
金銭だけが目的の結婚。それを知った私が泣いて暮らすとでも?おあいにくさま。あなたに恋した少女は、あなたの本音を聞いた瞬間消え去ったわ。
私が金づるにしか見えないのなら、お望み通りあなたのためにお金を用意しますわ…ただし、利子付きで。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄で命拾いした令嬢のお話 ~本当に助かりましたわ~
華音 楓
恋愛
シャルロット・フォン・ヴァーチュレストは婚約披露宴当日、謂れのない咎により結婚破棄を通達された。
突如襲い来る隣国からの8万の侵略軍。
襲撃を受ける元婚約者の領地。
ヴァーチュレスト家もまた存亡の危機に!!
そんな数奇な運命をたどる女性の物語。
いざ開幕!!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
悪役令嬢ってこれでよかったかしら?
砂山一座
恋愛
第二王子の婚約者、テレジアは、悪役令嬢役を任されたようだ。
場に合わせるのが得意な令嬢は、婚約者の王子に、場の流れに、ヒロインの要求に、流されまくっていく。
全11部 完結しました。
サクッと読める悪役令嬢(役)。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。
香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。
皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。
さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。
しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。
それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
完結 婚約破棄は都合が良すぎる戯言
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子の心が離れたと気づいたのはいつだったか。
婚姻直前にも拘わらず、すっかり冷えた関係。いまでは王太子は堂々と愛人を侍らせていた。
愛人を側妃として置きたいと切望する、だがそれは継承権に抵触する事だと王に叱責され叶わない。
絶望した彼は「いっそのこと市井に下ってしまおうか」と思い悩む……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる