5 / 44
5話 ヴァルター
しおりを挟む
「降りるぞ」
女騎士がそう言って立ち上がる。彼女は私を見て、先に降りろと目で促してきた。
私は大人しく従い馬車を降りると、眩しい太陽の光に目を細めた。
「止まるな」
「……」
私はゆっくりと歩き出す。少し時間が経てば目も慣れてきて、周囲の景色が目に入ってくる。
ここは貴族街の中心部。警備が最も厚く、屋敷を構えている人も侯爵の爵位以上だ。宮殿の様な屋敷しかなく、私の目の前にそびえ立つ屋敷も真っ白で隅々まで手入れが行き届いているのか美術品の様な建物だ。
鉄柵の前には2人の兵士が立っていて、私をじっと見つめている。警戒しているのだろう。
私は目から生気を消し、悲嘆にくれた奴隷を装う。
「行け」
「……」
私は背中を丸め、俯きながら歩く。ただ言われるままに歩くだけ。そう。指示された事は何でもやる奴隷。今はそれを体に染みわたらせておかなければならない。
目的はヴァルダーを殺すこと。少しも怪しまれないように、出来る限りの事を何でもする。
兵士が私をじっと見つめているのが分かるけれど、何もせずにその視線を受け入れる。少しすると、兵士が何も言わずに門を開けた。
私の前には男の騎士が2人。後ろには女騎士が1人と、男の騎士が3人。全員が私に注意を払っている。
門の中は綺麗に整備された庭園が拡がっていた。
色とりどりの花々がそこかしこに咲き乱れ、見る者の目を楽しませる。
私はそれを見て落胆した。
綺麗な花はあるけれど、毒物に使えそうな草木は存在しない。
もしかしたらと思ったけれどないのでは仕方ない。
屋敷に到着すると3階建ての非常に大きな屋敷だ。
高価な窓ガラスもハメられており、財力の高さが分かる。
と言ってもこの国の第1王子の屋敷だ。
当然ではあるかもしれない。
「ようこそ、クラッツィオ公爵家の方々」
濃い緑色の髪のを持つ、軽薄そうな顔つきの体格のいい騎士が出迎えてくれた。
屋敷の中だと言うのに全身白銀の鎧で固めていて、剣も直ぐに取れるように体も警戒している様だった。
彼の言葉に返すのは、私たちの先頭にいた騎士だ。
「……我々はただの奴隷商の護衛だ。それ以上でもそれ以下でもない」
「そうですか、ではこちらへ」
出迎えてくれた彼の案内で、屋敷の中に入っていく。
屋敷の中は綺麗に手入れされているけれど、物自体はほとんどおいていない。
調度品があったとしても、花瓶とか、額縁に入った花の絵画等しかおいていなかった。
王子の屋敷なのにこれほど質素なのは信じられない。
物は持たない主義なのだろうか。
それとも別の理由があるのだろうか。
それに、屋敷の中にいる使用人の数が相当少ない。
これだけの人数でこの屋敷を回しているのは中々に手が回らないはず。
1人考えながら歩く。
階段を2つ登り、私達はとある部屋に到着する。
軽薄そうな騎士は振り返り、私達に向かって話す。
「さて、奴隷商の方々はここまででよろしいですか? ここからは奴隷とワタシだけで入ります」
「……しかし」
「貴方がたは公爵家と何も関係ない。そうおっしゃいましたよね? であれば、王太子の前に出ることは不敬だと思いますが?」
軽薄そうだと思ったけれど彼の目は笑っておらず、じっと騎士の事を見つめている。
その声も軽そうなのに中に重たい芯の様な物が入っている様に感じた。
騎士も観念したのか了承の首を縦に振る。
「畏まりました。では我々はこれで失礼させて頂きます」
「ええ、それでは」
騎士達はそれだけ言うと私を置いて全員帰っていく。
帰り道は当然の様に知っているのか案内も要らないようだ。
流石にそういう訳にはいかず、近くにいた屋敷の騎士が後ろからついて行っているが。
「中に入るぞ」
屋敷の彼は部屋の扉を開けて中に入った。
私もゆっくりと部屋の中に入る。
頭を俯かせ垂れて来た髪の隙間から室内の様子を伺う。
部屋は貴族にしては豪華、王太子にしては質素。
奥の大きな窓からは光がこれでもかと差し込み、部屋の中を照らしている。
奥から執務机、その手前には向かい合うように置かれたソファとその間には低いローテーブルが。
手前は着替えたりする為かクローゼット等が置いてある。
執務机の上には書類が山の様に置かれていて、その中に花瓶にささった一本の黄色いガーベラが目を引いた。
バタン。
私が部屋の中に入りきって立ち止まると、騎士によって扉が締められた。
「殿下。お連れしました」
騎士が少し嫌そうに部屋の中にいる殿下、恐らく私のターゲットであるヴァルダーに声をかけた。
書類の向こう側がむくりを盛り上がったと思うと、一人の青年が私の事をじっと穴が開くほど見ているのが分かった。
暫くそうしていると、彼は立ち上がってソファに座った。
「もう少し近くに来い」
殿下……ヴァルダーから発せられたのだろう。
透き通るような女の私が聞いても綺麗な声をしている。
「殿下」
「良い」
「……」
騎士が止めるのも構わずに彼は私をじっと見つめている。
私は暫くそのままにしていた。
「来い」
「……」
私は騎士が何も言わないのを待って、ゆっくりと彼に近付いていく。
今は彼を少しでも観察する時。近くに騎士もいるうえ、武器になる物がない。
締め技で殺すにしても、手が塞がっているし、後ろの騎士もいる。
すぐさま首を刎ね飛ばされるだろう。
「……」
ゆっくり、いつ止まれと言われても言い様に近付いて行くのだけれど、中々止まれと言われない。
どうしてだろうか。
そして、彼の、ヴァルダーまで後3歩といった所まで来る。
「止まれ」
ピタリ。
私はすぐさま止まった。
「顔を上げろ」
ゆっくりと顔を上げ、ヴァルダーの顔を私も見る。
彼は空の様な水色の髪で、目は綺麗な金色の瞳。
整った顔だちは昔に見た面影が残っているけれど、今は無表情でピクリともしない。
昔は良く笑う人だったはず。
ということを思い出すけれど、会わなくなってから時間がある。
もしかしたら何かあったのかもしれない。
「久しいな? カスミ」
「……お久しぶりでございます。ヴァルダー殿下」
私は再び頭を下げる。
「どうしてこんなことになったかは知っているな?」
「……」
「どうした? 知っているからこんなことになったと思っていたが?」
「……我が……一族が……ヴァルダー殿下を……暗殺しようと試みたからです」
私は振り絞って言う。
絶対にしていない。
絶対に、絶対に。確信しているけれど、この場でそれを言っても信じて貰えないだろう。
だから私は歯を食いしばって言う。
「そうか、ではどうしてこうして奴隷として俺の前にいるか分かるな?」
「……私の体。お好きにしてください」
私は何でも良かった。
ここで彼に拷問をされようが、おもちゃにされようが、少なくとも生きていられるのであればチャンスはある。
今の所は出来るだけ従順に行動して、彼や彼の騎士からの信頼を得なければならない。
「……まずは奴隷の首輪からだ。パステル」
「はい」
後ろの騎士がじゃらりと何かを持って私の側に近付いて来る。
私は動じない。
どうせこの首輪の効力はすぐに切れる。
であれば、嘘をつくなと言われたりしても問題はない。
パステルと呼ばれた騎士はじゃらりと鳴らす物、長い鎖のついた首輪をヴァルダーに渡した。
「本当にいいのですか?」
「ああ、構わない」
そう言ってヴァルダーは首輪を受け取り立ち上がった。
そのまま私の後ろに回り込む。
女騎士がそう言って立ち上がる。彼女は私を見て、先に降りろと目で促してきた。
私は大人しく従い馬車を降りると、眩しい太陽の光に目を細めた。
「止まるな」
「……」
私はゆっくりと歩き出す。少し時間が経てば目も慣れてきて、周囲の景色が目に入ってくる。
ここは貴族街の中心部。警備が最も厚く、屋敷を構えている人も侯爵の爵位以上だ。宮殿の様な屋敷しかなく、私の目の前にそびえ立つ屋敷も真っ白で隅々まで手入れが行き届いているのか美術品の様な建物だ。
鉄柵の前には2人の兵士が立っていて、私をじっと見つめている。警戒しているのだろう。
私は目から生気を消し、悲嘆にくれた奴隷を装う。
「行け」
「……」
私は背中を丸め、俯きながら歩く。ただ言われるままに歩くだけ。そう。指示された事は何でもやる奴隷。今はそれを体に染みわたらせておかなければならない。
目的はヴァルダーを殺すこと。少しも怪しまれないように、出来る限りの事を何でもする。
兵士が私をじっと見つめているのが分かるけれど、何もせずにその視線を受け入れる。少しすると、兵士が何も言わずに門を開けた。
私の前には男の騎士が2人。後ろには女騎士が1人と、男の騎士が3人。全員が私に注意を払っている。
門の中は綺麗に整備された庭園が拡がっていた。
色とりどりの花々がそこかしこに咲き乱れ、見る者の目を楽しませる。
私はそれを見て落胆した。
綺麗な花はあるけれど、毒物に使えそうな草木は存在しない。
もしかしたらと思ったけれどないのでは仕方ない。
屋敷に到着すると3階建ての非常に大きな屋敷だ。
高価な窓ガラスもハメられており、財力の高さが分かる。
と言ってもこの国の第1王子の屋敷だ。
当然ではあるかもしれない。
「ようこそ、クラッツィオ公爵家の方々」
濃い緑色の髪のを持つ、軽薄そうな顔つきの体格のいい騎士が出迎えてくれた。
屋敷の中だと言うのに全身白銀の鎧で固めていて、剣も直ぐに取れるように体も警戒している様だった。
彼の言葉に返すのは、私たちの先頭にいた騎士だ。
「……我々はただの奴隷商の護衛だ。それ以上でもそれ以下でもない」
「そうですか、ではこちらへ」
出迎えてくれた彼の案内で、屋敷の中に入っていく。
屋敷の中は綺麗に手入れされているけれど、物自体はほとんどおいていない。
調度品があったとしても、花瓶とか、額縁に入った花の絵画等しかおいていなかった。
王子の屋敷なのにこれほど質素なのは信じられない。
物は持たない主義なのだろうか。
それとも別の理由があるのだろうか。
それに、屋敷の中にいる使用人の数が相当少ない。
これだけの人数でこの屋敷を回しているのは中々に手が回らないはず。
1人考えながら歩く。
階段を2つ登り、私達はとある部屋に到着する。
軽薄そうな騎士は振り返り、私達に向かって話す。
「さて、奴隷商の方々はここまででよろしいですか? ここからは奴隷とワタシだけで入ります」
「……しかし」
「貴方がたは公爵家と何も関係ない。そうおっしゃいましたよね? であれば、王太子の前に出ることは不敬だと思いますが?」
軽薄そうだと思ったけれど彼の目は笑っておらず、じっと騎士の事を見つめている。
その声も軽そうなのに中に重たい芯の様な物が入っている様に感じた。
騎士も観念したのか了承の首を縦に振る。
「畏まりました。では我々はこれで失礼させて頂きます」
「ええ、それでは」
騎士達はそれだけ言うと私を置いて全員帰っていく。
帰り道は当然の様に知っているのか案内も要らないようだ。
流石にそういう訳にはいかず、近くにいた屋敷の騎士が後ろからついて行っているが。
「中に入るぞ」
屋敷の彼は部屋の扉を開けて中に入った。
私もゆっくりと部屋の中に入る。
頭を俯かせ垂れて来た髪の隙間から室内の様子を伺う。
部屋は貴族にしては豪華、王太子にしては質素。
奥の大きな窓からは光がこれでもかと差し込み、部屋の中を照らしている。
奥から執務机、その手前には向かい合うように置かれたソファとその間には低いローテーブルが。
手前は着替えたりする為かクローゼット等が置いてある。
執務机の上には書類が山の様に置かれていて、その中に花瓶にささった一本の黄色いガーベラが目を引いた。
バタン。
私が部屋の中に入りきって立ち止まると、騎士によって扉が締められた。
「殿下。お連れしました」
騎士が少し嫌そうに部屋の中にいる殿下、恐らく私のターゲットであるヴァルダーに声をかけた。
書類の向こう側がむくりを盛り上がったと思うと、一人の青年が私の事をじっと穴が開くほど見ているのが分かった。
暫くそうしていると、彼は立ち上がってソファに座った。
「もう少し近くに来い」
殿下……ヴァルダーから発せられたのだろう。
透き通るような女の私が聞いても綺麗な声をしている。
「殿下」
「良い」
「……」
騎士が止めるのも構わずに彼は私をじっと見つめている。
私は暫くそのままにしていた。
「来い」
「……」
私は騎士が何も言わないのを待って、ゆっくりと彼に近付いていく。
今は彼を少しでも観察する時。近くに騎士もいるうえ、武器になる物がない。
締め技で殺すにしても、手が塞がっているし、後ろの騎士もいる。
すぐさま首を刎ね飛ばされるだろう。
「……」
ゆっくり、いつ止まれと言われても言い様に近付いて行くのだけれど、中々止まれと言われない。
どうしてだろうか。
そして、彼の、ヴァルダーまで後3歩といった所まで来る。
「止まれ」
ピタリ。
私はすぐさま止まった。
「顔を上げろ」
ゆっくりと顔を上げ、ヴァルダーの顔を私も見る。
彼は空の様な水色の髪で、目は綺麗な金色の瞳。
整った顔だちは昔に見た面影が残っているけれど、今は無表情でピクリともしない。
昔は良く笑う人だったはず。
ということを思い出すけれど、会わなくなってから時間がある。
もしかしたら何かあったのかもしれない。
「久しいな? カスミ」
「……お久しぶりでございます。ヴァルダー殿下」
私は再び頭を下げる。
「どうしてこんなことになったかは知っているな?」
「……」
「どうした? 知っているからこんなことになったと思っていたが?」
「……我が……一族が……ヴァルダー殿下を……暗殺しようと試みたからです」
私は振り絞って言う。
絶対にしていない。
絶対に、絶対に。確信しているけれど、この場でそれを言っても信じて貰えないだろう。
だから私は歯を食いしばって言う。
「そうか、ではどうしてこうして奴隷として俺の前にいるか分かるな?」
「……私の体。お好きにしてください」
私は何でも良かった。
ここで彼に拷問をされようが、おもちゃにされようが、少なくとも生きていられるのであればチャンスはある。
今の所は出来るだけ従順に行動して、彼や彼の騎士からの信頼を得なければならない。
「……まずは奴隷の首輪からだ。パステル」
「はい」
後ろの騎士がじゃらりと何かを持って私の側に近付いて来る。
私は動じない。
どうせこの首輪の効力はすぐに切れる。
であれば、嘘をつくなと言われたりしても問題はない。
パステルと呼ばれた騎士はじゃらりと鳴らす物、長い鎖のついた首輪をヴァルダーに渡した。
「本当にいいのですか?」
「ああ、構わない」
そう言ってヴァルダーは首輪を受け取り立ち上がった。
そのまま私の後ろに回り込む。
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
拝啓、私を追い出した皆様 いかがお過ごしですか?私はとても幸せです。
香木あかり
恋愛
拝啓、懐かしのお父様、お母様、妹のアニー
私を追い出してから、一年が経ちましたね。いかがお過ごしでしょうか。私は元気です。
治癒の能力を持つローザは、家業に全く役に立たないという理由で家族に疎まれていた。妹アニーの占いで、ローザを追い出せば家業が上手くいくという結果が出たため、家族に家から追い出されてしまう。
隣国で暮らし始めたローザは、実家の商売敵であるフランツの病気を治癒し、それがきっかけで結婚する。フランツに溺愛されながら幸せに暮らすローザは、実家にある手紙を送るのだった。
※複数サイトにて掲載中です
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
貴方の愛人を屋敷に連れて来られても困ります。それより大事なお話がありますわ。
もふっとしたクリームパン
恋愛
「早速だけど、カレンに子供が出来たんだ」
隣に居る座ったままの栗色の髪と青い眼の女性を示し、ジャンは笑顔で勝手に話しだす。
「離れには子供部屋がないから、こっちの屋敷に移りたいんだ。部屋はたくさん空いてるんだろ? どうせだから、僕もカレンもこれからこの屋敷で暮らすよ」
三年間通った学園を無事に卒業して、辺境に帰ってきたディアナ・モンド。モンド辺境伯の娘である彼女の元に辺境伯の敷地内にある離れに住んでいたジャン・ボクスがやって来る。
ドレスは淑女の鎧、扇子は盾、言葉を剣にして。正々堂々と迎え入れて差し上げましょう。
妊娠した愛人を連れて私に会いに来た、無法者をね。
本編九話+オマケで完結します。*2021/06/30一部内容変更あり。カクヨム様でも投稿しています。
随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。
拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる