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2巻

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「エミリオ。私が君に教えることはもうない。だから、私がいない間は、今までの復習と、回復魔法ではない普通の魔法の練習をすると良い。そちらもある程度使えておいて損はないからね」
「分かりました。でも、回復魔法の練習もちゃんとやります」
「ああ、そうだな」

 先生はそう言って僕に笑いかける。その後に、少しだけ真剣な表情になった。

「それと、これから私が中央に行く理由は知っているか?」
「え? それは……分からないです」
「そうか、ならば教えてやろう。私が今まで中央に手紙を送っていたことを知っているか?」
「はい。覚えています」
「その相手は私の回復魔法の師匠ししょうでね。彼に、エミリオへ病の治し方を教えてほしいと思っているんだ。でも……その相手は手紙をよく放置するような人間で、全く返事をしてくれないんだ。だから、直接会って説得してこようと思う」

 先生の師匠……どんな人か想像もできないけど、すごい人なんだろう。

「僕のためにそこまで……ありがとうございます」
「問題ない。師匠は中央の学院で研究に人生をささげているからな。君の力を教えたらきっとすぐに来てくれる」
「はい、ありがとうございます!」
「それと、中央には君に渡したい物もある。土産みやげとして持って帰ってくるから、楽しみにしていてくれ」
「はい、先生がくださるのであれば、きっと素晴らしい物ですよね! でも、先生からはもらってばかりなので少し申し訳ないです……」
「気にするな。いずれ渡さなければならない物だからな」
「分かりました。楽しみにしています」

 何をくれるんだろう? これまでも十分もらったのに、これ以上いただけるなんて。

「先生、ありがとうございます。先生に出会えなかったら、僕は今頃どうなっていたか……」
「何を言う。君であれば、私がいなくてもきっと回復魔法を習得できただろう。それでは私はこれで失礼するよ」
「はい、ありがとうございます」

 先生はそれから軽く手を上げて、ロベルト兄さん達が乗っている馬車に乗る。

「行っちゃうんだね……」

 そんな皆の姿を見ながら、リーナが僕の服のすそにぎる。
 僕達家族は今までずっと一緒にいた。多少離れることはあったけれど、こうやって、長い間別れることはなかった。だから、リーナはさみしがっているのだろう。

「リーナ。大丈夫。みんなすぐに帰ってくるから」
「うん……」

 リーナは僕を強く抱きめる。僕はそれを笑って受け入れた。

「出発!」

 母さんに怒られて疲弊ひへいした様子の父さんが口を開いて出発を宣言する。
 ヴィーが乗った馬車もその言葉に合わせて進み出す。
 僕は、彼らが屋敷から見えなくなるまで見送り続けた。
 そして彼らの姿が見えなくなって数分、僕は大切な妹に声をかける。

「リーナ……そろそろ屋敷に戻ろうか」


 ******


 父さん達が中央に向けてった翌日、僕は父さんの執務室しつむしつに来ていた。そこでは母さんが仕事をしている。

「母さん、僕、新しい魔法を覚えたいんだけど」

 僕は執務席に座って仕事をする母に頼み込む。

「エミリオ……どうしたの? 急に」
「マスラン先生に、先生が中央に行っている間、普通の魔法の練習もしておくように、って言われたんだ。だから、魔法が使える母さんに頼もうかと思って」
「マスラン先生からは習っておかなかったの?」
「先生が使える魔法は火魔法で、それしか教えられないらしいんだ。慣れない魔法を使って、屋敷が燃えたら大変でしょ? だから、習わなかったんだ」
「そうね、それは良い判断だわ。では早速あなたの部屋に行きましょう」
「うん」


 それから二人で僕の部屋に移動して、僕がベッド、母さんがその近くのイスに座った。
 二人とも準備ができたところで母さんが口を開く。

「それじゃあ魔法を教えるけれど……正直なことを言うわよ?」
「うん。どうしたの?」
「私、魔法がそこまで得意じゃないから、今から教えようと思っている魔法が成功するか怪しいの。それに、旦那様が残した仕事も残っている。だから……その……私が教えるのは、一時間までにしたいと思うわ。分かった?」
「うん、分かった」
「助かるわ、エミリオ」

 それから母さんは少し考えて、説明を始めた。

「これから教える魔法は、一般的な防御魔法よ。消費魔力も多くないし、足場にもできて、結構使い方が多い魔法でもある。だから、覚えておいて損はないわ」
「分かった」
「魔法の名前は『氷板操作アイスボードコントロール』。その名の通り氷の板を作るものよ。単なる板だから簡単に壊されるけど、発動が早くて使い勝手が良いっていうメリットもあるわ。一度使ってみるわね」
「お願い」

 それから母さんは目を閉じて、呪文の詠唱を始める。

「氷よ、板と成り我が意に従え。『氷板操作アイスボードコントロール』」

 ………………母さんが詠唱しても何も起こらない。

「母さん。今のはしっぱ……」
「エミリオ」
「はい」

 母さんは、目は真剣なまま口元だけ笑顔にしている。
 なんだろう。どこか恐ろしい気がする。

「言っておくわよ? 魔法を使うことはとても難しいの。ミスなく使える人っていうのは、専門にしている魔法使いとか、研究者とか、冒険者だけなの。良い?」
「う、うん」
「分かったわね? 私は貴族としてやらないといけないことがあって忙しいから、上手くいかないのよ。基礎きその魔法でも、使わないと忘れてしまうもの。習った魔法は、忘れないようにできれば毎日使いなさい? 良い?」
「わ、分かったよ」
「それで良いわ」

 母さんはそれだけ言うと、難しいらしい魔法を何回も使い始めた。
 それから三十分が経過した頃、母さんの目の前にうすい氷のまくのようなものができた。

「綺麗だね……」

 僕は思わずその氷の膜に目を奪われる。それは触れれば簡単に壊れてしまいそうなほどに薄い。
 僕はそれをじっくりと観察する。反対側はけて見えるが、手を近付けてみると冷たさを感じる。なるほど、やっぱり氷ではあるらしい。
 しかし、一分も経たない間にそれはパリンと音を立ててくずれた。

「あ……」

 もっと観察していたかったのに。でも、大体はコツは分かったような気がする。お礼を言おうと思って母さんを見ると――

「ハァ……ハァ……ゼィ……ゼィ……」

 と息を切らしていて、今にも倒れそうなほどだった。顔中から汗をかき、太ももに手をおいてなんとか体勢を保っている。

「母さん……大丈夫?」
「ハァ……ハァ、も、問題ないわ。これくらい。どうってことない。でも、……そうね。仕事もあるし、今日のところはこれくらいで良い?」
「う、うん。ごめんね。大変な時にお願いしちゃって」
「良いのよ。魔法は難しい。ということを分かってくれれば良いの」
「ありがとう母さん」
「ええ、それじゃあね」

 母さんはそう言うと姿勢を直して、部屋から出て行こうとする。

(私も魔法の練習しないと、エミリオに教えられないわ……)
「何か言った?」
「ううん! 何も言っていないわ。それじゃあ気を付けて魔法を使うのよ」
「ありがとう、母さん」

 母さんはそれだけ言って、自分の仕事に戻って行った。
 僕は、先ほど母さんが使った魔法を想像し、発動させる。

「氷よ、板と成り我が意に従え。『氷板操作アイスボードコントロール』」

 想像するのは、とても薄く、触れただけでも割れてしまいそうな氷。
 先ほど母さんがやって見せてくれた物を頭の中で作り、詠唱をして、体の奥から必要な魔力を引っ張り出す。少し魔力が持って行かれる感覚を味わい、目を開く。
 目を開くとベッドの上には、母さんが作ったような綺麗な氷の膜ができていた。

「良かった……できた……」

 母さんが難しいと言っていた魔法が成功して、僕は喜びを隠せなかった。
 でも、それで満足してはいけない。なぜなら、できることが当たり前で、失敗してはならないというマスラン先生の教えを、心の中に持ち続けているからだ。
 僕は目の前にある氷の膜を少し叩く。
 ――パリン。

「あ……」

 すると薄い氷はあっさりと崩れ去ってしまった。成功はしたけれど、これはあまり実用的ではない。この魔法は防御魔法だと母さんは言っていたはずなのに。

「防御魔法なら……もっと厚くした方が良いのかな?」

 僕はそう考えて、もう少し厚い氷を想像して、再び魔法を使う。

「氷よ、板と成り我が意に従え。『氷板操作アイスボードコントロール』」

 新しく作ったのは、十センチメートルにもなるかという厚さの氷の壁だ。
 魔法が成功した僕は、気分をよくしてそれを叩いてみる。
 コンコン。

「うん。硬い。これなら兄さんも守れたのかな……」

 今更少し前のことを思い出す。

「そうだ。それならこんなので満足していたらダメだ。もっと薄く、もっと硬いのを作り出さないと。兄さんもヴィーも守れない」

 それから僕の試行錯誤しこうさくごが始まった。

「とりあえずの課題は硬く、薄くだ。これをできるだけ意識してみよう」

 それぞれの課題には理由がある。
 硬くするのは単純に防御力を上げるためだ。
 手でちょっと触っただけで壊れるのと、軽くなぐりつけないと壊れないのでは雲泥うんでいの差がある。
 そして薄くするのは、使いやすさを上げるためだ。
 僕は基本的に屋敷にいる。もしもこの前みたいな襲撃があったら、さっきのような分厚い物では、逃げる時に不利になってしまうかもしれない。だからできるだけ薄く作れるようにしておくのだ。
 もちろん、慣れないうちはとりあえず薄さよりも、硬さを優先して考える。

「よし。まずは何回か使って、今のままで成功させるようにしよう」

 頭の中で分厚く硬い氷の板を想像し、それを百回やって百回成功するように練習する。マスラン先生の教えである、『基礎を固める』ということが必要だと思ったからだ。
 そして、百回の連続成功は難なくクリアし、僕は次の練習に向かう。ちなみに、生成した氷の板は屋敷の庭に積み上げてある。もちろん、庭に人がいないことは確認済みだ。

「まずは……込める魔力の量を多くしてみよう」

 形は分厚いままの想定で、詠唱も一緒。ただし、込める魔力の量を先ほどの倍にしてみる。

「氷よ、板と成り我が意に従え。『氷板操作アイスボードコントロール』」

 今回も魔法は完成し、想像通りの魔法が完成する。

「良し。良いじゃないか……あ」

 僕はそこで間違いに気が付く。

「さっきより硬いのか分かんないなぁ……」

 僕はずっと同じ分厚さの氷の板を作っていた。だから、魔力を込めたことで硬さがどう変わったのか分からないのだ。

「やっちゃったなぁ。でも、次は分かりやすい奴を作ろう」

 気持ちを切り替える。次こそは絶対に良い物を作れるはずだ。
 そう考えて、今度は母さんが作っていた薄さと同じ物を作る。

「これで、軽く叩いて壊れなかったら大丈夫だな」

 コンコン。

「やった! 壊れなかった!」

 考えていた通り、今までより魔力を多く込めれば、硬さも向上することが分かった。
 僕はこれからはもっともっと魔法を使う練習をして、より硬く、より薄い物を作ろうと決めた。

「そうと決まったらどんどんやらないと」

 僕はさっきまでずっとやっていたように、魔法で作った氷の板を窓の外に積み上げていく。
 コンコン。

「はい?」

 新しい物を作ろうとしていたら、部屋のドアがノックされた。
 一体誰だろうか?

「あの……失礼します」
「チェルシー。どうしたの?」

 部屋に入ってきたメイドのチェルシーが少し言いにくそうに口を開く。

「エミリオ様。屋敷の中に氷の板を積み上げるのはやめていただけないでしょうか……」
「あ……」

 僕が外を見ると、僕の部屋から景色が見えなくなるくらいに板が積まれていた。


 ******


 母さんに魔法を習ってから五日。
 僕はあれからいろいろな魔法の練習をずっとしていた。
 自分で病を治すのはとても高等な技術だ。それを習得するのには、魔法の鍛錬はいくらやってもやりすぎるということはない。ただ、どんな魔法を練習すれば、自分の病を治すことに近付けるのか……それはマスラン先生も詳しいことは分からないという。
 でも、できることはしようと思い、いつものように魔法の練習を始めようとしたところで、扉が叩かれた。

「どうぞ」
「失礼します」

 そう言って入ってきたのはチェルシーだった。

「どうしたの?」
「奥様が至急しきゅう来るように……と」
「分かった。チェルシーに付いて行けば良い?」
「はい。よろしくお願いします」

 僕がチェルシーに付いて行った先は、ヴィーが滞在した時に使っていた来客用の部屋だった。

「ここ?」
「はい。お客様がお見えです」
「分かった」

 僕は姿勢を正して扉をノックする。
 中から返事があったので礼儀を忘れないように背筋を伸ばして入ると、そこには母と、冒険者らしき格好をした四人組がいた。
 リーダーだろうか、比較的軽装の男の人がソファに座り、他の人達はソファの後ろに立っている。そして、後ろの全員がかなりの量の荷物を持っていた。
 僕が母さんを見ると、母さんは隣に座るように目線で言ってきた。なので、僕は母さんの隣に腰を降ろして口を開く。

「失礼します。えっと……」
「こちらはBランク冒険者の【彼方かなたへの祝福しゅくふく】の皆さんよ」

 母さんが紹介すると、彼らは揃って頭を下げる。

「お初にお目にかかります」

 彼らにそう言われて、僕は貴族としてしっかりと返答しなければいけないことを思い出す。

「こちらこそ、僕は……」

 僕が名乗ろうとすると、母さんに手を握られて止められた。
 それを正しいと言うように、冒険者の人達が慌てて話し始める。

「そんなにかしこまらないでください。我々はただ荷物を急いで運ぶように、そう言われてきただけなんです」
「荷物?」
「はい。エミリオ様に直接お渡しするように……そう言われましたので」

 リーダーに促され、後ろの三人が荷物を目の前のテーブルに置き始めた。彼らがそれらを開封すると、たくさんの本とよく分からない物が出てきた。

「これは……」
「こちらが目録もくろくになります。ご確認を」
「はぁ……」

 母さんは、差し出された目録と品物を確認する。

「……確かにあるみたいですね」
「ではこの依頼書にサインをお願いします」
「分かりました」

 母さんがサインをしている間、僕が訳が分からずに品物を見ていると、リーダーらしき人が僕に手紙を差し出してくる。

「エミリオ様ですね? 依頼主より、本人に渡せ、そう言われております。受け取っていただけますか?」

 そう言ってくるリーダーさんに、母さんが聞く。

「あの……これはどちらの方からでしょうか? こんなにたくさん……一体いくらかかるのか……」
「ああ、それはご心配に及びません。この品物はゴルーニ侯爵家長女、ヴィクトリア様からの依頼です。そして、代金は既にお支払い済みです」
「ヴィーが?」

 僕は思わず聞いてしまう。

「ヴィー……? ああ、ヴィクトリア様のことですね。手紙に書いてあるのかもしれませんが……詳しいことは何も」
「ああ、そうですよね。失礼しました」

 彼らは単なる運び屋ということか。僕は頭を下げる。

「いえ、では依頼は完了したのでこれで失礼します」
「ありがとうございます」

 母さんが礼を言って、リーダーさんに依頼書を渡した。すると彼らもお辞儀をして口を開く。

「いえいえ、こちらこそ大分稼がせていただきました。これからもよろしくお願いします。何かを届ける際は我々【彼方への祝福】にお任せを」
「何かを届けるのが依頼のメインなのですか?」

 僕は気になったことを聞いてみる。

「戦闘ができないわけではありませんが、そういう依頼の方が安全ですので。メンバーは皆スピードに自信があります。お急ぎの依頼は是非お願いします」

 リーダーさんはそう言って、母さんから受け取った依頼書を確認してから、メンバーと一緒に部屋から出て行った。
 僕は母さんと目を見合わせる。

「これ……どうしよう」
「まずは……手紙を読んでみたら?」
「そうだね……」

 母さんにそう言われて、僕はヴィーからの手紙を開く。
 そこには、流石侯爵家、と思わされることが書かれていた。


 エミリオ、お元気ですか? 私はエミリオに会えなくて寂しいです。あと、ロベルトが近くにいないか怖くて困っています……という冗談はさておき、王都に向かうまでの道中で、エミリオのためになるかもしれない物をささやかながら購入しておいたので送っておきます。
 そこにある本は全て病に関する物や、病を治すための指南本です。マスラン殿に選んでいただいたので、間違いはないかと思います。
 それと、体に気を付けていただきたいので、健康に良さそうな物も少しだけ一緒に送っておきます。それでは、また会える時を楽しみにしています。             ヴィー


 ヴィーの手紙を読み終えた僕は、母さんの方を向く。

「ささやかながら……って書いてあるけど……」
「エミリオ。これだけあったら何ができるのか分かりますか?」

 母さんに言われて僕は机の上の物を見る。
 病に関するという本は二十冊くらいはあるだろうか。他にも、何かよく分からない真っ黒なかたまりや、くすんだ細長い赤い何か、そんな物がたくさん送られてきている。正直言って、全く見当が付かない。

「分かりません」
「私の見立てが正しければ、ここにある物だけでこの屋敷が建ちます」
「嘘でしょ?」

 僕は思わず目を丸くする。

「いえ、本当です。我々が住んでいるこの屋敷は、金貨三百枚くらいで建てましたから」
「金貨三百枚……それってどれくらいの価値だっけ……」
「ああ、そっちの教育はまだでしたね。金貨一枚で、普通の平民であれば父、母、子供二人の四人家族が一ヶ月ほどつつましく暮らせます」
「そんな物が三百枚分も……でも……ヴィーはささやかだって……」
「それはあなたが気にしないようにでしょう。この黒い塊はBランクの魔物、グリズリーベアのきもで、安くても金貨五十枚はします。そしてこの細長いのは獄虫火草ごくちゅうかそう。火山で死んだ虫に極稀ごくまれ寄生きせいする植物ですね。こちらは金貨七十枚でしょうか? それぞれ体力を増幅させたり、魔力を一時的に増やすと言われる、べらぼうに高い品です」

 母さんが早口で品物について説明してくれた。
 僕はそんな母さんの口から出た耳慣れない単語を、思わず聞き返してしまう。

「べらぼう……?」
「なぜそっちに反応するのですか? まぁ良いです。これを売ればかなりの金額になりますが、流石にそれはやめておきましょう。贈り物ですからね」

 母さんの口調が変なのは、これだけ高価な物に囲まれているからかもしれない。母さんの目が金貨になっている錯覚さっかくすらしてくる。

「ただ……普通に保管するには少し難しいですね。私の方で処置をしておきます」
「お願い。僕には保管方法とか分からないから……それよりも、この本を読んでも良い?」

 僕としては、病の治療のための本が是非とも読みたい。体調も今は良いからね。

「良いけれど……きっと難しいですよ?」
「分からないところがあったら聞いても良い?」
「ええ、構いませんよ」

 母さんはそう言って笑いかけてくれた。

「それでは、誰かメイドを呼びましょう。本を運んでもらいます。サシャが良いかしらね」
「え、でも、これだけの量だよ。かなり重いんじゃ」
「サシャなら問題ありません」

 それから母さんはサシャを呼び、サシャは本当に、たった一度で二十冊もの本を全て僕の部屋に運んだ。

「これで終わりですか?」

 そう聞いてくるサシャに、僕はお礼を言う。


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