上 下
128 / 129
6章

139話 次の目的とお別れ

しおりを挟む

「エミリオ。おれは……あいつを……先ほど見た竜を……倒せないと思っている」

 師匠は僕にそう言ってくる。

 でも、当然そんな言葉を受け入れることはできない。

「そんな! そんなこと! なんでそんなことを言うんですか! 僕が……僕がどんな気持ちで!」

 絶対に治療すると、僕自身の手で治療すると決めて、師匠も、僕ならできるかもしれない。
 そう言ってくれたのに……。
 それなのにどうしてそんなことを言うんだろうか。

 師匠は、いつもの口調で話す。

「知っているとは言わん。だが、嘘を教えても前には進まんだろう? それとも、できないと思っていることを、できると言って安心させてほしかったのか?」
「それは……」
「なぜおれが奴を、竜を倒せないと言ったのか分かるか?」
「え? それは……竜は……とても強いです。英雄等の強い人でなければ勝てないから……ではないのですか?」
「違う」

 僕の答えに、師匠は断言する。

「いいか? 別に竜と言ってもあれは本物ではない。知能があるわけでも、力があるわけでもない。だが、場所が問題なんだ」
「場所……?」
「そう。あそこは脳の中。重要な場所の更に奥の奥だ。そんな場所で戦闘をしたらどうなると思う?」
「それは……」

 魔法が間違って当たってしまったらそれだけで取り返しがつかないことになる。
 それ以外にも、敵の攻撃を僕が避けてもそうなってしまうかもしれない。

「僕の脳が大変なことになると思います」
「そうだ。だからあそこで倒す事はできない。そう言ったのだ」
「……」

 なら……諦めるしかないのか……。
 そう思っていると、師匠が話を続ける。

「だが、不幸中の幸いな事がある」
「不幸中の幸い?」
「この国には、おれの他に特級回復術師が後2人いるな?」
「はい」
「そのうちの1人は脳の研究を重点的にやっている。そして、彼の力があれば……この問題を解決できるかもしれない」
「じゃあ……」
「ああ、今のままでは倒せない。だが、他の者の力を借りれば、何とかできるかもしれない。しかも、『水の解析ウォーターアナライズ』でお前の体を調べたが、おれが異常を感じるのは脳のその部分だけだ。だから……それを倒すことができれば、お前は……」
「……」

 師匠の言葉はとても……うれしく、僕をやる気にさせるものだった。

「はい! 僕は……僕は僕自身を治療して、自由に生きる!」
「ああ……そうしよう。それじゃあ、今日にでも行くぞ」
「いきなりじゃないですか!?」
「急いだほうがいい。なんとなく……だがな」
「? 分かりました」

 それからは僕達は次の街に向かうことになった。

「よし、それじゃあ……」

 コンコン

 行こうと言いかけていた師匠の言葉は、部屋をノックされる音で止められる。

「誰だ?」
「俺です。ロベルトです。エミリオに別れのあいさつをしに来ました」
「なに? 入れ」
「失礼します」

 そう言って入って来たのはロベルト兄さんと、ヴィーだった。

「ヴィー!? どうしてここに!?」
「それは簡単ですよ。ロベルトが勉強を放り出して王都から出て行ったと聞いたので、連れ戻しにきたんです」
「放り出して……?」

 僕は兄さんの方を見ると、兄さんは目をさまよわせながら答える。

「ち、違う……ぞ? ちょっと……これから……舞踏会に出る……必要があるからな……? その練習がてら……ということもある訳だ」
「そうだったんだ。流石に兄さん」

 やっぱり……ヴィーがすごいとはいっても、兄さんも考えなしに行動する訳がない。

「へぇ……私が聞いた情報によると……色んな女性と仲良くしていたようですが?」
「べ、別にやましいことはしていない! ただ話していただけだ! それに、誘われたら断れない事だってあるだろう!?」
「ではどん表情だったか……フィーネ殿にお話ししておきますね。バルトラン領で警戒して下さっているのに……ねぇ?」
「……すいません。俺が悪かったです。言わないでください」
「まぁ、これくらいでいいでしょう。という訳で、これからロベルトと共に王都に戻ります。本当はもう少しお話したいんですが……」
「ですから孤児院に行くくらいはいいのではと……すいません」

 兄さんはヴィーの鋭い視線で黙り込んだ。

 兄さんは孤児院に行きたくなるという理由は分かる。
 兄さんもずっと孤児院に行っていて、みんなと仲良くなったから。
 それを思えば、一緒にあいさつだけはさせてもらえないだろうか。

「ねぇ、ヴィー」
「なんでしょう?」
「その……ちょっとだけ……一緒に孤児院にきてくれない? 僕も……少し話したいこともあるし」
「……しょうがありません。今回だけですよ」
「うん! ありがとうヴィー!」
「……もう……ちょっとズルではありませんか?」
「なに?」
「な、何でもありません!」

 途中、ヴィーが小声で話していて、聞き取れなかった。
 でも、ヴィーはちょっと怒っているのか顔を赤くして首を振る。

 それから一緒に孤児院へと向かう。
 ただ、師匠は用事がないということで3人で向かった。
 他にもシオンさんや少数の護衛の当然いる。

 孤児院へ到着すると、いつもの様にジェシカが飛び出して来た。

「きょうこそ……にがさない……」
「ジェシカ!」

 兄さんとジェシカが遊んでいる間に、僕はアンディと話す。

「アンディ。今日は……ちょっと言わないといけない事がある」
「もしかして……おわかれ?」
「知ってたの……?」
「なんとなく……」
「そう……その通り。僕は……今日にでもこの街を出ることになると思う。だから……お別れを言いに来たんだ」
「……もっと……まほうを……ならいたかった。もっと……いっしょにいたかった」
「アンディ……」

 彼はうつむいていて、声はとてもか細い。
 でも、彼は目の端に涙を浮かべながらも言ってくる。

「でも! エミリオにいはしないといけないこと……あるんだよね?」
「……うん。僕が……絶対に……命をかけてもやらないといけない事があるんだ」

 今でこそそれなりに元気になったけれど、未だに魔法をかけていないとその体力はかなり低い。
 アンディと力の勝負をしても、きっと……すぐに負けてしまうことだろう。
 僕は……やらなければならないことがあるんだ。

 アンディは僕の言葉を聞くと、抱きついてくる。

「アンディ?」
「また……ボクにまほうをおしえてね。エミリオにいが……がんばっているあいだに、ボクも……がんばるから」
「うん。ありがとう。アンディ」

 僕は彼の頭をなでる。
 それが終わると、彼は笑顔になって僕から離れた。

「またね。きっと……きっとボクもすごい、とってもすごいまほうつかいになるから」
「うん。楽しみにしているよ」

 そうして、僕達は別れ、院長先生が入れ替わりに来る。

「エミリオ様。本当に……本当にありがとうございました。あなたがいなければ……わたしは……今頃いなかったでしょう」
「院長先生……その……これから大変かもしれませんが、がんばってください」
「ええ、あなたに救ってもらったこの命……この子達の為に使います」
「そこまで重たく思ってもらわなくても大丈夫なんですが……」
「いいえ、それに、もともとこの生き方がわたしにはあっているのです。こうやって……子供たちに囲まれて……子供たちの為に生きる。それが……わたしの幸せなんです」

 そう話す彼女はとても晴れやかな笑顔をしていた。

「そう……ですか……」
「ええ、なのでどうかお気にやまず。むしろこれで子供たちに後ろ暗いことなくやっていけます。それにとても……頼りになる方も増えましたからね」
「?」

 そう言って彼女が振り向いた先には、ディオンさんがいた。

「エミリオ様。これからはわたくしもこの孤児院で仕事をしていきます。なにかあれば……いつでもお呼びください。すぐに駆けつけますので」
「ありがとうございます。ディオンさん」
「そのセリフはこちらです。お体にお気をつけて」
「はい。それでは……またどこかで」
「ええ」
「はい」

 そうして、僕達は孤児院のみんなに別れを告げて、屋敷に戻る。
 その道中、僕はヴィーと話す。

「ヴィー。色々と……ゆっくり話せないのは残念だけど、今度……王都にでも行った時に、ゆっくり話そう?」
「ええ。いつでもお待ちしています」
「うん。ヴィーは僕の屋敷に来てくれたけど、ヴィーの屋敷に行った事もないから行きたいな」
「……その時は我が屋敷でできること全てを見せて差し上げます。今は……お互いにやることがあるのは分かっていますが……。それでも、私はずっとお待ちしています」
「そんなに長くならずに行けるといいな。ヴィーともっと話していたいから」
「……ではいっそのこと……いえ。今は止めておきましょう。その時を心から……お待ちしていますから」
「うん。僕も同じ気持ちだよ」
「はい」

 それから、予定していたお別れの場所に到着した。

「あっという間に時間になっちゃった。それじゃあ体調に気を付けてね」
「ええ、エミリオも……無理はしてはいけませんよ?」
「うん。大丈夫。僕は回復術師だからね。簡単に回復してみせるよ」
「あなたならできるのでしょうね」
「そう。だから、またね」
「ええ……また」

 僕達はそう言って別れる。

「兄さんもまたね!」
「この空気で俺って入れるのか? いや、いいか、じゃあなエミリオ。また会おう」
「うん!」
「じゃあ、元気でな!」

 そうして、兄さんとヴィー、シオンさんも離れていった。

 すると、そのタイミングでサシャ、師匠にクレアさんが現れる。

「タイミングが悪かったでしょうか?」
「そんなことはありませんよ。クレアさん」
「では……急ぎ次の場所に行くのでしょう。簡単に済ませておきますが、これをお持ちください」

 彼女はそう言って小さな高級な小箱を差し出してくる。

 僕は受けてっていいのか不安に思って聞く。

「これは……なんでしょうか?」
「私の……いえ、ドルトムント伯爵家としての感謝の印です。分かりやすいものの方がいいのではないかと思いまして」

 そう言って彼女は差し出してくるので、僕はそれを受け取る。

「開けてもよろしいでしょうか?」
「もちろん」

 僕はその小箱を開けると、中にはとてもきれいな翡翠ひすい色の真珠の様なものが入っていた。

「これは……」
「我が領で取ることのできるとても貴重な品です。1年に1つ取れればいい方なので。それと、私の2つ名の元になったものでもありますよ」
「これが……」

 とっても綺麗で、正直僕に似合っているとは思えない。
 というか、僕がそんな年に1つ取れるかどうかの品なんて……。

「あ、あの……僕がこれを受け取ってしまうのは……」
「受け取って下さい。この街を救って下さったのはあなたなのですから。その方に感謝の気持ちを示さないのは貴族として笑われてしまいます」
「でも、力になってくださると……」
「それはディオンの不始末の分ですから」
「あ……でも、これは僕に似合わないんじゃないかと……」
「ふふ、ならばあなたが似合うと思う方にお渡ししてください。タイミングが……悪かったのかもしれませんかね?」
「……」

 クレアさんはそう言ってちょっといたずらっぽく笑う。

「ふふ、私はこれで失礼します。なにかあれば早馬を飛ばしてください。ああ、そうだ。お伝え忘れていました」
「なんですか?」
「最近、魚が獲れなくなっている。という話があったと思います」
「はい」
「あれは……原因はプルモーの毒だったようです。討伐され、魚が徐々に戻ってき始めています。あら、これでまたなにかしなければなりませんね?」
「そ、それはなにかあった時ということで……いえ、プルモーを倒してくれたのはロベルト兄さんなので、そちらにお願いします」

 僕じゃなくってロベルト兄さんがやったんだから、ちゃんと押しておかないと。

「なるほど、考えておきましょう。感謝いたします」
「はい。僕も……助けて頂いてありがとうございました」

 助けてもらったり、屋敷に泊めてもらった礼……という訳ではないけれど、しっかりと頭を下げておく。
 貴族として、上下関係はある程度しっかりとさせておかないと。

「あなたは……とても誠実な方ですね。婿むこにでもきますか?」
「はい?」
「冗談です。それでは、本当にこれで……」
「はい。ありがとうございました」

 クレアさんはそれだけ言うと屋敷の中に帰っていく。

「よし。行く準備は済ませてあるな?」
「はい」

 師匠がサシャに確認をとって、僕達も自分たちの馬車に乗り込む。

「それじゃあ……次の街に行くか」
「はい!」

 こうして、僕達はヴェネルレイクを旅立ち、次の街を目指す。

**********************************

これにて6章は終わりになります!
長くお読みいただいてありがとうございます。

なんとか年内に書き切ることができました……。

次の7章以降ですが、ちょっと投稿する時期は不定期か……書き終わってから毎日投稿になると思います。
どちらがいいですかね?

それと、本作の1巻が発売していますので、良ければ購入お願いします!
因みに、電子書籍の方は1月13日です。

それでは、良いお年を。
しおりを挟む
感想 73

あなたにおすすめの小説

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。 ※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。 ※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・) 更新はめっちゃ不定期です。 ※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。