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52話 最終決戦⑥

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 私は皆を乗せてトカゲサルに向かって走り出す。

「『分身』展開」

 フユカが再び兄弟を作り、それを私の周囲に展開する。因みに、彼女は今私の顎辺りに張り付いていた。

 私が大きくなりすぎて腹だとちょっと遠いからだ。

 奴は攻撃を繰り出してくる。

「この技ならば反射されまい! 溶岩隕石ヴォルカニックメテオ!」

 何!? それってフィールドを書き換えるのじゃないの!?

 奴がその技を使った時、空から私たち目掛けて何百個もの隕石が降ってくる。

「こういうのはあたしの仕事だよねー!」
「『オールフィールドサーチ』! 僕も『共有』で支援しますね! それを使って狙ってください!」
「分かったよー! 火球よファイアーボール×50! 炎よ巻き起これファイアストーム×20! 火球よ爆ぜよボールブレイク! タイミングは……今!」

 ズズズズズズズウウウウウウウウウウン!!!

 隕石はフユカの使った技で弱点を見抜かれ、アキに隕石を壊される。

「何だと!? だが、お前達なら防ぐことは分かっていた!」

 ドンドンドンドンドンドン!!!!!!

 あれは!

「何色のオーラなのよ!」
「分かんない!」
「虹にでもなるつもりかなー!?」
「5色みたいです!」
「流石フユカ!」

 奴が自信を強化する時間を与えてしまったけれど、私も奴に大分近付くことは出来た。ここからはもう逃がさない!

「『猪突猛進』!」
「っち! 拳で迎え撃ってくれるわ! 暗黒拳法:猩々烈破しょうじょうれっぱ!」

 奴が正拳突きを大層な技名で使う。しかし、

「『ミラーカーテン』!」
「拳も行けるのか!?」

 奴が私に向かって繰り出した拳は、ナツキの緑のカーテンに阻まれ、奴自身の腹に向かって突き刺さる。

「ぐっは!」
「まだまだ膝をつくような時間じゃないよー!」

 私は奴に正面から突っ込む。

 ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!

「ぐあああああああああああああ!!!!」

 奴が私に跳ね飛ばされた衝撃で吹き飛んでいく。でも、ここで逃がすわけには行かない!

「アキ! 追撃!」
「がってんだよー! 使えないと思ってたけど、今なら使えるよ。無限のMPを手にした今なら! 消費MPが多すぎて発動出来ない火魔法のⅩ! 太陽顕現サンライズ

 アキがその魔法を使うと、私の上に太陽と見間違える程の煌々と輝く何かが生まれていた。

「それは! させん! 溶岩隕石ヴォルカニックメテオ!」

 飛ばされながらでも発動出来るとは流石だ。しかも、ナツキに反射されないように全方位から向けてくる。

「ふふん。甘いわよ! 『ミラーカーテン』!」

 ナツキが私たちを囲うように緑色のカーテンを展開する。しかも囲う範囲は360°全方位だ。

「全方位行けるだと!?」
「当然よ! だってカーテンだもの!」
「あたしの準備も出来たよー! くらええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!」

 私の上にあった太陽が奴に向かって進んでいく。しかし、その速度は思ったよりも遅い。

「あれ!? もうちょっと速く出来ないの!?」
「くはははははは!!! その程度ワシなら造作もなく躱せる!」

 バサ! 奴は背中から翼を新しく生やし、空を飛ぼうとする。

「させませんよ! 『分身』展開! そして『ピンポイントショット』!!!」

 フユカがまた100体の分身を出し、奴目掛けて飛んでいく。しかも、その狙いは奴ではなく、新たに生えた翼だった。

「『起爆』!」
「な!」

 ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!

 フユカの分身の爆発が重なり、奴の翼を再びボロボロにする。

「っく! これでは! しかし! 走れば間に合うはずだ!」

 奴は走って逃げる。どこまで食らいたくないんだろうか。

「逃がすわけないよね! 私の速度から逃げられると思ってるの!? 『疾走』!」

 私は奴に向かって突っ込んでいく。

「っく! これでは!」
「いっけええええええええええ!!!!」

 アキの太陽が奴を飲み込んだ。

 シュン……。一瞬の静寂。その一瞬ののち。

 ピカ 光が私たちの視界を奪った。

 私は思わず目を閉じる。開けていられない。だけど、今までのような轟音はない。ただ光があっただけだ。

 目を開けるとそこには、左腕を失ったトカゲサルが立っていた。

「ふん。腕が持って行かれたか」
「強がっても無駄だよ!」

 私は奴に向かって走り出す。残された時間は少ない。私達・・がこの姿でいられる時間はマックス5分なのだ。今すぐにでも倒してしまわなければ。

「来るか……。神がワシに施した封印は今解かれた。今度こそ。本気で相手をしよう。終末咆哮アポカリプス・ロア!」

 バアアアアアアアアオオオオオオオオオオオ!!!!!

 私の耳だけでなく、体まで響く轟音が響く。それを受けて私の体は硬直し動けなくなった。

「何これ!」
「分かんない! 回復せよキュア! ダメ! 回復出来ない!」
「行動疎外のスキル!? 何で今更使うのかなー!?」
「きっと私たちが覚醒したからじゃないですか!?」
「なるほど!」
「だからってこっちは初見なのにー! もー! 汝は炎たれフレイムエンペラー!」

 アキが火の鳥なのに、更にその炎が燃え上がるような見た目になる。

「フユカ! 『共有』して!」
「分かりました! 『共有』!」

 フユカの共有が発動すると、私たちの体も炎の様に燃え上がる。しかし、全く熱くない。その上動けるようになった。

「どういうこと!?」
「説明は後ー! いいから走ってー!」
「分かった!」

 私は奴に向かって再び突撃を繰り出す。

「ちっ! 数秒しか足止めできんとは、片腕がないが……。格闘で決着をつけるとしよう」
「いっくよー! 『猪突猛進』!」
「暗黒拳法:流水返しりゅうすいがえし
「え?」

 私は奴にぶつかる直前。視界が突如として反転した。
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