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34話 中ボス
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私たちの前には3mもあるピンク色の貝が蓋を開けたり閉じたりしている。その時の風圧? 水圧? を使って衝撃波を飛ばしてきて近づく事ができない。
私はその衝撃波に当たらない様にボスエリアのギリギリを走る。しかも海中からは熱そうなマグマも見える。そこには入らないように気を付けないと。
「ごっめーん! ちょっと迷っちゃってー!」
「どう考えてもわざとですよね!? あの貝見つけた時も3人でよっしゃやったれ的な目くばせをしてたの見てましたからね!?」
「何言ってるの! 今はそんな事よりアイツを倒すことが先決だよ!」
「そうよ! あんな貝にやられたなんて嫌でしょう!?」
「貝とか餌だよねー! 一緒に狩って海鮮焼きにしようかー!」
「アキ!? ちょっとハルの食い意地が移ったんじゃないの!?」
「いいじゃない! 貝も美味しいよ!」
「戻りましょうよ~!」
フユカが叫んでいるがそれは出来ない。取りあえず宝を見つけるまでは一緒に戦ってもらう。
「いっくよー! 『疾走』!」
私は仲間の援護を信じて奴に突撃する。
「ハルってば、先に飛ばし過ぎよ! 『胞子シールド』!」
「グーラグラグラグラグラ!!!」
奴の衝撃波はナツキのシールドで防がれる。
ただ、奴もただそれだけで攻撃して来るほど単調な相手ではない。奴は私達に向かって真珠のような物を真っすぐに吐き出してくる。
「今度はあたしだねー! 折角覚えた奴はここで使わないよね! 『風よ巻き起これ』!」
アキがそう言うと飛んでくる真珠の真下から竜巻が発生した。その竜巻は水を巻き上げ、同時に真珠も一緒に巻き上げる。
「グーラグラグラグラグラ!!!???」
「後は私が突っこむだけだよね! 『突進』!」
私は自信を持って奴に正面から突っ込む。
「グーラグラグラグラグラ!!!」
奴は高笑いをすると、そのまま殻を閉じる。
閉じたところで! 私の突進は負けない!
ドオオオオオオオオン!!!
「どうだ!」
「やったの!?」
「飛んではいったみたいー」
「まだです! あいつは殻に入ると物理防御が半端ないんです!」
フユカが叫ぶと同時に、貝は浮かびながら笑う。
「グーラグラグラグラグラ!!!」
「あんの貝! もう一発!」
私は再び駆け出し、奴の着地点を狙う。
「ああもう! 待ってください! あいつが殻に籠ったら物理でも魔法でもダメージはほとんど通りません!」
「じゃあどうするの!」
「アイツを炙ればいいんです」
その時のフユカの声はちょっと怖かった。
「炙る? 炙るってどうやって!?」
私が聞くと、フユカは直ぐに答えてくれる。
「すぐそこにマグマの噴気孔があります! そこに奴を飛ばしてください!」
「なるほど! そういうこと!」
「はい!」
すごい。彼女はそんな事も見抜けてしまうのか。
「次は飛ばす方向を調整しないとね!」
私はフユカに言われた通りにマグマの方へ奴を飛ばそうと足を向けると、
「待って待ってー」
「? どうしたの?」
「その炙るって、マグマじゃないとダメな感じー?」
「どういうことですか?」
「火魔法でも出来なかなーって」
「! 分かりません! でも、試してみる価値はあるかもしれません!」
フユカがアキに返す。
アキはニヤリと笑い、貝に向き直る。
「ならやるしかないよねー! 『炎よ巻き起これ』!」
「グーラグラグラグラグラ!!!???」
奴の真下から炎の渦が巻き上がり、奴を包む。
「グーラグラグラグラグラ!!!???」
それから暫くすると奴は熱さが応えたのか堪らず殻を開けた。
「ハル! 今よ!」
「うん!」
私は奴目掛けて突っ込む!
ただ、奴は炎に巻き上げられていて少し高い所にいる。私のジャンプ力では届かない。でも。
「『胞子シールド』!」
「助かる!」
「当然よ! 行きなさい!」
「いっくよー! 『ぶちかまし』!」
ドカアアアアアアアアアン!!!
「きゃあああああああああ!!!」
「いやあああああああああ!!!」
「いいけしきいいいいいい!!!」
「何で飛ぶんですかあああ!!!」
私たちはいつものように飛ばされる。ただ、その速度はそこまで速くなく、地面に落ちる速度も海の中だからかゆっくりだ。
ボム、ボムボムボム。すく。
海の中ということでゆったりと地面を転がり、貝が吹き飛んだ方向を見ると、既に消えかけていた。
『ハル はレベルアップしました。Lv35→Lv37になりました。ステータスが上昇しました。スキルポイントを20取得しました』
おお、やったみたいだ。
「す、すごいですね……。たった一発でアイツを倒すなんて……」
「皆がいてくれたからだよ。フユカもありがとうね。フユカがいなかったらどうなっていたか」
「私たちなら殻の上からでも倒せたに決まってるでしょう?」
「ナツキー。ちゃんとお礼は言った方がいいんじゃないー?」
「……そうね。フユカ、貴方がいたおかげで楽に勝てたわ。ありがとう」
「そうだよー。ありがとうねー。フユカ」
「……いえ。僕は別に……。攻略サイトにも載っている情報ですし……」
そうってフユカは謙遜する。
「それでもだよ。私たちあんまりそう言うのは調べないし」
「あ……僕もあんまり調べない質何ですが、……以前組んだ他の方がその様な事を言ってたので……」
「そうだったんだ」
「はい」
「でも、今回はフユカのお陰で助けられた。そのことは忘れないでね?」
「……はい」
「それじゃあ先に行こうか!」
私は提案して直ぐに駆け出す。
道は少しずつ下に向かっていて、深度は少しずつ、しかし確実に深くなっていく。暗く、深い場所になっていく。
「なんだか怖い場所になってきたね」
「そうね。さっきまでは明るい色のサンゴとか結構あったのに、ほとんど岩ばっかり」
「だねー。深いと光もほとんど届かないから仕方ないかも」
「やっぱり分かってて進んでるんじゃないですか……」
フユカはそう言いつつも逃げるつもりはないらしく、私のお腹に張り付いている。
「まぁまぁ。折角だし一緒に冒険しようよ!」
「でも、僕、本当に探知系統しか取っていませんよ? それにここのボスも戦ったことないですし……」
「そうなの?」
「はい。前に組んだことある方達とはお荷物を抱えてボス戦が出来るか……。って……」
「そんなにいうなら見せてみてよ」
「……分かりました。ステータス」
名前:フユカ
種族:コバンザメ
レベル:42
ステータス
HP:130/130
MP:77/77
STR:40
VIT:60
INT:103
DEX:213
AGI:111
スキルポイント:20
スキル:ソナーⅨ、吸着、ピンポイントショット、探知距離増加、共有
魔法:探知魔法Ⅵ
彼女のステータスを見たが、色んな意味ですごい。この『ソナー』って言うのが探知スキルなのかな? にしてもⅨは初めて見た。
「すごいね! スキルがⅨとか初めて見たよ!」
「ほんとすごいわ。私も結構尖った感じでやってる自覚はあったけど、ここまで尖ってるのは流石に……」
「これだけのスキルレベルあるとすごそうー」
「……ひ、引かれないんですか?」
「引くってどうして?」
ここまで伸ばしたのならすごいと思う。
「だ、だって、大抵のスキルはⅤ位で止めておいて、育ててもⅦだって。色んなスキルを取った方が汎用性も高いし、トッププレイヤーもそうやってるって……」
「いいじゃない。そんなの」
「え……」
「だって、フユカがいいと思ってやったんでしょう? それに、きっと意味があるかもしれないじゃない?」
「そ、そうでしょうか……」
「うん。そうだよ。私もイノシシだからね! 『突進』はⅩまで伸ばしたいんだー!」
私がそう言うと、ナツキ達も続いてくれる。
「そうね。私は『胞子シールド』かしら? なんだかんだでこのスキルが一番使いやすいから」
「あたしは『火魔法』かなー。炎って見てると心が落ち着くんだよねー」
「……。本当ですか?」
「こんな事で嘘なんてつかないよ。私達のステータス見る? ステータス」
フユカの返事を聞く前に開き、彼女に見せる。
「ほんとだ……。もうかなり振ってる……」
「でしょ? 今はまだスキルポイントとか足りないから出来ないけど、溜まったら上げたいんだ」
「……分かりました。僕で役に立つのかは分かりませんが、精一杯やってみます!」
フユカは少しだけ前を向いてくれたように思う。
そんな彼女に、私は背中を押す。
「大丈夫だよ。さっきのアドバイスも助かったし」
私がそう言うと、ナツキとアキも言ってくれる。
「必要な時が必ず来るから、ドンと胸を張っておけばいいのよ」
「そうそうー。ずっと肩肘を張ってたら疲れちゃうからねー」
「はい!」
「そういう訳で、そろそろかな……?」
周囲は一段と暗くなって、視界もかなり悪い。数ⅿ先が見えるかどうかといった感じだ。
「ん?」
「イベントね」
私たちは体が動かせなくなり、暗闇の奥から、何かが現れる。それは。
「ギョギョギョギョギョ!!!」
叫びながら奴は現れる。その姿は……。
私はその衝撃波に当たらない様にボスエリアのギリギリを走る。しかも海中からは熱そうなマグマも見える。そこには入らないように気を付けないと。
「ごっめーん! ちょっと迷っちゃってー!」
「どう考えてもわざとですよね!? あの貝見つけた時も3人でよっしゃやったれ的な目くばせをしてたの見てましたからね!?」
「何言ってるの! 今はそんな事よりアイツを倒すことが先決だよ!」
「そうよ! あんな貝にやられたなんて嫌でしょう!?」
「貝とか餌だよねー! 一緒に狩って海鮮焼きにしようかー!」
「アキ!? ちょっとハルの食い意地が移ったんじゃないの!?」
「いいじゃない! 貝も美味しいよ!」
「戻りましょうよ~!」
フユカが叫んでいるがそれは出来ない。取りあえず宝を見つけるまでは一緒に戦ってもらう。
「いっくよー! 『疾走』!」
私は仲間の援護を信じて奴に突撃する。
「ハルってば、先に飛ばし過ぎよ! 『胞子シールド』!」
「グーラグラグラグラグラ!!!」
奴の衝撃波はナツキのシールドで防がれる。
ただ、奴もただそれだけで攻撃して来るほど単調な相手ではない。奴は私達に向かって真珠のような物を真っすぐに吐き出してくる。
「今度はあたしだねー! 折角覚えた奴はここで使わないよね! 『風よ巻き起これ』!」
アキがそう言うと飛んでくる真珠の真下から竜巻が発生した。その竜巻は水を巻き上げ、同時に真珠も一緒に巻き上げる。
「グーラグラグラグラグラ!!!???」
「後は私が突っこむだけだよね! 『突進』!」
私は自信を持って奴に正面から突っ込む。
「グーラグラグラグラグラ!!!」
奴は高笑いをすると、そのまま殻を閉じる。
閉じたところで! 私の突進は負けない!
ドオオオオオオオオン!!!
「どうだ!」
「やったの!?」
「飛んではいったみたいー」
「まだです! あいつは殻に入ると物理防御が半端ないんです!」
フユカが叫ぶと同時に、貝は浮かびながら笑う。
「グーラグラグラグラグラ!!!」
「あんの貝! もう一発!」
私は再び駆け出し、奴の着地点を狙う。
「ああもう! 待ってください! あいつが殻に籠ったら物理でも魔法でもダメージはほとんど通りません!」
「じゃあどうするの!」
「アイツを炙ればいいんです」
その時のフユカの声はちょっと怖かった。
「炙る? 炙るってどうやって!?」
私が聞くと、フユカは直ぐに答えてくれる。
「すぐそこにマグマの噴気孔があります! そこに奴を飛ばしてください!」
「なるほど! そういうこと!」
「はい!」
すごい。彼女はそんな事も見抜けてしまうのか。
「次は飛ばす方向を調整しないとね!」
私はフユカに言われた通りにマグマの方へ奴を飛ばそうと足を向けると、
「待って待ってー」
「? どうしたの?」
「その炙るって、マグマじゃないとダメな感じー?」
「どういうことですか?」
「火魔法でも出来なかなーって」
「! 分かりません! でも、試してみる価値はあるかもしれません!」
フユカがアキに返す。
アキはニヤリと笑い、貝に向き直る。
「ならやるしかないよねー! 『炎よ巻き起これ』!」
「グーラグラグラグラグラ!!!???」
奴の真下から炎の渦が巻き上がり、奴を包む。
「グーラグラグラグラグラ!!!???」
それから暫くすると奴は熱さが応えたのか堪らず殻を開けた。
「ハル! 今よ!」
「うん!」
私は奴目掛けて突っ込む!
ただ、奴は炎に巻き上げられていて少し高い所にいる。私のジャンプ力では届かない。でも。
「『胞子シールド』!」
「助かる!」
「当然よ! 行きなさい!」
「いっくよー! 『ぶちかまし』!」
ドカアアアアアアアアアン!!!
「きゃあああああああああ!!!」
「いやあああああああああ!!!」
「いいけしきいいいいいい!!!」
「何で飛ぶんですかあああ!!!」
私たちはいつものように飛ばされる。ただ、その速度はそこまで速くなく、地面に落ちる速度も海の中だからかゆっくりだ。
ボム、ボムボムボム。すく。
海の中ということでゆったりと地面を転がり、貝が吹き飛んだ方向を見ると、既に消えかけていた。
『ハル はレベルアップしました。Lv35→Lv37になりました。ステータスが上昇しました。スキルポイントを20取得しました』
おお、やったみたいだ。
「す、すごいですね……。たった一発でアイツを倒すなんて……」
「皆がいてくれたからだよ。フユカもありがとうね。フユカがいなかったらどうなっていたか」
「私たちなら殻の上からでも倒せたに決まってるでしょう?」
「ナツキー。ちゃんとお礼は言った方がいいんじゃないー?」
「……そうね。フユカ、貴方がいたおかげで楽に勝てたわ。ありがとう」
「そうだよー。ありがとうねー。フユカ」
「……いえ。僕は別に……。攻略サイトにも載っている情報ですし……」
そうってフユカは謙遜する。
「それでもだよ。私たちあんまりそう言うのは調べないし」
「あ……僕もあんまり調べない質何ですが、……以前組んだ他の方がその様な事を言ってたので……」
「そうだったんだ」
「はい」
「でも、今回はフユカのお陰で助けられた。そのことは忘れないでね?」
「……はい」
「それじゃあ先に行こうか!」
私は提案して直ぐに駆け出す。
道は少しずつ下に向かっていて、深度は少しずつ、しかし確実に深くなっていく。暗く、深い場所になっていく。
「なんだか怖い場所になってきたね」
「そうね。さっきまでは明るい色のサンゴとか結構あったのに、ほとんど岩ばっかり」
「だねー。深いと光もほとんど届かないから仕方ないかも」
「やっぱり分かってて進んでるんじゃないですか……」
フユカはそう言いつつも逃げるつもりはないらしく、私のお腹に張り付いている。
「まぁまぁ。折角だし一緒に冒険しようよ!」
「でも、僕、本当に探知系統しか取っていませんよ? それにここのボスも戦ったことないですし……」
「そうなの?」
「はい。前に組んだことある方達とはお荷物を抱えてボス戦が出来るか……。って……」
「そんなにいうなら見せてみてよ」
「……分かりました。ステータス」
名前:フユカ
種族:コバンザメ
レベル:42
ステータス
HP:130/130
MP:77/77
STR:40
VIT:60
INT:103
DEX:213
AGI:111
スキルポイント:20
スキル:ソナーⅨ、吸着、ピンポイントショット、探知距離増加、共有
魔法:探知魔法Ⅵ
彼女のステータスを見たが、色んな意味ですごい。この『ソナー』って言うのが探知スキルなのかな? にしてもⅨは初めて見た。
「すごいね! スキルがⅨとか初めて見たよ!」
「ほんとすごいわ。私も結構尖った感じでやってる自覚はあったけど、ここまで尖ってるのは流石に……」
「これだけのスキルレベルあるとすごそうー」
「……ひ、引かれないんですか?」
「引くってどうして?」
ここまで伸ばしたのならすごいと思う。
「だ、だって、大抵のスキルはⅤ位で止めておいて、育ててもⅦだって。色んなスキルを取った方が汎用性も高いし、トッププレイヤーもそうやってるって……」
「いいじゃない。そんなの」
「え……」
「だって、フユカがいいと思ってやったんでしょう? それに、きっと意味があるかもしれないじゃない?」
「そ、そうでしょうか……」
「うん。そうだよ。私もイノシシだからね! 『突進』はⅩまで伸ばしたいんだー!」
私がそう言うと、ナツキ達も続いてくれる。
「そうね。私は『胞子シールド』かしら? なんだかんだでこのスキルが一番使いやすいから」
「あたしは『火魔法』かなー。炎って見てると心が落ち着くんだよねー」
「……。本当ですか?」
「こんな事で嘘なんてつかないよ。私達のステータス見る? ステータス」
フユカの返事を聞く前に開き、彼女に見せる。
「ほんとだ……。もうかなり振ってる……」
「でしょ? 今はまだスキルポイントとか足りないから出来ないけど、溜まったら上げたいんだ」
「……分かりました。僕で役に立つのかは分かりませんが、精一杯やってみます!」
フユカは少しだけ前を向いてくれたように思う。
そんな彼女に、私は背中を押す。
「大丈夫だよ。さっきのアドバイスも助かったし」
私がそう言うと、ナツキとアキも言ってくれる。
「必要な時が必ず来るから、ドンと胸を張っておけばいいのよ」
「そうそうー。ずっと肩肘を張ってたら疲れちゃうからねー」
「はい!」
「そういう訳で、そろそろかな……?」
周囲は一段と暗くなって、視界もかなり悪い。数ⅿ先が見えるかどうかといった感じだ。
「ん?」
「イベントね」
私たちは体が動かせなくなり、暗闇の奥から、何かが現れる。それは。
「ギョギョギョギョギョ!!!」
叫びながら奴は現れる。その姿は……。
応援ありがとうございます!
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