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27話 幻想種
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「またしても逃げられた……」
決着をつけられずにそう呟くと、アナウンスが鳴る。
『マウンテンドラゴンコングを撃退しました。ハルはマウンテンドラゴンコングからの挑戦状Ⅱを受け取りました』
「これが後何回か続く感じなのかな?」
「そうかもしれないわね」
「こんなの初めてゲットしたよー」
『ハル はレベルアップしました。Lv30→Lv35になりました。ステータスが上昇しました。スキルポイントを60取得しました』
「おーレベルも結構上がったね」
「そうね。経験値要員としては結構美味しいわね。1日1回でいいけど」
「あれと戦って経験値要員ってすごいねー」
アキが驚いたように言ってくる。
「そうかな?」
「そうだよー。だって考えてみて? トリの目でギリギリ見れるような距離から岩を投げてきて、反撃すると更にえげつない攻撃とかが飛んでくるんだよー? なんか近づくだけでも苦労するよー」
「そう言われるとそうね」
「うん。何だか大変な気がしてきた」
「それに名前にドラゴンが入ってるってことは多分幻想種でしょ? ラスボスとは言わないまでも相当強い奴だと思うよー」
「幻想種?」
「なんだったかしら?」
「チュートリアルってやったー?」
「やったけど……」
「あんまり覚えてないって言うか……」
聞いてはいたけど、なんかあーはいはい。そうなのね。私は走れれば満足です。って思ってた気がする。
「まぁ、いいんだけどー。幻想種って言うのは、この世界を侵略してきたモンスターの上位種で、かなり数は少ないはずだよー」
「私たち初日に出会ったんだけど、どうして撃退出来たのかな?」
ラスボスと戦って勝てる気はしないんだけど。
「そこはほら、ゲームだから、ある程度の戦う相手に合わせて補正が入るんじゃないのかなー? じゃないと最初の方で出てくる絶対に勝てない敵とかちょっと問題ありそうじゃないー?」
「確かに……」
「言われてみればそうね。一応逃げるって選択肢もあったけど、最初の一撃は多分こっちに気付かせるつもりだった気もするわ」
「アウトレンジから狙撃されるのってやってられないだろうからねー。でも、目標はマウンテンドラゴンコング?」
「「トカゲサル」」
私とナツキの声が重なる。
「と、トカゲサルを倒すことなのよね?」
「うん。そうだよ。このまま引き下がるなんて出来ないからね!」
「そうよ! 私たちのキノコボタン鍋の力を見せつけてやるわ! トリ肉も入るかしら?」
「食べられちゃうのー?」
「なんかいいゴロが無かっただけだから」
「それよりも、取りあえず街に戻ろう? そろそろ寝ないと時間が……」
明日の朝に3キロ位はせめて走りたい。
「あ、それもそうね。急いで戻りましょう」
「分かったー」
私たちはアキと出会った街に戻った。
「うーん! 楽しかったー!」
「そうね。また明日も9時でいいのかしら?」
「うん! 勿論だよ!」
「さ、それじゃあ……」
「フレンドコードを送らないとね!」
私は画面を操作して、アキにフレンドコードを送る。
『アキにフレンドコードを送りました』
「いいの?」
「何が?」
「私、あんまり真面目にやらないかもしれないよ?」
アキがさっきまでの間延びした空気を感じさせない。どことなく重たい言葉になっている。
「いいんじゃない? 用事で来れないこと位あるでしょ?」
「そうそう。無理にやっても良くないよ!」
「本当にいいの? 私、魔法しか本当に鍛える気はないよ?」
「私も『突進』とか走る系のスキルしか多分取らないよ」
「私も防御系とか支援系しか取る気ないわ」
「本当にいいの?」
「これからよろしくね。アキ」
「私が必要な時は起こすからそれ以外の時間は好きにしてればいいわよ」
「……。分かった。明日は9時だねー? それまでには用事は終わらせておくよー」
アキは何か納得したようにそう話す。
『アキとフレンドになりました』
「そっか、それじゃあまた明日!」
「ええ。遅れたら承知しないわよ!」
「のんびり向かうよー」
『ハルはログアウトしました』
決着をつけられずにそう呟くと、アナウンスが鳴る。
『マウンテンドラゴンコングを撃退しました。ハルはマウンテンドラゴンコングからの挑戦状Ⅱを受け取りました』
「これが後何回か続く感じなのかな?」
「そうかもしれないわね」
「こんなの初めてゲットしたよー」
『ハル はレベルアップしました。Lv30→Lv35になりました。ステータスが上昇しました。スキルポイントを60取得しました』
「おーレベルも結構上がったね」
「そうね。経験値要員としては結構美味しいわね。1日1回でいいけど」
「あれと戦って経験値要員ってすごいねー」
アキが驚いたように言ってくる。
「そうかな?」
「そうだよー。だって考えてみて? トリの目でギリギリ見れるような距離から岩を投げてきて、反撃すると更にえげつない攻撃とかが飛んでくるんだよー? なんか近づくだけでも苦労するよー」
「そう言われるとそうね」
「うん。何だか大変な気がしてきた」
「それに名前にドラゴンが入ってるってことは多分幻想種でしょ? ラスボスとは言わないまでも相当強い奴だと思うよー」
「幻想種?」
「なんだったかしら?」
「チュートリアルってやったー?」
「やったけど……」
「あんまり覚えてないって言うか……」
聞いてはいたけど、なんかあーはいはい。そうなのね。私は走れれば満足です。って思ってた気がする。
「まぁ、いいんだけどー。幻想種って言うのは、この世界を侵略してきたモンスターの上位種で、かなり数は少ないはずだよー」
「私たち初日に出会ったんだけど、どうして撃退出来たのかな?」
ラスボスと戦って勝てる気はしないんだけど。
「そこはほら、ゲームだから、ある程度の戦う相手に合わせて補正が入るんじゃないのかなー? じゃないと最初の方で出てくる絶対に勝てない敵とかちょっと問題ありそうじゃないー?」
「確かに……」
「言われてみればそうね。一応逃げるって選択肢もあったけど、最初の一撃は多分こっちに気付かせるつもりだった気もするわ」
「アウトレンジから狙撃されるのってやってられないだろうからねー。でも、目標はマウンテンドラゴンコング?」
「「トカゲサル」」
私とナツキの声が重なる。
「と、トカゲサルを倒すことなのよね?」
「うん。そうだよ。このまま引き下がるなんて出来ないからね!」
「そうよ! 私たちのキノコボタン鍋の力を見せつけてやるわ! トリ肉も入るかしら?」
「食べられちゃうのー?」
「なんかいいゴロが無かっただけだから」
「それよりも、取りあえず街に戻ろう? そろそろ寝ないと時間が……」
明日の朝に3キロ位はせめて走りたい。
「あ、それもそうね。急いで戻りましょう」
「分かったー」
私たちはアキと出会った街に戻った。
「うーん! 楽しかったー!」
「そうね。また明日も9時でいいのかしら?」
「うん! 勿論だよ!」
「さ、それじゃあ……」
「フレンドコードを送らないとね!」
私は画面を操作して、アキにフレンドコードを送る。
『アキにフレンドコードを送りました』
「いいの?」
「何が?」
「私、あんまり真面目にやらないかもしれないよ?」
アキがさっきまでの間延びした空気を感じさせない。どことなく重たい言葉になっている。
「いいんじゃない? 用事で来れないこと位あるでしょ?」
「そうそう。無理にやっても良くないよ!」
「本当にいいの? 私、魔法しか本当に鍛える気はないよ?」
「私も『突進』とか走る系のスキルしか多分取らないよ」
「私も防御系とか支援系しか取る気ないわ」
「本当にいいの?」
「これからよろしくね。アキ」
「私が必要な時は起こすからそれ以外の時間は好きにしてればいいわよ」
「……。分かった。明日は9時だねー? それまでには用事は終わらせておくよー」
アキは何か納得したようにそう話す。
『アキとフレンドになりました』
「そっか、それじゃあまた明日!」
「ええ。遅れたら承知しないわよ!」
「のんびり向かうよー」
『ハルはログアウトしました』
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