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11話 右よ
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「ゴリラ!? 何で!?」
「分かんないわよ!?」
「でも折角だから戦おう!」
「言う前からもう向ってるじゃない!」
私は既にゴリラ目掛けて一直線だ。最短距離であのゴリラをぶっ飛ばそうと足を向けている。
ドゴオオオオン!
「うわ!」
「気を付けて! 私のシールドで弾けないかも!」
「ナツキなら出来るよ!」
「そんな事を言われたらやるしかないわね!」
「頼んだよ!」
私は一直線に走り、ゴリラまで後半分位といった所まで来る。
「うほほほおおおおおおおおお!!!」
ドンドンドンドンドンドン!!!
ドラミングというやつだろうか。奴は自分の胸を叩いている。
私はその隙に少しでも近づく。
奴は岩を持ち、構えて投げる。
ドゴオオオオン!
「え?」
「速くない!?」
さっきまでの投石は山なりだったんだけど、今のは直線で飛んできて、直ぐ傍に着弾していた。
毛皮を汗が伝った気がする。
ナツキがぽつりと呟く。
「ヤバくない?」
「でももう逃げられないよ」
「だからって進むの?」
「イノシシは前にしか進めないからね!」
ドゴオオオオン!
ゴリラに近づくことによって更に投石の速度が上がったような気がする。
私はゴリラの居座る丘に足をかけ、登り始めた。
「うほほほおおおおおお!!!」
近い、さっきまでは離れていて輪郭位しか分からなかったけど、後数百m位。ゴリラからは赤いオーラの様なものが出ている。さっきのドラミングの効果だろうか。
「来るわよ!」
「うん!」
ドゴオオオオン!
ゴリラは丘の上から身をのり出し、こちらに狙いを定めている。でも、一発一発なら何とかなる!
そう思って私は丘を駆け上った。
「うほほほほおおおおおお!!!」
ゴリラが少し丘に隠れたと思ったら、ひょっこりと直ぐに頭を覗かせる。そして、奴の両手にはさっきの半分位の岩が握られていた。
「岩が2個!?」
「大丈夫!? 躱せる!?」
「失敗するかもしれないから守って!」
「分かったわ! 『胞子シールド』!」
「うほほほほほほおおおおおお!!!」
奴は岩を振りかぶり、左手に持った岩から投げてくる。
「来た!」
私は進行方向を少し左にずらし、もう一撃を躱そうと
「あ」
バリイイイイイ!!!
「くぅ!」
「きゃあ!」
目の前でナツキの胞子シールドが割れた。ダークアームゴリラの一撃でさえも耐えたあのシールドが。エレクトリカルナマズの電撃でさえも耐えたあのシールドがたった一撃で。
それでも、私の足は止まらない。ここで逃げるなんて出来ない。シールドが割られたって、私はまだ戦える!
「そんな……私のシールドがたった一撃で……?」
「ナツキ! しっかりして! クールタイムが終わるまで待ってて!」
「でも……でも……私のシールドが割られたら……もう。いる意味なんて……」
「速度をあげるよ! 」
「え? きゃあああああああ!!!」
シールドを割られてしまったのだ、さっきまでの速度だと2発目は躱せない。それなら、急いで丘を登り切って奴に接近するしかない。
奴はもう2回目の準備が終了して、岩を両手に持って振りかぶっている。奴は左の岩を投げつけてくる。
ブン
ここ! 『疾走』!
ギュン! という感覚を味わいながら、私は向って飛んでくる岩の下を走り抜ける。
「うほほほおおおおお!!!???」
ドゴオオオオン! ドゴオオオオン!
私の真後ろとすぐ左側で岩が着弾した音がする。
奴は驚いていてこちらを凝視していた。
この隙に丘の上まで!
「ナツキ! シールドのクールタイムは!」
「後60秒……」
「元気出して! ナツキの力が必要なんだから!」
「え?」
「私一人だと多分奴まで届かない! だからナツの力を貸して!」
「そんな、私のシールドはもう破られたのに?」
「たった一回破られた位でなに! 次は破られないようにするしかないでしょ! それに、私は前しかみれない! 周りを見てくれるナツキの力がいるんだよ!」
「! そうね! ごめんね! 凹んでる場合じゃなかったわ!」
「そうだよ! 今はアイツをぶっ飛ばすことだけ考えよう!」
「ええ!」
もう少しで丘の上と行った所で、ゴリラが岩を投げつけてくる。ここからは……運だ。もうさっき使った下を潜り抜けることは出来ない。ならば避けるのは右か左か。どっちだ!
「右よ!」
「!」
私は言われるままに右に避ける。そして、
ドゴオオオオン!
私のすぐ左側に岩が着弾した。その音を置き去りに、私は丘の上に居座るゴリラ目掛けて突っ込んだ。
「分かんないわよ!?」
「でも折角だから戦おう!」
「言う前からもう向ってるじゃない!」
私は既にゴリラ目掛けて一直線だ。最短距離であのゴリラをぶっ飛ばそうと足を向けている。
ドゴオオオオン!
「うわ!」
「気を付けて! 私のシールドで弾けないかも!」
「ナツキなら出来るよ!」
「そんな事を言われたらやるしかないわね!」
「頼んだよ!」
私は一直線に走り、ゴリラまで後半分位といった所まで来る。
「うほほほおおおおおおおおお!!!」
ドンドンドンドンドンドン!!!
ドラミングというやつだろうか。奴は自分の胸を叩いている。
私はその隙に少しでも近づく。
奴は岩を持ち、構えて投げる。
ドゴオオオオン!
「え?」
「速くない!?」
さっきまでの投石は山なりだったんだけど、今のは直線で飛んできて、直ぐ傍に着弾していた。
毛皮を汗が伝った気がする。
ナツキがぽつりと呟く。
「ヤバくない?」
「でももう逃げられないよ」
「だからって進むの?」
「イノシシは前にしか進めないからね!」
ドゴオオオオン!
ゴリラに近づくことによって更に投石の速度が上がったような気がする。
私はゴリラの居座る丘に足をかけ、登り始めた。
「うほほほおおおおおお!!!」
近い、さっきまでは離れていて輪郭位しか分からなかったけど、後数百m位。ゴリラからは赤いオーラの様なものが出ている。さっきのドラミングの効果だろうか。
「来るわよ!」
「うん!」
ドゴオオオオン!
ゴリラは丘の上から身をのり出し、こちらに狙いを定めている。でも、一発一発なら何とかなる!
そう思って私は丘を駆け上った。
「うほほほほおおおおおお!!!」
ゴリラが少し丘に隠れたと思ったら、ひょっこりと直ぐに頭を覗かせる。そして、奴の両手にはさっきの半分位の岩が握られていた。
「岩が2個!?」
「大丈夫!? 躱せる!?」
「失敗するかもしれないから守って!」
「分かったわ! 『胞子シールド』!」
「うほほほほほほおおおおおお!!!」
奴は岩を振りかぶり、左手に持った岩から投げてくる。
「来た!」
私は進行方向を少し左にずらし、もう一撃を躱そうと
「あ」
バリイイイイイ!!!
「くぅ!」
「きゃあ!」
目の前でナツキの胞子シールドが割れた。ダークアームゴリラの一撃でさえも耐えたあのシールドが。エレクトリカルナマズの電撃でさえも耐えたあのシールドがたった一撃で。
それでも、私の足は止まらない。ここで逃げるなんて出来ない。シールドが割られたって、私はまだ戦える!
「そんな……私のシールドがたった一撃で……?」
「ナツキ! しっかりして! クールタイムが終わるまで待ってて!」
「でも……でも……私のシールドが割られたら……もう。いる意味なんて……」
「速度をあげるよ! 」
「え? きゃあああああああ!!!」
シールドを割られてしまったのだ、さっきまでの速度だと2発目は躱せない。それなら、急いで丘を登り切って奴に接近するしかない。
奴はもう2回目の準備が終了して、岩を両手に持って振りかぶっている。奴は左の岩を投げつけてくる。
ブン
ここ! 『疾走』!
ギュン! という感覚を味わいながら、私は向って飛んでくる岩の下を走り抜ける。
「うほほほおおおおお!!!???」
ドゴオオオオン! ドゴオオオオン!
私の真後ろとすぐ左側で岩が着弾した音がする。
奴は驚いていてこちらを凝視していた。
この隙に丘の上まで!
「ナツキ! シールドのクールタイムは!」
「後60秒……」
「元気出して! ナツキの力が必要なんだから!」
「え?」
「私一人だと多分奴まで届かない! だからナツの力を貸して!」
「そんな、私のシールドはもう破られたのに?」
「たった一回破られた位でなに! 次は破られないようにするしかないでしょ! それに、私は前しかみれない! 周りを見てくれるナツキの力がいるんだよ!」
「! そうね! ごめんね! 凹んでる場合じゃなかったわ!」
「そうだよ! 今はアイツをぶっ飛ばすことだけ考えよう!」
「ええ!」
もう少しで丘の上と行った所で、ゴリラが岩を投げつけてくる。ここからは……運だ。もうさっき使った下を潜り抜けることは出来ない。ならば避けるのは右か左か。どっちだ!
「右よ!」
「!」
私は言われるままに右に避ける。そして、
ドゴオオオオン!
私のすぐ左側に岩が着弾した。その音を置き去りに、私は丘の上に居座るゴリラ目掛けて突っ込んだ。
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