61 / 137
3章
61話 守り神
しおりを挟む
俺達は水賊から拿捕船に全員乗り換えて水賊達の本拠地に向かう。
敵の合図等はちゃんと聞き出しているし、霧で隠れて敵を全て倒したので情報は伝わっていないはずだ。
そして、向かう皆には楽しそうに騒がせている。
これをすることによって敵を油断させる事が出来るはずだ。
そんな事を考えていると、Aランク冒険者が話しかけてくる。
「敵の船団ですね……」
少し離れた所には情報通りに100隻を越える船が集まっていた。
遠くから見える感じなだけでも、かなり胸糞悪いことをしてる。
「あいつらは……」
「気にするなとは言わん。だが、1人も逃がすな。これは決定事項だ」
「……はい! しかし、襲われないでしょうか」
「それは……入ってみるしかない」
俺達は守り神の巣に入る。
「……問題なさそうだな」
「ですね。これでもう奴らの好き勝手にはさせません!」
守り神の巣に入ったのに襲われない。
やはり、これは聞き出した情報が正しかったのだろう。
「ああ、このまま普通に合流するフリをして突っ込むぞ。出来れば捕虜や人質は助けるが、無理はするな。お前達が死ぬ方がよりこちらのダメージがデカい」
「分かりました」
俺達はかなりの速度を保ったまま奴らの船団に突撃した。
「何事だ!?」
「あの馬鹿どもが突っ込みやがった!」
「何を考えてやがる! ぶっ殺すぞ!」
「死ぬのはお前だよ」
怒鳴っている水賊共の討伐に俺も参加して殺していく。
「敵が体勢を立て直す前に殺せ! 速度が重要だぞ!」
「おう!」
船に乗り移っては水賊共をきり飛ばし、人質達を開放して行く。
こんな端の方にもいるなら、中央の方ではどれだけ多くの人が捕まっているのだろうか。
ボロボロにされた人質を救いながら暗い考えが頭に浮かぶ。
「シュタル様! この船の制圧終わりました!」
「よし! 次の船に行くぞ!」
「はい!」
俺達が先頭になって敵の船に次々に乗り移って制圧を繰り返していく。
敵がそれぞれの船で必死に抵抗をしてくるけれど、それは船ごとの抵抗で、軍としての抵抗をしてこない。
「おかしい……」
「何がですか!?」
「いや、流石に最初は機先を制することが出来たとは思っている。だが、幾らなんでも敵の対応が遅くはないか? 既に3隻は俺達だけで落としているんだぞ? 囲ってくるように対応して来てもおかしくはないと思うが……」
「確かに……。一度下がりますか?」
「そうだな。少し様子がおかしい。俺だけで向かうとしよう」
「!? 危険ではありませんか!?」
「俺は最強だ。この程度の水賊など1000集まろうと数ではない」
「そんな……」
「お前達にここは任せる」
「分かりました!」
俺は彼らを置いて急いで中央に向かう。
何か嫌な予感がする。
船から船に飛び移り、奴らの中央にいるやつらの元に向かう。
そして、さっき別れた船から5つほどの所に来た時に、それは起きた。
「誰も……いない?」
そう。
俺が狙っていたこの船団の頭達は既に消え去っていた。
そんな訳はないと思って周囲を探すと、奴らは既にかなり離れた所にいる。
「あいつ等……」
仲間を置いて逃げるとは。
奴らを許すことは出来ない。
そんな事を思って奴らの方に向かって飛ぼうとした瞬間、俺のいた船が真っ二つに握りつぶされた。
「何だと!?」
「うわああああああ!!!」
「助けてくれええええ!!!」
「なんで! なんで! 味方じゃないのかよぉ!」
叫ぶ水賊の声を聞いて、その正体が分かった。
その正体はこの湖の守り神と呼ばれる亀だったのだ。
俺は素早くと飛び去り、隣の船に降りたった。
モシャ……モシャ……モシャ……モシャ……。
守り神は口に咥えた木や人をすり潰して飲み込んでいく。
その姿は桁違いの大きさを誇っていて、体長は50mもあろうかと言うほどに大きい。
その頭だけでも10mはあるのではないかと感じられる程で、正直戦いがいがありそうだ。
「ガァ~メェ~!!!」
守り神は叫び声を上げて、仲間の船ごと足で叩き潰してくる。
「くっ!」
俺は空中に飛び、魔法を使う。
「『飛行魔法』」
空のかなり高い所に留まり、奴の行動を観察する。
奴はじっと俺だけを見ていて、何か訴えかけているようだ。
瞳はどこか濁っているのだけれど、その奥には何かがある。
そして、その瞳は敵の船団に向かっていた。
「……」
俺は不思議に思い、敵の船団を凝視する。
すると、そこには上は真っ白な着物に下は真っ赤な着物。
頭には黒い帽子の様な物を被って、こちらに向かって祈りを捧げている少年らしき子供がいた。
「なるほど、彼が奴らの手にある限りこいつは言うことを聞かされ続けるのか」
そうであれば、この守り神を倒すよりも先にあっちの子供を助けるのが先か?
ただ、そんな事をしても、彼が奴らに操られているのには何か違った理由があるのかもしれない。
彼もまた誰か人質に取られていた場合、彼を助けても守り神を止めてくれるかどうか分からない。
そうなったのなら、そんな事をしている間にこの守り神は敵の水賊のごと冒険者達に攻撃を開始するだろう。
なら、やることは一つだ。
「守り神よ。少しくらい痛いのは我慢してもらうぞ?」
敵の合図等はちゃんと聞き出しているし、霧で隠れて敵を全て倒したので情報は伝わっていないはずだ。
そして、向かう皆には楽しそうに騒がせている。
これをすることによって敵を油断させる事が出来るはずだ。
そんな事を考えていると、Aランク冒険者が話しかけてくる。
「敵の船団ですね……」
少し離れた所には情報通りに100隻を越える船が集まっていた。
遠くから見える感じなだけでも、かなり胸糞悪いことをしてる。
「あいつらは……」
「気にするなとは言わん。だが、1人も逃がすな。これは決定事項だ」
「……はい! しかし、襲われないでしょうか」
「それは……入ってみるしかない」
俺達は守り神の巣に入る。
「……問題なさそうだな」
「ですね。これでもう奴らの好き勝手にはさせません!」
守り神の巣に入ったのに襲われない。
やはり、これは聞き出した情報が正しかったのだろう。
「ああ、このまま普通に合流するフリをして突っ込むぞ。出来れば捕虜や人質は助けるが、無理はするな。お前達が死ぬ方がよりこちらのダメージがデカい」
「分かりました」
俺達はかなりの速度を保ったまま奴らの船団に突撃した。
「何事だ!?」
「あの馬鹿どもが突っ込みやがった!」
「何を考えてやがる! ぶっ殺すぞ!」
「死ぬのはお前だよ」
怒鳴っている水賊共の討伐に俺も参加して殺していく。
「敵が体勢を立て直す前に殺せ! 速度が重要だぞ!」
「おう!」
船に乗り移っては水賊共をきり飛ばし、人質達を開放して行く。
こんな端の方にもいるなら、中央の方ではどれだけ多くの人が捕まっているのだろうか。
ボロボロにされた人質を救いながら暗い考えが頭に浮かぶ。
「シュタル様! この船の制圧終わりました!」
「よし! 次の船に行くぞ!」
「はい!」
俺達が先頭になって敵の船に次々に乗り移って制圧を繰り返していく。
敵がそれぞれの船で必死に抵抗をしてくるけれど、それは船ごとの抵抗で、軍としての抵抗をしてこない。
「おかしい……」
「何がですか!?」
「いや、流石に最初は機先を制することが出来たとは思っている。だが、幾らなんでも敵の対応が遅くはないか? 既に3隻は俺達だけで落としているんだぞ? 囲ってくるように対応して来てもおかしくはないと思うが……」
「確かに……。一度下がりますか?」
「そうだな。少し様子がおかしい。俺だけで向かうとしよう」
「!? 危険ではありませんか!?」
「俺は最強だ。この程度の水賊など1000集まろうと数ではない」
「そんな……」
「お前達にここは任せる」
「分かりました!」
俺は彼らを置いて急いで中央に向かう。
何か嫌な予感がする。
船から船に飛び移り、奴らの中央にいるやつらの元に向かう。
そして、さっき別れた船から5つほどの所に来た時に、それは起きた。
「誰も……いない?」
そう。
俺が狙っていたこの船団の頭達は既に消え去っていた。
そんな訳はないと思って周囲を探すと、奴らは既にかなり離れた所にいる。
「あいつ等……」
仲間を置いて逃げるとは。
奴らを許すことは出来ない。
そんな事を思って奴らの方に向かって飛ぼうとした瞬間、俺のいた船が真っ二つに握りつぶされた。
「何だと!?」
「うわああああああ!!!」
「助けてくれええええ!!!」
「なんで! なんで! 味方じゃないのかよぉ!」
叫ぶ水賊の声を聞いて、その正体が分かった。
その正体はこの湖の守り神と呼ばれる亀だったのだ。
俺は素早くと飛び去り、隣の船に降りたった。
モシャ……モシャ……モシャ……モシャ……。
守り神は口に咥えた木や人をすり潰して飲み込んでいく。
その姿は桁違いの大きさを誇っていて、体長は50mもあろうかと言うほどに大きい。
その頭だけでも10mはあるのではないかと感じられる程で、正直戦いがいがありそうだ。
「ガァ~メェ~!!!」
守り神は叫び声を上げて、仲間の船ごと足で叩き潰してくる。
「くっ!」
俺は空中に飛び、魔法を使う。
「『飛行魔法』」
空のかなり高い所に留まり、奴の行動を観察する。
奴はじっと俺だけを見ていて、何か訴えかけているようだ。
瞳はどこか濁っているのだけれど、その奥には何かがある。
そして、その瞳は敵の船団に向かっていた。
「……」
俺は不思議に思い、敵の船団を凝視する。
すると、そこには上は真っ白な着物に下は真っ赤な着物。
頭には黒い帽子の様な物を被って、こちらに向かって祈りを捧げている少年らしき子供がいた。
「なるほど、彼が奴らの手にある限りこいつは言うことを聞かされ続けるのか」
そうであれば、この守り神を倒すよりも先にあっちの子供を助けるのが先か?
ただ、そんな事をしても、彼が奴らに操られているのには何か違った理由があるのかもしれない。
彼もまた誰か人質に取られていた場合、彼を助けても守り神を止めてくれるかどうか分からない。
そうなったのなら、そんな事をしている間にこの守り神は敵の水賊のごと冒険者達に攻撃を開始するだろう。
なら、やることは一つだ。
「守り神よ。少しくらい痛いのは我慢してもらうぞ?」
1
お気に入りに追加
390
あなたにおすすめの小説
社畜の俺の部屋にダンジョンの入り口が現れた!? ダンジョン配信で稼ぐのでブラック企業は辞めさせていただきます
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
最難関ダンジョンで裏切られ切り捨てられたが、スキル【神眼】によってすべてを視ることが出来るようになった冒険者はざまぁする
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【第15回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作】
僕のスキル【神眼】は隠しアイテムや隠し通路、隠しトラップを見破る力がある。
そんな元奴隷の僕をレオナルドたちは冒険者仲間に迎え入れてくれた。
でもダンジョン内でピンチになった時、彼らは僕を追放した。
死に追いやられた僕は世界樹の精に出会い、【神眼】のスキルを極限まで高めてもらう。
そして三年の修行を経て、僕は世界最強へと至るのだった。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
現代ダンジョンで成り上がり!
カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる!
現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。
舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。
四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
【完結】スライム5兆匹と戦う男
毛虫グレート
ファンタジー
スライムくらいしか狩れない雑魚魔法使いレンジはまたパーティを追放された! もう28歳だよ。二十歳そこそこの連中に老害扱いされはじめてんのに、一向にレベルも上がらない。彼女もいない。なにやってんの。それでいいの人生? 田舎町で鬱々とした日々を送るそんなレンジの前に、ある日女性ばかりの騎士団が現れた。依頼はなんとスライムを倒すこと。
おいおい。俺を誰だと思ってんだ。お嬢ちゃんたち。これでも『雷を呼ぶ者』と呼ばれた偉大な魔法使い、オートーの孫なんだぜ俺は! スライムなんていくらでも倒してやるYO! 20匹でも30匹でも持って来やがれ! あと、結婚してください。お願いします。
............ある日突然、スライム5兆匹と戦うことになってしまった男の、絶望と灼熱の日々が今はじまる!!
※表紙画像はイラスト自動作成のhttps://www.midjourney.com/ にてAIが描いてくれました。
転生幼女はお願いしたい~100万年に1人と言われた力で自由気ままな異世界ライフ~
土偶の友
ファンタジー
サクヤは目が覚めると森の中にいた。
しかも隣にはもふもふで真っ白な小さい虎。
虎……? と思ってなでていると、懐かれて一緒に行動をすることに。
歩いていると、新しいもふもふのフェンリルが現れ、フェンリルも助けることになった。
それからは困っている人を助けたり、もふもふしたりのんびりと生きる。
9/28~10/6 までHOTランキング1位!
5/22に2巻が発売します!
それに伴い、24章まで取り下げになるので、よろしく願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる