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第2章 姫
40話 ロネ姫とウテナ
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「姫様!」
背後からはメイドの叫びが聞えてくる。
姫様? 俺は後ろを振り返ると、そこにはいつもの優し気な顔ではなく、沈み込んだ顔でたたずむロネ姫がいた。
「いかがなさいました?」
「この度はご迷惑をおかけして誠に申し訳ありません」
「迷惑……? 特に無いと思いますが……」
「いえ、今回の襲撃は……」
ロネ姫がそこまで言って黙ってしまう。
そこに、ウテナも来た。
「姫、未だ敵の正体も分かっていません。恐らく先ほどのウォータードラゴンが最後だとは思いますが、安全な馬車の中でお待ち頂きたく思います」
「あ……う……。分かりました」
ロネ姫がウテナの姿を見ると俯き、肩を落としながら振り返り、馬車の方に向かおうとする。その時、彼女の目に、地面の上で苦痛に呻く者達を目にした。
彼女は目を見開き、何度か迷った後に、またこちらに振り返る。そして、意を決したようにして、口を開く。
「今回の事件の責任はわたくしにあります」
「!?」
「え!?」
「姫様!?」
「どうして……」
俺やウテナ、2人のメイドも驚いてロネ姫の事を見ている。
「説明してくれるか?」
俺は驚いて口を開けないでいるウテナの代わりに聞く。
「まず事の発端を説明します。今回の発端は、わたくしがウテナの名をあげさせるために仕組んだことですわ」
「これをか……?」
俺は地面に横たわる負傷者を見ながら彼女に言う。
彼女は唇を噛んで、それでもハッキリという。
「そうですわ」
「違います!」
「姫様のせいではありません!」
自分のしでかしたことと認めたロネに対し、それを否定するメイド2人。どういうことだ? なにか知っているのだろうか。
「話が見えてこない。一度説明してくれ」
「わたくしが」
「私から説明させていただきます」
ロネの言葉をメイドが遮り、話始める。
「今回の事の発端は、ロネ様がウテナ様の名声が下がったことを危惧して計画されたことです。その内容は、まずはグレンゴイルからガンプノスに行く途中に、いつも飲んでいる茶を買い忘れたと言ってセレット様にグレンゴイルの戻っていただきます」
「あれはわざとだったのか?」
「はい。そして、セレット様がいない間に予め用意されていた魔物を私たちに向かわせます。そして、それをウテナ様が中心になって撃退する。この森は一応警備が入る予定でしたけど、全部を見切ること等当然できません。全ては偶然の産物。誰も処罰されることなく、ウテナ様は名をあげる。それによって最近落ちているウテナ様の名声を姫様は取り戻したかったのです」
「言いたいことは色々あるが……。最後のウォータードラゴン? 奴についてはどうなっているんだ?」
「あれについては……」
「わたくしたちの用意した物ではありません。理由は分かりませんが、グリードベアを追いかけてきたのでしょう。餌だと思っていたのかもしれません」
「元々奴はこの周辺に住んでいるのか?」
俺はウテナの方を見る。
彼女は首を横に振った。
「この近辺を通りがかるために情報を集めたが、そんな話は聞いたことがない」
「納得出来んな……」
「それよりも姫様、先ほどの事を話して頂けますか? 私の名をあげようとしてくださったとおっしゃっていましたが……」
ウテナが恭しく聞く。その聞き方には少し距離感を感じた。
「それは簡単です。ウテナ、貴方は気付いていないかもしれませんが、貴方の最強の4騎士の名には泥がついています。セレットさんに負けたことによって。女だから、あんな若造に勤まるはずがないのだ。そういった声が聞えているのです。わたくしはそれが許せなかった」
「だから今回の騒動を?」
「はい。まさかこんなことになるとは想像していませんでした。貴方達にも被害が出ない様に調整した魔物を集めたのです。それが、こんなことになるとは……」
彼女はそう言って辛そうな顔をする。
ウテナはロネ姫の所に行き、彼女と視線を合わせる様に中腰になった。
「姫様、弱い私では不満ですか? 私は姫様の為に仕えて参りましたが、弱いならいらないと言われるのであれば私は大人しく騎士の位を返上します。その方がいいでしょうか」
「ダメに決まってるでしょう! 貴方はわたくしだけの騎士、貴方がいれば他にはいらない。だから、貴方だけはわたくしの側にいて欲しい。だから、だから貴方の名が地に落ちるのが許せなかった。貴方の名前は最強。『閃光』の2つ名に相応しい人であって欲しかった。だから……だから……」
ロネ姫はそう言って泣いている。途中から支離滅裂で、彼女自体も、何が言いたいのかまとまっていないのだろう。ただ心の赴くままに、彼女に対しての思いをぶつけている。
「姫様」
「ウテナ?」
ウテナはそっとロネ姫を抱きしめる。
ロネは一瞬びくりと震えるが、それを受け入れた。
「私が負けたことは本当に申し訳ありません。私は姫様の第一の騎士、そのことで姫様の名声が下がってしまうことは私にとっても嬉しいことではありません」
「わたくしはそんなこと気にしない! わたくしは元々評価など気にしていません。『悪姫』の2つ名も甘んじて受け入れています。というよりも、貴方さえいればいい」
ロネの言葉は本心の様だった。心から言い、何も取り繕っているようには見えない。
「私も同じです。私にとって大事なのはロネ様の騎士であること。だから最強の4騎士であるとか、『閃光』であることは些細なことなのです。私にとっては姫様が一番なのですから……」
「ウテナ……」
ロネはそう言って泣いている。
ウテナがそれを優しく抱きしめ、撫でていた。まるで本物の親子であるように錯覚させられる。
誰も口を挟めない。そんな空間が出来上がっていた。
そのに、メイドの一人が俺にだけ聞こえるように言ってくる。
「姫様は、ウテナ様の事を慕っておいでです。皇女として常にトップを走り続ける事を強制されてきた姫様の事を、同じように強くなることを義務付けられたウテナ様に重ねたのでしょう。そしてウテナ様は姫様の騎士になり、4騎士まで登りつめた。そこまでの力量があるならば、今の姫様よりもいい場所に行くことが出来るでしょう。他のご兄弟の所でも、力ある公爵や侯爵の所でも。それこそ、好きな場所を選べます。しかし、ウテナ様は姫様の元に残ることを選んだ。だから姫様は少しでもウテナ様の名声が下がることが許せなかったのだと思います。勿論。セレット様は何も悪くありません。これは勝手な姫様の我がままで、一方的な決めつけなのですから。ですが、少しでもご考慮頂けるなら、姫様はまだ12歳。成人すらしていない少女であることを考えて頂ければと」
「ふむ。別に俺は怒ってないよ。俺にとって名声なんて正直どうだっていい。ワルマー王国にいた時の俺はただの龍脈衆で満足していたし、別にそれでもいいと思っていた。それは正直今も変わらないんだ。龍騎士の称号だって俺にあっていいのかって思ってるくらいだから。でも、これだけ思い合っている2人の仲を裂こうとする奴は許せないよな」
「? どういうことですか?」
俺はわざと最後に話を飛ばした。そして、ある方向を見続ける。
「何、今回の黒幕はロネ姫だと言ったな? だが、そうじゃないかもしれない。そういうやつを見つけた。少し行ってくる」
「え? 一体どういう、きゃ!」
俺は全身に魔力を回し、身体能力を引き上げる。そして、奴から視線を逸らさない様に、逃がさない様にせまる。
******
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ロネ姫がウテナの姿を見ると俯き、肩を落としながら振り返り、馬車の方に向かおうとする。その時、彼女の目に、地面の上で苦痛に呻く者達を目にした。
彼女は目を見開き、何度か迷った後に、またこちらに振り返る。そして、意を決したようにして、口を開く。
「今回の事件の責任はわたくしにあります」
「!?」
「え!?」
「姫様!?」
「どうして……」
俺やウテナ、2人のメイドも驚いてロネ姫の事を見ている。
「説明してくれるか?」
俺は驚いて口を開けないでいるウテナの代わりに聞く。
「まず事の発端を説明します。今回の発端は、わたくしがウテナの名をあげさせるために仕組んだことですわ」
「これをか……?」
俺は地面に横たわる負傷者を見ながら彼女に言う。
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「そうですわ」
「違います!」
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「はい。そして、セレット様がいない間に予め用意されていた魔物を私たちに向かわせます。そして、それをウテナ様が中心になって撃退する。この森は一応警備が入る予定でしたけど、全部を見切ること等当然できません。全ては偶然の産物。誰も処罰されることなく、ウテナ様は名をあげる。それによって最近落ちているウテナ様の名声を姫様は取り戻したかったのです」
「言いたいことは色々あるが……。最後のウォータードラゴン? 奴についてはどうなっているんだ?」
「あれについては……」
「わたくしたちの用意した物ではありません。理由は分かりませんが、グリードベアを追いかけてきたのでしょう。餌だと思っていたのかもしれません」
「元々奴はこの周辺に住んでいるのか?」
俺はウテナの方を見る。
彼女は首を横に振った。
「この近辺を通りがかるために情報を集めたが、そんな話は聞いたことがない」
「納得出来んな……」
「それよりも姫様、先ほどの事を話して頂けますか? 私の名をあげようとしてくださったとおっしゃっていましたが……」
ウテナが恭しく聞く。その聞き方には少し距離感を感じた。
「それは簡単です。ウテナ、貴方は気付いていないかもしれませんが、貴方の最強の4騎士の名には泥がついています。セレットさんに負けたことによって。女だから、あんな若造に勤まるはずがないのだ。そういった声が聞えているのです。わたくしはそれが許せなかった」
「だから今回の騒動を?」
「はい。まさかこんなことになるとは想像していませんでした。貴方達にも被害が出ない様に調整した魔物を集めたのです。それが、こんなことになるとは……」
彼女はそう言って辛そうな顔をする。
ウテナはロネ姫の所に行き、彼女と視線を合わせる様に中腰になった。
「姫様、弱い私では不満ですか? 私は姫様の為に仕えて参りましたが、弱いならいらないと言われるのであれば私は大人しく騎士の位を返上します。その方がいいでしょうか」
「ダメに決まってるでしょう! 貴方はわたくしだけの騎士、貴方がいれば他にはいらない。だから、貴方だけはわたくしの側にいて欲しい。だから、だから貴方の名が地に落ちるのが許せなかった。貴方の名前は最強。『閃光』の2つ名に相応しい人であって欲しかった。だから……だから……」
ロネ姫はそう言って泣いている。途中から支離滅裂で、彼女自体も、何が言いたいのかまとまっていないのだろう。ただ心の赴くままに、彼女に対しての思いをぶつけている。
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ロネは一瞬びくりと震えるが、それを受け入れた。
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ロネの言葉は本心の様だった。心から言い、何も取り繕っているようには見えない。
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ウテナがそれを優しく抱きしめ、撫でていた。まるで本物の親子であるように錯覚させられる。
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