「サボってるだろう?」と追い出された最強の龍脈衆~救ってくれた幼馴染と一緒に実力主義の帝国へ行き、実力が認められて龍騎士に~

土偶の友

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第1章 帝国へ

8話 灼熱の龍脈

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「さ、着いたぞ」

 そうしてセルダースさんに案内されたのは、かなり大きな龍脈だった。ここの門には帝国の龍脈衆であろう人が2人立っている。

 彼らはセルダースさんを見つけると挨拶をしてきた。

「これはセルダース様! いかがされました?」
「何、違う国で龍退治をしていた者を連れて来たからの、少し参加させてくれんか?」
「そちらの男性の方ですか……?」
「そうじゃ」

 龍脈衆の人はそう言って俺のことを見てくる。そして、俺の後ろに誰かいないかを確認してセルダースさんの方を向く。

「あの、普通、龍退治はチームで行なうものだと思うのですが……。他の仲間の方はどちらに?」
「俺は1人だ。ここの龍が特別に強くなければいけると思うんだが……」

 これでもワルマー王国の王都の龍脈はどれも最低10回は戦ってきた。だからここでもいけるとは思うのだ。

「しかし1人は余りに危険すぎる気が……」

 そう言う龍脈衆の顔は暗い、それくらい心配してくれているのだろう。前の国では考えられなかった。

 前の国では「お? 来てくれたのか。じゃあ後はよろしく」といってどこかに去って行かれたものだ。

「大丈夫よ。セレットの力を知らないからそう言うのでしょうけど、ちょっとだけ任せて上げて」
「そうは言いますが、ここは『灼熱(しゃくねつ)の龍脈』当たった瞬間に燃えつくすような炎を吐く龍が数多く出現するのです。被害もかなりのものになっているんですよ?」
「あ、忘れてた、龍脈には今聞いたみたいな特徴を冠した名前がついてることが多いんだけど、そこに現れる龍から取られることが多いの。ここの龍脈だと炎系統ね」

 アイシャは突然説明を始める。これはウテナさんの為だろう。

「で、それだけじゃなくって『灼熱の龍脈』だったら炎系統の龍力が多いから、炎の龍力が使いやすいとか、炎の魔道具の性能が上がったりっていうことがあるのよね」
「なるほど、それがさっき言っていた特性なのだな?」
「うん、そう。そういう特性を知るのも魔道具師には大事なことなのよ」
「なるほど、勉強になった。感謝する」
「どういたしまして」

 2人はいつの間にか仲良くなっていた。

 と、龍脈衆の人が心配そうに見ている。

「っと、多分大丈夫だと思うから、少し任せて貰えないだろうか?」
「はい……。分かりました。しかし、お気をつけくださいね?」
「ああ、ありがとう」

 ここの龍脈衆の人たちは優しい。いい職場に来たものだ。

 そして、俺達が入るために扉が開かれた途端に、大きな悲鳴が聞こえてくる。

「インフェルノドラゴンだああああああ!!!」
「下がれ! 新米は下がれ! 一瞬で消し炭にされるぞ!」
「対炎装備でも一瞬で消し炭にしてくる! 新米はサッサと下がれ!」
「隊長! 奥からファイアードラゴンまで!」
「何だと! どれだけ湧いて出てくるのだ!」
「分かりません! しかしこのままでは!」

 そのような悲鳴が聞こえてくる。そして、それに合わせるかのように、年端もいかない、幼い青年と呼ぶには若い者達がこちらに向かって走ってくる。

 彼らの奥には真紅に鱗を輝かせる体長20mを優に超える巨体。その目は人々を見下す圧倒的な強者が存在していた。

 奴は口元に炎を小さく出し、一度大きく空気を吸い込んだかと思うと一気に吐き出した。

「ごあああああああああああああ!!!!!!!!」

 奥ではインフェルノドラゴンがブレスを吐き、周囲を燃やし尽くそうとしている。

 対する龍脈衆の人たちはかなりの動きだ。

 それぞれが連携して、回避し、龍の気を逸らしたりしている。ただ、その迫力からかなかなか近づけずにいた。

 彼らの戦いを見て居ようとした所、門番の彼に肩を引かれる。

「今は危険すぎる! 下がってくれ!」
「助けに行かなくていいのか?」
「インフェルノドラゴンを倒すに連携の取れない人が来るのは邪魔にしかならない! それに、後ろにはファイアードラゴンがいる! 少しのミスが命取りになる! だから今は何もしないでくれ!」

 そういう彼の顔は切羽詰まっていて、本気で言っていることがわかる。それほどに危機的な状況なのだろう。

「じゃあ後ろのファイアードラゴンを相手にしてもいいか?」
「え? しかし、ファイアードラゴンと1対1で戦える者等……」
「いいか?」
「あ、ああ」
「それじゃあ行ってくる。それと、龍力も少し貰うぞ」

 俺はそう言ってファイアードラゴン目指して走り出す。

 新人達がこちらに走ってくるが、その間をぶつからない様にすり抜ける。

 その途中で床から龍力を少し分けてもらい、自身の力に変換する。

 そうすると体中に力が漲るのが分かり、久しぶりの感覚に胸が高鳴った。

 インフェルノドラゴンと戦っている龍脈衆の人の側を通る時に一言声をかけていく。

「後ろのファイアードラゴンは貰うぞ!」
「は? おい! 誰だアイツは!?」
「勝手をするな! 一人で戦える相手じゃない!」
「集中しろ! 死にたいのか!」
「インフェルノドラゴンから目を逸らすな!」

 俺はインフェルノドラゴンの側を通り過ぎ、その後ろにいるファイアードラゴンに向かう。

 奴はまだ出てき始めたといった所で、その身をゆっくりと起こしていた。その体は赤い鱗をで覆われていて、インフェルノドラゴンより輝きは鈍い。

 体長が10m程と小柄で、ある程度機敏に動けるので注意が必要だ。

 しかし、機敏に動けるなら、その前に倒してしまえばいい。

 ファイアードラゴンがブレスの準備をする為に大きく息を吸い込んだ。

「よっと」

 俺は一息に奴に迫り、剣を抜いて奴の首目掛けて降り下ろす。

 シュパ!

 流石アイシャ。相棒の手入れもばっちりだ。奴の首は一瞬で切り落とされ、奴の目は点になったまま床を転がる。

「よし、そこまで強くは無かったな」

 ファイアードラゴンを処理したので、次はインフェルノドラゴンか。

 俺が後ろを振り返ると、インフェルノドラゴンは無防備にもその背を俺に向けていた。丁度いい。この隙に刈り取るとしよう。

 俺は後ろからバレない様に気配を消して忍び寄る。そして、奴がブレスを吐き終わったタイミングで首目掛けて剣を振った。

「はっと」

 ギャシュリン!

 最初は引っかかったかと思ったが、すぐに振りぬく。

 そして、俺が床に着地した時には奴の首はポロリと落ちていた。

「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「あれ? どうしたんだ? 無事か?」

 俺はインフェルノドラゴンの死骸を背に、帝国の龍脈衆の近くに近寄る。

 彼らは真っ赤な鎧を装備していた。これが炎耐性のある鎧なのだろう。こうやって見るとかっこいいな。

「お前……今、何をした?」

 その中で一番装備のしっかりした、歳の感じは40代か、隊長のような風格の人が話しかけてくる。

「何って。ファイアードラゴンとインフェルノドラゴンの首を落としただけだが?」

 奴らがブレスを吐くために地上に近かったからやりやすくて助かった。

 それに、首の太さもそこまで無かったので斬りやすくていい。

「落とした……?」
「普通、もっと苦労するはずだよな……?」
「というか龍の首って切り落とせるものなのか?」
「そもそも一撃で倒せたというのが信じられないんだが……」
「夢を見ているのか……?」
「お菓子食べたい」

 龍脈衆の人たちが動きを止めたまま困惑している。どうしてだろうか。何かまずかったか?

「お主! 今何をした!」

 何かやってしまったかと心配していた所にセルダースさんが走ってやってくる。

 その後ろには苦笑いをしたアイシャと、興味深そうにドラゴンを見るウテナさんがいた。

「何をしたといっても剣で龍の首を落としただけだ」
「「「「「「………………」」」」」」

 何だろう。龍脈衆の人たちがじっとこっちを見てくる気がする。

 あ、もしかして手柄を奪われたとか思ってるのか?

 さっきもその話をしていたし、帝国だとそういうことには厳しいのかもしれない。そうだ。そうに違いない。

「あの、インフェルノドラゴンとか、ファイアードラゴンの手柄は貴方達が倒したってことにしといてください。俺はちょっと後ろから援護しただけですから」
「「「「「「そういうことじゃなーい!」」」」」」

 どうやら違ったようだ。
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