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 今 今日の朝ご飯はご飯に味噌汁、目玉焼きにソーセージといういたって普通の朝食だった。帝国ホテル等でも出てくるような一流の物を母は出してくれる(帝国ホテルに泊ったことは一度もない)。父や弟は仕事で早いとか、部活で忙しくてといった理由で朝は食べない。その為に弟は朝早くに家を出てコンビニでパンを買って食べるし、昼は購買ですませるのだ。何と勿体ないことか。たかが部活の為に母の料理を食べ損なうとは、彼の味覚心配だ。

 と、そんなことはいい。いつもの朝食で帝国ホテルのような朝食を優雅に楽しんでから(帝国ホテルには行ったことはないが似たような物だろう。きっとそうだ)時間ギリギリに家を出る。

 それからはいつも通りに学校に到着して、1限目は古典からだった。意味の分からない漢文等を読まされて一体何の役に立つのだろうか。正直こんな物を読んでいるなら有名な漫画家の三国志や史記のコミックを読んでいることの方が明らかに役に立つと思う。何より面白いし。食べているものも中々に旨そうに見える。そして酒を浴びるように飲んでいるのもまたいい雰囲気だ。俺も早く飲めるようになりたい。

 そして2限目は数学だ。これまた食べれもしない記号を覚えさせられその使い方を考えさせられる。この記号が全てクッキーになっていればどれだけ良かっただろうか。あ、甘い感じの何かでもいいかもしれない。クリームの載ったパンケーキとかはどうだろうか?流石に夜にパンケーキはないか?

 3限目は歴史だった。古代ローマの話とかをされても正直誰が誰か分からない。しかも古代ローマの食事方法は意味が分からない所か不快感すら催させる。例えば3人で一緒に食事を取るとする。その時に6人前の料理が並べられているとしよう。一人1人前を食べれば十分で、残った3人人前はまた明日に食べるなり、昔だから側にいる奴隷に上げればいいはずだが、彼らはそんなことをしない。奴隷に喉の奥に何かを入れさせ、たった今食った分を吐き戻すのだ。そしてお腹が空になったねと再度食べ始める。意味が分からない所かこの話を聞いた時は殺意すら覚えてしまった。とっくのとうに死んではいるが一度蘇らせてから殺してやろうかと思ったほどだ。流石に蘇らせるには鶏の生贄が必要らしく、勿体ないので止めたが。しかし、ローマと言えばピザ、ピザか・・・母が作れば美味いんだろうが、それでも流石に家のような一般家庭に窯はないからな。流石に厳しいか。

 4限は体育だった。この暑い中をサッカーとはこのプログラムを考案した人の頭の中がやられていないか心配になるが、この時間、そう、昼の食事前の時間に体を動かし、腹を減らさせると言った時間割を選んだ人にはきっと素晴らしい人生が訪れるだろうと思う。というか祈っている。そういえば今日は昼にそんな感じだったので、かなりがっつりしたものが食べたいかもしれない。ということは唐揚げか・・・豚の生姜焼きも素晴らしいのではないか。どちらもご飯と合わさればどんな人間も平服するに間違いない。天照大御神も一瞬で岩戸を蹴り開けてくるに違いない。

 そして昼には大盛りのオムライス。それを重箱一杯のサイズで。最初は普通の量しか入らない弁当箱を2つ持ってきていたのだけれど、それだと母が洗うのが大変だし作る献立も面倒ということで白羽の屋が立ったのがこの重箱だった。重箱なんて正月に数回使うだけで、後は押入れの中にあるだけだし物の有効活用だ。この案を思いついた時はノーベル賞を受賞してもいいと思った。そしてそんな素晴らしい重箱に素晴らしい母の作る綺麗で色とりどりのオムライス。艶っつやな卵に真っ赤なチキンライス。その中には玉ねぎやニンジン、鶏肉にグリーンピース等が所狭しと入っている。添えてあるミニトマトや焼き玉ねぎ、温野菜にされたニンジンやグリーンピース。そして最後には蒸し鶏が入っていたのだ。それらは冷えてしまっても美味しく、クラスメイトのも羨ましそうな目で見ていたものだ。

「絶対にやらんからな」

 と機先を制して言っておいたが、彼らは「いらないから」と強がりを言っていた。心の中では本当は欲しいくせに。言えばこの幸せを少しくらいは分けてやるつもりだったが、素直にならないなら仕方がない。俺だけで楽しんだ。

 そんな至福の昼食を食べ終わった後には5限目の音楽だ。正直この時間割を考えた奴は不幸になるといい。というよりそうなる様に呪っておいた。なぜなら折角の幸せな時間を堪能した後に、移動教室等とは正気の沙汰ではない。考えてもみて欲しい。移動教室ということはある程度時間がかかる。仮に5分としようか。その5分を本来であれば昼休みで過ごせていたとしたら?幸せな至福の時間を5分も削られているのだ。ここまで聞いてくれた聡明な諸兄なら俺への同情で、この時間割を考えた奴を対象にして丑三刻に神社で藁人形に五寸釘を打ってくれているに違いない。俺はこの授業があった日は毎回行なっている、夢の中で。

 そして最後の6限目は英語だった。この時間は実は意外といい、といっても英語の授業はそこでしか聞いていないが、これきっといつか役に立つと思っている。なぜなら世界一美味しい物を食べるなら母だけで事足りるが、本当にそれだけだと良くないからだ。母は俺より歳が上だ。ということは自然の摂理に従えば俺より先に自然に帰ることになる。だから今のうちに世界で2番目に美味しい食事を作れる人を見つけておかなければならない。その選択肢に日本語が喋れる人しか選択肢に入れないのは愚かとか言いようがない。今のうちに英語が話せるようになって、色んな人と話せるチャンスを作っておかねばならないからだ。それと6限が素晴らしいのは誰にとっても同様だと思う。この授業さえ終わってしまえば後は好きな時間だからだ。当然だろう。この時の授業は確か中東の話をしていた気がする。中東と言えばトルコとかが有名か?ケバブもいいな・・・。

 そして今に至るという訳だけれども、時計を確認すると5分が過ぎてしまっている。いかん。母のしびれが切れる前に何とか考えねば。様々な可能性を考えた結果答えが出る。

「かあさーん!焼きそばがいいー!」

「分かったわ~行ってくるね~!」

「いってらっしゃ~い!」

 母はそれだけ残すとバタンと扉を閉めて出て行った。よし、ハッピーチャンスセットはしっかりとしていて良かった。これで何とかなるといっても過言ではないだろう。というか今のうちに焼きそばの腹にしておかないと。

 焼きそばにした理由は簡単だ。なんとなく食べたかったから。それ以外に理由などない。直感が全てに優先されるのは昔からの言い伝えでもある。Don't think,just feel.素晴らしい言葉だと思う。これが俺の座右の銘にしようかと何度思ったことか。何度も考えるが結局の所は焼肉定食になるので厳しい所だ。座右の銘で野球の様に打順を組んでみたい。それなら俺の考える最高の物が出来るだろう。

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