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第4章_モンバルト大戦争
第19話_無心ロイゼ
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零の前に現れた思わぬ強敵、ロイゼ。心を読めないどころか、ロイゼに心がない。これはロガンも知らなかったようだ。オーディンの右腕なんてそうそうなれない。それこそ無心なんて能力を持ってなければ。「それじゃあ厄神零。お前の目的は、オーディン様の本体の居場所を知ることだな?」相変わらず無表情である。「あぁそうだ。それでぶっ飛ばす!それだけだ。」零は、ぶっ飛ばす!を特に強調した。しかしロイゼは無表情。まぁロイゼに表情を求めているわけではない。「つまり俺のことを倒せねぇわけか?」無心のわりには言葉は達者だ。零は何も言えない。でもなんか悔しい!ぶっ飛ばしたい!《ダメよ!しっかりして!本当の目的を思い出して。オーディンの居場所を突き止めることよ。》でもどうやって?心理魔法が効かない!《ここは私に任せて。》どうやって?《話術で巧に炙り出すわよ。》なんか張り切っていた。《私の言った通りにあなたも言って。ようは真似して。》分かった。《お前本当は知らねぇんじゃねぇか?心がないからそれを良いことに、嘘ついて右腕まで登り詰めたんじゃねぇか?》なるほど、炙り出すのね。「お前本当は知らねぇんじゃねぇか?心がないからそれを良いことに、嘘ついて右腕まで登り詰めたんじゃねぇか?」すると、無表情なまま「オーディン様に聞いてみるといい。」《どこにいる?》「どこにいる?」するとピクリと顔が動いた。恐らく少し驚いている。「幽体ならこの城に居る。」《本体なら?(次からコアの声は非表示)》「本体なら?」するとまたピクリと顔が動いた。「教えねぇよ。」「やっぱ知らないんじゃん!」今度はもう少し大きなピクリだった。「知ってるっつてんだろ。」コアの意図が少し分かった。こういうすました奴こそ、むきになるとウッカリミスをしかねない。「いやぁ、証拠がないからなぁ。」すると少しずつロイゼが怒りを見せた。「知ってるんだよ!証拠なんて無くていい!とにかく知ってる。」まだまだ巧みな話術は繋がる。もう今のロイゼは、オーディンの本体の場所なんてどうでも良くて、自分がオーディンの場所を知っているということを訴えたくて必死だ。この状況はこちらにとって有利と言える。「知ってるって初対面のお前に言われても。」これは行ける!ロイゼはいよいよ憤慨し、「知ってるんだよーっ!」意外と頑固だな。「だから証拠がない限り知ってるって証明できない。実際に俺が見るまでは。」そしてロイゼが口を開いた。「いいよ。言ってやるよ!オーディン様は、...」なんだ!?「落ち着け俺!ここでむきになってはいけない。危ねぇ、言うところだった。」何だと!もう少しだったのに!《まだ策はあるわ》「しょうがねぇ認めてやる。」ロイゼは一瞬ホッとした。だが零はすぐに口を開く。「でも教えてくれてもいいと思うんだ。だって、お前がオーディンを最強って思っているなら、俺らが行ったところで勝てない、そうだろ?ならなぜ教えない。オーディンは強くないとでも思ってるのか?」確かに尊敬している人を否定されると、部下にとってはこの上なく不愉快だ。しかも自分に疑いをかけられる。不安も高まるだろう。さすがコア。頭いい!「いや、オーディン様はお前らより強い。」また無表情のままだ。だが一瞬ホッとした後に、またこういう作戦を繰り出すことで油断させるのだ。「なら俺らみたいな雑魚が立ち向かったところで、返り討ちにされるどころか、殺されるだけ。そうだろ?」誘うように言う。「あぁそうだ。オーディン様のところにたどり着くかも分からない。警備ガッチリだからな。俺らナメるなよ。」よしこれで、警備されてるってことが分かった。恐らく見れば分かる。「ならなぜ教えてくれない?俺らが勝てるかも、て思ってるのか?オーディンは悲しむだろうな。部下から信用されてないなんて。悲しむどころか殺されるだろうな。」今度は怒りではなく、恐怖で炙り出すのだ。「いや、俺はオーディン様を尊敬してる!信用してる!」「いや、お前は俺にオーディンの居場所を教えない。つまり心の底では信用してないんだ。だろ?」怒りと恐怖が混じったような感じだった。ロイゼはついに決心した。「お前なんか、オーディン様の足元にも及ばない!言わば雑魚だ!ここまで上手く事が進んだようだが、オーディン様の前では、そんなの塵となって消えるだろう。オーディン様の場所は、...」今度こそ!教えろ!「いや。どうしよう。教えたらそれはそれで、後で怒られる!」そうなのか。「いや大丈夫。俺たちが倒すから。」これ言って大丈夫?《見てなさい》「あっそうか!ならいいや。場所は、この城の反対側の平野のど真ん中に、洞窟見たいな所があるから。それで中に入っていって、しばらく行くと居るよ!警備気を付けてね!」なんてすんなりな男だ。まだ自分が言ってしまったことに気づいていない。しかも最後は忠告までしている。こいつ天然?《作戦成功!やったわね!後は城を破壊して、オーディンの幽体を倒して!それから本体ね。》おぉさすがコア、俺が惚れただけあるな。それじゃあ、薙とロガンへの合図の意味も込めて、城を爆破しますか。「とりあえずロイゼ。ありがとう。そして死んでくれ。」一気に爆破魔法を発動する。この城はなかなか基礎がしっかりしている。それだけに壊すのは少し難しい。だが俺の魔法をナメるなよ!超爆破魔法!多量爆弾魔法!ニトロ撒き爆破魔法!結構崩れてきた。だがまだ原型を留めている。「なかなか強いな。」面倒くさいから、あれやろう。最終奥義 神爆大多量火薬ニトロ爆破魔法!俺とアテナは分厚い結界を張っていたが、それでも結界を押さえるのが大変なほどだった。しばらく砂埃で見えなかったが、晴れてきてようやく見えた。そこには何かたっていた形跡が少し残っているだけで、他は兵士の血がそこらじゅうに、散っている(残酷な描写)。一方薙とロガン。ボガーーーンッ!「おぉなんだ!?」「零の爆破だ!ってことは上手くいったのか?」それにしても大きな爆発だ。さっきから小さな爆発音が聞こえてきていたが、今のは格が違かった。「なんか飛んできてるぞ?えっ?岩石だ!城の破片がここまで飛んできてる!」薙とロガンは貧弱な結界で免れたが、そこらにいた兵士たちは粗方死んだ。そろそろ雑魚の相手は飽きてきた。もう少しの辛抱だ。一方零とアテナ。「オーディンの幽体はどこだ?」そこには何もなくなっていて、オーディンの幽体は無かった。出かけているのだろうか?じゃあ孟本体行きますか?どう思うコア?《良いんじゃ.......》そこで声が聞こえなくなった。どうした!?コア!コア!駄目だ。反応がない!「アテナ緊急事態だ、コアが危ない!俺は瞬間移動して様子を見てくる!アテナは薙とロガンに事情を伝えてくれ!」アテナは、分かったわ、と言い走っていった。船内をよく思い出して、瞬間移動!船内に到着した。周りを探すが、見当たらない。すると後頭部に刺激が走った。そして吹っ飛んだ。まてよ、何で俺が吹っ飛ぶ?なにも喰らわないはずなのに!後ろを見ると、コアを抱えた黒い生物がいた。いや生物なのかも怪しい。「お前は?」と聞くと、「オーディン・ヴォルティス。」こいつがオーディン!意外と小さかった。でも何故俺に攻撃が効く!?その後、一発一発が重くて強い攻撃を執拗に喰らい、零はついに気を失ってしまった。コアも気を失っているようだった。零は船内に一人で倒れてしまった。
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