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第3章_いざ!モンバルト星群へ
第12話_緊張は零?
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その後、旅は順調に進んだ。ちょこっとした事件はあったけど。ちょこっとしたっていうのは、薙とアテナが夫婦喧嘩を始めたのだ。それも、薙が寝坊したのをきっかけに、アテナがちょこっと漏らした「全くだらしないおっさんね」という言葉に薙が怒り始めて、口喧嘩に発展したのだ。こちらからしては、実にどうでもいいことである。まぁ喧嘩するほど仲が良いんでしょ。ということで、その件は棚の上に置いた。その他に、ロガンが塩と砂糖を間違えて、朝ごはんが甘くなった事件もあった。慌ててロガンがおかずを作り、危機を回避したが。そんな漫画みたいな事件以外は、別に大したことは起こっていない。実に平和な旅が続いた。だが、モンバルト星群に近づいていくにつれて、緊張感はよりいっそう高まった。バカップル劇場でなんとか緊張をほぐそうとするが、最近は大して効果がなくなってきた。バカップル劇場中でも、緊張感は流れ続け、到着予定日三日前には、もうバカップル劇場なんてやってられなくなった。当然相思相愛のリア充ではあるが、こんな状況でもヘラヘラしてるほどユルくはない。戦いに備えて、少しずつ雰囲気を変えているのだ。相手は相性最悪といっても過言ではない。不死身ではあるが、体力がなくなったら戦うことはできない。数値はエラーだが、表せないだけでちゃんと上限はある。しかも、相手と相性最悪だと、体力の減りは激増する。体力がなくならないような、頭脳プレイを強いられるだろう。そうだ。ヴァンレアー・レイスターも、不死身ではあったが宇宙をさまよい、沢山星を破壊しているうちに、体力がなくなって宇宙で塵となってしまったのだ。つまり、不死身というのは物理上であり、実際は死ぬこともできるということだ。絶望してた頃の俺だったら、嬉しがって力尽きただろう。だが、今はこんな仲間たちと一緒に居て、死にたいとは思えない。生きたいと思う。オーディンは今までで、いやこれからの間も、一番強く手強い(卑怯さも含めて)相手かもしれない。それでも、仲間は失いたくない。大切な仲間は、たとえ命に変えても(死ねないが)守る!そう固く心に決めた。「零くん!私は戦いでは何をすればいいかな?」コアが慌てて寄ってきた。この様子だと、私も役に立ちたい、と皆に提案したらやめとけとでも言われたのだろう。「コアは俺のサポートしてくれればいいよ。頭のなかで。」コアはガクッとうなだれて、「他にはないでずかぁ?」と半泣きで言ってきた。少し考えてみたけど、...正直無理かな。「やんなくていいよ。俺が居れば勝てる!だけどお前のサポートがないと、俺困っちゃうんだ。だから、サポートに専念してくれ。」と柔らかく言った。コアも、致し方ない、という顔をして「わかったわ」とちょっとガッカリして去っていった。励ましてやろうかと思ったが、心を読んだコアがすかさず《そう思ってくれてるだけで嬉しいわ》と言っていたため、そっとしといてやった。本当に、女心って読めないなぁ。俺もコアの心を読む能力ほしい。心読見透かし魔法は、元々物体生命体ではない者に効かないのだ。その日の夕飯。珍しく俺が料理した。まぁ、小中高と家庭科は得意だった。高校も家庭科って珍しいのかな?まぁいいや。とりあえず、ベーコンと玉子を混ぜて炒めて、塩コショウで味付けをした。魚みたいな食材があったが、モンバルトのものはなるべく手を出さないようにした。調理法方が良く分からないからだ。そして、三品をテーブルに置いた。皆が食べる。少し緊張した。「モグモグ...あぁいんじゃね。」ロガンが褒めてくれた。(のか?)「零くん美味しいじゃん!」「お前俺を食べたのか?」すかさずツッコむ。少し沈黙が流れたが、意味がわかったとたんに温かい空気が流れた。「料理もできるんだね。」コアも褒めてくれた。薙は素っ気ないから、べた褒めではなかったが、満足そうな顔をしていたから良かったのだろう。アテナは勢いがすごすぎる。「あんちゃん、美味いもん作りはるやなーい!え?何?料理系男子?」という勢いのある言葉と共に、こちらにジワジワ寄ってくるのだ。失礼だがやかましい。じっとして黙っていれば、超美貌の美女なのだが、この性格のせいかそれを少しずつ打ち消してしまう。まぁ、アテナはそれがいいのかな?そういうことにしておこう。この五人でいる時間を、もっと楽しみたい。モンバルト戦を無事終えることができるか?その後この五人がまた揃うか?またこの楽しい時間を過ごせるか?この戦いで、このいつも通りが変わってしまわないだろうか?またいつも通りに戻れるかな?まぁいいや。今は今を生きよう。未来は俺たちが決めることだ。いつも通りを変えたくないと思えば、変えない努力ができる。その努力が結ばれれば、また楽しい時間が待っている。夕飯を食べ終わったら、いつも通りコアとお風呂に入る。いつも通り一緒に布団に入る。いつも通り寄り添って寝る。こうして、騒がしく始まった一日は、幸せな温もりに包まれ終わった。その日の夜。零はフッと起きてしまった。トイレ行こ。静かな船内は、昼の騒がしさに疲れたような雰囲気を醸していた。静かに、「お疲れ様」と言って、寝室に戻った。ベッドに入ると、寝ていたコアが、待ってました、と言わんばかりに寄り添ってきた。コアの頭を撫でて、眠った。だがその夜は眠りと覚醒を繰り返した。何故か寝れなかった。コアは相変わらず熟睡だ。幸せそうな寝息をたてていた。そして寝れないまま朝を迎えてしまった。でも、眠くもなんともない。なんだろう?血が騒いでるのだろうか?するとコアが起きた。そして虚ろな目をこちらに向け、「零くん?大丈夫?」急になんだろう?「え?どうして?」すると、「なんか疲れてるみたい。やっぱ、船の操縦?」いやそんなはずはない。「そんなわけないって。コアは良くわかってるだろ。」そうだけど、と言ってハグされた。え?何?この急な展開?え、で、ば、バカップル劇場でも、そんなことしなくないか?「もうSFじゃなくて、恋愛しよう。」と言われた。それじゃあ本末転倒やん!でも、これって告白だよね?嬉しすぎる....!人生初の告白じゃん!読者の皆さんすいません!相思相愛なので。「わかった。これからは濃く恋愛しよう。でも、SFもちゃんとやろうな。」すると笑顔で。「うん♪」と元気に返事をした。可愛いなこいつぅ!守りたいと思えれば、俺は強くなれる気がした。これから本格的に恋愛も進むぜ。(まぁ温かい目で見てね。俺ずっと戦いとか嫌なんよ。ならなんでそういう話を作ろうとしたのか?...なんでだろ?)
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