最強最悪の能力を持った悪の神~心は果たして善か悪か~

影樹 ねこ丸

文字の大きさ
上 下
2 / 23
第1章_最強にして最悪

第2話_俺より強い奴

しおりを挟む
 零は、どうやったら自分より強い奴を見つけられるだろう?と考えた。それでも、宇宙で最強と言われてはどうしようもない。それで、近くの店に行き、たった一人取り残された店員と挨拶をし、手袋を買った。丁度季節が冬だったため、厚手の手袋があった。そして、手袋をつけ、黒いバンダナを口に巻き、眼鏡をかけて、出来るだけ肌を露出しないようにした。だが、今思うとこの格好、まじで死神みたいになっちまった。全身黒なんだが。黒いバンダナで顔を覆い、黒いマフラーに黒い服、手袋も皮で出来た黒い手袋、黒いレギンスに黒い靴。怪しさバンバン、しかも鏖羅がまだ消えないし、まじで死神だ。それで、外をぶらぶらしてこのあとどうしようかなぁ、と思っていた。目の前に石ころがあったから、少しコツッと蹴ると、一瞬にして吹っ飛んで、ショーウィンドーの窓ガラスを割ってしまった。なんだこの力。軽く蹴ったつもりなんだが。「おい!なにやってんだよ!うちの店に恨みでもあんのかよ?」おぉヤベェ。あまり一般人と接したくないのだが、「いや、恨んではいないんですけど、ちょっと方向を間違っちゃって...。」と言ってみるが、「んなこと信じるかよ!弁償してもらおうか。兄ちゃん。」めんどくせぇ、と思いつつも、「いくらすか?」と聞くと、「まぁ十万で許してやる。」「そんな高い!?」というと、「強度が強いガラスだからだよ。なのに割りやがって。」強化ガラスだと!?俺が軽く蹴っただけで、強化ガラスを容易く割る?どうなってる。そんなに力があるのか。宇宙一は伊達じゃねぇな。しょうがなく、自宅に来てもらい、十万を払った。もちろん触ることなく。試しに、ブロック塀を軽く殴ってみた。すると、大破し、十数メートル先に残骸が飛んだ。これは、とんでもない力だ。やはり、むやみやたらに出歩かず、家に籠っていた方がいいのだろうか。でも、色々試してみたかった。あまり被害を及ぼさず、力を試したいと思った。月にでも行きたいなぁ。月に手を伸ばし、軽くジャンプした。すると、一瞬で建物を越え、高層マンションの高さぐらいまで浮遊した。やはりジャンプ力もヤバイ。そして、思いっきりジャンプした。跳んでから後悔した。さすがに宇宙では呼吸できないから、死んでしまう。もういいか。死ぬのが一番いい方法なんだから。そう思って目を閉じた。ん?なんだこの感覚?呼吸はしていないんだけど、体は正常で、意識も普通にあった。そして、頭が何かにぶち当たった。ついでに、頭がその物体に埋まった。頭を抜き、その物体に立つ。そして、その物体が月だと知る。んー?何で立ててるの?引力を普通に感じているように、月に立っている。俺ってなんなんだ?何者なんだ?至って普通の人間。ヴァンレアー・レイスターにとりつかれたがなければの話だが。ところで、何で月に来たかったんだっけ?目的すら忘れて、厄神はただ月の上に立って、呆然と地球を眺めた。蒼い星。それは、とてつもなく美しかった。せっかくだから、月を探索してみようかな。と言っても、結構平地が続き、クレーターが所々見えるだけで、あまり楽しいとは思えない。しょうがないから、地球に帰ろう。また、思いっきりジャンプした。そして、着地した。ってここどこ?自宅周辺から随分離れてしまったっぽい。ここって、砂漠?!ヤベェとこに来ちまった。こんな暑い、と言いたいところだが、俺の周りは常温である。本当に完璧な能力だな。快適性も備わってるなんて。と感心してる場合ではない。砂漠なら、俺より強い奴いるんじゃね?(宇宙最強と言われた今、零より強い奴はいないが、零はギリギリまで強い奴がいると信じたいらしい。)と思い、砂漠をぶらぶらした。ただ、周りからしたら零は変人だ。こんな灼熱の大地で、マフラーに手袋、長袖長ズボンという防寒着をしているからだ。らくだに乗った、上半身裸のじいさんが言った。「オメェ、そんな格好してて暑くねぇのか?」っと待てー!何で言語がわかる?ここって鳥取砂丘ですか?いや、らくだに試乗なんて聞いたことねぇし、日本は今冬です!上半身裸なんて、一般人じゃ無理です!俺みたいな能力を持ってないと...ん!もしかして、このじいさん俺と同じ能力を持ってるんじゃ?上半身裸なんて、とても危険だが、もしかしたら...と思った俺が馬鹿だった。らくだに触ってるんですけど!らくだ死んでないんですけど!つまり、違うね。一瞬の期待は、一瞬にして崩れ去った。でも、俺は諦めない。エジプトだか、どこかは知らんが、砂漠に来た今。エジプトだったら好都合なんだが、ピラミッドだかスフィンクスだかの近くに、居そうじゃないすか。強い奴。「何笑ってんだ?何も言わねぇで、急ににやにやして。まったく驚いたよ。」あ、じいさんそっちのけだった。完璧に変人だと思われただろうが、俺は歩いた。前に歩いた。どこに行きたいのか知らずに、ただ砂漠をさまよった。そして、思った。結構平地が続き、サボテンが所々見えるだけで、あまり楽しいとは思えない。まったく、もっと楽しいとこに行きたいよー!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?

俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。 この他、 「新訳 零戦戦記」 「総統戦記」もよろしくお願いします。

ミッシング・ムーン・キング

和本明子
SF
月が消失してから百年後の地球で出逢った、青年“ライト”と月の化身“ルナ”の物語。

我ら新興文明保護艦隊

ビーデシオン
SF
もしも道行く野良猫が、百戦錬磨の獣戦士だったら? もしも冴えないサラリーマンが、戦争上がりのアンドロイドだったら? これは、実際にそんな空想めいた素性をもって、陰ながら地球を守っているエージェントたちのお話。 ※表紙絵はひのたけきょー(@HinotakeDaYo)様より頂きました!

体内内蔵スマホ

廣瀬純一
SF
体に内蔵されたスマホのチップのバグで男女の体が入れ替わる話

ケントローフの戦い

〽︎みたかた・かっぽう
現代文学
始まりはあの日であった。 ハブロン曹長率いる国軍と、クロマニエ氏の戦いの記録。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

未来への転送

廣瀬純一
SF
未来に転送された男女の体が入れ替わる話

処理中です...