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第1章_最強にして最悪
第2話_俺より強い奴
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零は、どうやったら自分より強い奴を見つけられるだろう?と考えた。それでも、宇宙で最強と言われてはどうしようもない。それで、近くの店に行き、たった一人取り残された店員と挨拶をし、手袋を買った。丁度季節が冬だったため、厚手の手袋があった。そして、手袋をつけ、黒いバンダナを口に巻き、眼鏡をかけて、出来るだけ肌を露出しないようにした。だが、今思うとこの格好、まじで死神みたいになっちまった。全身黒なんだが。黒いバンダナで顔を覆い、黒いマフラーに黒い服、手袋も皮で出来た黒い手袋、黒いレギンスに黒い靴。怪しさバンバン、しかも鏖羅がまだ消えないし、まじで死神だ。それで、外をぶらぶらしてこのあとどうしようかなぁ、と思っていた。目の前に石ころがあったから、少しコツッと蹴ると、一瞬にして吹っ飛んで、ショーウィンドーの窓ガラスを割ってしまった。なんだこの力。軽く蹴ったつもりなんだが。「おい!なにやってんだよ!うちの店に恨みでもあんのかよ?」おぉヤベェ。あまり一般人と接したくないのだが、「いや、恨んではいないんですけど、ちょっと方向を間違っちゃって...。」と言ってみるが、「んなこと信じるかよ!弁償してもらおうか。兄ちゃん。」めんどくせぇ、と思いつつも、「いくらすか?」と聞くと、「まぁ十万で許してやる。」「そんな高い!?」というと、「強度が強いガラスだからだよ。なのに割りやがって。」強化ガラスだと!?俺が軽く蹴っただけで、強化ガラスを容易く割る?どうなってる。そんなに力があるのか。宇宙一は伊達じゃねぇな。しょうがなく、自宅に来てもらい、十万を払った。もちろん触ることなく。試しに、ブロック塀を軽く殴ってみた。すると、大破し、十数メートル先に残骸が飛んだ。これは、とんでもない力だ。やはり、むやみやたらに出歩かず、家に籠っていた方がいいのだろうか。でも、色々試してみたかった。あまり被害を及ぼさず、力を試したいと思った。月にでも行きたいなぁ。月に手を伸ばし、軽くジャンプした。すると、一瞬で建物を越え、高層マンションの高さぐらいまで浮遊した。やはりジャンプ力もヤバイ。そして、思いっきりジャンプした。跳んでから後悔した。さすがに宇宙では呼吸できないから、死んでしまう。もういいか。死ぬのが一番いい方法なんだから。そう思って目を閉じた。ん?なんだこの感覚?呼吸はしていないんだけど、体は正常で、意識も普通にあった。そして、頭が何かにぶち当たった。ついでに、頭がその物体に埋まった。頭を抜き、その物体に立つ。そして、その物体が月だと知る。んー?何で立ててるの?引力を普通に感じているように、月に立っている。俺ってなんなんだ?何者なんだ?至って普通の人間。ヴァンレアー・レイスターにとりつかれたがなければの話だが。ところで、何で月に来たかったんだっけ?目的すら忘れて、厄神はただ月の上に立って、呆然と地球を眺めた。蒼い星。それは、とてつもなく美しかった。せっかくだから、月を探索してみようかな。と言っても、結構平地が続き、クレーターが所々見えるだけで、あまり楽しいとは思えない。しょうがないから、地球に帰ろう。また、思いっきりジャンプした。そして、着地した。ってここどこ?自宅周辺から随分離れてしまったっぽい。ここって、砂漠?!ヤベェとこに来ちまった。こんな暑い、と言いたいところだが、俺の周りは常温である。本当に完璧な能力だな。快適性も備わってるなんて。と感心してる場合ではない。砂漠なら、俺より強い奴いるんじゃね?(宇宙最強と言われた今、零より強い奴はいないが、零はギリギリまで強い奴がいると信じたいらしい。)と思い、砂漠をぶらぶらした。ただ、周りからしたら零は変人だ。こんな灼熱の大地で、マフラーに手袋、長袖長ズボンという防寒着をしているからだ。らくだに乗った、上半身裸のじいさんが言った。「オメェ、そんな格好してて暑くねぇのか?」っと待てー!何で言語がわかる?ここって鳥取砂丘ですか?いや、らくだに試乗なんて聞いたことねぇし、日本は今冬です!上半身裸なんて、一般人じゃ無理です!俺みたいな能力を持ってないと...ん!もしかして、このじいさん俺と同じ能力を持ってるんじゃ?上半身裸なんて、とても危険だが、もしかしたら...と思った俺が馬鹿だった。らくだに触ってるんですけど!らくだ死んでないんですけど!つまり、違うね。一瞬の期待は、一瞬にして崩れ去った。でも、俺は諦めない。エジプトだか、どこかは知らんが、砂漠に来た今。エジプトだったら好都合なんだが、ピラミッドだかスフィンクスだかの近くに、居そうじゃないすか。強い奴。「何笑ってんだ?何も言わねぇで、急ににやにやして。まったく驚いたよ。」あ、じいさんそっちのけだった。完璧に変人だと思われただろうが、俺は歩いた。前に歩いた。どこに行きたいのか知らずに、ただ砂漠をさまよった。そして、思った。結構平地が続き、サボテンが所々見えるだけで、あまり楽しいとは思えない。まったく、もっと楽しいとこに行きたいよー!!
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