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零編

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食事会当日
季節はもう夏に近づき暑くなっている。
俺は青のボーダーのシャツにデニムパンツ、首には類と翠とお揃いのネックレスを付けている。

「相変わらずシンプルやなぁ、翠」

「楽だからねぇ~」

「まぁ俺も人のこと言えへんけど」

翠はシンプルな白いTシャツにデニムパンツ、そして首にはお揃いのネックスを付けている。

「もっとオシャレすればいいのにー♡
まぁ似合ってるからいいけど☆
それに今日は僕もシンプルにしたからね」

類は髪とお揃いのピンク色のTシャツに黒のデニムパンツ、首にはお揃いのネックスといつもよりシンプルな服装だった。
それでも俺たちはピアスがむっちゃついておるし、更に類はいつもと変わらずうさぎのピンとカラフルなピンがついている。シンプル過ぎず、ちょうど良くなっておると思う。たぶん...
マスクを付けたら

「よぉし、いくか」

「そうだね☆」

「ゴ~ゴ~」

と一緒に家を出た。

家を出てタクシーを拾い、ホテルに向かった。
着くと本当に高級ホテルで緊張してくる。

「お、ここやね...」

「入るよー♪」

「わかったよぉ~行こ~れい~」

「あぁ、今行くで」

エントランスに入り、レストランへ向かう。

「あ、言い忘れてたけど貸切らしいよ☆」

『え?』
俺と翠の声が被った

「類、そういうことはな、はよいうてよ!」

「そうだぞぉ~」

「えへへ、ごめんね♡」

「かわいく言っても誤魔化されへんぞ」

「誤魔化されないよ~」

「もう、今言ったんだからいいじゃん☆
あ、レストラン着いたよ♡」

「あーもう着いたんか、この話はあとでやな」

と言うと類が露骨に嫌そうな顔をした。
入る前にマスクを取り、レストランの扉の前に行くとウエイターさんが

「お待ちしておりました、早乙女様、月宮様、皇様、どうぞお入りください」

と言われると扉が開かれ、俺たちは中に入っていく。
中には沢山の料理が並んでおり、ウエイターさんとウェイトレスさんが忙しなく動いている。
料理はビュッフェ形式で取るようだ。
呆気に取られてると俺たちの前に一人の50代ぐらいに見える男性が近づいてきた

「おぉ、待っておったよ早乙女くん、久しぶりだね」

「お久しぶりです。西園寺さん
今日はご招待ありがとうございます。」

と類が喋っている。
俺たちは類がしっかりした敬語で喋れた事とあまりにも普段と違いすぎてただただ驚いていた。驚いてると類がこちらを一瞬見てニヤリと笑っていた。その顔はイタズラが成功した子供のようである。
すると西園寺さんがこちらを見て言った。

「君たちが月宮くんと皇くんかな?」

「はい、初めまして今日はご招待頂きありがとうございます。
月宮零と申します。」

「初めまして、皇翠です。
ご招待頂きありがとうございます。」

翠も普段の、のんびりした喋り方ではなくしっかりとハキハキ喋っていてまたもや俺は驚いた。

「そうか、そうか、早乙女くんから話は聞いているよ
今日は楽しんで行ってくれ」

と言って戻っていった。

「ふぅ、なんやねん、お前達
そんなしっかりと喋れたんかい」

「喋れるよ♪びっくりした☆?」

「むっちゃびっくりしたわ、
類にもやけど翠にも」

「あ!それは僕もびっくりしたよ☆」

「う~ん、頑張ってぇ~早く喋ったぁ~」

「そうか、そうか、偉かったな」

と言って頭を撫でると

「えー!僕も頑張ったんだけどぉ☆」

「わかった、わかった、お前も偉かったな」

と言って頭を撫でると類は満足そうに笑っていた

俺たちは用意された席を見つけた。
俺たちの席にはそれぞれネームプレートが置いてある、俺たちの正面の三席はまだ空いているのでまだ来ていない様だ。先に俺たちはウエイトレスにドリンクを頼んでおく。今回の食事会は主催者の西園寺さんがそれぞれの席を選び同じテーブルの人と食事を楽しむ形になっている。
とりあえず料理を取りに行くかと話していると類が西園寺さんに呼ばれた。

「先に取りに行ってていいよ☆」

と言われたので翠と取りに行く事にした。

翠とはお互い食べたい料理が違ったので分かれて各々料理をとっていく。

最後に俺はローストビーフがある所に来た。ローストビーフをシェフが切ってくれるので頼もうとすると

『ローストビーフ一つ』

声が被った。ん?と思って声の方を見ると

「あ、」

「ん?」

そこにいたのは俺の誕生日の日タクシーを譲ってくれた人だった。
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