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第2章 魂の器 ウィリアム・セシス編 side Maria
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(なるほど。勇者召喚のベースである空間魔法は異なる座標を繋げるものだからな。召喚で繋げた時空が繋がったままになってしまうのか。とんだ欠陥魔術もあったもんだ)
(ううん。術式自体に欠陥は無いよ。ただ、人間の魔力は少ないから、時空の歪みを修復するための魔力をまかなえないんだ。
そもそも世界が繋がって何が問題かっていうと、繋がる事によって世界の融合というか、衝突というか、繋がった後の世界間の干渉が問題なんだよね……説明しづらいけど。ゲットワース王国滅亡から1000年経った今でも慣性で地球とこの世界は近づき続けていて、衝突すると、小さいこっちの世界の方が粉々になって最悪消滅しちゃうんだ)
「ビル君がデビル君に乗っ取られちゃった時みたいだね」
(む……まあ確かにそんな感じだね)
(あとどの位でそれは起こるんだ?)
(今のところ45年と113日後だね。1パーミリアド以下の確率で何も起こらない、うまくすれ違える可能性もあるけど)
「解決法はあるの?」
「空間の繋がりを絶ってやれば、もともとあっちとこっちは異次元同士なんだからぶつかることはありえないでしょ。あとは力技で、世界同士が衝突する予測地点で大爆発を起こして吹き飛ばすとか」
「なんか、デビル君がちゃんと神様みたいだね」
(破壊神だけどね)
(何で破壊神なのに世界を救うの?)
(恩神の世界だしね)
(さしずめ、『邪神の恩返し』って所か?)
おお、上手いこと言うねマシュー!
(……まあ、一言で言うとそういう事だね。ボクは破壊神だけど)
「破壊神の恩返しだと語感が悪いもんね!」
(そういう問題なのかな?)
「そうそう」(そうだぞ)
(そっか……)
それで。とビル君は続けた。
(で、もう一回、最後に確認するけど、この後、本当に教会に行くつもりなの?)
「諦め悪いなぁ。ちゃんとデビル君の言いつけ通り、冒険者も続けるし、学校にも入学するんだから、それくらいいいじゃん)
(後悔、するよ?)
その言葉は、それまで楽しく喋っていたビル君じゃなくて、邪神のものだったんだ。でも、この時のワタシは、それに気づくことが出来なかった。ビル君の負け惜しみだと勘違いして、この言葉を無視した。
(ううん。術式自体に欠陥は無いよ。ただ、人間の魔力は少ないから、時空の歪みを修復するための魔力をまかなえないんだ。
そもそも世界が繋がって何が問題かっていうと、繋がる事によって世界の融合というか、衝突というか、繋がった後の世界間の干渉が問題なんだよね……説明しづらいけど。ゲットワース王国滅亡から1000年経った今でも慣性で地球とこの世界は近づき続けていて、衝突すると、小さいこっちの世界の方が粉々になって最悪消滅しちゃうんだ)
「ビル君がデビル君に乗っ取られちゃった時みたいだね」
(む……まあ確かにそんな感じだね)
(あとどの位でそれは起こるんだ?)
(今のところ45年と113日後だね。1パーミリアド以下の確率で何も起こらない、うまくすれ違える可能性もあるけど)
「解決法はあるの?」
「空間の繋がりを絶ってやれば、もともとあっちとこっちは異次元同士なんだからぶつかることはありえないでしょ。あとは力技で、世界同士が衝突する予測地点で大爆発を起こして吹き飛ばすとか」
「なんか、デビル君がちゃんと神様みたいだね」
(破壊神だけどね)
(何で破壊神なのに世界を救うの?)
(恩神の世界だしね)
(さしずめ、『邪神の恩返し』って所か?)
おお、上手いこと言うねマシュー!
(……まあ、一言で言うとそういう事だね。ボクは破壊神だけど)
「破壊神の恩返しだと語感が悪いもんね!」
(そういう問題なのかな?)
「そうそう」(そうだぞ)
(そっか……)
それで。とビル君は続けた。
(で、もう一回、最後に確認するけど、この後、本当に教会に行くつもりなの?)
「諦め悪いなぁ。ちゃんとデビル君の言いつけ通り、冒険者も続けるし、学校にも入学するんだから、それくらいいいじゃん)
(後悔、するよ?)
その言葉は、それまで楽しく喋っていたビル君じゃなくて、邪神のものだったんだ。でも、この時のワタシは、それに気づくことが出来なかった。ビル君の負け惜しみだと勘違いして、この言葉を無視した。
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