邪神の恩返し

白南井 誰方

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第2章 魂の器 ウィリアム・セシス編 side Maria

13 転生 (新章)

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「本当に生き返ったよ……」

 死んでからずっと、何も無い空間に閉じ込められていたけど、急にワタシの体がピカピカ光り始めたかと思ったら色のある世界に立っていた。元の世界に戻ってきたんだ……!

 それにしても。一応道っぽいけど、街の舗装された道路とは比べるべくもなくガッタガタしているね。周りは草原ばっかりだから、防壁の外なんだろうな。

 で、ここ何処?

(現在地はバイギンとバルジラの街境だ。生き返った気分はどうだ、『マリア』?)

 なんか頭の中に声が響いてきた。それにも驚きだけど、それよりこの声って……

「まさかビル君、否、邪神、つまりデビル君?!」
(デビルってなんだッ?! ……落ち着け、ボク……。コホン、さて、マリアには、これからバルジラに行ってもらう。そしてウィングランド魔法学園に通うんだ)

「唐突に何……? それよりも、孤児院はどうなったの?」
(それについてはマリアが死んでいたこの30年間で、どうにか片を付けた。マリアとトマス先生の二役に成りすまして孤児院を運営してな。新しい責任者も立てたし、俺とマリアの知っている奴らは全員立派に独り立ちしたよ。ついでに言っておくと、マリアのやっていた宿の仕事とは両立出来なくて、辞めるしか無かった。その二人もずいぶん前に亡くなった。俺らを覚えているのはもう孤児院の子供位しかいないよ)

「そうなんだ……ありがとう。それで今デビル君はどこにいるの……?」
(その呼び方確定なのか……? まあいい、ただの野暮用で遠くに来ているんだ。手が離せなくてそっちには行けないから、念話で意思疎通ができるようになってくれ。俺たちの繋がりを感じながら語りかける感じだ。やってみろよ)

 言われた通り、通じろ通じろと念じながら、ビル君を呼ぶ。

「(デビルくーん)」
(ああ、上手くいったみたいだな。だが声も同時に出ているから、なるべく声を出さないようにしてくれ)

「なんで?」

(人に見られると、不審者認定されるからだよ)

 なるほど。

(もう怪しまれてるがな)
「え?」

 慌てて周囲を見渡すと、冒険者風の女の子二人組が、危ないものを見る視線をワタシに向けていた。オーマイ!

「あはッははー」

 笑って誤魔化しつつ逃走!

「もっと早く教えてよ! 恥かいたじゃん!」
(悪い、その方が面白そうだったから、つい、な?)
「ああもうっ!」

 ビル君ってこんなにドSだったっけ……。邪神だからしょうがないか。それの他にも、やっぱ何か違和感が……? もしかして、ワタシが話しているのはビル君じゃない誰かだったり……そんなわけないか。
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