邪神の恩返し

第0章 破壊神 爬沼蛭(はぬま ひる)編

日常 side Cain

　日本で暮らし始めて一週間経った。日本に建てられた俺の家は、平凡な一軒家だった。そんな新しい家での暮らしも慣れ始めてきた。今日は俺の、生まれて初めての登校だった。俺は舟間小学校四年三組の教室で、自己紹介をしていた。その学級には、余りにも異質な少年がいた。そいつは、人では有り得ない程の魔力を有していたのだ。

　そいつに興味を持った俺は、休み時間に早速話しかけた。

　そいつは、名前を爬沼ヒルというらしい。聞き覚えのある苗字にも驚いたが、俺はヒルの善良さに、ヒルの持つ可能性に惹きつけられてしまった。人が全員ヒルのように善良ならば、人類滅亡なんて必要ないのにと思えたのだ。
　ヒルの話を聞くと、ヒルの家と俺の家は、歩いて十五分の距離しか開いていない事が分かり、それ以来一緒に通学する事になった。
　そして、五年生からもヒルと同じクラスになれるように、お父様に無理を言ってお願いしたのだ。