邪神の恩返し

第0章 破壊神 爬沼蛭(はぬま ひる)編

蠢動 side Cain

　人類は破壊者だ！

　知識を使って支配者を名乗り、いつか世界を滅ぼすのだ！
　人類は、この宇宙にとっての害悪でしかない。人類は、滅びなければならない！
　その為には、邪神様のお力を借りなければならないのだ！

　それが、お父様の教えだった。
　確かに、邪神様が本当に存在するかは誰も分からない。だが、俺は邪神様の存在を信じている。尊敬すべきお父様の教えなのだから当然だ。
　俺は、宗教団体「原初の理オーダー」の当主ワイズ・キングの息子として生まれた。優れた当主となるために、物心が付く頃から英才教育を受けてきたのだ。俺が初等教育開始程度の年齢の時には既に、高等教育の勉学を修得していた。

　全ては邪神様の為に！！！

　今日は、俺はお父様から呼び出しを受けていた。お父様の自室へと足を運び、緊張しながらドアを叩く。お父様は、俺が来たとすぐに分かったのだろう、ドアの向こうから入室するように促した。

「明日、アメリカを発つ。行先は、日本だ」

　俺、カイン・キングは、ただ首を垂れて、偉大なるお父様と未だ見まみえぬ邪神様へと忠誠を示した。