60 / 61
第3章 マリア・ダ・ネーク編 side Matthew
ヒ/ル
しおりを挟む
「これ以上何も失わずに済む。お前はただそれだけ分かっていれば良い」
ボクはセルシウスにそう言った。感動しているセルシウスを見ることは、とても気持ちが良かった。おっと、油断しちゃだめだ。
奴に言われたテストを、ボクは受けることにした。テストの内容は「セルシウスをちゃんと助ける」こと。セルシウスが普人族にも獣人族にも狙われていることは知っていたけど、人ごときに遅れを取るはずが無い。だからこそ何か罠があるはずだ。奴が何か妨害してくる可能性があると思った。
結果、ボクは失敗した。卑劣ナ奴ノ企ミノ所為デ。
ボクは賭けの内容を思い出す。それは、「セルシウスを助けられなかったらボクは命を差し出す」というものだった。
嫌ダ! 死ニタクナイ!
そういう、シナリオ。
■
ボクは“ヒル"を交代するためにこちらの世界terrestLiaへと降り立った。そこには、ボクと瓜二つのヒルが、モノすごい形相でこちらを睨んできた。その姿はまさに邪神だ。
「死ネ!」
ヒルがボクに襲いかかってきた。ヒルは体中から黒紫色の蔓を生やす。それは、光速でボクを貫いた。
「が、は」
【今ノ無シ】。
ヒルがボクに襲いかかってきた。ヒルは体中から黒紫色の蔓を生やす。それは、超光速でボクを貫いた。
「が、は」
【今ノ無シ】。
ヒルがボクに襲いかかってきた。ヒルは体中から黒紫色の蔓を生やす。それは、亜光速でボクを貫いた。
「が、は」
【今ノ無シ】。
ヒルがボクに襲いかかってきた。ヒルは体中から黒紫色の蔓を生やす。それは、光速でボクを貫いた。
「が、は」
【今ノ無シ】。
【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。
ヒルがボクに襲いかかってきた。ヒルは体中から黒紫色の蔓を生やす。それは、超音速でボクを貫かんとした。全盛期とは程遠いヒルの攻撃をボクはことも無げに避け続ける。
「何で当たらないんだ?!」
「教える義理はないよ。ところでヒル、分かってるだろうけど、テストは■■だよ。おとなしく殺されてくれない?」
ボクの【紫光】は、ヒルの脳天から股間までを一直線に引き裂いた。
彼は百点満点だった。マリアちゃんも殺されちゃったし、結果は散々だったね。
言っとくけど、ボクが何もしなかったとしてもヒルは成功していた。ヒルは自分自身に期待してしまっていたからだ。どう頑張っても、お前の心も体もバケモノでしか無いのに。
結局、ハイゲンもトマスもセルシウスも死んでしまった。
「【今ノ無シ】」
ボクの力なら、失敗してもやり直すことが出来る。かなり制約はあるけど、人を生き返らせるだけなら造作もない。ただ、完全に元通りかっていうとそうでも無いんだけど。
やっぱりヒルだけは生き返らなかった。予想は出来ていたけど。
ならせめて。
「死ぬまでの間で良いから、心と体以外は人間でいさせてください……」
今からはボクが爬沼蛭だ。
ボクはセルシウスにそう言った。感動しているセルシウスを見ることは、とても気持ちが良かった。おっと、油断しちゃだめだ。
奴に言われたテストを、ボクは受けることにした。テストの内容は「セルシウスをちゃんと助ける」こと。セルシウスが普人族にも獣人族にも狙われていることは知っていたけど、人ごときに遅れを取るはずが無い。だからこそ何か罠があるはずだ。奴が何か妨害してくる可能性があると思った。
結果、ボクは失敗した。卑劣ナ奴ノ企ミノ所為デ。
ボクは賭けの内容を思い出す。それは、「セルシウスを助けられなかったらボクは命を差し出す」というものだった。
嫌ダ! 死ニタクナイ!
そういう、シナリオ。
■
ボクは“ヒル"を交代するためにこちらの世界terrestLiaへと降り立った。そこには、ボクと瓜二つのヒルが、モノすごい形相でこちらを睨んできた。その姿はまさに邪神だ。
「死ネ!」
ヒルがボクに襲いかかってきた。ヒルは体中から黒紫色の蔓を生やす。それは、光速でボクを貫いた。
「が、は」
【今ノ無シ】。
ヒルがボクに襲いかかってきた。ヒルは体中から黒紫色の蔓を生やす。それは、超光速でボクを貫いた。
「が、は」
【今ノ無シ】。
ヒルがボクに襲いかかってきた。ヒルは体中から黒紫色の蔓を生やす。それは、亜光速でボクを貫いた。
「が、は」
【今ノ無シ】。
ヒルがボクに襲いかかってきた。ヒルは体中から黒紫色の蔓を生やす。それは、光速でボクを貫いた。
「が、は」
【今ノ無シ】。
【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。【今ノ無シ】。
ヒルがボクに襲いかかってきた。ヒルは体中から黒紫色の蔓を生やす。それは、超音速でボクを貫かんとした。全盛期とは程遠いヒルの攻撃をボクはことも無げに避け続ける。
「何で当たらないんだ?!」
「教える義理はないよ。ところでヒル、分かってるだろうけど、テストは■■だよ。おとなしく殺されてくれない?」
ボクの【紫光】は、ヒルの脳天から股間までを一直線に引き裂いた。
彼は百点満点だった。マリアちゃんも殺されちゃったし、結果は散々だったね。
言っとくけど、ボクが何もしなかったとしてもヒルは成功していた。ヒルは自分自身に期待してしまっていたからだ。どう頑張っても、お前の心も体もバケモノでしか無いのに。
結局、ハイゲンもトマスもセルシウスも死んでしまった。
「【今ノ無シ】」
ボクの力なら、失敗してもやり直すことが出来る。かなり制約はあるけど、人を生き返らせるだけなら造作もない。ただ、完全に元通りかっていうとそうでも無いんだけど。
やっぱりヒルだけは生き返らなかった。予想は出来ていたけど。
ならせめて。
「死ぬまでの間で良いから、心と体以外は人間でいさせてください……」
今からはボクが爬沼蛭だ。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる