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第2.5章 一方その頃、〇〇は
門番【R15】【死体表現】
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私がこの街バルジラに派遣されてから早2ヶ月か。私の任務は「マーシー・ウィリアムズ」を秘密裏に処分することだった。
「マーシー・ウィリアムズ」この平和な都市バルジラで何人もの男を誑かし殺した大罪人であるそうだ。
それにも関わらず顔写真が出回っていない。任務を言い渡された私さえも、その名前と、「異常に美しい」という特徴しか聞かされていなかった。
何もかもが異常な任務。裏がないわけがない。
私は人目につかない夜になってからスラムを探索していた。2ヶ月間ずっとだ。標的に悟られて偽名を使われでもしたら終わりだ。出来ることは限られてきてしまう。
探索は完全にマンネリ化していた。この任務自体が架空の物で、任務を口実に厄介払いされただけではないか? そんなふうにすら思い始めた頃、極秘任務は予想外の結末を見せた。
美しい女の死体を見つけたのだ。生前の彼女を見たなら、その美しさ故に唾を飲んでいたかもしれない。
その死体は全裸に剝かれた状態で仰向けに倒れていて、夥しい量の血液が地面を赤く染めていた。対して彼女の体は丁寧に血を拭われ、死化粧までされていた。子を孕んだ腹や背中にナイフの刺傷が13箇所あり、何者かの恨みによる犯行であることが伺える。
私は急ぎかつ慎重に近づき、検死を行う。閉じられた瞼の下の瞳はやや濁っている。死体が荒らされた跡は無いので、死亡してから半日といったところか。
さらに検死を進めると、残酷な事実が判明した。彼女の胎内に詰まっていたのは赤ん坊ではなく、大量の砂石だったのだ。刺傷や膣口は透明な糸で縫い閉じられていた。余りにも綺麗に縫われていたので、まるで死ぬことで純潔を取り戻し、懐妊しながら聖女へ至った様な幻想さすら感じてしまった。
死体を弄った人物は、彼女を殺した人物とは別人である可能性があるな。
この死体は十中八九マーシーだろうが証拠は無いので、一度持ち帰らなければならない。私は《アイテムボックス》に死体を《収納》し身一つでこの街を出て走った。
私がこの死体をマーシーだと確信したのは、美しかったからだけではない。似ていたのだ、「ウィリアム・セシス」と。彼は「マリア」や「マシュー」と名乗ったが、その名前も容姿もこの死体と似すぎている。
元々腹に入っていた子どもがどこへ行ったのか、そんなことは誰も気にも止めないだろう。
「マーシー・ウィリアムズ」この平和な都市バルジラで何人もの男を誑かし殺した大罪人であるそうだ。
それにも関わらず顔写真が出回っていない。任務を言い渡された私さえも、その名前と、「異常に美しい」という特徴しか聞かされていなかった。
何もかもが異常な任務。裏がないわけがない。
私は人目につかない夜になってからスラムを探索していた。2ヶ月間ずっとだ。標的に悟られて偽名を使われでもしたら終わりだ。出来ることは限られてきてしまう。
探索は完全にマンネリ化していた。この任務自体が架空の物で、任務を口実に厄介払いされただけではないか? そんなふうにすら思い始めた頃、極秘任務は予想外の結末を見せた。
美しい女の死体を見つけたのだ。生前の彼女を見たなら、その美しさ故に唾を飲んでいたかもしれない。
その死体は全裸に剝かれた状態で仰向けに倒れていて、夥しい量の血液が地面を赤く染めていた。対して彼女の体は丁寧に血を拭われ、死化粧までされていた。子を孕んだ腹や背中にナイフの刺傷が13箇所あり、何者かの恨みによる犯行であることが伺える。
私は急ぎかつ慎重に近づき、検死を行う。閉じられた瞼の下の瞳はやや濁っている。死体が荒らされた跡は無いので、死亡してから半日といったところか。
さらに検死を進めると、残酷な事実が判明した。彼女の胎内に詰まっていたのは赤ん坊ではなく、大量の砂石だったのだ。刺傷や膣口は透明な糸で縫い閉じられていた。余りにも綺麗に縫われていたので、まるで死ぬことで純潔を取り戻し、懐妊しながら聖女へ至った様な幻想さすら感じてしまった。
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私がこの死体をマーシーだと確信したのは、美しかったからだけではない。似ていたのだ、「ウィリアム・セシス」と。彼は「マリア」や「マシュー」と名乗ったが、その名前も容姿もこの死体と似すぎている。
元々腹に入っていた子どもがどこへ行ったのか、そんなことは誰も気にも止めないだろう。
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