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第2.5章 一方その頃、〇〇は
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『神の器』シリーズのことを、邪神ビルドは最高傑作だと言っていた。
ビルドと言うところの『神の器』は、実は2つあったのだ。
一つはもちろん神の器『ウィリアム・セシス』。性別は男であるが中性的な姿をしている。マリアも、『セシス』の中に邪神も入っていると言うことくらいは分かっているはずだ。だが、その『器』に入っている『マシュー』は俺のレプリカであり、ビルドの傀儡でしかしかないことには、気づいていないだろう。
では俺はどこに入っているのか。その答えはもう一つの神の器『マーシー・ウィリアムズ』。セシスよりも前に作られた俺の器である。性別は女、セシスに瓜二つの顔と肉感的な体を持つ。今はマリアが聖域内に入っているため、邪神も俺とともに行動を共にしている。
「ところでビルド、いつになったらマリアの場所を教えてくれるんだ?」
俺はマリアのことが好きだ。女になってもその思いは変わらなかったし、スラムの娼婦としてどんなに過酷な目にあったところでマリアとの再会を励みに頑張れた。どんなこともーーときには悪逆非道なことだってーー、マリアの為だからとビルドに言われてなんとかこなしてきた。そして今回ようやく、「ハイゲンという孤児を育て終わったらマリアの居場所を教えてあげる」と言われていたのだ。
「ビルドって誰? ねぇ、僕の話聞いてる? ねぇ母さんったら!」
ハイゲンはもう13歳だ。もうあの子だけで立派に生きていける。これ以上俺があれこれ世話を焼くのはただのお節介だろう。
(そうだね、確かに。今までありがとう、レプリカ君)
「レプリカってどういうことだ?」
(ほらその前に目の前に気をつけて!)
その時、目の前から目を血走らせた男が走ってきた。しかも両手でナイフを構えて。
「ハイゲン! 私の後ろに!」
「分かった!」
もう一人妊娠しているとはいえ、この程度のやつなら
お腹の子が、人外の力で俺の腹を蹴り上げた。俺は息を止めてしまった。
そのままナイフが、俺の腹に吸い込まれて、
俺は、どれだけ気絶していたのだろう。辺りはすっかり暗くなっていた。俺は仰向けにされていた。お腹の中の子は、無くなっていた。下腹に、銃声のような音が何回も響いて、その度に俺の体は細かく痙攣していた。
俺の自慢だったハイゲンはどこにも居なかった。
あぁ、俺こそが邪神の傀儡だったのだ。
「ハイ、ゲ、ン、どうし、て」
それを最後に、俺の意識は、もう二度と帰れない深い闇へと沈んでいった。
ビルドと言うところの『神の器』は、実は2つあったのだ。
一つはもちろん神の器『ウィリアム・セシス』。性別は男であるが中性的な姿をしている。マリアも、『セシス』の中に邪神も入っていると言うことくらいは分かっているはずだ。だが、その『器』に入っている『マシュー』は俺のレプリカであり、ビルドの傀儡でしかしかないことには、気づいていないだろう。
では俺はどこに入っているのか。その答えはもう一つの神の器『マーシー・ウィリアムズ』。セシスよりも前に作られた俺の器である。性別は女、セシスに瓜二つの顔と肉感的な体を持つ。今はマリアが聖域内に入っているため、邪神も俺とともに行動を共にしている。
「ところでビルド、いつになったらマリアの場所を教えてくれるんだ?」
俺はマリアのことが好きだ。女になってもその思いは変わらなかったし、スラムの娼婦としてどんなに過酷な目にあったところでマリアとの再会を励みに頑張れた。どんなこともーーときには悪逆非道なことだってーー、マリアの為だからとビルドに言われてなんとかこなしてきた。そして今回ようやく、「ハイゲンという孤児を育て終わったらマリアの居場所を教えてあげる」と言われていたのだ。
「ビルドって誰? ねぇ、僕の話聞いてる? ねぇ母さんったら!」
ハイゲンはもう13歳だ。もうあの子だけで立派に生きていける。これ以上俺があれこれ世話を焼くのはただのお節介だろう。
(そうだね、確かに。今までありがとう、レプリカ君)
「レプリカってどういうことだ?」
(ほらその前に目の前に気をつけて!)
その時、目の前から目を血走らせた男が走ってきた。しかも両手でナイフを構えて。
「ハイゲン! 私の後ろに!」
「分かった!」
もう一人妊娠しているとはいえ、この程度のやつなら
お腹の子が、人外の力で俺の腹を蹴り上げた。俺は息を止めてしまった。
そのままナイフが、俺の腹に吸い込まれて、
俺は、どれだけ気絶していたのだろう。辺りはすっかり暗くなっていた。俺は仰向けにされていた。お腹の中の子は、無くなっていた。下腹に、銃声のような音が何回も響いて、その度に俺の体は細かく痙攣していた。
俺の自慢だったハイゲンはどこにも居なかった。
あぁ、俺こそが邪神の傀儡だったのだ。
「ハイ、ゲ、ン、どうし、て」
それを最後に、俺の意識は、もう二度と帰れない深い闇へと沈んでいった。
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