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第2.5章 一方その頃、〇〇は
下院
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「おはよう、カインくん。朝食創りましたよ」
「ん、ふぁ……ああ、おはよう、ヒル」
爬沼蛭ーーヒルが、俺を起こしに来た。
俺は今、新興宗教の教祖として生計を立てている。ヒルはその新興宗教の神として祀られている存在である。つまり、俺の身の回りの世話をする必要など無いというのに、居候させてもらっているからせめてこのくらいはと譲らない。
ヒルが父親を殺す事件から4年が過ぎた。
俺は宗教法人「原初の天秤」教祖カイン・キング。はじめ俺はお父様が興した「原初の光」の信者だったが、教義の一部分にどうしても賛同できなかった為に、別の道を模索している。
お父様は、「この世界は邪神様に滅ぼされてしまうべきである」と説いた。確かに「邪神様」が世界を終わらせる役割を担っているというのは同意する。しかし、それだけではないのではと、あの5年前の日に思ったのだ。
なぜなら「邪神様」であるヒルが、ただその衝動のままに世界を終わらせるような悪には見えなかったからだ。あの日のヒルは、母親の腹を刺し貫きながら、泣いていたのだから。
この世界に秩序がある限り、ヒルはこの世界を愛すだろう。そしてこの世界を愛するがゆえに、この世界が朽ち果てようとしたとき、世界を終わらせるだろう。だからヒルに世界を滅ぼさせるようなことがあってはいけない。ヒルに世界を滅ぼさせようとするお父様には、ヒルの正体を漏らすわけにはいかない。
お父様は、「邪神様」を探し出すためにあらゆる手を尽くしている。密偵の報告によると、お父様は橘という天才物理学教授に多額の研究資金を寄付していることがわかった。橘教授の研究内容は……異次元。すなわち異世界の存在証明。
まさかお父様は本気で、邪神が異世界にいると考えているのだろうか? もしかしたらお父様は、ヒル以外の邪神の存在を感知したのかもしれない。
なんにせよ、お父様の関心が別の世界に向いているのなら、俺としてもヒルとしても好都合だ。
父親の動向についてはヒルに逐一連絡している。ヒルがそう望んだからだ。そういう訳でお父様が異世界に注目していることを話したら、ヒルは難しい顔をしてうつむいてしまった。
「カインくんにも言っておいたほうが良いですね。ぼくの創った異世界terrestLiaとそこに隔離したぼくの半身ーー悪心について」
そう言ってヒルは語り出した。その内容に俺は驚愕した。ヒルは最後にこう付け加えた。
「3年後ーーテレストリア時間で30年後、テレストリアは滅び、悪心が地球にやってきます。それまでにワイズ・キングの野望を止めなければなりません」
「ん、ふぁ……ああ、おはよう、ヒル」
爬沼蛭ーーヒルが、俺を起こしに来た。
俺は今、新興宗教の教祖として生計を立てている。ヒルはその新興宗教の神として祀られている存在である。つまり、俺の身の回りの世話をする必要など無いというのに、居候させてもらっているからせめてこのくらいはと譲らない。
ヒルが父親を殺す事件から4年が過ぎた。
俺は宗教法人「原初の天秤」教祖カイン・キング。はじめ俺はお父様が興した「原初の光」の信者だったが、教義の一部分にどうしても賛同できなかった為に、別の道を模索している。
お父様は、「この世界は邪神様に滅ぼされてしまうべきである」と説いた。確かに「邪神様」が世界を終わらせる役割を担っているというのは同意する。しかし、それだけではないのではと、あの5年前の日に思ったのだ。
なぜなら「邪神様」であるヒルが、ただその衝動のままに世界を終わらせるような悪には見えなかったからだ。あの日のヒルは、母親の腹を刺し貫きながら、泣いていたのだから。
この世界に秩序がある限り、ヒルはこの世界を愛すだろう。そしてこの世界を愛するがゆえに、この世界が朽ち果てようとしたとき、世界を終わらせるだろう。だからヒルに世界を滅ぼさせるようなことがあってはいけない。ヒルに世界を滅ぼさせようとするお父様には、ヒルの正体を漏らすわけにはいかない。
お父様は、「邪神様」を探し出すためにあらゆる手を尽くしている。密偵の報告によると、お父様は橘という天才物理学教授に多額の研究資金を寄付していることがわかった。橘教授の研究内容は……異次元。すなわち異世界の存在証明。
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なんにせよ、お父様の関心が別の世界に向いているのなら、俺としてもヒルとしても好都合だ。
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「3年後ーーテレストリア時間で30年後、テレストリアは滅び、悪心が地球にやってきます。それまでにワイズ・キングの野望を止めなければなりません」
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