邪神の恩返し

白南井 誰方

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第2章 魂の器 ウィリアム・セシス編 side Maria

24 宗派

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(……いい、マシュー? アスティ教は礼拝堂の壁が白くて、一番奥の壁のところにアスティ様の白い像があるの。まあ、それもお金のない教会……孤児院兼教会みたいなところだと壁画の女神様だったりするけどね)

(すまん、俺そういうのは全然知らなくてな)

(壁の一部がステンドグラスになっていて、そこから差した光が、満遍なく床と天井を照らしてすごく綺麗なんだから! 間違ってもこんなみすぼら……って、それは言い過ぎか、ごめん)

 みすぼらしいというよりも質素堅実って言うべきかな。冒険者が壁とかを破壊してもすぐに修理できるようにって言う実用面を備えているんだ。

(俺に謝られてもな。俺はブレイブ教徒でもなんでもないし)

(とにかく、ギルドの受付嬢に教会の場所を聞いたら絶対にブレイブ教の教会に連れてかれるからね! 分かった?)

(あぁ)

 アスティ教の教会を探すところからかな。一旦外に出よう。なるべく教会から離れてからあたりを見渡したら、ちょうど良く空いている串焼き屋台があった。ここで良いかな。

「おじさん、串2つちょうだい!」
「おお、えらいベッピンさんだなぁ嬢ちゃん! そんな別嬪さんにオマケの一本だ。ほらよ。今包んじまうからそれ食べて待っててな!」
「ありがとう~! うわぁ、すっごいいい匂い! モグモグ……美味しい! 是非また寄らせてもらうね!」
「ホレ焼き串2本、ありがとよ!」
「っとと、ところで、アスティ教会ってどこにあるのか教えてもらっても良い?」
「一番近くなら、一本向こうのとおりだな。街一番のところをお望みなら、あの高いトンガリ屋根に向かって歩けば良い。その隣が聖堂だ」

 ほとんどの建物が平屋だし、トンガリ屋根は見失わずに済みそう。聖堂も二階建てくらいの大きさがあるはずなのに見えないってことは、それだけあの建物は遠くにあるってことだよね。あの建物、何階建てなんだろ……。

「そうなんだ。ありがとう!」

 ワタシは100ディルを渡して、おじさんに別れを告げた。串は世辞抜きで本当に美味しくて、教えてもらった教会につく頃にはパクパクっと全部食べてしまった。また食べたいな……。でも太るよなぁ……。

(マリア、着いたぞ聖堂)

 すごく大きい……! バイギンの教会がいかに貧相だったかが一目瞭然だよ。こんなちゃんとした教会に入るのは初めて。

 ワタシは唾を飲み込んでから、扉を押す手に力を込めた。
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