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入学試験【一】
しおりを挟むエレンがヘルメスの屋敷に住み、魔術師の修業を始めて早一か月――今日はついに王立第三魔術学園の入学試験が実施される日だ。
「エレン様、受験票や筆記用具は、お持ちになられましたか?」
「昨日はぐっすり眠れましたか? コンディションはどうっすか?」
「現地へのルートは大丈夫ですか? 泣いてお願いするのならば、私が現地まで一緒に行ってあげてもよいですよ?」
リン・ティッタ・シャルが過剰に世話を焼いたところで、ヘルメスがパンパンと手を打ち鳴らす。
「こらこら君たち、エレンはもう十五歳なんだよ? あまり過保護にし過ぎるのは感心しないなぁ」
「「「も、申し訳ございません……っ」」」
主君に窘められた三人は、肩を落としながらおずおずと引き下がる。
ヘルメスは「やれやれ」と肩を竦めた後、ゴホンと大きく咳払いをした。
「エレン、今日はいよいよ受験本番だね。不安に思う気持ちもあるだろうけれど――大丈夫。君はこの一か月の修業で、魔術師として大きく成長した。どんな試験であろうと、きっと合格できるはずだ」
「ありがとうございます」
この一か月で、エレンは随分と明るくなった。
おどおどしたところが薄くなり、生来の前向きな性格を取り戻しつつある。
それでもまだ自己肯定感は低く、自信に欠けているところが散見されるのだが……。
わずか一か月という短いリハビリ期間を鑑みれば、劇的な改善と言えるだろう。
「さて、そろそろ時間だね。怪我だけはしないように気を付けるんだよ」
「はい!」
「おっとその前に……受験票はちゃんと持ったかい? 筆記用具やお薬は? 後、受験会場までの道は大丈夫かな? なんだったら、ボクが直接現地まで――」
「「「ヘルメス様、過保護はいけませんよ!?」」」
「ご、ごめんごめん。ついうっかり……っ」
使用人三人に窘められたヘルメスは、ただただ平謝りをするのだった。
■
ヘルメスたちに見送られ、屋敷を出たエレンは、眼前に広がる自由な世界に感動する。
(うわぁ、外に出るのなんて、いったいどれぐらいぶりだろう……!)
この一か月はずっと屋敷の敷地内で修業していたため、こうして自由に外を歩き回るのは、十年ぶりのことだった。
通りを行き交う人・大空を飛び回る鳥・微かに香る木々のにおい。
全てが新鮮で、全てが輝いて見えた。
(っと、こうしちゃいられない。早いところ、受験会場に向かわないと)
エレンは鞄の中から地図を取り出し、目的地へ向けて歩き始める。
(えーっと……。魔具屋さんがここで、武器屋さんがここにあるから……あっちだな)
そうして街の雑踏を進むことしばし、目の前に巨大な建造物が飛び込んできた。
「こ、これが王立第三魔術学園……っ」
白亜の宮殿と見紛う巨大な本校舎・威風堂々とそびえ立つ時計塔・美しい芝生の校庭などなど、その途轍もないスケールに圧倒されてしまう。
(……凄いなぁ。この学園、どれぐらいのお金が掛かっているんだろう……)
そんなことを考えていると、視界の端に『受付』の二文字が映った。
(あそこが受付か)
正門の前に置かれた仮設テーブル、そこが入学試験の受付会場となっており、既に大勢の受験生が長い列を作っていた。
エレンはその最後尾に並び、自分の番が来るのを待つ。
「――お次の方、どうぞ」
「はい。あの、王立第三魔術学園を受験しに来たんですけれど……」
鞄の中から受験票を取り出し、受付の女性に提示する。
「ありがとうございます。受験番号1850、エレン様でございますね。それでは、こちらのくじをどうぞ」
彼女はそう言って、正方形の大きな箱を取り出した。
「えっと……?」
「当学園の受験生は年々増加傾向にあり、昨年度ついに一万人の大台を突破。これほどの数になりますと、同一会場での実施は現実的に難しく……。今年度からは会場を複数に分けて、試験を執り行わせていただくことになりました。このくじ引きは、エレン様の試験会場を決めるものになります」
「なるほど、そうだったんですね」
受付の丁寧な説明に納得したエレンは、箱の中にあるくじを引く。
そこに書かれている番号は――『十八番』。
「十八番ですね。では、正門を入ってすぐ、黒色の異空鏡にお入りください」
「はい、わかりました」
受付の指示に従い、黒色の異空鏡に入るエレン。
彼が飛んだ先は――青々とした緑の生い茂る、深い森の中だった。
(ここが試験会場か……)
周囲を軽く見回すと、そこには既に数百人もの受験生たちが待機していた。
(この人たちみんな、魔術師なのか……っ)
独特の空気感に圧倒されたエレンは、身を隠すように目立たない木陰の方へ移動する。
それからしばらくして、試験開始の九時になった瞬間――『試験監督』の腕章を巻いた大男が、異空鏡からヌッと姿を現した。
「――おっほん。吾輩は王立第三魔術学園の常勤講師、白道担当のダール・オーガスト。十八番グループの監督を任された者である」
ダール・オーガスト、五十五歳。
灰色のショートヘア、身長は二メートル。
山の如きふくよかな体躯を誇り、立派なカイゼル髭が特徴の大男だ。
「お、おいおい……あの『鉄壁のダール』が試験官!?」
「さすがは王立魔術学園、超有名魔術師が簡単に出てくるな……」
「あぁ、眼福だぁ……っ」
ダールの武勇は王国中に知れ渡っており、受験生たちは羨望の眼差しを向ける。
「さて、あまり時間の余裕もないので、早速説明を始めるのである。と言っても、此度の実技試験は単純明朗。体術・剣術・魔術――自身の最も得意とする手段を以って、吾輩をこのサークルの外へ押し出した者を合格とするのである」
ダールがパチンと指を鳴らすと、彼の足元に半径五十センチほどの小さな円が浮かび上がった。
「細かいルールは一切なし。近・中・遠、好きな間合いで、最強の一撃をぶつけてくるがいいのである。ただし、挑戦権は一回のみ。攻撃を放ったものの、吾輩を動かせなかった挑戦者は、その場で即失格になるのである。――ここまでの話で、何かわからないことは?」
ダールが受験生の方へ目を向けると、一人の女子学生が恐る恐る手を挙げた。
「あ、あの……。つまりこの試験は、『ダール先生の鉄壁と名高い防御魔術を打ち破り、そのサークルから追い出せなければ不合格』、ということでしょうか……?」
「心配無用。いまだ成長途中の受験生諸君に対し、そんな過酷を強いるつもりはない。吾輩は一切の防御魔術を使わず、この場に立ったままである」
その返答を受け、受験生がにわかに騒がしくなる。
「えっ、それって……棒立ちのダール様を吹っ飛ばせってこと?」
「もしかしなくても、楽勝じゃない……?」
「へへっ、こりゃもらったな!」
弛緩した空気の流れる中、ダールはゴホンと咳払いをし、手元の受験者名簿に目を落とす。
「他に質問もないようなので、そろそろ始めるのである。受験番号719番、カマッセ・ザコデス」
「うーっす!」
名前を呼ばれた金髪の男子カマッセは、軽い返事と共に立ち上がる。
「俺の相棒は、全てを断ち斬る最強の火剣! 『鉄壁のダール』といえども、生身じゃガチで死んじまうぜ?」
彼は自信満々といった様子で、赤褐色の剣を引き抜いた。
「うむ、殺すつもりで来るのである」
「……一応、忠告はしたからな?」
カマッセは鋭い眼光を光らせ、力強く地面を蹴り付ける。
「ハァアアアア……!」
裂帛の気合と共に、鋭い袈裟斬りが放たれた。
次の瞬間――ギィンという硬質な音が轟き、カマッセ自慢の愛刀は見るも無残に砕け散る。
「なっ、ぁ……!?」
「うぅむ……そのような鈍らでは、吾輩の『魔力障壁』を突破できぬのである。――失格」
魔力障壁――魔術師の肉体は常に微弱な魔力を放っており、ちょっとした緩衝材のような役割を果たしている。
本来これは非常に脆く、敵の攻撃を防げるような代物ではないのだが……。
ダールクラスの凄腕魔術師ともなれば、その強度はまさに『段違い』。
軽い斬撃や低級魔術ぐらいならば、全て無力化してしまうのだ。
「ひ、卑怯だぞ! 防御魔術は使わねぇって話じゃなかったのか!?」
「魔力障壁は生理現象であり、ルールには反しないのである。それに何より、吾輩の防御魔術はこんなものじゃないのである」
「ぐっ、畜生……っ」
圧倒的な力の差を見せつけられたカマッセは、悔しそうに試験場を後にした。
「では次、受験番号1203番、ムメイ・モブ」
「は、はい!」
ダールの強靭な魔術障壁を見たムメイは、緊張した面持ちで己が魔力を研ぎ澄ませる。
「――無亡の燭台、咎負いの瓶、赫き斜陽が弧を包む! 赤道の二十五・劫火滅却!」
完全詠唱のもとに放たれた巨大な火球はダールを直撃――凄まじい爆風が吹き荒れた。
「や、やった……!」
手応えあり――ムメイが強く拳を握った次の瞬間、
「うーむ、こんな火力ではお肉も焼けないのである。――失格」
爆炎の中から、無傷のダールが現れた。
「そ、そんな……っ」
膝から崩れ落ちるムメイをよそに、ダールは次の名前を呼ぶ。
その後、大勢の受験生たちが挑戦したのだが……。
「大砲以下の衝撃である。――失格」
「くそ……っ」
「踏み込みが甘いのである。――失格」
「そ、そんなぁ……」
「出力が足りてないのである。――失格」
「畜生、これでも駄目なのか……ッ」
誰一人として鉄壁の魔力障壁を突破できぬまま、百人あまりが会場を去った。
「では次、受験番号1421、ゼノ・ローゼス」
「……」
黒衣を身に纏った男は、無言のままに立ち上がる。
それと同時、受験生の間に小さなざわめきが起こった。
「な、なぁ……ローゼスって、あの呪われた『ローゼス家』じゃないか?」
「漆黒の髪、首筋に走る『呪蛇の刻印』……。間違いねぇ、ローゼス家の末裔だ……」
「おいおい、今年はそんな危ねぇ奴が、受験しに来てんのかよ……っ」
忌避の視線が飛び交う中、
「……お゛ぃ、何をジロジロ見てんだ。ぶち殺されてぇのか?」
「「「……っ」」」
一睨みで周囲を黙らせたゼノは、小さく鼻を鳴らし、ダールの前に立つ。
「さぁ、いつでも来るのであ――」
「――黒道の五十・黒凰天墜」
ゼノが魔術を展開すると同時――遥か天空より、漆黒の大結晶が振り落ちる。
「これは……っ」
刹那、今までとは別次元の破壊がダールを襲い、凄まじい衝撃波が大気を打ち鳴らす。
「ご、五十番台の黒道を無詠唱!?」
「さすがはローゼス家の末裔、とんでもねぇ魔力だな……っ」
「と言うかダール様、さすがにヤバくねぇか……?」
各地で心配の声が溢れる中、
「はっ、死んじまったかぁ?」
ゼノが嘲笑を浮かべた次の瞬間――爽やかな突風が吹き、土煙の中から無傷のダールが現れた。
「うむうむ、素晴らしい黒道であった。このまま研鑽を積めば、将来は立派な黒魔術師になれるであろう。――合格」
「……ちぃっ」
実技試験を突破したにもかかわらず、ゼノの顔色は晴れない。
自身の放った五十番台を、魔力障壁のみで防ぎ切られたことが、彼の自尊心に傷を付けたのだ。
「では次、受験番号1637番、アリア・フォルティア」
「はい」
次に立ち上がったのは、純白の髪をたなびかせる美少女。
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「まっこと見事な一撃であった。――合格」
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「は、速ぇ……。切っ先の動きが、全然見えなかったぞ……」
「アリア・フォルティア、か……。まったく聞いたことのねぇ名前だな」
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一同がゴクリと唾を呑む中、
「いやはや、吾輩の試験を突破する者が、まさか二人も現れようとは……今年は中々に豊作であるな。よきなりよきなり」
ダールは髭を揉みながら、嬉しそうに何度も頷いた。
「では次――受験番号1850番、エレン」
「は、はい……!」
エレンが一歩前に出ると、受験生全員の視線が集中した。
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